「怖い夢ばかり見る」原因はご存知ですか?子供の場合も医師が徹底解説!
怖い夢ばかり見る時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
別府 拓紀 医師(精神科医)
大学病院や市中病院で精神科の経験を積み、現在精神科医として市中病院勤務。大手企業の専属産業医経験あり。
病院や企業の嘱託産業医経験多数。
公認心理師、精神保健指定医、認知症サポート医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、メンタルヘルス運動指導士、日本医師会健康スポーツ医、産業医、日本DPAT先遣隊隊員。
「怖い夢ばかり見る」症状で考えられる病気と対処法
怖い夢をみて目が覚める。誰もが経験することですが頻繁にみる場合は激しい疲れや病気が隠れている可能性もあります。怖い夢ばかり見ることとそれに関連する病気について解説していきます。
怖い夢ばかり見る症状で考えられる原因と治し方
怖い夢を見ること自体が異常であるとは言い難いですが、怖い夢を頻繁にみることで睡眠が十分にできない、日常生活に支障が出る、気分が落ち込む、といった精神症状が出現している場合はストレスや精神疾患などが隠れている場合があり、精神科の受診をお勧め致します。
子供が怖い夢ばかり見る症状で考えられる原因と治し方
子供は特に怖い夢を見やすいと言われています。その中でも、夜驚症といい、大声で泣き叫びながら目を覚まし、動悸、発汗などを伴う状態となることがあります。多くの場合は成長とともに治まりますが、続くことで日常生活に支障が出ている場合は精神科の受診をお勧め致します。
すぐに病院へ行くべき「怖い夢ばかり見る」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
睡眠時に、突然大声を出す、暴力的な行動を起こす場合は、脳神経内科へ
睡眠中に突然、大声や奇声、暴力的な行動を認める際、レム睡眠行動障害の可能性があります。行動から本人や周囲の人が怪我を負うこともあります。声をかけると比較的容易に覚醒し、夢の内容を思い出すことができます。レム睡眠行動障害は50歳以降の男性に多く、加齢に伴い増加します。現在もしくは将来のパーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症といった神経疾患に関連すると考えられており、早急に脳神経内科を受診することをお勧め致します。
「怖い夢ばかり見る」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「怖い夢ばかり見る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
うつ病・躁うつ病
怖い夢を見る、覚えているということは、睡眠が浅いことが原因の一つとして考えられます。怖い夢に加え、気分の落ち込み、食欲不振、趣味などができなくなる、という症状がある場合はうつ病の可能性があります、また、逆に眠りが浅くてもテンションが高すぎる、どんどんエネルギーがわく、といったことが起こっている場合は躁うつ病の可能性があります。いずれにせよ、精神科へ相談することをお勧め致します。
不眠症
怖い夢を見る、覚えているということは、睡眠が浅いことが原因の一つとして考えられます。寝付きが悪い、途中で目が覚める、朝早くに目が覚める、といった場合は不眠症の可能性があり、精神科へ相談することをお勧め致します。
悪夢障害
悪夢が頻繁に生じることで、日常生活に支障が出る場合には、悪夢障害の可能性があります。悪夢障害は子供によくみられ、多くは成長とともに自然に治まります。成人に見られる悪夢障害の多くは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病に合併して出現します。生活に支障が出るほどの悪夢の場合、精神科へ相談することをお勧め致します。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
成人にみられる悪夢障害の多くは、PTSDやうつ病に合併して出現します。PTSDの場合、悪夢の内容がトラウマとなった出来事となることも多く、著しい苦痛をもたらします。PTSDは死の恐怖と同等の著しい恐怖を感じる体験をした後にフラッシュバック等の精神症状をきたす疾患です。思い当たることがある場合、精神科へ相談することをお勧め致します。
「怖い夢ばかり見る」ときの正しい対処法は?
怖い夢は正常な状態でも見るため、多くの場合は気にしなくてもよいでしょう。しかし、それが続いて日常生活に支障をきたしている場合は、治療が必要なこともあります。この際、市販薬を服薬し頼ることはせず、精神科あるいは睡眠障害を専門としている病院へ相談しましょう。
「怖い夢ばかり見る」夢見の悪さは改善できる?睡眠の質改善と治療法
怖い夢、というより、夢をよく見るということは、睡眠が浅くなっていることが考えられます。質の良い睡眠を担保するためには、昼寝をせずに日中はしっかりと起きておくこと、規則正しい生活を行うことが大事です。入浴については、就寝の2-3時間前が理想とされています。体温を2℃上げる入浴が睡眠によいと言われていますが、体への負担を考えると、体温を0.5℃上げる入浴(38度のぬるめのお湯で25-30分、42度の熱めのお湯なら5分程度)でも効果があると言われているため、そちらの方がよいでしょう。半身浴(腹部までを湯船につけ、約40度のお湯で30分ほど汗をかく程度に入浴する)でも寝付きをよくする効果があるといわれており、体に負担をかけ過ぎない入浴を行うことが大事です。また、睡眠をとるためにお酒を飲む方がいますが、飲酒は睡眠を浅くするため夢をみることが多くなる可能性が高く、睡眠前の飲酒は避けた方が無難です。
「怖い夢ばかり見る」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「怖い夢ばかり見る」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
夢見が悪く、怖い夢をよく見るのは病院で相談できますか?
別府 拓紀 医師
怖い夢が続く場合は、ひどい疲れや何らかの病気が原因である可能性が高いため、病院へ相談することをお勧め致します。
怖い夢を頻繁に見るのは睡眠の質が関連しているのでしょうか?
別府 拓紀 医師
怖い夢に限らず、夢を覚えていることは睡眠が浅いことが考えられます。
子供が怖い夢ばかり見ているようです。対処法はありますか?
別府 拓紀 医師
悪夢障害は子供の頃によくみられ、多くは成長とともに自然に治まります。怖い夢をみることで生活に支障が出ている場合は、精神科へ相談することをお勧め致します。
怖い夢ばかり見るのと引っ越しは関係がありますか?
別府 拓紀 医師
環境の変化により睡眠が浅くなることで、怖い夢を覚えていることが多くなる場合があるかもしれません。そういった点では関係があるとも言えますが、直接的な関連はないでしょう。
怖い夢に意味があるというのは心理学・医学的に正しいですか?
別府 拓紀 医師
夢占いなどでは、怖い夢は心理的葛藤がある、というような話もありますが、人間はほぼ皆葛藤の中で生活しており、それ自体に意味があるかどうかは疑問があります。しかし人間の脳はまだ解明されていないことも多く、何らかの意味を持っていることが今後証明されるかもしれません。
まとめ
怖い夢を見ている、ということを人に相談しても、なかなか取り合ってくれない場合が多いでしょう。それは、怖い夢を見るという経験は日常的なものだからです。しかし、怖い夢を見続け、日常生活に支障が出ている場合は、何らかの心や体のサインの可能性もあるため、ひとりで悩まず医師へ相談しましょう。
「怖い夢ばかり見る」症状で考えられる病気
「怖い夢ばかり見る」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
神経内科系の病気
- 多系統萎縮症
- パーキンソン病
怖い夢を見ることは日常的にありふれたものですが、怖い夢を見ることが多く、日常生活に支障が出ている場合は、隠れた病気を知らせてくれるサインである可能性でもあるため、医師へ相談しましょう。
「怖い夢ばかり見る」に似ている症状・関連する症状
「怖い夢ばかり見る」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「怖い夢ばかり見る」他に、これらの症状が見られる際は、「うつ病」「不眠症」「PTSD」「レビー小体型認知症」「多系統萎縮症」「パーキンソン病」などの病気の存在が疑われます。
なかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。