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【漫画あり】赤ちゃんの顔に湿疹が! これってアトピー?

「宮前平すずらん皮ふ科クリニック」の鈴木先生によると、乳幼児のスキンケアが、将来的なアレルギー発症やアトピー性皮膚炎を左右するという。赤ちゃんの顔の湿疹は、「乳児脂漏性湿疹(にゅうじしろうせいしっしん)」「接触皮膚炎(せっしょくひふえん)」「アトピー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)」などが主なものとのこと。どれくらいの確率で起きる病気なのか、有効な対策は何なのか。ほか、さまざまな質問に答えていただいた。

監修医師:
鈴木 医師(宮前平すずらん皮ふ科クリニック 院長)

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名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学病院、名古屋市立東市民病院(現・名古屋市立東部医療センター)、愛知県内の大学関連病院、東京都内の皮膚科クリニック勤務を経た2014年、神奈川県川崎市内に「宮前平すずらん皮ふ科クリニック」開院。女性医師によるきめ細やかな診療と相談しやすい環境に配慮し、日常的な悩みから専門的な治療まで対応している。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会の各所属。

 

アレルギー、アトピーは乳児期のスキンケアで防げる

編集部編集部

赤ちゃんの顔によく見かけるボツボツは何でしょう?

鈴木先生

触ってみて赤くザラザラ、ベタベタしていたら、過剰な皮脂が原因となる「乳児脂漏性湿疹」の可能性があります。生後半年くらいまでの赤ちゃんは、お母さん由来のホルモンで、顔や頭の皮脂分泌が多いんです。ですから、程度の差こそあれ、どの赤ちゃんにも起こりえる症状です。おでこを中心としたTゾーン、耳の周囲、頭部などに多いですね。

編集部編集部

全体に赤くなっていて、アトピーのようにも思えるのですが?

鈴木先生

アトピー性皮膚炎ではありません。ただし、そのまま放置して湿疹をひどくしてはいけません。湿疹の部分はお肌のバリア機能が失われていて、皮膚の隙間からアレルゲンを取り込んでしまうからです。その結果、アレルギーの発症につながってしまうことがわかっています。

編集部編集部

アレルギーへ進まないように、対策できることはありますか?

鈴木先生

バリア機能を失わないようにスキンケアをすることです。具体的には、まず湿疹を治すことと、予防として刺激となるものをとりのぞき、しっかり保湿をすることですね。それにより、アレルギー発症やアトピー性皮膚炎発症・悪化の原因となるアレルゲンが、赤ちゃんの皮膚から体内に入ってくるのを食い止める効果があります。

編集部編集部

ビックリです。将来のためにも、きちんとしたケアが必要ですね。

鈴木先生

ぜひ、そうしてください。乳児脂漏性湿疹は、通常なら、生後半年もしたら終わっていきます。ただし、そのあともよだれや食べこぼしなどにかぶれて乳幼児の顔は荒れやすいものです。この間に適切なケアができていないと、一生、アレルギーを抱え続けることになりかねないのです。

編集部編集部

後で後悔しないためには、早めに早めの対応が必要なんですね。

鈴木先生

そう、お願いしたいですね。赤ちゃんの肌荒れを感じたら、すぐにでも皮膚科へ相談しましょう。


 

余計な皮脂を落とす、保湿ケアを怠らない

編集部編集部

具体的なスキンケア方法について教えてください。

鈴木先生

わかりました。顔や頭の脂っぽい場所やザラザラした皮膚があったらお風呂に入れる際に、赤ちゃん用のせっけんを泡立て、指で“なでて”洗ってください。ごしごしこすってはいけません。また、せっけんの成分が残っていても湿疹になりやすいので、よくすすいだあと、ガーゼなどの清潔で軟らかいタオルで拭き取りましょう。首から下は、は逆に皮脂分泌が少ないので洗いすぎに注意しましょう。

編集部編集部

お風呂上がりには保湿をしたほうがいいですか?

鈴木先生

もちろん保湿してください。脂漏部位でも、洗った後の一時的な乾燥により余計に皮脂を分泌しますので、保湿が必要です。また、首から下は皮脂分泌が少なく乾燥しているので、保湿で補う必要があります。お風呂上がりなどには素早く、赤ちゃん用のローションなどを使って、顔から足先までしっかりケアしてください。

編集部編集部

スキンケアで、アトピー発症や悪化は防げるのでしょうか?

鈴木先生

発症する確率が下がります。もともとアトピーの素因を持っていたとしても、継続的なスキンケアにより「発症を防げる」というデータが出ています。遺伝要因も大きいので、お父さんやお母さんがアトピーでしたら、最初からその心構えで望んでください。

編集部編集部

誤ったスキンケアの例などがあれば教えてください。

鈴木先生

お母さんの中には、「肌を甘やかすから“保湿は良くない”」と考えている方がいらっしゃいます。しかし、大きな勘違いです。おそらく、閉じた環境の中で間違った情報に接しやすいのでしょう。お母さんの考えが偏っていると、アトピーを加速させかねません。

編集部編集部

ステロイド剤の使用はどうなのでしょうか? 否定的な意見もたくさん目にします。

鈴木先生

過去には誤った報道の結果、過度にステロイドのリスクが広まってしまい、アトピーをコントロールできなくなった患者さんが増加してしまった時期がありますが、いまでは、有効な成分として再認識されています。赤ちゃんの皮膚炎にも使用できる弱いランクの塗り薬を必要な時期だけ適切に使用すれば、問題ありません。ほか、迷うようなことがあったら、日本皮膚科学会のサイトのQ&Aコーナーを参考にするといいでしょう。

皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
https://www.dermatol.or.jp/qa/index.html


 

もし、湿疹や肌荒れに進んでしまったら

編集部編集部

次は、皮膚科医院での治療について教えてください。

鈴木先生

通常の湿疹なら、保湿剤に加え、弱いステロイド剤の塗り薬を処方します。また、アトピー性皮膚炎のお子さんには「プロトピック」という免疫抑制剤の塗り薬も出てきていますので、場合によって使い分けます。

編集部編集部

使用上の注意はありますか?

鈴木先生

順番としては「保湿剤が先」「塗り薬が後」です。お風呂から出たら、保湿剤で、一刻も早く乾燥を防ぎ、バリアを高めましょう。軟こうは、保湿剤の上からでも十分効果があります。順番が逆だと、先に塗った軟こうを不要な箇所まで広げてしまうんですよね。

編集部編集部

「処方された薬が効かない」という声も聞くのですが?

鈴木先生

「二次的な反応」というものがあるのです。例えば湿疹にステロイドを使っていたら、免疫を抑えることにより細菌やカビが元気になってしまい、とびひやカンジダになってしまうことがまれにあります。治療中に急に悪化した場合、これらの可能性があるのですぐに再診することをおすすめします。よくならないからとあれこれ試したり、むやみに転院を繰り返さず、信頼できる医院と長くつき合えるといいですよね。

編集部編集部

その「信頼できる医院」かどうかが、わからないので困ってしまいます。

鈴木先生

ひとつのヒントとして、薬の処方だけでなく、スキンケア方法まで指導してくれる医院を選ぶといいですね。このお薬を使うと、どういうことが起きるのか。どの場合に、何を使うのか。どこまで行ったら、治療が終了したといえるのか。

編集部編集部

それ以外に病院を選ぶ際のポイントはありますか?

鈴木先生

個人的な感想ですが、医師自身が子育てを経験していると実体験をもとに相談に乗れるので、教科書には書いていないアドバイスができるかと思います。そう考えると、出産・育児を経験した女性の医師のほうが、赤ちゃんの症状に対する相談相手としてはいいのかもしれませんね。


 

編集部まとめ

火事は、ボヤのうちに消し止める」。どうやらこの真理は、皮膚の病気についてもいえそうです。どの赤ちゃんにも起こる皮脂の過剰分泌は、やがて湿疹へ進行し、アレルゲンの侵入を許しかねません。とくに生後の半年間は、そうならないよう、スキンケアをしっかり行いましょう。


 

医院情報

宮前平すずらん皮ふ科クリニック

宮前平すずらん皮ふ科クリニック
所在地 〒216-0007 川崎市宮前区小台2-6-6 宮前平メディカルモール2F
アクセス 東急田園都市線「宮前平」駅南口徒歩1分
診療科目 皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科

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