目次 -INDEX-

アフタ性口内炎
中嶋 麻優子

監修歯科医師
中嶋 麻優子(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
東京歯科大学卒業。アソアライナー認定医。ポリリンホワイトニング認定医。WHマスク監修。

アフタ性口内炎の概要

アフタ性口内炎は、口内に繰り返し現れる小さな潰瘍です。この潰瘍は一般的に痛みを伴い、食事や話すことを困難にすることがあります。 アフタ性口内炎は口の中の柔らかい組織に発生しますが、特徴としては以下が挙げられます。

サイズと形状 潰瘍は一般に小さく、丸いか楕円形で、中央が少し凹んでいることが多い傾向です。 中央は黄白色をしており、周囲は赤く炎症を起こしています。 痛み 触れると非常に痛みを感じることが多く、特に食べ物や飲み物に触れた時に鋭い痛みが走ります。

アフタ性口内炎の原因

アフタ性口内炎の主な原因

ストレス 精神的ストレスは免疫機能に影響を与え、口内炎の発生を促すことがあります。緊張や不安が続くと、身体の抵抗力が低下し、潰瘍が形成されやすくなります。 栄養不足 ビタミンB12、鉄、葉酸、亜鉛などの栄養素が不足すると、口内炎が発生しやすくなります。これらの栄養素は、口腔の粘膜を健康に保つのに必要です。 機械的な刺激 鋭い歯や歯科装置、誤って噛んでしまうことなどが、口の中の組織を傷つけ、潰瘍を引き起こすことがあります。 ホルモン変動 女性では、月経周期や妊娠、閉経期にホルモンバランスが変わることが、アフタ性口内炎の発生に関連していることがあります。 免疫系の問題 自己免疫疾患やほかの免疫系の問題がある場合、身体が自分自身の組織を攻撃し、口内炎を引き起こす可能性があります。 遺伝的要因 家族歴がある場合、遺伝的な要因もアフタ性口内炎の発生に寄与する可能性があります。

アフタ性口内炎の前兆や初期症状について

初期症状の概要

アフタ性口内炎の最初の兆候は、しばしば口の中の特定の場所に不快感が現れることです。以下に、具体的な初期症状を挙げます。

軽い刺激感または痛み 症状の初めに、口の中の一点が痛んだり、飲食物に触れたときに軽い痛みを感じることがあります。特に熱い飲み物や辛い、酸っぱい食べ物に触れた際に顕著です。 赤みを帯びた斑点 潰瘍が形成される前に、潰瘍が形成される場所が赤くなることがあります。この斑点はやがて中心が少し凹んで白や黄色の潰瘍に進行します。 腫れ 潰瘍の周囲の組織が軽く腫れることがあります。これは炎症反応の一部であり、身体が損傷した組織を修復しようとする過程です。

初期症状に対する対応

アフタ性口内炎の初期症状に気付いた場合、以下のような対応が役立ちます。

口内を清潔に保つ 潰瘍が悪化しないよう、積極的に口内を清潔に保ちます。穏やかな塩水でのうがいや、アルコールフリーの口内洗浄液を使用することが推奨されます。 刺激物を避ける 辛いものや酸っぱいもの、硬い食べ物など潰瘍を刺激する食べ物は避け、柔らかくて温かすぎない食事を心がけます。 ストレス管理 ストレスが症状を引き起こすまたは悪化させる一因となる場合があるため、リラクゼーション技法を取り入れると良いでしょう。

またアフタ性口内炎は歯科口腔外科で対応するケースがあります。 内科、皮膚科、耳鼻咽喉科などでも対応可能ですが、初期症状が出た時には是非覚えておいてください。

アフタ性口内炎の検査・診断

アフタ性口内炎が単発のものか、何かほかの健康問題の兆候なのかを把握するためには適切な診断が必要です。診断プロセスとしては以下の流れに沿って実施されます。

詳細な問診 最初のステップは、患者さんの症状について詳細を聞くことです。医師は口内炎の発生頻度、症状の持続期間、痛みの程度、食生活の変化、最近の健康問題などについて質問します。 口腔内検査 潰瘍の位置、大きさ、形状、色、および周囲の組織の状態を確認します。この検査は、口内炎の特性を詳細に調べ、ほかのタイプの潰瘍と区別するのに役立ちます。 追加の検査 繰り返し発生するアフタ性口内炎や、特定の栄養不足の疑いがある場合、血液検査を行うことがあります。これにより、ビタミンB12、鉄、葉酸のレベルが測定され、栄養不足が症状に寄与しているかどうかを判断できます。 特異的な症例の場合の対応 もし潰瘍が通常のアフタ性口内炎と異なる特性を示す場合、さらに詳しい検査が必要になることがあります。これには、組織の生検や特定の感染症の検査が含まれることがあります。

診断後の対応

診断結果に基づいて、医師は適切な治療計画を提案します。通常、アフタ性口内炎は自己治癒性ですが、症状の緩和や回復の加速を助けるために、局所麻酔薬、抗炎症薬、または口内を清潔に保つための特定の洗口液が処方されることがあります。

アフタ性口内炎の治療

アフタ性口内炎の基本的な治療法

局所麻酔薬 痛みが強い場合、局所麻酔薬を含むジェルやスプレーを使用して、潰瘍部位の感覚を鈍らせることができます。これにより、食事や会話が楽になります。 抗炎症薬 局所的に適用するステロイドクリームや軟膏が処方されることがあります。これは潰瘍の炎症を抑え、治癒を促進するのに役立ちます。 口内洗浄液 塩水でのうがいや、抗菌作用を持つ特別な洗口液を使用することで、潰瘍周囲の口内を清潔に保ち、感染のリスクを低減します。 栄養補助 栄養不足が疑われる場合、特にビタミンB群、鉄、亜鉛、葉酸のサプリメントが推奨されることがあります。これらは口内の健康をサポートし、再発の頻度を減らすのに効果的です。

生活習慣の調整

食事の工夫 刺激性の強い食品(辛いもの、酸っぱいもの、硬いもの)を避け、柔らかくて温かい食事を心がけることで、潰瘍への刺激を減らし、痛みを軽減できます。 ストレス管理 ストレスはアフタ性口内炎の発生や悪化に影響を与えるため、リラクゼーション法や趣味、適度な運動を取り入れることが効果的です。

アフタ性口内炎になりやすい人・予防の方法

アフタ性口内炎になりやすい人の特徴

ストレスを多く抱える人 ストレスは身体の免疫機能に影響を及ぼし、口内炎の発生を促す可能性があります。特に仕事や日常生活で高いストレスを感じている人は、アフタ性口内炎になりやすいです。 栄養不足の人 特にビタミンB群、鉄、亜鉛、葉酸が不足していると、口内の健康が損なわれ、アフタ性口内炎が発生しやすくなります。 遺伝的要因を持つ人 家族にアフタ性口内炎の既往がある人は、遺伝的な要因により発症しやすいことがあります。

予防方法

適切な栄養摂取 健康な食生活は口内炎の予防に欠かせません。特にビタミンB群、鉄、亜鉛、葉酸を豊富に含む食品(緑黄色野菜、肉類、ナッツ類)を積極的に取り入れましょう。 良好な口腔衛生 定期的に歯科検診を受け、毎日の歯磨きやフロスを欠かさないようにしてください。口内を清潔に保つことで、潰瘍が発生するリスクを減らせます。 ストレス管理 ヨガや瞑想、適度な運動など、ストレスを効果的に管理する方法を見つけ、定期的に実践することが重要です。 避けるべき刺激の管理 酸性の飲食物や辛いスパイスなど、口内を刺激する物質を避けることも、アフタ性口内炎の予防に役立ちます。

アフタ性口内炎の予防は、日々の小さな注意とケアから始まります。これらの予防策を生活に取り入れることで、痛みを伴う口内炎の発生を減らし、より快適な毎日を送ることができるでしょう。

この記事の監修歯科医師