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習慣流産の症状・原因・治療方法についてご案内 2018.06.29

習慣流産(読み方:しゅうかんりゅうざん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
白須宣彦 医師(ホワイトレディースクリニック 院長)

習慣流産とは

習慣流産とは連続3回以上の自然流産を繰り返した状態をいう.さらに最近では反復流産(2回連続した自然流産)もその後に予想される流産率を考慮して習慣流産と同様の対象と考えられている.

引用:日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/PDF/50/5011-381.pdf

白須宣彦 医師(ホワイトレディースクリニック 院長)監修ドクターのコメント
習慣流産という名称から誤解をする人もいますが、続けて流産する人が全て習慣流産という病気なわけではありません。流産する確率はもともと全妊婦の約10〜15%ですが、35歳〜40歳になるとさらに確率は高くなり、20%を超える妊婦さんに流産が起こります。
高齢の妊婦が流産する場合、特別な原因がないのに、たまたま立て続けに2回流産してしまうケースも少なくありません。その場合は習慣流産とは言えません。反対に、若い方で流産を繰り返す場合は習慣流産の可能性もあるので、原因を特定するために早めに検査をしたほうがいいでしょう。現在では結婚前に習慣流産の可能性の有無もわかるブライダルチェックをおこなっているクリニックも増えており、当院で受診される方も増えています。

習慣流産の症状

2回続けて流産する反復流産は、全妊娠の1%程度。これが3回以上続けての流産となると、わずか0.4~1%にまで減ることから、妊娠を継続しにくいなんらかの病的な問題が母親、もしくは父親、さらには母体と赤ちゃんの間にあるのではないかということで習慣流産と診断されます。

引用:山下レディースクリニック
http://www.ylc.jp/about/miscarriage.html

白須宣彦 医師(ホワイトレディースクリニック 院長)監修ドクターのコメント
習慣流産の症状として、流産する以前に胎児の発育が悪いことが挙げられます。妊娠はしたものの胎児の心拍が確認できなかったり、出血が始まるといった症状になって現れます。過去に流産を経験いている人は、そういった症状によってその妊婦さんが習慣流産である可能性があり、その場合は検査によって原因が特定出来ることがあります。流産をする際の症状は自然流産と変わりはありませんが、12週以降で習慣流産する場合は死産(胎児死亡)になるケースがあります。性行為によって感染するクラミジアが後年になって習慣流産を引き起こすこともあるので、妊娠を考えている人は特に、それ以前から性行為の際の感染症予防には十分気をつけましょう。

習慣流産の原因

習慣流産の原因別内訳は子宮形態異常が約14~16%,夫婦いずれかの染色体異常が約8~10%,抗リン脂質抗体,抗核抗体など妻の自己抗体陽性は約20~30%, 母児免疫失調が約15~30%(聖マリアンナ医大では,それぞれ13%,10%,25%,30%) と報告されている.内分泌異常(黄体機能不全,高プロラクチン血症),甲状腺機能異常もこの原因別内訳に含まれるが習慣流産の原因としては高頻度ではない1).

引用:日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/PDF/50/5011-381.pdf

習慣流産の検査法

内分泌代謝(ホルモン)異常
高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、黄体機能不全、糖尿病など
子宮の形の異常
子宮形態異常(双角子宮,中隔子宮、重複子宮、単角子宮など)
子宮腔内癒着、子宮筋腫、子宮内膜症
感染症
抗リン脂質抗体症候群
自己抗体異常
同種免疫異常
染色体異常(夫妻)
などを検査していきます。子宮の形の検査以外は血液検査になります。

引用:後藤レディースクリニック
http://goto-ladies.com/treat/fuikukensa.html

白須宣彦 医師(ホワイトレディースクリニック 院長)監修ドクターのコメント
習慣流産を引き起こす原因はさまざまですが、自然流産と同様に年齢やストレス、生活習慣や食生活の乱れも影響しています。特に近年は糖尿病や、例えば食後だけ急激に血糖値が上昇する隠れ糖尿病の女性も増えており、習慣流産の原因になります。これらは日頃の生活習慣を変えることで予防できますので、妊娠を望む女性は意識して、妊娠する前から食生活に気を配り、自分の身体を日頃から健康な状態に保っておくことが大切です。カップルどちらかの染色体の異常や移植免疫的な相性から来る習慣流産もレアケースながらありますので、結婚前に行なうブライダルチェックは女性だけでなく男性も一緒に受診することをおすすめしています。

習慣流産の治療方法

低用量アスピリン療法
アスピリンを一日あたり80~100mg服用することで, 血液の凝固を抑制します. これにより胎盤での血栓の形成をくいとめ, 胎盤と胎児を守ります. 凝固機能異常・自己免疫異常など広範囲に使用されています. 服用は妊娠初期から妊娠後期まで. 妊娠前から服用するという考えもあります.
漢方療法 (柴苓湯・当帰芍薬散)
さまざまな目的でさまざまな漢方薬が使用されています. 効果の有無についても結果はさまざまです. 効果があるという報告・効果がないという報告が入り混じっています. 当院では自己免疫異常の改善を目的に柴苓湯や当帰芍薬散を妊娠前に服用してもらっています. 自己免疫異常・抗リン脂質抗体症候群の女性が対象となります.
プレドニゾロン
副腎皮質ステロイドホルモンを内服することで自己免疫異常をやわらげ, 流産を防ぎます. 自己免疫疾患に対する治療を参考とし40mg程度を投与するという考えが主流でしたが, これだけの大量投与だと血栓症・肝機能異常等の副作用が出現するため, 現在では10mg程度の低量投与が行われ, 効果をあげています. 自己免疫異常・抗リン脂質抗体症候群の女性が対象となります.
ヘパリン
目的は低用量アスピリンと同じです. アスピリンよりも強力に血液の凝固を抑制し, 血栓の形成を阻害します. しかし, 投与方法が皮下注射となるため常に皮下に注射針を刺し続けなければなりません. 凝固機能異常・自己免疫異常の患者さんに対し使用され, 効果は強力で血栓形成による流産・死産を防ぎます. しかし, 患者さんへの負担は大きく, 出血などの副作用も無視できない程度発生するため, 低用量アスピリンなどが十分に効果を発揮しなかった症例にのみ適応としています.
血漿交換療法
抗リン脂質抗体などの胎児に悪い影響を及ぼす自己抗体を直接除去してしまおうという治療法です. まだまだ実験的というべき治療法で確実に効果があると認められた治療法ではありません.
免疫グロブリン大量投与療法
抗リン脂質抗体などの胎児に影響を及ぼす自己抗体を, 他の抗体(免疫グロブリン)を大量に加えることで相対的に薄めて取り除いてしまおうという治療法です. 血漿交換療法と同様に, 広く認められた治療法ではありません.
手術療法 (子宮鏡・腹腔鏡下手術)
子宮奇形・子宮筋腫・子宮内腔の癒着などの疾患が対象となり, 子宮内腔に影響を与え流産を引き起こしている病変を切除します. また, 頚管無力症に対しては頚管縫縮術が妊娠後に行われます.
免疫療法 (夫リンパ球輸血療法)
スクリーニング検査で異常が発見されず, 他に治療方法がない習慣流産の患者さんに対して行われる治療法です. 3回以上流産を繰り返した患者さんが原則的に適応となります.

引用:東京大学附属病院女性診療科・産科(産婦人科)習慣流産グループ
http://abortion.umin.jp/tx.htm

白須宣彦 医師(ホワイトレディースクリニック 院長)監修ドクターのコメント
習慣流産を引き起こす原因のうちの幾つかは、妊婦自身で予防することができません。けれども糖尿病や子宮の感染症性に関しては、若いうちから気をつけることで防ぐことができます。中でも子宮の感染病であるクラミジアは習慣流産の原因になるだけでなく、そもそも不妊の原因になることもある病気なので、かからない様に注意することが大切です。
習慣流産だけを事前に検査するということはありませんが、ブライダルチェックには甲状腺や糖尿病のチェック項目があるので早期発見に繋がります。
習慣流産になる可能性があると分かれば、妊娠前から治療することができます。甲状腺や糖尿病に異常が見つかった場合は、専門医を紹介し、治療することで流産の確率を下げることもできます。習慣流産を引き起こす原因や条件が幾つか備わっているからといって、全ての人が100%流産するというわけではありません。仮に1度流産しても次は無事に妊娠、出産する場合ももちろんあります。
一度流産を経験すると精神的に深いダメージを受け、妊娠に対して消極的になってしまう人もいますが、なんとか前向きな気持ちに切り替え、積極的にトライし続けて頂きたいと思います。様々な原因を事前に特定し、適切な治療を受けることで健康な赤ちゃんを産める確率は上がります。子供を欲しいと思ったら、妊娠前でも一度、精密検査を受けるのをおすすめします。
若い世代では栄養バランス、特に妊娠中に必要な葉酸やカルシウムが不足している人が多く見られ、そのことも習慣流産の原因にもなると考えられます。妊娠中に必要な栄養素というのは妊娠前から十分足りていた方が良く、妊娠を考えている人はその辺りも考慮した食生活を心がけてください。


この記事の監修ドクター

PROFILE

【略歴】1957年 山梨県生まれ。昭和58年 杏林大学卒業。山梨医科大にて研修。平成5年 学位取得(山梨医科大学)。母体保護法指定医

【所属学会】日本産婦人科学会、日本臨床抗老化医学会、女性のための抗加齢医学研究会
【趣味】テニス・スキー・ゴルフ