「熱がある時にやってはいけないこと」はご存知ですか?すぐに下げる方法も解説!
熱がある時にやってはいけないこととは?Medical DOC監修医が大人・1歳児や赤ちゃん・小中学生がやってはいけないこと・考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
熱がある時にやってはいけないこと
体調を崩した時、熱が出るとつらいですよね。日常の生活もありますから、なるべく早く熱を下げて動けるようにしたいと思うこともあるでしょう。
しかし、対処を誤るとかえって体調が悪化し、長引いてしまうこともあります。
本記事では熱がある時にやってはいけないことを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
大人:熱がある時にやってはいけないこと
大人が熱を出した時、やってはいけないこと、避けた方が良いことはいくつかあります。
熱があるにもかかわらず、無理をして仕事に行ったり運動をしたりすることは、体力の消耗を招いて回復を遅らせてしまいます。また、発熱の原因が感染症だった場合、周囲にも感染を広げてしまう恐れがありますので、早めに医療機関を受診し、自宅で安静にするようにしましょう。
熱がある時は飲酒も控えてください。アルコールの利尿作用で、ただでさえ発熱により失われた水分がさらに排出されてしまうと脱水症状を招き、危険です。さらに肝臓にも負担がかかるため、体力の消耗につながり、薬の作用にも影響します。
大人の発熱の原因としては疲労、ウイルスや細菌の感染から、自己免疫疾患、がんなどが考えられます。
市販薬を飲んでも良くならない、発熱が続くなどの場合は早めに内科を受診してください。
1歳児や赤ちゃん:熱がある時にやってはいけないこと
赤ちゃんや1歳児に熱がある時には、大人と違った対応が求められます。
赤ちゃんや1歳児は大人と比べて体温の調節が不安定で、個人差はありますが、一般的に大人と比べて平熱が少し高い傾向にあります。普段から体温を記録し、平熱を把握しておきましょう。
熱があるだけで他の症状がなく、食欲があり、機嫌も良いならば、ひとまず緊急性は低いと考えられます。熱で苦しそうにしていたら氷枕や氷嚢などで首の後ろ、足の付け根を冷やして休ませるなどの対処をしましょう。
ただし、生後3ヶ月未満の赤ちゃんに38℃以上の発熱がみられる場合、重篤な疾患が隠れている可能性があります。急激に体調が変化することもありますので、様子を見ることはせず、たとえ夜間でも迷わずに救急外来を受診してください。
1歳児、赤ちゃんの発熱の主な原因は細菌やウイルスによる呼吸器感染、胃腸炎、中耳炎などです。
赤ちゃんは言葉で症状を訴えることができないので、こまめに様子を見るようにし、温めすぎや冷やしすぎ、寝ているからと水分補給をせずにいることは避けてください。
小中高生:熱がある時にやってはいけないこと
子どもは乳幼児期にウイルスや細菌への感染を繰り返すことで免疫を獲得していき、小学校へ上がる頃の年齢になると大人に近い免疫力になると言われています。
全ての年齢に共通することですが、むやみに解熱剤を使うことはあまり好ましくありません。発熱は免疫機能を高めるための自己防衛の働きだからです。
発熱のほかに身体の痛みや倦怠感が強く、水分の補給や睡眠の妨げになる場合は適切に使用してかまいません。
すぐに病院へ行くべき「発熱」に関する症状
ここまでは症状が起きたときにやってはいけないことなどを紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
高熱または発熱以外の症状を伴う場合は、内科へ
40℃を超える発熱が見られる、呼吸困難、意識障害、けいれんなどが出た場合はすぐに病院を受診してください。対応する診療科は症状にもよりますが、原因がわからない場合はまず内科を受診し、判断を仰いでください。
発熱で考えられる病気は風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症、カンピロバクターやノロウイルスと言った感染性の胃腸炎、虫垂炎、腎盂腎炎、髄膜炎、敗血症などさまざまです。
我慢や自己診断はせず、時間外、夜間などはためらわずに救急外来を受診してください。
また、感染症の治療で用いられる抗生物質は一部の薬との飲み合わせが禁忌とされています。普段飲んでいる薬があれば受診時に伝えましょう。
「熱がある時にやってはいけないこと」に関連する病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「熱がある時にやってはいけないこと」に関する病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
新型コロナウイルス(COVID-19)
COVID-19とはSARS-CoV-2、通称新型コロナウイルスへの感染によってもたらされる病気です。主な症状は咳、高熱、咽頭痛、頭痛で、感染は咳、飛沫を介して広がります。
糖尿病などの慢性疾患をお持ちの方や高齢者ではしばしば重症化することがあります。
発熱等の風邪症状が見られる場合は会社や学校を休み、外出を控え安静にしてください。
息苦しさや強いだるさ、食事がとれない、高熱が持続するといった強い症状の場合や、基礎疾患があり重症化リスクの高い方は医療機関へご相談ください。
かかりつけのある方はかかりつけ医療機関、かかりつけの医療機関がない、または受診できない場合はお住まいの自治体の外来対応医療機関を受診してください。
感染の拡大を防ぐために、受診の際は事前に電話で確認するようにしましょう。
風邪
ウイルス、細菌と言った病原体によって引き起こされる鼻やのどの炎症による一連の症状を指して「かぜ症候群」と呼びますが、一般的に「風邪」でイメージされるのは「普通感冒」です。
原因となる病原体はさまざまですが、そのほとんどがウイルスによるもので、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどが代表的です。
ウイルスが原因の場合、安静にして水分、栄養を十分に補給することで自然に治癒します。症状をやわらげる目的で解熱鎮痛剤などの薬も用いられます。数日たっても症状が良くならなかったり、咳や痛みがひどい、高熱が出るなど症状が強かったりする場合は内科を受診してください。
感染症
感染症とは、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの病原体が身体に入ることによって起こる病気の総称です。病原体の種類や感染する部位によって症状はさまざまです。
倦怠感や呼吸困難、高熱、激しい咳などの強い症状が出ている、数日たっても症状がよくならない、あるいは症状が出ていなくても特定の病原体への感染が疑われる場合は医療機関を受診してください。
治療には必要に応じて抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬などが用いられます。
インフルエンザ、麻疹(はしか)、風疹、帯状疱疹など、ワクチンで予防できる感染症に対しては、適切なタイミングでのワクチン接種が有効です。
対応する科は症状にもよりますが、内科、皮膚科、泌尿器科、感染症科、性感染症科などを症状に合わせて受診してください。
大人:「熱がある時」の正しい対処法は?
感染に伴う発熱は身体の免疫系による防御反応ですので、安易に熱を下げてしまうことは回復を遅らせてしまうことになりかねません。感染で熱が上がり始めたタイミングでは、体力が持つようなら薬を使うよりもまずは身体を温めて水分とビタミンCを補給し、安静にしましょう。発熱による悪寒がなくなり、身体が暑いと感じるようになってきたら、解熱剤を用いて体力の回復を促すことも有効です。休んでいても症状が悪化し、高熱や痛みに耐えられない時は我慢せずに薬を使い、早めに医療機関を受診してください。
市販薬は症状に合わせて、複数の症状が出ている場合は総合感冒薬、頭痛や発熱には解熱鎮痛剤、くしゃみや鼻づまりなどの鼻の症状には抗ヒスタミン剤、抗コリン剤といった成分が含まれている薬が有効です。しかし、持病がある場合には使用できないこともあります。持病をお持ちの方は、薬剤師と相談しましょう。
安静にして病原体と戦うための体力を保つことが大事です。発熱時の飲酒や喫煙は、内臓への負担やビタミンを損ない、回復を遅らせるため、早く良くなるためには避けましょう。
1歳児や赤ちゃん:「熱がある時」の正しい対処法は?
1歳児や赤ちゃんに熱がある時は、まず安静にさせ、水分の補給をしっかり行いましょう。
乳幼児は大人よりもやや平熱が高い傾向にありますので、38℃未満であれば慌てて解熱剤を使う必要はありません。発熱で機嫌が悪く、食欲がない場合は体力の消耗を招きますので、解熱剤で熱を下げるようにしましょう。
ただし、生後3ヶ月以内での発熱や、意識がはっきりしない、嘔吐を繰り返す、呼吸が苦しそう、何度もひきつけを起こす、などの場合は緊急性が高いと考えられます。急いで病院へ連れていきましょう。
小中高生:「熱がある時」の正しい対処法は?
小中高生で熱がある時の対処法は、基本的に大人の場合と同様に考えて良いでしょう。
ただ、小学生のうちに体調を崩す経験が少なかった場合、中学生以降で自分の体力を過信し、体調管理が理解できていないことも多いです。このため、しっかり休息を取ることの重要性を保護者が伝えて理解させることが大切です。また、熱を下げるために市販薬を用いる場合は、年齢に応じた服用量を守って適切に使いましょう。
部活動などで炎天下での活動中に体温が上がった際は、熱中症を考える必要があります。炎天下で活動中に体調が悪くなったときには、無理をせず涼しいところで水分を取りながら休息をとりましょう。
「熱がある時にやってはいけないこと」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「熱がある時にやってはいけないこと」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
熱がある時に入浴をしても問題ないですか?
伊藤 陽子(医師)
症状や体調にもよりますので一概には言えませんが、38℃未満の微熱かつ他に症状がなければ入浴して良い場合もあります。
その際は湯冷めしないように気を付けて、水分補給もしっかり行ってください。
すぐに熱を下げるにはどのような方法がありますか?
伊藤 陽子(医師)
すぐに熱を下げたい時は、市販の解熱鎮痛薬を服用したり、首や脇、足の付け根など体幹部を冷やしたりする方法があります。
ただし、悪寒がある時は冷やすとよりつらくなることもありますので注意が必要です。すぐに熱を下げようとせず、十分に休息をとることも大切です。
熱がある時は布団をかけずに安静にした方がいいですか?
伊藤 陽子(医師)
寒気を感じている時は布団をかけて温めた方がよいでしょう。暑いと感じた時は薄めの毛布やタオルケットなどで調節し、汗をかいたらこまめに肌着を取り替えて安静にしましょう。
熱がある時、エアコンの効いた部屋で安静にしても問題ないですか?
伊藤 陽子(医師)
体力を消耗しないよう、室内を適切な温度に保つためにエアコンを使用することは問題ないかと思います。一方で、エアコン使用時は室内が乾燥しますので、肺や気管に負担がかからないよう、部屋の湿度を50%~60%くらいに保つようにしてください。
まとめ
熱が出た場合、早く平熱に戻そうと解熱剤を使いたくなりますが、発熱は免疫の働きに重要な身体の防衛反応です。まずは病原体と戦う体力を保つため、十分な休息と栄養、水分を補給することを第一に考えましょう。その上で症状がつらい場合やなかなか良くならない場合には自己判断をせず、早めに医療機関を受診してください。
「熱がある時にやってはいけないこと」で考えられる病気
「熱がある時にやってはいけないこと」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
感染症の病気
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症
- かぜ症候群
呼吸器科の病気
- 細菌性肺炎
- マイコプラズマ肺炎
- 急性気管支炎
内科の病気
- 急性腎盂腎炎
- がん
外科の病気
上記の病気以外にも、発熱を伴う病気は多岐にわたります。日頃からご自身の体調をチェックし、普段と違うところがあれば早めに医療機関で相談するようにしてください。
「熱がある時にやってはいけないこと」に似ている症状・関連する症状
「熱がある時にやってはいけないこと」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
発熱以外の症状も体力を奪い、回復を遅らせる要因です。身体がつらくて耐えられない場合は症状に応じた薬を適切に用いるなどで対応し、改善が見られない場合は早めに医療機関を受診してください。