「身体に熱がこもる」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!

身体に熱がこもる原因とは?Medical DOC監修医が原因やこもりやすい人の特徴・考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
「身体に熱がこもる」原因と対処法
身体に熱がこもる原因は、自律神経のバランスの乱れ・脱水・体温を上げる病気などが考えられます。
また、夏場などの気温が高い環境では、身体に熱がこもりやすくなり、熱中症を招きやすいです。
この記事では、身体に熱がこもる原因と対処法について詳しく解説します。
身体に熱がこもる原因と対処法
体の対応調整をする自律神経のバランスが崩れることで体温調整が上手くできず、調子を崩すことがあります。また、更年期によって、女性ホルモンのバランスが変化することでほてりなどを感じる様になり、体に熱がこもっていると感じることもあるでしょう。このように、自律神経失調症と言われる状態や、更年期症候群は、体に熱がこもる原因として考えられます。
自律神経失調症は、ストレスなどで発症することも多いため、生活リズムを整え十分な休息をとることも大切です。それでも不調が持続する場合には、心療内科や精神科で相談をしてみましょう。
更年期症候群は不調が強い場合には婦人科で相談をすると良いでしょう。ホルモン療法や漢方薬で治療をすることもあります。
また、人間は汗をかくことで体温を下げて調整しています。脱水などで体内の水分が不足し、循環が悪くなると体温調整ができなくなる事も身体に熱がこもる原因の一つです。
水分補給をする・涼しい場所に移動する・体を冷やすなどで症状が落ち着く場合があります。暑い場所にいることで熱がこもり、体温が上昇したり、吐き気めまいなどの症状がなかなか改善しにくい場合には熱中症の可能性があり、医療機関を受診しましょう。
暑くて身体に熱がこもる原因と対処法
暑くて身体に熱がこもる原因は、気温が高い・厚着をしているなどの環境が影響して、体温調節がうまくいかなくなるためです。
原因として、熱中症が考えられます。涼しい所に移動する・服装を調節する・身体を冷やす・水分補給をするなどで症状が落ち着く場合があります。
身体に熱がこもる以外にめまい・頭痛・吐き気などの症状が水分補給などをしても治まらない場合には、医療機関を受診しましょう。意識障害やけいれんなどの症状が現れた場合は救急要請をしてください。
身体に熱がこもって寝れない原因と対処法
一日の中で体温は変動するものです。早朝から夕方にかけて上昇します。夜になると下がり、夜寝る前に体温が適切に下がることで、深く眠れるようになります。
身体に熱がこもって寝れない原因の一つとして考えられる病気は自律神経失調症です。体温調節機能が上手く働かないことで身体の体温が放散されにくくなり、体温が下がりにくくなるためです。
また、室温・寝具・服装などの環境も影響します。高温にならないように室温を調整して、通気性の良い寝具や服装で寝るようにしましょう。
日常生活のリズムを整え、十分な休養をとっても寝れない状態が続き、頭痛・動悸・倦怠感・便通異常など、身体や精神などの複数の症状が現れたら、自律神経のバランスが崩れている可能性が考えられます。一般内科や心療内科、精神科で相談をしてみましょう。
身体に熱がこもりやすい人の特徴
身体に熱がこもりやすい人の特徴は、肥満・脱水・持病があるなどの特徴があります。
他にも、高齢者や子どもは体温調節がうまくいかず、身体に熱がこもりやすくなります。
肥満がある
肥満とは身体に脂肪が過剰にたまっている状態です。脂肪は体温を保持する働きがあるため、体内の熱が放散されにくく、身体に熱がこもりやすくなります。肥満がある方では、夏場など暑い環境では熱中症にかかりやすいため、特に注意が必要です。
蓄積された脂肪を数日で落とすことは難しいため、日頃から体重管理に注意しましょう。
水分不足
血液は体を循環して、体にこもった熱を巡らせ、放散する作用があります。水分の摂取不足や大量に汗をかくなどして体内の水分が失われると、血液量が減るため、体温調節がしにくくなり、身体に熱がこもる原因になります。このため、脱水症があると熱中症にもなりやすいです。
脱水に気がつきにくいこともあります。特に気温が高い時には、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給をしましょう。食事にも水分は含まれています。欠食しないようにしましょう。
特に運動中や炎天下での作業では大量に汗をかき、体内の水分が失われるため、水分補給が必要です。熱中症を予防するためにも、こまめな水分補給をしましょう。
持病がある人
糖尿病の合併症の一つに神経障害があります。自律神経に障害が現れると、体温調節機能が上手く働かず身体に熱がこもりやすくなります。また、高血糖では脱水になりやすいため、水分バランスが崩れ身体に熱がこもりやすいです。このほかにも、心不全や腎不全、甲状腺機能亢進症、皮膚の疾患、感染症などさまざまな病気で体温調整が上手くできず、熱がこもることもあります。熱中症にならないためにも、普段から病気の治療をうけ、病状を安定させることが大切です。
身体に熱がこもっていると感じたら、すぐにできる処置として、体を冷やす・室温を下げるなどしてみましょう。熱のこもる感じが続くようであれば、主治医に相談してみることをお勧めします。
すぐに病院へ行くべき「身体に熱がこもる」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
熱中症を疑う症状の場合は、一般内科・救急外来へ
高温の環境で、身体に熱がこもって、めまい・こむら返り・頭痛・倦怠感などの症状が現れたら熱中症の疑いがあります。
涼しい所に移動する・薄着にする・身体を冷やす・水分補給をするなどのセルフケアをしましょう。症状が持続する場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
吐き気、頭痛・倦怠感・意識がぼーっとするなどの症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
意識障害・けいれんなどが現れたら救急要請をしてください。
「身体に熱がこもる」症状の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「身体に熱がこもる」症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
自律神経失調症
自律神経は体温・血液循環・発汗調節などを意思と関係なく調整する働きがあります。体が緊張状態の時に働く交感神経と、リラックス状態に導く副交感神経を合わせて自律神経と言います。この二つの神経がバランスをとりながら体の機能を調節しています。
ストレスなどによりこの自律神経のバランスが乱れた状態を自律神経失調症と言います。
熱っぽい・動悸・倦怠感・眠れないなどの症状が持続した場合で、検査をしても内臓の異常が見つからない場合に自律神経失調症が疑われます。
原因を特定することは難しいですが、ストレスや生活習慣、ホルモンのバランスが影響している場合が多いです。
治療法は、ストレスを減らす・規則的な生活にするなど生活習慣の改善や、症状に合わせて薬物療法を行います。
ストレスがあり、熱っぽい・動悸・倦怠感・眠れないなどの症状が続くようなら、まずは内科を受診しましょう。内臓疾患がなければ、心療内科の受診をおすすめします。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)とは、甲状腺のホルモンが過剰に分泌される病気です。
発症の原因は分かっていませんが、強いストレスやウイルス感染が原因で発症すると考えられています。
熱感・動悸・体重減少・疲れやすいなどの症状が現れ、のどぼとけのすぐ下にある甲状腺が大きく腫れてきます。
主な治療法は薬物療法・放射性ヨウ素内用療法・手術です。
心房細動や心不全を発症するリスクが高いため、甲状腺の腫れや熱感・動悸・体重減少・疲れやすいなどの症状がある場合は、早めに内分泌科を受診しましょう。
更年期障害
更年期の症状は、閉経の前後10年間の更年期に現れます。症状が重く、日常生活に支障がある状態が更年期障害です。
女性ホルモンが低下することが主な原因ですが、精神的要因や社会的要因なども影響します。
主な症状は、ほてり・のぼせ・動悸・頭痛などの体の症状やイライラする・眠れない・気分が落ち込むなどの精神的な症状です。
治療は生活習慣の改善や心理療法を行い、改善しない場合はホルモン補充療法や漢方薬・向精神薬などの薬物療法を行います。
更年期の症状が重い場合は婦人科を受診しましょう。
「身体に熱がこもる」症状の正しい対処法は?
高温の環境で体温調節が乱れた状態が原因で、身体に熱がこもる場合は、市販の解熱剤では症状を改善する効果は期待できません。まずは、体を冷やし水分を補給して様子を見ましょう。
また、体質に合わせた漢方薬を使用することで、自律神経や更年期障害などの症状を改善し、身体に熱がこもりやすい状態を改善する効果が期待できることもあります。
効果は体質によって異なるため、専門医に処方してもらうことがおすすめです。
身体に熱がこもる症状の他に、めまい・こむら返り・頭痛・倦怠感などの症状が現れた場合は、熱中症の疑いがあります。早く症状を治めるには、薬を飲んで対処するのではなく、速やかに涼しいところに移動して、体を冷やす・水分補給をするなど、身体にこもった熱を放散させましょう。
「前谷(ぜんこく)」といって小指の付け根あたりにあるツボは、熱っぽい症状を緩和するといわれています。効果の現れ方は個人差があります。
日常生活での注意点は、涼しい場所で過ごす・こまめに水分補給をする・睡眠を十分にとる・バランスの良い食事をとる・ストレスをためないなどです。
身体を冷やすなどの応急処置をしても症状が治まらない場合は速やかに医療機関を受診しましょう。症状が悪化して、意識障害・けいれんなどが現れたら救急要請をしてください。
「身体に熱がこもる」についてよくある質問
ここまで身体に熱がこもる症状について紹介しました。ここでは「身体に熱がこもる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
身体に熱がこもった感じがする原因について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
身体に熱がこもった感じがする原因は、
・高温多湿の環境
・自律神経のバランスの乱れなど体の状態
・大量に発汗するなどで体内の水分バランスが崩れる
などにより体温調節がうまくいかなくなるため起こります。また、甲状腺機能亢進症などの病気が関係している場合もあるため、熱がこもる感じがする場合には内科を受診して相談してみましょう。
こもり熱の治し方について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
身体に熱がこもった状態の対策として、涼しい所に移動する・薄着にする・身体を冷やす・水分補給をするなどで症状が落ち着く場合があります。
高温の環境で熱がこもっている場合は熱中症の可能性があります。症状が改善しない場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
まとめ 熱がこもらないように、生活習慣を整えよう!
身体に熱がこもる原因は、体温調節がうまくいかなくなるためです。自律神経の乱れや高温多湿の環境、糖尿病などの持病があると体温調節がうまく働かなくなる場合があります。
身体に熱がこもった状態では、熱中症を招くリスクになります。症状が軽い場合はセルフケアで改善する場合もありますが、症状が持続する場合には医療機関を受診しましょう。体に熱がこもらない様にするためには、持病の治療や生活習慣を整えて対策をしましょう。
「身体に熱がこもる」で考えられる病気
「身体に熱がこもる」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
婦人科の病気
内科の病気
- 熱中症
- 肥満症
内分泌科の病気
「身体に熱がこもる」で考えられる病気はいくつかあります。身体に熱がこもる症状の他にも複数の症状が現れたら、症状に応じた診療科を受診しましょう。
熱中症や甲状腺機能亢進症など、進行すると重症となる場合もあるため、疑わしい病気がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。意識障害や呼吸困難などがあれば、すぐに救急要請をしてください。
「身体に熱がこもる」に似ている症状・関連する症状
「身体に熱がこもる」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
熱中症・甲状腺機能亢進症・更年期障害・自律神経失調症などの病気では、「身体に熱がこもる」に似ている症状や関連する症状が現れます。