「ストレスで倒れる5つの前兆症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

ストレスで倒れる前兆となる症状とは?Medical DOC監修医がストレスで倒れる前兆となる症状・対処法・応急処置・対策などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
ストレスで倒れる前兆となる症状
強いストレスが体にかかった時、倒れてしまうことがあります。多くは、迷走神経反射による失神の可能性が高いです。このような失神が起こる場合には、倒れる前兆がみられることも多いです。ここでは、前兆となる症状について詳しく解説いたします。
目の前が暗くなる(立ちくらみ)
迷走神経反射が起こる時、心拍数が下がり、血管拡張により血圧が低下します。この時に、脳への血流が低下することで脳性貧血が起こります。脳性貧血の症状は、目の前が暗くなったり、視界がぼんやりする症状です。この症状はいわゆる立ちくらみで、一般的に「貧血」と呼ばれることもあります。(医学的な貧血は赤血球が少なくなる状態ですが、一般的に脳への血流が低下することで立ちくらみが起こる事を「貧血」ということが多いです。)このような症状がおこった場合、座ったり横になって休み、倒れないように気をつけましょう。
また、頻繁に立ちくらみが起こる場合には、ゆっくり立ち上がる(寝た状態からすぐに立ち上がらず、座位で少し一息ついてから立ち上がるのも良いでしょう。)様にしましょう。また、何かにつかまって立ち上がり、倒れないようにしましょう。
めまい
迷走神経反射が起こり、血圧が低下し、脳の血流が低下すると、ふわふわするようなめまいの症状がおこることもあります。足元が、ふわふわするような症状がみられたら、何かにつかまり、倒れないようにしましょう。また、可能であれば、座ったり横になって休むことをお勧めします
吐き気
迷走神経反射に伴って、血圧が低下し吐き気や嘔吐の症状がみられることがあります。血の気が引き、吐き気などが伴う場合には失神の前兆かもしれません。
顔面が青白くなる
血圧が低下すると、血の気が引き、顔が青白くなったり、唇の色が青紫色となったり血の気がひく症状がみられることもあります。このような症状が現れた場合には、失神する前兆の可能性があり、安静にすることが勧められます。
あくび
迷走神経反射で血圧が低下すると、脳の血流が低下し生あくびがみられることもあります。あくびが多く出る場合には、失神する前兆の可能性があります。無理をしないで安静にしましょう。
ストレスで倒れる原因
迷走神経反射(血管迷走反射性失神)
強いストレスなどがかかった場合、迷走神経反射が引き起こされることが多いです。迷走神経反射とは、長時間の立位や強いストレス、痛みなどをきっかけにして迷走神経という副交感神経が過度に緊張状態となり、心拍数が減少し、血圧が低下する反応です。そうすると、脳への血流が少なくなり、目の前が暗くなったり、頭痛、めまいなどの症状が現れ、さらに進行すると意識を失い倒れることもあります。通常は、安静にすれば数分で意識が戻ります。また、ほとんどの場合後遺症は残らず、経過は良好です。しかし、転倒する際に頭を打ってしまったり、けがをする可能性があるため注意が必要です。前兆がみられた時には無理をせず、座ったり横になったりするようにしましょう。
また、これらの反応がおこらない様にするためには、ずっと同じ姿勢を保つことを避け、ストレスをためないようにすることも大切です。また、普段から十分に休息をとって体調を整えることも必要です。
自律神経失調症
自律神経失調症という病名は、医学的に正式な病名ではなく、はっきりとした診断基準があるわけではありません。しかし、人間の体には、自分の意識と関係なく体温や血圧などを調整する自律神経があります。この自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類です。交感神経は、興奮する時に働き、血圧をあげ、心拍数をあげます。逆に副交感神経はリラックスする時に働き、血圧を下げ、心拍数を減らします。この2つの神経はお互いにバランスを保ち、調整して働いていますが、このバランスが崩れた状態が自律神経失調症です。自立神経のバランスが崩れると、頭痛や動悸、めまい、だるさなどが出ることがあります。また、症状が強いと気を失うことも考えられます。
この自律神経のバランスは、強いストレスなどが加わることで崩れることが多いです。休息をとり、心と体を健康に保つことが大切です。体の不調がある場合、内科や心療内科で相談をしてみましょう。
起立性低血圧
起立性低血圧では、仰臥位または座位から立ち上がった際に血圧が下がります。起立3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下するか、収縮期血圧が90mmHg未満に低下、あるいは拡張期血圧の10mmHg以上低下することが起立性低血圧の診断基準です。立ち上がることで目の前が暗くなったり、ふらつくことがあります。また、症状が強いと意識を失うことも考えられます。原因としては、脱水や薬剤性、加齢などが挙げられますが、ストレスなどに伴う自律神経失調症に伴って起こることも少なくありません。まず、起立性低血圧を疑う立ちくらみがあるようであれば、内科、循環器内科を受診して相談をしてみましょう。
すぐに病院へ行くべき「ストレスで倒れる前兆症状」
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
何度も倒れる症状の場合は、内科へ
ストレスなどの自律神経失調症で倒れる場合には、心療内科や精神科が専門となります。しかし、倒れる症状が何であるか調べる必要があります。例えば、不整脈などにより失神が起こっているのであれば循環器内科が専門です。また、てんかんにより失神を起こしている場合には、神経内科を受診すべきでしょう。倒れる症状がみられた場合、すぐに原因はわかりません。まずは内科もしくは循環器内科を受診してどのような病気の可能性があるかを相談してみましょう。
ストレスで倒れてしまった際の正しい応急処置
倒れた人の原因がストレスであるかどうかはすぐにはわかりません。
倒れた人を目撃した場合、どのように応急処置をすればよいでしょうか?まず、周囲が安全か確認をしましょう。そして、倒れた人の意識を確認し、意識がなければ周囲に声をかけて応援を呼んでください。また、119番通報をし、周囲にAEDがあれば持ってきてもらいましょう。次に、倒れた人の胸とおなかの動きを確認し、呼吸をしているか確認をする必要があります。心肺停止していたら、心肺蘇生を試みてください。
もし、すぐに意識が戻るようでも、すぐには動かさず横にしたまま様子を見ましょう。この時に、どのぐらいで意識が戻ったのか、意識がない時にけいれんなどなかったか、意識が戻った後も意識がもうろうとしていたかなど、倒れた前後の状況について本人へ伝えるようにしましょう。
ストレスを溜めこまないための対策
ストレスをため込むことで、自律神経のバランスが崩れたり、体の不調が起こることが考えられます。通常の生活をしていてストレスが全くない方はいないと思います。なるべくストレスをため込まないようにすることが大切です。ストレスをため込まない対策について、以下のことを参考にしてみてください。
セルフモニタリング
自分の現在の状態を把握することがまず大切です。自分がストレスと感じることが何か、例えば、睡眠不足や人間関係、気温、花粉など人によってストレスの原因はさまざまです。どんなことが自分のストレスの引き金になっているかをまず考えることが非常に大切です。次に、そのストレスによってどのような体の反応が出るか、例えばイライラする、頭痛、肩こり、過食などが起こっていないかを考えましょう。そして、そのストレスが現在どの程度であるかを、実際に書き出すことで整理をすることが大切です。自分の今の状態を正確に把握することで、自分のことを冷静に考えられるようになります。
ストレスコーピング
次に、ストレスへの対処法を考えます。ストレスに対しての気持ちを周囲に発信したり、ストレスに対しての自分の考え方を変えたり、解決を目指したり、周囲への支援を求めることも対処法の一つです。また、ストレス解消のために気晴らしを行うことも大切な解決法です。ストレスに対して自分で対処していると自覚を持ちながら、自分に合った対処法を選ぶようにしましょう。
「ストレスで倒れる前兆症状」についてよくある質問
ここまでストレスで倒れる前兆症状などを紹介しました。ここでは「ストレスで倒れる前兆症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ストレスが原因で失神することはありますか?
伊藤 陽子(医師)
強いストレスを感じると、迷走神経反射を起こし、失神することもあります。このため、迷走神経反射を起こす前兆で立ちくらみやめまい、あくびが出る、顔面が青ざめるなどの症状がみられることもあります。このような前兆がある場合には、無理をせず休息をとるようにしましょう。
ストレスが原因かどうかは、自分では区別がつきません。失神を起こした場合、まずは内科・循環器内科で相談をしてみましょう。
まとめ ストレスで倒れる前兆があったら、休息を
強いストレスがあると、自律神経のバランスが崩れ自律神経失調症を引き起こしたり、迷走神経反射や起立性低血圧を起こして意識を失ってしまう可能性があります。このような不調の前兆として、立ち眩みやめまい、生あくび、吐き気などがみられます。このような前兆がある場合には、倒れないように休むことが大切です。また、普段からストレスをためないようにし、また十分睡眠をとり体調を整えるようにしましょう。
「ストレスで倒れる前兆症状」で考えられる病気
「ストレスで倒れる前兆症状」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器科の病気
神経内科の病気
失神をきたす可能性がある病気は上記の様にさまざまです。その中でもストレスと関係ある病気として、自律神経失調症や迷走神経反射などが挙げられます。倒れる場合には、他の病気との区別はつきずらいため、一度内科で相談をしてみましょう。
「ストレスで倒れる前兆症状」に似ている症状・関連する症状
「ストレスで倒れる前兆症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状がみられるときには、倒れる前兆の可能性もあるため気をつけましょう。十分に休息をとり、ストレスをためないようにすることが予防となります。普段から体調に気を付けて過ごしましょう。