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薬物依存の症状・原因・治療方法について 2018.06.29

薬物依存(読み方:やくぶついぞん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
高橋龍太郎 医師(タカハシクリニック 院長)

薬物依存とは

薬物依存症とは、薬物の効果が切れてくると、薬物が欲しいという強い欲求(渇望)がわいてきて、その渇望をコントロールできずに薬物を使ってしまう状態をいいます。薬物依存ともいいます。
古くは薬物中毒と呼ばれてきましたが、それは薬物依存という概念が確立されていなかった時代のことで、現在は薬物乱用、薬物依存、薬物中毒という3つの概念を分けて考えることが大切です。

 引用:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長監修ドクターのコメント
「薬物」と聞くと、覚せい剤、麻薬(コカイン、ヘロインなど)、危険ドラッグといった違法なものを連想しますが、睡眠薬や抗不安薬などの一般的なお薬も、付き合い方を間違えれば薬物依存を引き起こします。「薬物中毒」という表現は、主に急性症状を指します。薬物依存の患者さんは、医師、家族、周囲の人から「あなたは薬物依存ではないか」と指摘されても、なかなか認めない、自覚がないというケースが多いことが特徴です。

薬物依存の症状

薬物の乱用をくりかえすと、薬物依存という「状態」におちいります。
薬物依存という状態は、WHOにより世界共通概念として定義づけられています。簡単にいえば、薬物の乱用の繰り返しの結果として生じた脳の慢性的な異常状態であり、その薬物の使用をやめようと思っても、渇望を自己コントロールできずに薬物を乱用してしまう状態のことです。

 引用:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長ドクターの解説
患者さんが薬物の名前を指定して処方を求める場合、多くの医師はドクターショッピングを疑い、薬物依存の進行度はかなり高いと推測します。薬物探索行動が加速すると、窃盗や売春など法律を犯してでも薬物を入手しようとする恐れもあります。薬物依存になると生活や行動が薬物中心に変わってしまうのです。離脱症状(禁断症状)の主な症状は、不眠、抑うつ、妄想、幻覚などです。薬物を中断するだけでなく、薬物の量を減らしただけでも出る場合があり、患者さんが一人でコントロールすることはなかなか難しいと言えます。

薬物依存の原因

今日、この薬物依存の原因として、脳内の神経系の異常が明らかになっています。
脳のどの部分に作用するかは、薬物によって異なります。しかし、どの薬物であっても、依存性のある薬物というからには、中脳の腹側被蓋野から側坐核に至る脳内報酬系と呼ばれるA10神経系に共通して異常が起きていることが明らかになっています。
このA10神経系で最も主要な役割を果たす神経伝達物質がドパミンです。

 引用:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

薬物依存の検査法

診断は、本人・家族などからきちんと使用薬物やその使用状況、離脱症状の経過などが聴取できれば、比較的容易です。
合併する肝臓障害、末梢神経障害などの身体障害や精神障害は、それぞれ専門的な診断を必要とします。
静脈内注射による使用者では、とくにB型・C型肝炎、HIV感染をチェックする必要があります。

引用:gooヘルスケア
https://health.goo.ne.jp/medical/10420200

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長監修ドクターのコメント
覚醒剤の場合、開業医では検査できないケースが多いので、入院施設を併設しているような専門的な医療機関を選ぶことをおすすめします。家族や周囲の人から検査や治療に行くよう促しても、患者さん本人が嫌がることはよくあります。周りの方はやきもきするものですが、結局は本人が主体的に問題に立ち向かわない限り治療は開始できませんから、焦らず長期戦で臨む姿勢が大切です。

薬物依存の治療方法

中毒性精神病が発病していれば、まず精神科病院に入院して、依存対象の薬物から隔離(かくり)・禁断することと、幻覚・妄想などの精神病症状を抗精神病薬によって治療することが必要です。
本人が承諾しない時は、家族の依頼と精神保健指定医の診断によって医療保護入院で対応します。
中毒性精神病を合併しない場合では、できるだけ本人から治療意欲を引き出して、任意入院で対応するのが原則です。
薬物依存の治療には、認知行動療法が有効です。
薬物依存者の薬物中心の生活に巻き込まれ、イネイブラーの役割を演じている家族などが、自分の行っている余計な支援にきちんと限界を設けて、薬物依存の過程でみられる各種の問題の責任を依存者自身に引き受けさせるようにしていけば、依存者は「底付(そこつ)き体験」をすることによって断薬を決意します。
底付き体験とは、社会の底辺にまで身をおとすということではなく、自分の本来あるべき姿(同級生の現状で代表される)と現在の自分の姿を比較するなどして、このままではどうしようもないと自覚することをいいます。
さらに、断薬継続のためには、NA(ナルコティクス・アノニマス)などの自助グループのミーティングに参加することが有効です。

引用:gooヘルスケア
https://health.goo.ne.jp/medical/10420200

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長監修ドクターのコメント
イネイブラーとは、患者さんの世話を焼いて問題行動を助長してしまう人のことです。例えば、患者さんが薬物を使って仕事に行ける状態ではなくなったとき、家族から会社に「風邪で休みます」と連絡してしまうことがあります。薬物治療の基本は問題の直面化であり、多くの患者さんは底つき体験を経てようやく治療を開始できます。イネイブラーの尻拭いは、患者さんが問題に立ち向かう機会を奪ってしまうのです。また、自助グループへの参加は再発防止に有効ですが、参加する時期が早すぎると、薬物の話に刺激を受けて、かえって再発の引き金になる恐れもあります。自助グループは、治療がある程度進んで薬物のコントロールができるようになってから活用するといいでしょう。


この記事の監修ドクター

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長高橋龍太郎 医師  タカハシクリニック 院長

PROFILE

1946年、山形県生まれ。慶応大学医学部へ入学。全共闘運動を経て、1969年同退学。
1977年東邦大学医学部卒。
1980年慶応大学精神神経科入局。国際協力事業団の医療専門家としてのペルー派遣、都立荏原病院勤務の後、1990年東京蒲田に、タカハシクリニックを開設、院長となる。
専攻は社会精神医学。デイケア、訪問看護を中心に地域精神医療に取り組むとともに、心理相談、ビジネスマンのメンタルヘルスケアにも力を入れている。最近ではTVのコメンテーターとしても活躍中。