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子宮筋腫の症状や原因、治療方法とは? 2018.07.11

子宮筋腫(読み:しきゅうきんしゅ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
内出 一郎 医師 内出産婦人科 院長

子宮筋腫とは

子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、それ自体が生命を脅かすものではありません。しかし放置しておきますと筋腫の増大によって、様々な症状が出てきます。場合によっては、お腹が膨れたり、月経量の増加によって血液が不足し、貧血になることによって、日常生活に支障がでたりすることがあります。女性ホルモンによって筋腫が大きくなりますが、逆に閉経後には小さくなります。複数個できることが多く、数や大きさはさまざまです。大きさやできた場所によって症状が違ってきます。できた場所によって、子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)に分けられています。

引用:日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/kinshu.html

内出 一郎 医師 内出産婦人科 院長ドクターの解説
子宮筋腫の頻度は高く、90%の人は持っているとも言われています。多くのものは無症状であることが多いのですが、子宮筋腫の発生場所や大きさによっては様々な症状を呈することがあり、それによる健康障害や日常生活への支障がある場合は、治療の対象となります。

子宮筋腫の症状

子宮筋腫があっても症状のない場合も少なくありませんが、症状で最も多いのは月経の変化です。月経の量が増え血液の塊が出ることもあります。そのためしばしば貧血をきたします。
次に多い症状が下腹部痛・腰痛で、その他に性交痛、頻尿、排尿困難(尿を出しにくい)、便秘などがみられることもあります。大きな筋腫では腹部の腫瘤を自分で触れるようになります。不妊や流産の原因となる場合もあります。まれではありますが筋腫の内部で壊死が起こったり(変性)、茎をもった漿膜下筋腫が捻転を起こすことにより急激な腹痛をきたすこともあります。巨大な筋腫では、尿管の圧迫による水腎症や深部静脈血栓症の原因となることもあります。

引用:徳洲会グループ
https://www.tokushukai.or.jp/treatment/gynecology/sikyu3.php

内出 一郎 医師 内出産婦人科 院長ドクターの解説
・できる場所にもよりますが、大きくなると子宮の内膜を引き延ばすことがあり、過多月経症状が出てきて、それ故に貧血になる方もおられます。
・非常に大きくなるとお腹が出っ張ってきます。
・子宮のすぐ前に膀胱があり、ここを圧迫するようになると膀胱を刺激するようになるため、頻尿症状がでることがあります。
・後方に発育すると直腸を圧迫するようになり、便秘症状になることがあります。
・大きい筋腫が血管を圧迫するようになると、血液の循環が悪くなって、下半身がむくみやすくなることがあったり、血流が淀むことによって、血栓症(血液の塊ができてしまう)や静脈瘤(静脈が瘤のようにふくらんだ状態)を引き起こすこともあります。

子宮筋腫の原因

なぜできるのか、その原因や発生メカニズムは、はっきりとは分かっていません。しかし、女性ホルモン(卵胞ホルモン)の影響で大きくなったり、閉経して女性ホルモンの分泌が減ると小さくなったりする傾向があるため、ホルモンの関与が一因とされています。

引用:日立保険サービス
http://www.hitachi-hoken.co.jp/woman/illness/p04.html#chapter1

子宮筋腫の検査法

内診と超音波検査、必要によりMRI検査などの所見を併せて診断します。画像所見が子宮筋腫の典型的な像でなく、閉経後の増大する腫瘍、小児頭大を超える腫瘍や不正出血を伴う場合には、悪性の子宮肉腫を疑うことも必要となります。

引用:日本婦人科腫瘍学会
https://jsgo.or.jp/public/kinshu.html

内出 一郎 医師 内出産婦人科 院長ドクターの解説
まず、内診によって子宮が大きくなっているか確認します。その後、超音波検査を行います。その他MRI検査やそれが困難な場合は造影剤を用いたCT検査なども用いられることがあります。
子宮筋腫は良性疾患であり、悪性化する可能性はありませんが、術前診断で悪性腫瘍と鑑別していく必要があります。
子宮体がんは、術前に子宮内膜細胞を採取することで鑑別ができます。
子宮肉腫との鑑別は難しいとされていますが、子宮筋腫に比べて非常に発育が速いこと、LDH(乳酸脱水素酵素)という血液中に含まれる物質が上昇すること、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)検査の画像で特徴的な所見があることなどで、ある程度の判別ができます。厳密に正確な診断は、摘出された子宮腫瘍細胞を、顕微鏡でみるしかありません(手術で細胞をとるしかないということになります)が、LDHとMRIの組合せで、ほとんど鑑別できる、というのが現状です。
なお、子宮肉腫は子宮筋腫が悪性化したものではありません。

子宮筋腫の治療方法

治療法には手術と薬があります。手術では子宮を取ってしまう(子宮全摘術)のと筋腫だけ取る手術(筋腫核出術)があります。将来子供がほしい人や子宮を残す希望の強い人では筋腫だけ取る手術を実施しますが、手術しても、ほぼ間違いなく再発することがデメリットです。子宮筋腫は複数個できることが多く、直接見てもわからないような小さな筋腫は手術でも取り残すことになります。そのため数年後には取り残した筋腫がまた大きくなってくることもあります。また、最近ではこれらの手術に腹腔鏡を使って行う施設も増えてきましたが、大きさやできた場所によっては難しいこともあります。
薬の治療では閉経状態にしてしまう治療(偽閉経療法)が行われます。治療薬には毎日の点鼻薬(鼻からのスプレー剤)と4週間に1回の注射薬の2種類があります。しかし、この治療では女性ホルモンの分泌が少なくなるのでエストロゲン低下による更年期症状や骨粗しょう症リスクがあがるため、保険診療では原則6ヶ月まで、とされています。また、治療初期には不規則な出血を認めることもあります。治療中は子宮筋腫が多少縮小することは出来ますが、全く消えてしまうことはあり得ません。治療を中止するとすぐに元の大きさに戻ってしまいます。ですから、筋腫を小さくするために、手術前に一時的に使用するか、閉経に至るまでの一時的治療として行われています。偽妊娠療法は、過多月経や不正性器出血の治療として中用量〜高用量ピルを用いることはあり得ます。低用量ピルを使う場合は、月経困難症の場合です。また、更年期様の症状もありません。しかし、いつまで続けるのかが問題となります。
その他の治療法として、子宮動脈塞栓術と集束超音波凝固術がありますが、どちらも手術を凌駕する成績は得られておらず、また、保険適応外治療となるため、非常に限定的な治療方法です。

引用:日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/kinshu.html

内出 一郎 医師 内出産婦人科 院長ドクターの解説
●ホルモン療法について
「過多月経」症状による貧血や生理痛などの場合、月経を停止することによって症状を緩和することができます。そのため、ホルモン療法で月経停止状態にします。
女性が月経停止状態にあるのは、妊娠か閉経です。妊娠状態に近い子宮内膜の環境にするために、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンを持続的に投与することで、子宮内膜を維持、月経停止することができます。これを「偽妊娠療法」といいます。これを停止させるためには比較的高用量のエストロゲンが必要になります。エストロゲン・プロゲステロンの合剤のことを「ピル」と呼ぶので、子宮筋腫による過多月経症状をピルで停止させる場合、高用量ピルが必要になることが多いです。エストロゲンには血液を固まりやすくさせる性質があり、この場合、血管内で血液が凝固し、どこかに詰まってしまう「血栓塞栓症」がおこってしまう確率があがってしまうため、あまり推奨できない治療方法になります。但し、月経を停止することだけで楽になれる方もおられますので、こういった治療方法を用いることもあります。
一方で、閉経状態の場合、エストロゲンを低下させることで、子宮内膜を薄くし、出血しないようにさせることができます。ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(ゴナドトロピン放出ホルモンアナログと言うこともあります)というホルモン剤を投与することで、閉経状態にするので「偽閉経療法」とも言われます。月経を停止させ、生理痛や過多月経症状を止めることができます。
また、同時に子宮筋腫と子宮の筋肉が萎縮するので、子宮全体の大きさはかなり小さくなりますが、これだけで子宮筋腫がなくなることは絶対にありません。また、投与終了後には元々の大きさに戻り、症状は必ず再発します。
閉経前の方の場合、連続投与することでエストロゲンがかなり低下し、骨粗しょう症の問題や血圧上昇、耐糖能異常(糖尿病など)の出現、脂質代謝異常などが出てくることもあり、保険診療上、最長6ヶ月、続けて使う場合は4ヶ月の休薬期間が必要、とされています。閉経期年齢近い方の場合、半年(保険診療で認められる最長期間)投与で、本当の閉経になる「逃げ込み療法」として使うこともあります。
以上のように、ホルモン療法は症例によっては良い方法ではありますが、根本的解決にはならないという側面も持っています。
ホルモン療法で良く使用される方法としては、術前投与があります。手術の前に薬物を投与し筋腫を小さくして、手術をしやすくする、もしくは血流を下げることによって術中の出血量を減らすといったことができます。
●手術について
根本的解決方法としては、子宮筋腫は腫瘍なので取り除かない限り治療にはなりません。そのため外科的な手術が必要です。病変または病変を含んだ臓器を摘出するため、原因の完全除去が可能であること、摘出された検体を顕微鏡検査することで、組織型がわかる(=良性・悪性の鑑別ができる)ことが最大のメリットになります。
これから妊娠を希望されている方の場合、筋腫のみを取り除く「子宮筋腫核出術」、この先妊娠を希望されない方の場合、子宮そのものを摘出する「子宮全摘術」が選択肢としてあります。
子宮筋腫核出術は、筋腫だけを取り除き、その後の子宮機能を健全にする、という手術で、核出した筋層切開部を合成吸収糸にて縫合する方法です。子宮本体は当然残っていますので、基本的には再発率100%であり、経過観察が必須です。再発するといっても、また同様の症状になっていくにはそれなりの時間を要しますので、不妊の方への子宮機能改善としては良い方法となります。比較的早期に、積極的な妊娠を望まれる方は、選択すべき治療方法となります。
子宮全摘は、子宮を摘出する方法であり「根治術」となります。子宮摘出をするので、術後に子宮疾患になることはありません。
また他に、子宮摘出と温存の中間に位置し、ほぼ子宮摘出と同じ効果がある治療方法として子宮亜全摘または子宮腟上部切断術という方法があります。これは子宮体部だけを摘出する方法であり、子宮頸部を残すため、理論的には尿管膀胱損傷のリスクが低下する、術後腟断端が開いてしまうという合併症リスクが低下する、術後腟脱が起こりにくい、腟の短縮がないため、術後性交障害が起こりにくいといったメリットが考えられるのですが、統計学上は、通常の子宮全摘と変わらないとも言われています。
●子宮へのアプローチ方式
子宮へアプローチする方式として、開腹手術、腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術、腟式手術等があります。
開腹手術は、最も安全で確実な方法です。手術を行っている施設であれば、どこでも可能です。手術の適応についてもまったく制限がないということが特徴でしょう。
腹腔鏡下手術は、技術的に難しいとされる手技(鏡視下での縫合や摘出した子宮筋腫の体腔外への取り出しなど)が含まれるため、対応できる施設に制限がありますが、非常に体の傷が小さいので、ストレスも少なくて社会復帰も比較的早くできます。
子宮鏡手術は、子宮の内腔に飛び出しているような子宮粘膜下筋腫が適応で、筋層内筋腫や漿膜下筋腫にはまったく適応がありません。
腟式手術は、膣から子宮を取りに行く方法で、子宮が大きくない場合に用いられることがあります。
上記の方法に関しては、いずれも術後の予後や合併症の発生率はほぼ同一です。優劣をつけることができないということです。したがって、ご本人の希望や施設の技量に依存します。
以上、ホルモン療法から手術療法まで説明いたしましたが、大きさ、部位、症状、患者さんの生活背景、社会背景によって、治療方針は変わってきます。
疑わしい症状が出た場合は、まず専門医に相談されるのが望ましいです。


この記事の監修ドクター

内出 一郎 医師 内出産婦人科 院長内出 一郎 医師
内出産婦人科 院長

PROFILE

東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部産科婦人科学講座にて研鑽、東邦大学医療センター大森病院産婦人科にて、森田峰人教授の片腕として非常に多くの腹腔鏡手術執刀に携わる。執刀経験数は2,000症例以上。
平成14年 医学博士号取得(ラット実験的子宮内膜症における腹膜下結合組織の細胞変化に関する光学・電子顕微鏡的考察)
平成16年 カナダ・モントリオールにて開催された第18回世界不妊学会にて「Therapeutic effects of leukotriene receptor antagonist on human endometriosis」で、Best Poster Award 受賞。
子宮内膜症に対するアレルギー療法という非常にオリジナリティのある研究および臨床応用を行い、良い結果を残している。
その他、子宮内膜症、腹腔鏡手術に関する論文、学会発表は多数。
平成25年12月より先代院長より医院を継承
医学博士
日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医
日本産科婦人科内視鏡学会評議員・技術認定医
日本内視鏡外科学会評議員・技術認定医
東邦大学医療センター佐倉病院非常勤講師
大森赤十字病院非常勤医師(腹腔鏡手術執刀および指導)
■経歴
東邦大学医学部卒・東邦大学大学院卒・医学博士
東邦大学医学部附属大森病院産科婦人科学第一講座にて研鑽
大森赤十字病院(出向)
東邦大学医学部附属大森病院産婦人科
大森赤十字病院(再出向)
東邦大学佐倉病院産婦人科講師
東京腎泌尿器センター大和病院産婦人科部長
■ 所属学会
日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本内視鏡外科学会、日本生殖医学会、日本女性医学会、日本エンドメトリオーシス学会、日本産婦人科手術学会、アメリカ産婦人科内視鏡学会(AAGL)