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アトピーの時に食べてはいけない食品ってあるの?

アトピー性皮膚炎の最新研究により、どうやら、旧来の常識を再考すべき契機が訪れているようだ。はたして、禁忌の食べ物は存在するのか。食事とアトピーに代表されるアレルギーとの関係について、「よこはま にしかげ小児科・アレルギー科」の西影京子先生に解説いただいた。

監修医師
西影 京子(よこはま にしかげ小児科・アレルギー科 院長)

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関西医科大学卒業。医学博士。2018年、横浜駅近くに「よこはま にしかげ小児科・アレルギー科」開院。薬だけに頼らない治療、病気になりにくい体づくりを心がけている。日本小児科学会認定小児科専門医・指導医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本免疫学会、日本臨床環境医学会、EAACI(European Academy of Allergy & Clinical Immunology:ヨーロッパアレルギー学会)、日本抗加齢医学会の各所属。アトピーに関する著書多数。

 

甘い物を控えただけで、アトピーの発症が引く場合も

編集部編集部

アトピーの患者が避けるべき食品はありますか?

西影先生

一律に「卵がダメ、牛乳がダメ」というものではないと考えています。なぜなら、アレルギーの原因物質は、皮膚からも体内に取り込まれているためです。このことを「経皮感作」といいます。あえて避けたい食べ物を挙げるとしたら、「甘い物全般」ですね。

編集部編集部

意外です。なぜ、甘い物がダメなのでしょう?

西影先生

肌荒れと関係している真菌の一種に「カンジダ」というイースト(酵母)があります。イーストはお砂糖が大好きなので、甘い物を食べると増殖しますよね。普段は乳酸菌やビフィズス菌などの細菌と均衡が取れているものの、そのバランスを崩してしまうのです。

編集部編集部

腸内のイーストが肌荒れに関係しているのですか?

西影先生

カンジダは痒みを起こす物質を出すといわれています。カンジダが増えることで腸内細菌叢のバランスもくずれている可能性があって、皮膚の常在菌バランスにも影響を与えると言われています。そうなると背中ニキビやあせもの原因になるマラセチアというイーストも増えてきます。


 

アレルギーの多くは、経皮感作によって発症する

編集部編集部

先ほど、アレルゲンが皮膚から取り込まれると伺いました

西影先生

その通りです。一昔前、小麦タンパクを配合した、泡立ちの良いせっけんがブームになりましたよね。その結果、多くのアレルギー患者さんを生むこととなってしまいました。経皮感作の典型といえるでしょう。

編集部編集部

モッチモチ泡のせっけんですね、覚えています

西影先生

さらに、興味深い研究報告があるので、ご紹介しましょう。子どもの寝具を調査した国立成育医療研究センターの研究によると、調査した90件の家庭“すべて”の寝具から「鶏卵アレルゲン」が検出されたそうです。おそらく、料理中に空中へ飛散した鶏卵アレルゲンが、寝具に吸収されたのでしょう。

編集部編集部

つまり、食事で卵を避けたところで、「寝ている間に取り込んでしまう」かもしれないと?

西影先生

その可能性が高いということです。今回は鶏卵だけの調査でしたが、今後、小麦粉や牛乳などのアレルゲンでも、同様の結果が得られるかもしれません。

編集部編集部

「経皮感作」は防げるのですか?

西影先生

防げます。そのためには、肌荒れやアトピーによって低下した肌のバリアー機能を、一刻も早く回復してあげる必要があります。症状が軽度なら保湿、重度なら医師からお薬などを処方してもらってください。

編集部編集部

有効な保湿剤があったら教えてください

西影先生

値段が安い順に、「ワセリン」「プロペト」「サンホワイト」が安全でお勧めです。「サンホワイト」の純度が一番高く、値段も高価となっています。とはいえ、まずは中間の「プロペト」で様子をみてはいかがでしょうか。

編集部編集部

スキンケアの回数についてもお願いします

西影先生

1日2回、朝とお風呂上がりが有効です。カサカサが感じられるところに塗ってください。ツルツルの肌に保湿剤を塗ってしまうと、汗腺がふさがれてしまいます。老廃物が排出されにくくなってしまいますので、注意しましょう。

編集部編集部

薬の塗り方について、コツのようなものはありますか?

西影先生

「塗りすぎかな」と思うくらいがちょうどいいと思います。皮膚の表面は、湿疹ができているとデコボコしています。薄く塗ると、もっとも薬を塗ってほしい“デコボコ”のてっぺんがカバーできないのです。


 

最後の頼りは「おばあちゃんの知恵」

編集部編集部

逆に、食べたほうがいいものはありますか?

西影先生

これは私独自の考え方ですが、昔の食生活に戻すことを提案しています。ヒトは長い歴史の中で、上手に腸内細菌と折り合いをつけてきました。遊牧民族の食事には乳製品や肉類が多く、農耕民族には野菜や穀類が多い。それぞれの食生活にあった腸内細菌と共生してきたはずなのです。

編集部編集部

現代の食生活は、日本人の腸になじんでいないと?

西影先生

食事内容の欧米化が進んでいますからね。戦前の女性は、1日450グラムくらいの便をしていたそうです。しかし、最近の女性は、1日150グラム前後。便の約半分は細菌の塊と考えていいので、腸内で何かしらの変化が起こっているのでしょう。おそらく、酵母の増えすぎにより、腸内細菌が減っているのではないでしょうか。

編集部編集部

「昔の食生活」について具体的に教えてください

西影先生

何を食べていたのかは家系や地域によって違うと思いますので、「おばあちゃんに聞く」といいでしょう。実際、医院でも、そうアドバイスしています。いくつか試してみて、下痢や便秘が起きないようなら、その食事内容を続けてみてはいかがでしょうか。


 

編集部まとめ

経皮感作といって皮膚からアレルゲンを体内に取り込んでしまう以上、特定の食品を避ける意味は薄れてしまいます。状況によって保湿剤や薬を使い、経皮感作を防いでください。もちろん、医師から指示があった場合は、その食品を食べないようにしましょう。特に甘い物全般は避けたほうがよさそうです。西影先生によると、好ましい食生活は、昔の食生活とのことで、「おばあちゃんに聞く」ことがヒントになるかもしれません。


 

医院情報

よこはま にしかげ小児科・アレルギー科

よこはま にしかげ小児科・アレルギー科
所在地 〒221-0834 神奈川県横浜市神奈川区台町15-1 横浜西口KSビル1F
アクセス 横浜駅 ジョイナスB1F南12番出口より徒歩2分
診療科目 小児科、アレルギー科

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