「熱があって腰が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

熱があって腰が痛い原因とは?Medical DOC監修医が原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
「熱があって腰が痛い」原因と対処法
熱があって腰が痛い場合、症状の重さや他の部位に痛みがあるかによって考えられる原因が異なります。
熱があって腰が痛い原因と対処法
発熱と腰痛が同時に起こった時に最も考えられる原因は、腎臓や泌尿器の感染症、尿路結石などです。
代表的な原因を、以下に紹介します。
・腎盂腎炎 (じんうじんえん)
・腎結石 (じんけっせき)
基本的には安静にして、脱水予防のために水分をしっかりとることが大切です。軽い痛みで発熱がなければ、市販の鎮痛薬で様子を見ることも可能ですが、セルフケアだけでは限界があります。高熱や片側の腰の強い痛み、排尿時の痛みや血尿、吐き気などがある場合は、早めに受診しましょう。症状が重い場合は入院が必要となるケースもあります。
どちらの病気も泌尿器科が専門ですが、まずはかかりつけの内科や一般内科を受診し、必要に応じて専門医の紹介を受けるとよいでしょう。
熱があって腰が痛く寝れない原因と対処法
発熱にくわえて腰の痛みが強く、眠れないほどつらい場合には、深刻な病気が隠れている可能性もあります。
代表的な原因を、以下に紹介します。
・化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)
・急性膵炎(きゅうせいすいえん)
どちらの病気も放置できないため、受診が必要です。
まずはかかりつけの内科や救急外来を受診し、必要に応じて整形外科や消化器内科、感染症内科などの専門科を紹介してもらうとよいでしょう。
熱があって腰と喉が痛い原因と対処法
発熱にくわえて、腰と喉の両方が痛い場合、ウイルスや細菌による全身感染症の可能性が考えられます。
とくに以下のような病気では、発熱と喉の炎症、全身のだるさ、腰や背中の筋肉痛が同時に起こるケースが珍しくありません。
・インフルエンザ
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
どちらも、ウイルスによる全身性の感染症です。発熱中は安静を保ち、しっかりと水分、栄養補給をすることが大切です。
病気の原因を見きわめるには、検査が必要です。まずは内科を受診し、必要に応じて呼吸器内科や感染症内科などの専門科へつなげてもらいましょう。
すぐに病院へ行くべき「熱があって腰が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
38度以上の高熱が2日以上続く場合は内科へ
腰の痛みに加えて38度以上の高熱が2日以上続く場合は、体内で感染や炎症が続いているサインです。寒気や倦怠感、食欲不振などをともなうこともあります。
考えられる病気は、以下のとおりです。
・腎盂腎炎
・インフルエンザ
・急性膵炎(腹痛・背部痛をともなうケースが多い)
まずはかかりつけの内科を受診し、必要に応じて専門科の紹介を受けましょう。
解熱剤の使用歴や水分・食事の摂取状況、体温の変化をメモしておくと診察の参考になります。
発熱と排尿時の痛みや頻尿、腰も痛い場合は泌尿器科へ
排尿時にしみるような痛みを感じる、尿がにごる・トイレが近いなどの症状があるなら、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症を疑います。
とくに腰の痛みと高熱がある場合は、感染が腎臓まで達している可能性があります。
泌尿器科が専門ですが、近くにない場合は内科でも初期対応は可能です。
発熱と動けないほどの腰痛で、夜も眠れない場合は整形外科へ
腰の痛みが非常に強く、動けない・眠れないほどの状態は要注意です。発熱をともなう場合、骨・神経まわりの感染や炎症が起きている可能性もあります。
考えられる病気のひとつに、化膿性脊椎炎が挙げられます。整形外科で画像検査(MRIやレントゲン)をおこない、腰の状態を確認しましょう。
また、感染症の評価も必要になるため、内科との連携が可能な医療機関を選ぶと安心です。
発熱に吐き気や食欲不振をともなう腰痛がある場合は消化器内科へ
発熱に加えて背中側、特にみぞおちの裏あたりに重だるさや痛みを感じる、吐き気や胃の不快感、食欲不振もある場合は、消化器系の病気が隠れているかもしれません。
考えられる病気のひとつに急性膵炎があります。背中や腰に痛みが広がり、吐き気や発熱をともなうケースが多く見られます。
受診は消化器内科が望ましいですが、まずは内科で相談して紹介を受けるとよいでしょう。
「熱があって腰が痛い」症状の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「熱があって腰が痛い」症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎盂腎炎は、尿道や膀胱から細菌がさかのぼって腎臓に感染する病気です。膀胱炎から進行することが多く、基礎疾患がある方によく見られます。発熱、背中や腰の痛み、排尿時の痛み、悪寒、嘔吐などが主な症状です。
軽症であれば抗菌薬の内服治療で改善しますが、重症化すると点滴治療や入院が必要になることもあります。症状がある間は安静にして、水分を十分にとることが大切です。
発熱や痛みが続く際は、早めに受診しましょう。泌尿器科が専門ですが、初期であれば内科でも対応可能です。
腎結石(じんけっせき)
腎結石は、尿の中の成分が固まり腎臓や尿管に石ができる病気です。石が尿管に詰まると、激しい腰や背中の痛み、血尿、吐き気などがあらわれます。
腎結石単体で熱が出ることはほぼないのですが、腎盂腎炎を併発すると発熱する可能性があります。
小さな結石であれば自然に排出されることもありますが、痛みが強い場合は鎮痛剤や点滴治療を使用します。大きな石は、体外衝撃波や内視鏡による手術で除去します。動けないほどの激しい腰痛に血尿、発熱をともなう場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
泌尿器科の受診が適していますが、夜間や急な痛みは救急外来が対応することもあります。
化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)
化膿性脊椎炎は、細菌が背骨(脊椎)に感染して炎症を起こす病気です。発熱や安静時も続く腰の痛みが特徴です。
糖尿病や腎不全、悪性腫瘍などにより免疫力が落ちている方は、手術やケガなどの傷口から入った菌によって起こりやすいとされています。
治療の基本は、全身状態の改善、腰部局所の安静と薬物治療です。神経症状や脊柱変形の進行・悪化が見られる場合は手術を検討します。
夜間も眠れないほどの腰痛が続き、発熱をともなう場合は、早急な受診が必要です。整形外科が基本ですが、発熱をともなう場合はまず内科や総合病院の外来で相談しましょう。
急性膵炎(きゅうせいすいえん)
急性膵炎は、膵臓が自身の消化酵素によって炎症を起こす病気です。主な原因はアルコールの多飲や胆石で、みぞおちの痛みが背中や腰に広がり、発熱や吐き気、食欲不振などをともないます。
基本的には、入院して点滴で十分な水分や痛み止めを投与します。重症化すると、集中治療室での全身管理が必要になるケースもあります。
みぞおちや背中に強い痛みがある、食事がとれない、発熱が続くなどの場合は受診しましょう。特に脂っこいものを食べた後やお酒を飲みすぎたあとに症状が悪化する 場合は注意が必要です。
受診は消化器内科が望ましいですが、内科でも初期対応は可能です。
インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することでおこる感染症です。38〜40度の急な高熱、喉の痛み、全身のだるさ、筋肉痛や腰痛をともなうのが特徴です。冬季に流行しやすく、家庭内や学校、職場などで感染が広がることがあります。
抗インフルエンザ薬による治療や、解熱剤による対症療法が行われます。水分と休養を十分にとることも大切です。
高熱が続く、強い腰の痛み、息苦しさなどがある場合は一般内科を受診し、検査を受けましょう。
「熱があって腰が痛い」症状の正しい対処法は?
軽い腰のだるさや微熱のみで体調が安定している場合は、市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン・イブプロフェンなど)や葛根湯などで様子を見ることも可能です。ただし、尿のにごりや排尿時の痛み、強い腰痛、継続する38度以上の高熱などがあるときは市販薬で済ませず、早めの受診をおすすめします。
睡眠や栄養をしっかりとり、喫煙や過度な飲酒を控えることも回復につながります。応急処置で一時的に楽になっても症状がぶり返す場合、痛みが強く日常生活に支障が出る場合は医療機関の受診を検討してください。
まずは内科を受診し、必要に応じて専門科の紹介を受けるとよいでしょう。
「熱があって腰が痛い」についてよくある質問
ここまで熱があって腰が痛い症状について紹介しました。ここでは「熱があって腰が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
熱があって腰が痛いのは、インフルエンザでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
インフルエンザでは、発熱にくわえて全身の筋肉痛や関節痛が起こりやすく、腰や背中が痛むように感じることもあります。
特に38度以上の高熱、急激なだるさや喉の痛みをともなう場合は、インフルエンザを疑います。ただし、腰の痛みが強い・長引く・排尿に異常がある場合などは、腎盂腎炎をはじめとする別の病気の可能性も考えられます。早めに受診しましょう。
風邪をひくと腰が痛くなる原因について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
風邪による発熱や体調不良で全身の筋肉がこわばったり筋肉痛が出たりすると、腰のだるさ・痛みを感じることがあります。ただし、痛みが強い・熱が続く・寝ていても痛むような場合は、風邪ではなく他の感染症や内臓疾患の可能性もあるため、受診することをおすすめします。
熱があって腰が痛い場合、何科を受診したらいいですか?
伊藤 陽子(医師)
まずは内科やかかりつけのクリニックで相談するのが基本です。そこで検査を行い、検査結果によっては泌尿器科・整形外科・消化器内科などの専門科を紹介されることがあります。
排尿異常がある場合は泌尿器科、強い腰痛がある場合は整形外科、吐き気や食欲不振がある場合は消化器内科が考えられますが、自己判断せず医師に相談することが大切です。
まとめ:熱があって腰が痛い場合は内科・泌尿器科などを受診しよう
熱があって腰が痛い場合、一時的な体調不良だけでなく、腎臓や背骨、膵臓などの病気が関係していることもあります。とくに高熱や排尿異常、強い腰痛をともなう場合は、放置せず早めに医療機関を受診することが大切です。
症状が軽ければまずは内科で相談し、必要に応じて専門科の診療を受けると、早期の回復や重症化の予防につながります。
重い病気の見過ごしを防ぐため、「いつもと違う」と感じた場合は受診を検討しましょう。
「熱があって腰が痛い」で考えられる病気
「熱があって腰が痛い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
泌尿器科の病気
消化器科の病気
呼吸器科の病気
整形外科の病気
熱があって腰が痛い場合、腎盂腎炎や急性膵炎、化膿性脊椎炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの可能性があります。治療が遅れると悪化する病気もあるため、症状がつらい場合は早めの受診を検討しましょう。
「熱があって腰が痛い」に似ている症状・関連する症状
「熱があって腰が痛い」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 熱があって背中が痛い
- 熱があって筋肉痛がある
発熱とともに背中や筋肉全体の痛みがある場合も、腰の痛みと同様に何かしらの異常が起きている可能性があります。高熱や強い痛みを伴う場合は、早めの受診を検討しましょう。