アレルギー性鼻炎

監修医師：
渡邊 雄介（医師）

アレルギー性鼻炎の概要

アレルギー性鼻炎は、日常生活に広く影響を及ぼす一般的な症状で、特に春と秋に多く見られます。
いわゆるアレルギーを引き起こす原因との接触によって引き起こされるこの病気は、多くの人々に不快感をもたらすことがあります。
アレルギー性鼻炎の典型的な症状には以下のものがあります

鼻水
透明で水っぽい鼻水が特徴です。
鼻詰まり
炎症により鼻の通りが悪くなります。
くしゃみ
繰り返し起こる強いくしゃみが特徴的です。
目のかゆみや赤み
アレルギー反応により目も刺激されることがあります。

アレルギー性鼻炎の原因

アレルギー性鼻炎は特定のアレルゲンに対する身体の過敏な反応によって引き起こされます。
主なアレルゲンは以下の通りです。

アレルギー性鼻炎を引き起こす主なアレルゲン

花粉
特に春に多いスギやヒノキの花粉は、アレルギー性鼻炎の一般的な原因です。
これらの花粉は空気中に広がりやすく、呼吸と共に体内に入ります。

ダニの排泄物
ダニは家の中、特に寝具やカーペットに生息し、その排泄物がアレルギー性鼻炎を引き起こすことがあります。

ペットのフケ
犬や猫などのペットからのフケも一般的なアレルゲンです。
ペットの毛自体よりも、皮膚から剥がれ落ちる微小な粒子が問題となります。

カビ
高湿度の環境で成長するカビも、アレルギー性鼻炎の原因となることがあります。
カビの胞子は空気中に浮遊し、これが鼻の粘膜に触れることで症状を引き起こします。

アレルギー反応のメカニズム

アレルゲンが体内に入ると、免疫系はこれを外来物質と認識し、抗体を生成して反応します。
特にIgE抗体が関与し、この抗体がマスト細胞と結びつくことで、ヒスタミンやほかの炎症物質が放出されます。
これが鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こします。

アレルギー性鼻炎の前兆や初期症状について

アレルギー性鼻炎の前兆

アレルギー性鼻炎の前兆は、初めは軽度の不快感として現れることが多い傾向です。これには以下のような症状が含まれます。

軽い鼻のムズムズ感
アレルゲンに最初に反応して、鼻の内部に軽いかゆみや刺激を感じることがあります。

目の軽いかゆみ
目が少し水っぽくなり、軽いかゆみを感じることがあります。
これは、目の周りの粘膜がアレルゲンに反応している兆候です。

アレルギー性鼻炎の初期症状

前兆が進行すると、より明確で一般的なアレルギー性鼻炎の症状が現れます。

くしゃみ
連続するくしゃみは、アレルギー性鼻炎の典型的な初期症状です。
これは、鼻の粘膜が刺激されることによって引き起こされます。

鼻水または鼻詰まり

透明で流れるような鼻水が出るか、逆に鼻詰まりを感じることがあります。
これも鼻の粘膜の炎症によるものです。

目の赤みと涙

アレルゲンに反応して、目が赤くなったり、涙が増えたりすることがあります。
アレルギー反応による鼻の炎症の前兆や初期症状が見られた場合に受診すべき診療科は、耳鼻咽喉科、アレルギー科です。
アレルギー反応による鼻の炎症であり、耳鼻咽喉科やアレルギー科で診断と治療が行われています。

アレルギー性鼻炎の検査・診断

アレルギー性鼻炎の診断プロセス

アレルギー性鼻炎の診断は以下の点に注目して詳細なインタビューを行います

• 症状の種類（鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみなど）

• 症状の発生時期と持続性

• 症状が現れる環境や状況

• 家族歴、特にアレルギー症状の有無

アレルギー性鼻炎の検査方法

アレルギー性鼻炎の原因を特定するために、以下の検査が行われることがあります。

スキンプリックテスト

このテストは、アレルゲンを少量皮膚に塗布し、針で軽く刺激を与えることで皮膚の反応を観察します。
赤みや腫れが発生した場合、そのアレルゲンに対する感受性があることを示します。

特異的IgE抗体血液検査

血液を採取し、特定のアレルゲンに反応するIgE抗体のレベルを測定します。
このテストは、体内でのアレルギー反応の程度を示し、アレルゲン特定に役立ちます。

鼻腔内診察

内視鏡を使用して鼻腔内の状態を観察し、アレルギー性鼻炎に典型的な炎症や腫れを確認します。

診断後のステップ

診断が確定すると、医師はアレルギー性鼻炎の管理と治療に関して、個別のアドバイスを提供します。
これには薬物療法、場合によってはアレルゲン免疫療法が含まれることがあります。

アレルギー性鼻炎の主な注意点

症状の見落としや誤解を避ける

アレルギー性鼻炎の症状は、単なる風邪と混同されがちです。鼻水やくしゃみが長引く場合は、ただの風邪ではなく、アレルギー性鼻炎の可能性があることを認識し、適切な診断を受けることが重要です。

アレルゲンへの曝露を最小限に抑える

家の中のダニやペットのフケ、外の花粉など、特定のアレルゲンを避けることが症状の管理には不可欠です。
例えば、定期的な家の掃除、寝具の適切な管理、外出時のマスク着用が効果的です。

自己判断での薬の乱用を避ける

アレルギー性鼻炎の薬は適切に使用することで効果的ですが、医師の指導なしに独自の判断で薬を使い続けると副作用が生じることがあります。
特に、長期間にわたる点鼻薬の使用は、鼻の粘膜を傷つける原因となることがあります。

適切な治療と定期的なフォローアップ

アレルギー性鼻炎は長期的な管理が必要な状態です。
定期的に医師の診察を受け、症状の変化に応じて治療計画を更新することが大切です。
また、症状が改善されたと感じても、医師のアドバイスに従って治療を続けることが重要です。

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎の一般的な治療方法

薬物療法

• 抗ヒスタミン薬

これらの薬は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった症状を軽減します。
アレグラなど市販で販売されているお薬が使用されることがあります。

• 点鼻スプレー

ステロイドを含む点鼻薬は、鼻の炎症を抑えるのに有効です。
これにより、鼻詰まりが改善されます。

• 点眼薬

アレルギーによる目の痒みや赤みを軽減するために使用されます。

環境管理

室内の空気を清潔に保つために空気清浄機を使用し、アレルゲンの量を減らします。
定期的に家の清掃を行い、特に寝具やカーペットのダニ対策を徹底します。

アレルゲン免疫療法

この治療法は、身体を徐々にアレルゲンに慣れさせることで、アレルギー反応を減少させます。
特にほかの治療が効果不十分な場合に検討されます。

アレルギー性鼻炎の治療実践例

たとえば、花粉症の季節が近づいてきたら、事前に抗ヒスタミン薬の服用を始めることが推奨されます。
また、家では空気清浄機を稼働させ、外出から帰宅した際には衣服をすぐに洗濯し、シャワーを浴びることが効果的で

す。

アレルギー性鼻炎の治療は、症状の重さや生活環境に応じて調整する必要があります。
もし症状が改善されない場合は、アレルギー専門の医師に相談して、さらに適切な治療計画を立てることをおすすめめします。

アレルギー性鼻炎になりやすい人・予防の方法

アレルギー性鼻炎は多くの人々に影響を及ぼす一般的な状態で、特定の環境や遺伝的要因によって、一部の人々は特に発症しやすいとされています。
予防策を講じることで、症状を軽減し、日常生活の質を向上させることができます。

アレルギー性鼻炎になりやすい人の特徴

遺伝的要因

家族にアレルギー性疾患の歴史がある場合、同様の症状を持つ可能性が高まります。
これは、アレルギー反応に関連する遺伝子が親から子へと受け継がれるためです。

環境的要因

花粉が多い地域やダニの多い環境に暮らしている人は、アレルギー性鼻炎を発症するリスクが高まります。

職業的リスク

農業、園芸、木材加工など、屋外で働く職業に就いている人は、職業上の露出が原因でアレルギー性鼻炎を発症しやすいです。

アレルギー性鼻炎の予防方法

環境制御

家の中を清潔に保ち、定期的に空気清浄機を使用することでアレルゲンを減らすことができます。
特に寝具はダニの温床となりやすいため、週に一度は高温で洗濯し、日光にさらすことが推奨されます。

個人的な対策

花粉の季節には、外出時にマスクや帽子を着用し、帰宅後は衣服をすぐに洗濯し、シャワーを浴びることで花粉を洗い流します。

食生活の改善

抗炎症作用のある食品を積極的に取り入れることで、身体の抗アレルギー能力を高めることができる可能性があります。
アレルギー性鼻炎は完全に予防することは難しいかもしれませんが、これらの予防策を実践することで、症状の発生頻度や重症度を大きく軽減させることが可能です。