

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
目次 -INDEX-
高血圧の概要
高血圧は、血液が動脈を通過する際に血管の内側にかかる圧力が高い状態を指します。一般的に血圧は、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)で表され、収縮期血圧は140mmHg以上、拡張期血圧は90mHg以上で高血圧と診断されます。高血圧は高血圧は日本国内でも多く見られる病気で、20歳以上の3人に1人は高血圧と言われています。自覚症状がない方もいて、気づかないうちに進行することが多いです。長期間にわたって放置すると、心臓病や脳卒中、腎臓病などの重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。年齢や遺伝、生活習慣など多くの要因が関与しており、定期的な血圧測定や生活習慣の見直しが重要です。 高血圧の管理は、薬物療法だけでなく食事療法や運動療法も併用することで、血圧のコントロールがしやすくなります。さらに、ストレス管理や禁煙、適度な飲酒も血圧管理において重要な要素です。日々の生活の中で、自己管理を徹底することが、高血圧予防の第一歩となります。高血圧の原因
高血圧の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて一次性高血圧と二次性高血圧の2つがあります。一次性高血圧は、原因が特定できないもので遺伝的要因や生活習慣が深く関与していると考えられています。一方、二次性高血圧は他の疾患や薬物の影響で引き起こされるものです。一次性高血圧の原因
一次性高血圧の原因として最も多いのは遺伝的要因です。家族に高血圧の患者さんがいる場合リスクが高まります。また、加齢も重要な要因で、年齢が上がるにつれて血管が硬くなりやすく、血圧が上昇します。 塩分の過剰摂取も高血圧のリスク要因です。日本人は特に塩分を多く摂取する傾向があり、血管の柔軟性が低下することが高血圧の一因となります。また、塩分摂取量が過多になると血管の柔軟性が低下し、動脈硬化が進行してしまいます。動脈硬化は心臓が血液を送るために必要な圧力を増加させ、結果として血圧が上昇させてしまうのです。二次性高血圧の原因
二次性高血圧は、腎臓病や内分泌疾患、特定の薬物の使用が原因で引き起こされます。例えば、慢性腎臓病による腎臓の機能障害やホルモン異常が原因で血圧が上がってしまう可能性があります。また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のような薬物が原因で血圧上昇を引き起こす場合もあるのです。 これらの原因を理解し、自身の生活習慣を見直すことが高血圧の予防と管理に繋がります。高血圧の前兆や初期症状について
高血圧の初期には自覚症状がないケースが多いです。しかし、注意深く観察することで、いくつかの前兆や初期症状に気づくことができます。頭痛
高血圧では朝起きたときに頭痛を感じることがあります。特に、後頭部あたりに鈍い痛みを感じることが多いです。この症状は、血圧が高くなると血管が収縮し、血流が悪くなるために起こります。めまいや耳鳴り
めまいや耳鳴りも高血圧の初期症状として見られます。これらの症状は、一時的なものである場合が多いですが、頻繁に感じる場合は注意が必要です。また、視力が一時的にぼやけることや、目の充血も高血圧のサインです。動悸や息切れ
動悸や息切れを感じることもあります。血管が硬いため心臓が一回で送り出せる血液量が制限されてしまい、心拍数を増やさざるを得なくなります。そのため、軽い運動や階段を上るだけで息切れや動悸を感じるようになってしまうのです。この状態を放置すると心臓への負担が増していき、最終的には心不全に繋がりかねません。そのため、動悸や息切れには注意しましょう。手足のしびれや冷感
手足のしびれや冷感も高血圧の初期症状の一つです。循環不全により末梢血管に十分な血液が届かなくなるために引き起こされます。特に、片側だけのしびれや冷感を感じる場合は、脳血管障害の前兆である可能性があります。その場合は、すぐに医療機関を受診してください。 高血圧の前兆や初期症状は、一見すると些細なものに感じられるかもしれません。しかし、これらの症状が続く場合は早めに一般内科の医師に相談することが大切です。高血圧の検査・診断
血圧測定
簡単かつ定期的に実施できる検査として、血圧測定があります。医療機関での血圧測定だけでなく自宅での記録も非常に重要で、正確な診断には複数回の記録が必要です。朝と夜など時間帯を分けて測定すると、より正確な記録が得られます。 ただし、医療機関での血圧と家庭での血圧では、環境や測定機器が違うために差が出る可能性もあります。また、医師の前で測定すると血圧が高くなることもあり、このような場合も加味すると、家庭での血圧測定の結果が重要になることがわかるでしょう。血液検査
血液検査も高血圧の診断に役立ちます。腎臓の機能や糖尿病の有無、脂質異常症の存在があると、血圧に影響が出てきます。心臓の検査
心電図や胸部X線検査、超音波検査も併せて実施することもあります。心臓や血管の状態を詳細に把握でき、高血圧が原因で起こり得る合併症の早期発見が可能です。これらの検査結果を総合的に判断し、最適な治療方針を決定します。高血圧の治療
高血圧の治療は、主に生活習慣の改善と薬物療法の二つに分かれます。生活習慣の改善は、高血圧治療の基本であり、まずは食事療法が重要です。塩分摂取を減らすことが推奨され、特に日本人は塩分摂取量が多いため、意識的に減塩を心掛ける必要があります。ナトリウムの摂取を控え、腎機能の低下などが無ければ、カリウムを多く含む食品を摂取するのが望ましいです。 また、適度な運動も血圧の管理に有効です。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を1日40分以上、定期的に行うことで、血圧が安定しやすくなります。さらに、体重管理も重要です。肥満は高血圧のリスクを高めるため、適正体重を維持することが推奨されます。 ストレスの管理も忘れてはならない要素です。リラクゼーションや趣味を楽しむ時間を作ることで、精神的な負担を軽減し、血圧をコントロールできます。加えて、禁煙やアルコールの適度な摂取も重要です。喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させるため、禁煙が推奨されます。また、アルコールは適量であれば血圧に大きな影響を与えませんが、過剰摂取は避けるべきです。薬物療法
薬物療法では降圧剤を使用します。降圧剤にはさまざまな種類があり、患者さんの状態に応じて適切な薬を選びます。例えば、利尿薬は体内の余分な塩分と水分を排出することで血圧を下げる薬です。また、ACE阻害薬やARBは、血管を拡張させることで血圧を下げる効果があります。高血圧になりやすい人・予防方法
高血圧になりやすい人の特徴(遺伝的要因)
遺伝的要因が大きく影響します。家族に高血圧の患者さんがいる場合、そのリスクは高まります。また、年齢が上がるにつれて血管が硬くなり、血圧が上昇しやすいです。高血圧になりやすい人の特徴(生活習慣)
塩分の過剰摂取や肥満、運動不足が高血圧のリスクを高めます。特に、日本人は塩分を多く摂取する食事文化のため、高血圧になりやすいです。また、ストレスの多い生活や過度の飲酒、喫煙も高血圧を引き起こす要因となります。高血圧の予防方法(食事の見直し)
高血圧の予防には、まず食生活の見直しが必要です。塩分を控え、野菜や果物を多く摂取することが推奨されます。カリウムを多く含む食品は塩分の排出を助けるため、血圧の管理に効果的です。高血圧の予防方法(定期的な運動)
有酸素運動を週3回程度、1回20-30分程度の運動を行うことで、心肺機能が向上し血圧の安定につながります。運動を継続すれば適正体重を維持することにつながり、血圧の上昇を予防できるでしょう。高血圧の予防方法(ストレス管理)
ストレスの管理も高血圧の予防法として有効です。リラクゼーションや趣味を楽しむことで、精神的な負担を軽減し、血圧のコントロールに役立ちます。高血圧の予防方法(禁煙・減酒)
喫煙や飲酒の習慣も見直す必要があります。喫煙は血管を収縮させ血圧を上昇させるため、禁煙が推奨されます。また、アルコールは適量であれば血圧に大きな影響を与えませんが、過度な飲酒は避けましょう。高血圧の予防方法(定期検診)
定期的に血圧を測定し、自身の健康状態を把握することも重要になります。高血圧は初期には自覚症状を感じ取れない方もいるため、血圧測定などの数値で高血圧に気付けるとよいでしょう。これらの予防策を実践することで、高血圧を防ぎ、健康な生活を維持できます。参考文献




