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蛋白漏出性胃腸症の症状や原因、治療方法とは?

蛋白漏出性胃腸症(読み方:たんぱくろうしゅつせいいちょうしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
野中 親哉 医師(野中内科クリニック院長)

蛋白漏出性胃腸症とは

蛋白漏出性胃腸症とは単一の疾患ではなく,むしろ症候群と考えたほうが理解しやすい.その基礎になっている共通の現象としては,胃腸管粘膜を通して消化管腔内へ血漿蛋白質のうち,主としてアルブミンが直接漏出して大量に失われるということであり,症状的には低アルブミン血症のため浮腫を来すものである.

引用:医学書院「検査と技術」7巻3号 病気のはなし 蛋白漏出性胃腸症
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1543201795

野中 親哉 医師 野中内科クリニック院長ドクターの解説
蛋白漏出性胃腸症は、分かりやすく言うと、タンパク質が消化器の壁の外へと漏れ出してしまう疾患です。タンパク質はさまざまな成分に分類されるのですが、その中でも特にアルブミンが消化器官外へ漏出してしまいます。漏れ出してしまうので、アルブミンが足りなくなり、低たんぱく血症を引き起こします。タンパク質のある成分が体内で足りなくなってしまうことで、皮膚疾患を引き起こしたり、むくみやすくなるなどの症状が現れます。
ある手術の合併症として罹患する報告例も出ています。

蛋白漏出性胃腸症の症状

・浮腫
・消化器症状(下痢、悪心、腹部膨満感)
・乳び胸水、腹水
・脂肪便
・テタニー
・成長障害

引用:秋田大学大学院医学系研究科 細胞生理学講座
http://www.med.akita-u.ac.jp/~seiri1/okamoto/med/intestine_protein_leak.htm

野中 親哉 医師 野中内科クリニック院長ドクターの解説
タンパク質は、身体を構成する大切な要素のひとつです。その要素が足りなくなることで、さまざまな症状が現れます。中でもアルブミンは、血液を全身に循環させる上でとても大切な役割を果たしています。アルブミンが足りなくなると、血液が正常に全身を循環しなくなってしまうのです。
それにより、まず、むくみやすくなります。手や足だけでなく、顔や首などリンパ節に近い部分の浮腫が目立ちます。中にはお腹部分に水が溜まってしまうこともあります。
また、特別食あたりを引き起こしやすいものを食べていない時でも、下痢や吐き気、腹部の膨満感を覚えます。場合によっては、脂肪便と呼ばれる水溶の酸性臭を伴う軟便になることもあります。

蛋白漏出性胃腸症の原因

蛋白漏出性胃腸症を来す種々の疾患があり、原因疾患の診断が必要である。漏出の機序には、リンパ系の異常、毛細血管の透過性亢進、胃腸粘膜上皮の異常などがある。蛋白漏出性胃腸症の原因となる心疾患、炎症性腸疾患、悪性腫瘍、膠原病、結核などの病歴の有無を問診で確かめる。また、蛋白漏出性胃腸症を来す代表的疾患に腸リンパ管拡張症やMénétrier病、Cronkhite-Canada症候群がある。

引用:今日の臨床サポート
https://clinicalsup.jp/contentlist/255.html

蛋白漏出性胃腸症の検査法

・上部および下部消化管内視鏡検査:
Crohn病や潰瘍性大腸炎、消化管腫瘍、Ménétrier病、Cronkhite-Canada症候群などの胃腸粘膜上皮の異常による疾患の鑑別には、消化管内視鏡検査が有用である。これらの疾患の多くは特徴的な内視鏡所見を呈する。消化管病変からの生検病理組織検査は確定診断に有用である。

・消化管粘膜生検:
腸リンパ管拡張症やアミロイドーシスの診断には消化管粘膜生検が有用である。
・血液検査:
アレルギー性胃腸症や好酸球性胃腸症などのアレルギー疾患の診断には血液中の好酸球数やIgEの検査が、全身性エリテマトーデスなど膠原病では抗核抗体、抗DNA抗体など自己抗体の検査が有用である。
・造影CT検査:
造影CT検査による胸水、腹水、腸管壁肥厚、リンパ節腫脹、血管閉塞の有無の評価は、原因疾患の鑑別に有用である。
・その他の検査:
収縮性心外膜炎やうっ血性心不全を疑う場合は、胸部X線、心電図、心超音波検査による評価を考慮する必要である。
引用:今日の臨床サポート
https://clinicalsup.jp/contentlist/255.html

消化管蛋白漏出シンチ
蛋白漏出性胃腸症は消化管粘膜より管腔内にアルブミンを主とした蛋白が漏出するために、低タンパク血症を伴った疾患です。この検査では蛋白漏出の有無、あればその程度と部位を明らかにできます。

引用:明和キャンサークリニック
https://www.meiwa-hospital.com/clinic/scintigraphy.html

野中 親哉 医師 野中内科クリニック院長ドクターの解説
蛋白漏出性胃腸症の診断には、血液検査を行います。アルブミンやコレステロール値、カルシウムやヘモグロビンの数値を確認します。血液を調べる臨床検査ですので、結果判明までに数日を要します。
また、内視鏡で消化管内部を観察し、消化管内部の一部組織を取り、生検検査を行うこともあります。

蛋白漏出性胃腸症の治療方法

1. 原疾患に対する治療
2. 対症療法 :利尿薬、頚静脈栄養(アミノ酸製剤、高カロリー輸液)
3. リンパ管拡張症に対し :中鎖脂肪酸を含んだ経腸栄養剤や食事にする。中鎖脂肪酸は吸収時リンパ系を通らず門脈に直接入る。

引用:秋田大学大学院医学系研究科 細胞生理学講座
http://www.med.akita-u.ac.jp/~seiri1/okamoto/med/intestine_protein_leak.htm

野中 親哉 医師 野中内科クリニック院長ドクターの解説
まず、蛋白成分を含む点滴を行います。薬物療法としては、アルブミン製剤や利尿薬の投与が行われます。アルブミンが漏れ出してしまう部分を、薬で改善することはできません。ですので、継続した栄養素の摂取が必要になってきます。一人ひとりの症状を観察し、その方にあった方法で根気よく治療を進めていきます。また、ご自身で管理できる治療法として、食事療法の一環でタンパク質を多く摂取することがたいせつです。その場合、低脂肪で高たんぱくの素材を取り入れてみてください。
手術や他の疾患の合併症として蛋白漏出性胃腸症を発症している場合は、それらの疾患を完治させることが大切です。


この記事の監修ドクター

野中 親哉 医師 野中内科クリニック院長野中 親哉 医師
野中内科クリニック 院長

PROFILE

1987年  大阪医科大学卒業後、済生会吹田病院勤務
1990年  彰療会大正病院勤務
1994年  博士号取得後、彰療会大正病院副院長に就任
2003年  吹田市津雲台にて、野中内科クリニックを開設