「陰部に痛くないできもの」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
陰部に痛くないできものがある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
「陰部の痛くないできもの」で考えられる病気と対処法
陰部に痛くないぶつぶつなどのできものがあるとき、自然とよくなるものから、性感染症などの医療機関で治療が必要な病気がいくつか考えられます。症状の特徴と治療法などをみていきましょう。
陰部に痛くないできものがある症状で考えられる原因と治し方
陰部にできものがあっても痛くないという場合には、尖圭コンジローマや梅毒のような性感染症、カンジダ症や毛嚢炎のような感染症、または脂漏性角化症などが考えられます。
すぐに自分でできることは、清潔に保つことです。できものを自分で触って傷つけたりすることはおすすめできません。
痛みはなくともかゆみがある場合もありますが、できるだけ陰部とできものに刺激を与えないようにしましょう。
女性は産婦人科、男性は泌尿器科を早めに受診して、適切な診断と治療を受けることが重要です。
男性で陰部に痛くないできものがある症状で考えられる原因と治し方
男性の場合には、尖圭コンジローマや梅毒などの性感染症の可能性が高く考えられます。
尖圭コンジローマや梅毒は性交渉によって人から人へうつることが多いです。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスというウイルスが原因の病気で、陰部にもこもことしたカリフラワーのようなできものができるのが特徴です。治療は、クリームや注射、レーザーでの治療などさまざまです。場合によっては出来ものを切除する必要がある場合もあり、はやめの泌尿器科受診が重要です。
梅毒(ばいどく)
梅毒は、トレポネーマという菌によって生じる病気で、尖圭コンジローマ同様に性交渉によってうつることがあります。感染してすぐの時期は陰部に出来ものができたり、全身にぶつぶつが出来たりします。放っておくと、一度症状が収まりますが、何年か経ってから神経の中に入り込んだ菌が悪さをしてくることもあり、治療を行うことが重要です。
また、妊婦さんが感染した場合には胎児に影響が出ることもあり、自分もしくはパートナーに梅毒を疑うような症状がある方がいる場合には早めに検査をしておくと安心でしょう。
治療は抗生剤の飲み薬で対応可能です。
女性で陰部に痛くないできものがある症状で考えられる原因と治し方
女性の場合には、男性同様に尖圭コンジローマや梅毒などの可能性もありますが、他に、カンジダ症や毛嚢炎なども考えられます。
カンジダ症(真菌感染症)・膣カンジダ
カンジダ症も性交渉によりうつることのある病気です。カンジダというのは真菌(いわゆるカビ)の1種で、陰部に感染した場合、小さなぶつぶつができたり、かゆみが出てきます。おりものが白っぽくなるのも特徴の一つです。はじめは痛みがなくとも、後から赤みが出て、痛くなってくる場合もあります。
治療は塗り薬や、陰部に挿入する錠剤などがあり、状態によって適宜使い分けます。飲み薬を使用する場合もあります。
毛嚢炎(毛包炎)
毛嚢炎は、毛の周りに起こる炎症です。全身のどこでも起きる可能性があり、デリケートゾーンやその周辺でもよく起こります。あかいぶつぶつができるのが特徴で、こちらは皮膚を清潔に保つことができれば数日で無くなることもあります。場合によっては抗生剤の飲み薬を使用することもあり、赤みのあるぶつぶつが出来た時には、一度産婦人科を受診することをおすすめします。
陰部にできものがあるが、痛くない・痒くない症状で考えられる原因と治し方
陰部のできものが痛みもなく、痒くもない場合、尖圭コンジローマなどが考えられます。
尖圭コンジローマは性交渉によってうつる場合が多いです。
ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で、このHPVは、その型によって、発がん性の高い、低いがあります。尖圭コンジローマは、がんなどになることはあまりない発がん性の低い型ですが、まれに発がん性の高い型にも感染していることがあります。泌尿器科あるいは産婦人科を受診して治療しましょう。
陰部に痛くない黒いできものがある症状で考えられる原因と治し方
陰部に黒いできものがあり痛みを伴わない場合には、脂漏性角化症などが考えられます。
脂漏性角化症(老人性いぼ)
脂漏性角化症は、いわゆる「いぼ」をさします。陰部に黒っぽい、もしくは少し茶色っぽいできものができたときに考えられます。少し盛り上がりのあるできものの場合が多いです。
脂漏性角化症は、放っておいても全身に悪さをするようなことはありませんので、希望がなければ治療は不要です。ただし、自然と消滅することもあまりありませんので、美容上気になるような場合には皮膚科を受診し、レーザー治療や切除などを相談すると良いかもしれません。
陰部に痛くない白いできものがある症状で考えられる原因と治し方
陰部に白いできものがあり痛みを伴わない場合、カンジダ症などが考えられます。
はじめは無症状の場合もありますが、時間がたってからかゆみや赤みがでてくることもあり、気になるような時は、早めに泌尿器科や産婦人科を受診したほうが良いでしょう。
すぐに病院へ行くべき「陰部の痛くないできもの」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
陰部だけでなく、全身にできものができた場合は、皮膚科へ
陰部だけでなく、全身にできものができた時、アレルギー症状や、ウイルスへの感染が考えられます。
アレルギーが重症化したアナフィラキシーといった状態になると命に関わる場合もあり、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、アレルギー症状でなくてもウイルス感染によって全身にぶつぶつができる場合もあります。すぐに収まった場合でも、一時的に症状がひいただけのこともあり、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
「陰部の痛くないできもの」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「陰部の痛くないできもの」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
粉瘤(アテローム)
粉瘤は陰部だけでなく、顔や首、背中など全身のあちこちにできる可能性があります。
はじめは小さなしこり程度の大きさですが、徐々に大きくなることもあり、中央に黒い入り口のようなものがあり、強く押すとそこからどろっとしたものが出てきます。
中身を取り出すことで一時的に小さくはなりますが、袋ごと取り除かないと再発を繰り返す原因になりますので、皮膚科で治療について相談することをおすすめします。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスというウイルスの感染症です。性交渉によって感染することが多く、陰部にぶつぶつとしたできものや小さなみずぶくれができます。はじめは強い痛みが出る人が多いですが、まれに痛みがない人もいます。
他の症状には、発熱や排尿時の痛みなどがあります。自然と症状がおさまることもありますが、治療はウイルスに対する飲み薬や点滴などを行います。
疲れたときや女性の場合妊娠したときなどに再発することも多く、医療機関で適切な診断がついていると、後々にスムーズな治療が可能となりますので、性器ヘルペスのような症状が出た場合、一度産婦人科や泌尿器科を受診することをおすすめします。
「陰部に痛くないできもの」があるときの正しい対処法は?
陰部に痛くないできものができたときの対処法ですが、最も重要なのは刺激をできるだけ減らすことです。菌やウイルスなどに感染している場合、はじめは痛みがなくても徐々に出てくることもあり、刺激が加わるとさらに痛みが強くなってしまいます。また、清潔に保つことも重要です。
基本的には、医療機関で診断がつくまでは市販の塗り薬を使用することはおすすめできません。市販の塗り薬の中にはステロイドを含んでいるものがあり、不適切な使い方は余計に症状を悪化させる可能性があります。
「陰部の痛くないできもの」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「陰部の痛くないできもの」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
デリケートゾーンのできものの悩みは何科で相談できますか?
マイマイテイリ イマム 医師
産婦人科や泌尿器科、もしくは皮膚科をおすすめします。
陰部に小さなできものがあり痛くない場合、放置して大丈夫ですか?
マイマイテイリ イマム 医師
基本的には医療機関を受診し、適切な診断を受けることをおすすめします。
一時的な炎症などであれば自然と良くなる場合もありますが、時間が経っても一向に良くならない場合や、見た目がどんどん変わって大きくなる場合などははやめに医療機関を受診しましょう。
陰部に痛くないしこりのようなできものがあるのは病気でしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
感染症の可能性も十分に考えられます。早めに医療機関を受診することをおすすめします。
まとめ
陰部にできものができた時、痛みがない場合でもさまざまな病気の可能性があります。気になる場合や、症状が長引くようなときには早めに病院を受診して、適切な診断をうけるのが良いでしょう。
「陰部の痛くないできもの」で考えられる病気と特徴
「陰部の痛くないできもの」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
痛みがなくても放置しておくと問題になる病気があります。性感染症の場合には感染する危険性もあるため、しっかりと治療しましょう。
「陰部の痛くないできもの」と関連のある症状
「陰部の痛くないできもの」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
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「陰部の痛くないできもの」の他に、これらの症状が見られる際は、「尖圭コンジローマ」「性器ヘルペス」「カンジダ症」「毛嚢炎」「脂漏性角化症」などの病気の存在が疑われます。
なかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
・性感染症(診断・治療ガイドライン2016)