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「手が震える」のは「パーキンソン病」や「アルコール依存症」が原因?医師が解説!

「手が震える」のは「パーキンソン病」や「アルコール依存症」が原因?医師が解説!

手が震える場合、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

関口 雅則

監修医師
関口 雅則(医師)

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浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。

「手が震える」症状で考えられる病気と対処法

手が震えるという症状を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。手の震えは、医学用語では振戦(しんせん)という、体の1つ以上の部位が震える神経の病気の一つの症状となります。
手の震えの原因として、ストレスや強い感情の変化、緊張、肉体的な疲労、特定の姿勢・動作などがあります。手の震えは、多くは心配のいらないものです。しかし、甲状腺の病気やアルコール依存症、低血糖症状、飲んでいるお薬が原因であることもあります。あるいはパーキンソン病などの病気が原因となっている手の震えもあります。
今回の記事では、手の震えについて詳しく解説し、何科を受診すべきかについても解説していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。

10代(中高生)で手が震える症状で考えられる原因と対処法

震えは中年以上の人に最もよく見られますが、中学生や高校生などの10代の方にも起こることがあります。
例えば、生理的振戦、つまり特に心配のいらない手の震えが興奮や不安、疲労、空腹などによって両手に起こります。10代の中高生が手の震えを感じる場合、試験や部活動、人間関係のプレッシャーが主な原因となりえます。緊張や不安が強い場合、自律神経の乱れが原因で手が震えることがあります。
抗てんかん薬などの薬剤も震えを引き起こす可能性があります。二次的な原因としては、低血糖、低ナトリウム血症、低カルシウム血症、低マグネシウム血症も挙げられます。
ほとんどの場合、小児の震えは心配いりません。しかし、症状が長期間続く場合や日常生活に支障をきたす場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。内科や精神科が良いと考えられます。

緊張して手が震える症状で考えられる原因と対処法

緊張して手が震える症状が出る場合には、生理的振戦が考えられます。
手の震えは一時的であり、状況が過ぎると自然に収まることが一般的です。
ゆっくりと深呼吸をすることで、緊張を和らげ、手の震えを抑えることができます。
一方、パニック障害でも急な発作的な不安感に伴って、手の震えが起こることがあります。症状が頻繁に起こり、日常生活に支障をきたす場合は、精神科や心療内科を受診しましょう。

女性で手が震える症状で考えられる原因と対処法

女性で手が震える場合には、ストレスがかかることによる生理的な震えの他、甲状腺機能亢進症や更年期障害などの可能性もあります。
もちろん、甲状腺の病気は男性にも起こります。しかし、甲状腺機能亢進症、つまり甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気の代表的なものであるバセドウ病は、20~30代の若い女性に多く、男女比は1:3~5です。甲状腺機能亢進症の場合には、指の震えの他に、甲状腺の腫れや動悸、体重減少、汗がたくさん出るといった症状もあります。こうした場合には、内分泌内科を受診するようにしましょう。
また、更年期障害の症状の一つとして、手の震えが生じる場合もあります。更年期障害は、平均で50歳前後の約5年間の間に、女性ホルモンの増減によって生じる様々な症状のことです。しかし、甲状腺機能の問題などによって手の震えが生じている場合もありますので、まずは内科を受診してから婦人科を受診するということが良いかと思われます。

男性で手が震える症状で考えられる原因と対処法

男性で手が震える場合には、本態性振戦という震え以外に特に症状がない震えや、アルコール依存症の症状としての手の震えなどが考えられます。
本態性振戦もアルコール依存症も、女性にもみられるものです。しかし、いずれも男性の方が多いということがわかっています。日常生活に支障が出ているような場合には、特に大量飲酒などもある場合、医療機関を受診するようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「手が震える」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

突然手の震えが起こった場合は、脳神経内科へ

手の震えが起こっても、大部分は救急外来などを受診する必要性は低いです。
しかし、脳梗塞の最初の症状として、手の震えが生じることも、まれではあるものの可能性としてはあります。高血圧や糖尿病、脂質異常症といった脳血管障害のリスクとなる持病を持っている方で、突然、手の震えが現れた場合は、脳神経内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「手が震える」ときのセルフチェック法

手の震えが気になる場合、頻度や状況、他の症状を記録しておきましょう。
震えが頻繁に起こり日常生活に支障をきたす場合や、長期間続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。特定の状況での震えや他の身体部分に症状が現れる場合も同様です。
ストレス管理や規則正しい生活、カフェインやアルコールの制限、リラクゼーション法を取り入れることが予防に効果的です。
一方、糖尿病の治療中の方では低血糖症状として手の震えが生じる場合もあります。ブドウ糖の補給ができるように、飴などを常備しておくようにしましょう。

「手が震える」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「手が震える」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

生理的振戦

生理的振戦とは、健康な人でも日常生活の中で見られるごく小さな震えのことです。この震えは、特に手や指に現れることが多く、特定の状況下で強くなることがあります。
例えば、試験やプレゼンテーションなどの緊張する場面で一時的に震えが強くなることがあります。また、体が疲れているときに震えが増すことがあります。
コーヒーやエナジードリンクなど、カフェインを摂取した後に震えが強くなることもあります。さらに、食事を取らずに血糖値が低くなると震えが起こることがあります。
生理的振戦は誰にでも起こりうる普通の現象であり、多くの場合、特に心配する必要はありません。
通常は治療を必要とせず、リラックスすることで震えが収まることが多いです。例えば、深呼吸やストレッチ、カフェイン摂取を控えるなどの方法が効果的です。震えが頻繁に起こったり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、内科や神経内科を受診することをおすすめします。

本態性振戦

本態性振戦は、手の震えの原因の中では最も多いものです。
震え以外に症状がなく、さまざまな検査をしても原因となる病気がわからないとき、本態性振戦と呼びます。本態性振戦は、手を挙げているときや、手を動かしているときにみられる動作時振戦であることが多いです。症状が軽度の場合は治療が必要ないことが多いですが、生活に支障をきたす場合は脳神経内科を受診してください。
βブロッカーという薬や精神安定剤によって震えを軽くできる可能性があります。薬物治療でも症状が改善しない場合には、深部脳刺激療法が有効なこともあります。

パーキンソン病

パーキンソン病は、高齢化が進むに連れて有病率が高くなっています。手などが震える振戦がみられます。また、動作がゆっくりになる、
筋肉が固くなってしまう、転びやすくなるなどが主な症状です。
中脳にある黒質ドパミン神経細胞の減少によって起こるとされています。
パーキンソン病による震えの典型的なものは、丸薬丸め運動と呼ばれています。これは、親指と人差し指をこすり合わせるような動きで、1秒間に4~6回の頻度でみられます。
パーキンソン病の治療は、薬物治療が基本となります。ドパミンを補うために、L-dopa (レボドパ)を内服します。その他、抗コリン薬、アマンタジンなどがあります。
震えの他にも、動作がゆっくりになってしまうなどといった症状が現れた場合には、神経内科や脳神経外科などを受診しましょう。

アルコール依存症

アルコール依存症は、アルコールを繰り返し大量にとった結果、精神的あるいは身体的にお酒に依存してしまう精神疾患です。症状は、アルコールが身体から切れると手指の震えや汗が出るといった禁断症状や、飲酒量が多くなるなどがあります。
アルコール依存症の治療薬としては、抗酒薬(こうしゅやく)などがあります。
アルコールの多飲によって日常生活に支障が出ている場合、精神科や心療内科の受診をおすすめします。また、お酒の飲みすぎのために肝機能障害をきたしている場合には、消化器内科での治療が必要となることもあります。
アルコール依存症を克服するためには、心理的なサポートも大切です。保健所や精神福祉センターなどでも、アルコール依存症についての情報提供を受けたり相談をしたりすることができます。

薬剤性振戦

喘息の治療のために使う気管支拡張剤(テオフィリン製剤やβ刺激剤)は、振戦を引き起こすことがあります。また、精神疾患やうつ病の治療薬の一部も、パーキンソン病と同じような震えの原因になることもあります。こうしたパーキンソン病のような震えは、薬剤性パーキンソニズムとも言います。パーキンソン病とは違い、何らかの姿勢をとろうとした際に震えがでる、姿勢時振戦が多いとされています。
高血圧の治療などに使われるカルシウム拮抗薬でも振戦が生じることがあります。
薬剤性振戦を起こしうる薬を内服している際に、手が震えるなどの症状が出た場合には、主治医や担当医に相談しましょう。

「手が震える」の正しい対処法は?

手の震えは、それ自体が生活を脅かすことは少ないです。
誰にでも起こりうる生理的な震えは、寒さや過度の緊張などで起こります。そのため、まずはリラックスすることが大切です。
震えを改善させる市販薬などは一般的ではありませんが、薬剤の中には震えの原因となるものもあります。処方してもらうときの医師や薬剤師の説明をしっかりと聞きましょう。
身体の震え以外に、動作がゆっくりになる、動悸がある、手足が動かしにくいなどの症状がある場合には、医療機関を受診するようにしましょう。

「手が震える」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「手が震える」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

手が震えるのは何が不足しているのでしょうか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

手の震えがある場合、ビタミンB12、ナトリウム、カルシウムやマグネシウムなどの栄養素が不足している可能性があります。また、低血糖状態も手の震えの原因となることがあります。食事を規則正しく摂り、バランスの取れた栄養を心がけることが重要です。不足が疑われる場合は、サプリメントや適切な食事で補うようにしましょう。それでも症状が続く場合は医師に相談してください。

手が震えて動悸がするのは何が原因でしょうか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

手の震えと動悸が同時に起こる場合、緊張や不安が原因で自律神経が乱れている可能性があります。これらの症状はストレスや過度のカフェイン摂取、睡眠不足などで悪化することがあります。まずはリラックス法を試し、カフェイン摂取を控えることをおすすめします。症状が頻繁に現れる場合は、内科や心療内科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。
また、甲状腺機能亢進症でも手の震えと動悸が現れる場合があります。甲状腺の腫れなどを伴っていたり、体重が急激に減ったりするなどの症状がある場合には内分泌内科の受診をお勧めします。

まとめ

今回の記事では、手の震えについて解説しました。
震えの大部分は特に心配のいらないものですが、中には治療が必要な場合もあります。日常生活に支障が出るほどの震えがある場合や、他の症状を伴っている場合には、医療機関を受診するようにしましょう。

「手が震える」で考えられる病気と特徴

「手が震える」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科の病気

内分泌内科の病気

婦人科の病気

手の震えの症状が現れる病気には様々なものがあります。日常生活に支障がでるような場合には、医療機関を受診しましょう。

「手が震える」と関連のある症状

「手が震える」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が現れる場合、治療が必要な病気による手の震えである可能性があります。医師に相談することをお勧めします。