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かぜ(急性上気道炎)
五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

風邪(急性上気道炎)の概要

風邪は、急性上気道炎とも呼ばれ、主にウイルスによって引き起こされる上気道の感染症です。上気道とは、鼻腔、咽頭、喉頭から成る部分で、これらの部位が炎症を起こすことで、鼻汁や咳、発熱などの風邪症状が現れます。風邪は非常に一般的な病気であり、子供から大人まで誰でも発症する可能性があります。通常、風邪は軽度で自然に治癒することが多いです。しかし、時には重症化して肺炎や副鼻腔炎などの合併症を引き起こすこともあります。
風邪の発症率は季節によって異なり、特に秋から冬にかけて増加することが多いです。これは、寒冷で乾燥した気候がウイルスの生存に適しているためと考えられています。また、室内で過ごす時間が長くなるため、人と人との接触が増えることも原因の一つです。

風邪は通常、数日から1週間程度で自然に治癒しますが、症状が長引く場合や重篤な症状が現れる場合は、医療機関を受診することが推奨されます。特に、高齢者や幼児、免疫力が低下している人は、風邪が重症化しやすいため、早期の対応が必要です。

風邪(急性上気道炎)の原因

風邪の主な原因はウイルス感染です。風邪の原因になるウィルスを以下に挙げています。

  • ライノウイルス
  • コロナウイルス
  • アデノウイルス
  • パラインフルエンザウイルス
  • RSウイルスなど

これらのウイルスは、感染者の咳やくしゃみ、会話によって飛散する飛沫を介して他人に感染します。また、ウイルスが付着した物体(ドアノブや手すり)を触った後に口や鼻を触ってしまうことも、感染経路のひとつです。

体内に入ったウイルスは、上気道の粘膜に付着し、細胞に侵入して増殖します。これにより、免疫反応が引き起こされ、炎症や粘液の分泌が増加し、典型的な風邪の症状が現れます。
また、ウイルスの感染力は、環境条件や宿主の免疫状態にも大きく影響されます。寒冷で乾燥した環境は、ウイルスの生存と拡散を助長します。また、免疫力が低下している場合やストレスが多い状況下では、感染しやすくなることが知られています。

風邪(急性上気道炎)の前兆や初期症状について

風邪の初期症状は、ウイルスに感染してから1~3日の潜伏期間を経て現れます。最初の兆候としては、のどの違和感や痛み、くしゃみ、鼻水が挙げられます。これらの症状は、徐々に悪化し、鼻詰まりや咳、頭痛、全身の倦怠感、発熱などが見られます。

症状 原因
のどの痛み ウイルスがのどの粘膜に付着し炎症を引き起こす
鼻水 ウイルスが鼻腔の粘膜を刺激し、体が排出しようとする防御反応
鼻詰まり 鼻腔内の血管が膨張して空気の通り道が狭くなる
気道内の異物や分泌物を排出するための反射的な反応
発熱 ・免疫系がウイルスと戦うために体温を上げることで起こる
・成人は高熱よりも微熱程度が多い
・子供の場合、発熱が高くなることがあるが、数日で解熱する
頭痛・倦怠感 免疫反応による炎症性物質が体内を巡ることで引き起こされる

風邪の症状は一般に軽度で、通常は数日から1週間程度で自然に改善します。しかし、症状が長引いたり、呼吸困難や胸痛、高熱が続く場合は、医療機関への受診を検討します。特に、高齢者や慢性疾患を持つ方、免疫力が低下している方は、重症化するリスクが高いため、早期の対応が必要です。

これらの症状がみられた場合、耳鼻科、内科を受診して適切な検査・治療を受けることをおすすめします。

風邪(急性上気道炎)の検査・診断

風邪の診断は主に臨床症状に基づいて行われます。医師は、患者さんの症状や病歴を詳細に聞き取ります。具体的には、のどの赤みや腫れ、鼻腔内の分泌物の状態、胸の音などを確認します。通常、風邪の診断には特別な検査は必要ありません。

ただし、症状が重い場合や合併症が疑われる場合、さらなる検査を行います。例えば、発熱や呼吸困難がある場合には、肺炎の有無を確認するために胸部X線検査を行い、インフルエンザが疑われる場合には、迅速検査を行います。

他の感染症との鑑別も重要です。例えば、細菌性の咽頭炎や副鼻腔炎、気管支炎などは、抗生物質による治療が必要な場合があります。これらの疾患は、風邪と類似した症状を呈することがあるため、区別しなければなりません。必要に応じて、咽頭の拭い液や鼻腔の分泌物を採取し、病原体の同定を行うことがあります。

さらに、特定の症状が長引く場合や再発を繰り返す場合は、慢性疾患や免疫不全の可能性も考えられるでしょう。このような場合、血液検査や免疫機能検査によって基礎疾患の有無や全身の健康状態を評価し、適切な治療方針を立てることができます。

風邪(急性上気道炎)の治療

風邪の治療は、主に症状の緩和を目的とした対症療法が中心です。特定の治療薬がないため、抗生剤は使用せず、体の自然治癒力に任せることが基本となります。そのため、保温や保湿、水分補給を適切に行うことが大切です。
以下は、風邪の治療において一般的に行われる対症療法です。

解熱鎮痛薬

発熱や頭痛、のどの痛みなどの症状を緩和するために、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛薬が使用されます。これらの薬は、体温を下げ、痛みを和らげる効果があります。

抗ヒスタミン薬

くしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状を軽減するために、抗ヒスタミン薬を使用します。これらの薬は、アレルギー反応を抑え、鼻腔内の分泌物を減少させる効果があります。

咳止め薬

咳がひどい場合には、咳止め薬が処方されることがあります。例えば、デキストロメトルファンなどが一般的に使用されます。ただし、咳は気道の分泌物を排出するための重要な反射であるため、完全に止めてしまうことは避けるべきです。

のどのケア

のどの痛みを和らげるために、ぬるま湯でのうがいや蜂蜜を使ったのどのケアが推奨されます。蜂蜜はのどの炎症を和らげる効果があります。ただし、1歳未満の乳児にあたえないでください。その場合は抗菌うがい薬などを使ってのどの粘膜を洗浄しましょう。

水分補給

体がウイルスと戦うためには、水分補給が必要です。暖かい飲み物やスープなどを摂取することで、のどの潤いを保ち、痰の排出を助けます。

また、休養も重要な治療の一環です。十分な睡眠と安静を取ることで、体力を回復し、免疫力を高めることができます。過度の労働やストレスは免疫力を低下させ、病状を悪化させる可能性があるため、できるだけ避けるようにしましょう。

風邪(急性上気道炎)になりやすい人・予防の方法

風邪にかかりやすい人には、いくつかの共通点があります。例えば、免疫力が低下している人や、ストレスや疲労がたまっている人は、ウイルス感染のリスクが高くなります。また、子供や高齢者、慢性疾患を持つ方は、風邪にかかるリスクが高いです。さらに、学校や職場、介護施設など集団生活を送る場所は、風邪が流行しやすい環境となります。

予防には、以下の方法が効果的です。

手洗い

手洗いは最も効果的な予防方法の一つです。外出先から帰宅した時や食事の前後、トイレの後などに石鹸を使って手を洗いましょう。特に、不特定多数が接触し、ウイルスが付着している可能性のある物(ドアノブ、手すりなど)に触れた後には、手洗いを徹底するよう心がけます。

うがい

うがいは、のどの粘膜に付着したウイルスを洗い流すために有効です。特に、人混みから帰宅した後や、風邪の流行時期には、ぬるま湯や抗菌うがい薬を使ってうがいをすることが推奨されます。

マスクの着用

マスクの着用は、飛沫感染を防ぐために有効です。特に、人混みのある場所に行く際にはマスクの着用が推奨されます。また、咳やくしゃみをする際には、ハンカチや肘で口を覆う(咳エチケット)ことで、飛沫の拡散を防ぐことができます。

予防接種

インフルエンザなど、風邪症状を引き起こす特定のウイルスに対する予防接種を受けることも、効果的な予防手段となります。特に、高齢者や慢性疾患を持つ人々は、毎年の予防接種が推奨されます。

健康的な生活習慣

免疫力を高めるためには、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な湿度管理が重要です。ストレスを減少させ、心身の健康を保つことで、ウイルス感染に対する抵抗力を高められます。また、アルコールの摂取や喫煙を控えることも、免疫力の維持に関係するため、体調が悪い際には節制しましょう。

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