【雑誌「anan」連動企画】メディカルケアリサーチ vol.04 眼内コンタクトレンズ治療のリアルな体験談をお届け《眼科》
「Medical DOC」副編集長・佐藤あやが、最新医療を紹介する連載企画の第4回。今回は眼内コンタクトレンズ手術を体験した佐藤さんと眼科医の安里良先生が対談しました。
※2022年12月23日発売の「anan」に掲載された記事をMedical DOC用に再編集しています。
監修医師:
安里 良(あさと・りょう 安里眼科糸満院/安里眼科おもろまち駅前院)
総院長。2005年、埼玉医大卒。眼科専門医、琉球大学医学部眼科学非常勤講師、医学博士(九州大学)。九州大学病院眼科入局後に、福岡県の大学病院などでの眼科勤務を経て、’15年7月より現職。対話を重視し、患者さん目線に立った丁寧な説明と治療が評判。
CLINIC DATA
沖縄県那覇市で2012年開業。糸満市に1982年開業の本院がある。沖縄でも先進的な医療提供をコンセプトに掲げ、’06年からICL手術を行っている。沖縄県那覇市おもろまち4-3-13 TEL 098-868-1882 http://www.asatoganka.or.jp/
佐藤あや(「Medical DOC」副編集長)
モデル、リポーター。2021年8月から「Medical DOC」副編集長としても活動を開始。小学校高学年から眼鏡、中学生からコンタクトレンズを使用していたが、今年ICLで視力を矯正したばかり。1児の母。Instagramは@faafa8
ICLを体験した感想など気になるあれこれをトーク
佐藤あや
前回の取材をきっかけにICL(眼内コンタクトレンズ)を知ったのですが、すぐにでも受けたいと思って、今年9月に手術を受けたところです。
安里先生
術後の状態はいかがですか?
佐藤あや
最高です! 手術当日から結構見えるようになって、翌朝には裸眼で過ごせるように。両眼とも1.5になりました。ダウンタイムもほとんどなかったし、コンタクトレンズから解放されてストレスフリーになりました。
安里先生
長年コンタクトレンズをしていると、角膜の透明性を保つ角膜内皮細胞が減少します。場合によってはコンタクトが装着できなくなったり、眼の手術が受けられなくなったりすることもあるので、手術を考えているのであれば早めにやるのがいいですね。レーシック適応外の強い近視の方や角膜が薄い方も、ICLなら適応対象です。レーシックのように近視が戻る確率も減りますし、見え方もよりクリアに。将来的に眼圧が上がるなどの問題が生じた場合、ICLはレンズを取り出せるのもメリットです。
佐藤あや
レンズを入れても、何かあったときには取り出すことができるというのは安心材料でした。
安里先生
どんな手術も絶対にリスクがないとは言えませんが、ICLは安全性が確立されている手術です。認定制度が設けられており、限られた医師しか手術を行えません。
佐藤あや
私は周りで手術を受けた人がいなかったので、ブログの体験談を読んだり、執刀経験豊富な先生が安心かなと思って、症例数を調べたりしました。
安里先生
やはり一番大切なのはドクターとの信頼関係だと思います。カウンセリングや適応検査の説明で少しでも疑問を抱いたら、セカンドオピニオンを受けるのも一つの手かなと思います。術後は定期的な検診が必要になるので、ドクターとの相性や通いやすい場所というのも考慮した方がいいですね。
佐藤あや
眼の手術って怖いなと思っていたのですが、点眼麻酔が効いているから感覚はないし、手術自体はすぐに終わったので、怖がっているヒマもなかったです。病院の滞在時間はそこそこ長かったのですが、手術そのものの時間は、一瞬で終わった感じ。術後もひとりで普通に歩いて帰れましたね。
安里先生
執刀医によって手術時間はまちまちだと思いますが、私の病院では、両眼で20〜30分前後です。手術前に瞳孔を開く目薬と点眼麻酔をして1〜2時間待つのと、術後1時間くらい休んでいただくので、滞在時間は4時間ほどです。
佐藤あや
手術そのものより、手術を受けられるかどうかの事前検査に時間がかかった印象があります。
安里先生
術前検査はとても大切なので、通常2回、人によっては3回やることも。1回目の適応検査では、角膜から網膜まで様々な検査を行い、眼疾患がないかを確認。適応があれば、2回目の検査はレンズのサイズや度数を決める検査となり、どちらも2時間ほど要します。その後レンズを発注して手術、という流れになりますが、乱視が強い方は海外からの取り寄せになりますので、手術まで少し時間がかかりますね。
佐藤あや
意外と大変だったのが、術後の目薬。3種類の目薬を、それぞれ1日4回さすのですが、5分間隔で点眼しなくてはダメなので、1セット10分かかるんです。これを1か月毎日行うのは結構面倒でした。
安里先生
術後大切なのが、目薬でのホームケアと定期検診。術後は感染のリスクがあるので、医師の指導をしっかり守ってください。検診も術後翌日、3日後、1週間後と続くのですが、必ず受診してくださいね。
佐藤あや
あとは費用面ですね。私は片眼が乱視だったので両眼で73万円でした。
安里先生
保険診療ではないので、どうしても高額な治療になります。費用はレンズの価格が反映されます。多くの施設が乱視用やレンズの度数により、65~100万円ぐらいまで幅があります。また術前、術後の治療を含めたプログラム料金を含むか否かでも、施設間で差があるかもしれません。
佐藤あや
費用の幅はあるようですが、高額なことに変わりはないですね。だからこそ、費用面で迷っている人は早めに受けた方がお得です。私はコンタクトレンズ代が年間で6万円かかっていたことを考えると、ICLはコスパもいいし、裸眼で過ごせるようになってQOLが爆上がりしました。「いざ手術を」と思っても、検査やレンズの取り寄せに想像以上に時間がかかるので、余裕のあるスケジュールがおすすめです。
安里先生
その通りだと思います。手術希望者には忙しい方も多く、術後点眼ケア、検診も感染症などの合併症予防には必須です。ゆとりのあるプランニングを相談されたほうがよいと思います。
佐藤あや
医療費控除や医療ローンもあるので、うまく活用してほしいですね。
写真・山本嵩
取材、文・岡井美絹子