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「包茎」の種類・発症しやすい病気はご存知ですか?医師が監修!

日本人男性のおよそ5〜8割は包茎であるといわれるなか、男性器についてのお悩みはなかなか他人には相談できないものです。

デリケートなお悩みであるとともにコンプレックスを抱いている方も多く、できるなら治療したいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。

包茎の治療では、ご自身も正しい知識を身につけておくことが重要です。大切な部分だからこそ、まずは本当に治療が必要なのかを判断しましょう。

本記事では、包茎の種類や治療方法などを解説します。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

包茎の種類

男性のお腹
包茎とは、亀頭部分が包皮に覆われて露出していない状態のことです。
実は、幼少期は誰しも包皮と亀頭が癒着しており、包茎になっています。成長とともに癒着が弱まることで、徐々に亀頭が露出するようになるのが通常です。
しかし、包皮が多すぎたり、陰茎があまり成長しなかったりすると、亀頭が包皮に覆われた状態である包茎になります。包茎は大きく3つの種類に分類できるので、1つずつ確認していきましょう。

真性包茎

真性包茎とは、全く包皮がむけない状態のことを指します。包皮の先端が非常に狭くなっており、勃起時にも包皮をむくことはできません。
包皮と亀頭の間に溜まる恥垢を洗い流せないため、異臭や雑菌繁殖の原因となります。感染症やガンのリスクを高くしてしまう一面があり、早めの治療が推奨されます。

仮性包茎

仮性包茎とは、普段は包皮で覆われているものの、勃起時には簡単にむける状態のことです。日本人男性のなかでは、最も多い包茎の種類となります。
真性包茎とは違ってご自身で包皮をむけるため、入浴のときなど日常的に恥垢を洗い流す習慣をつけていれば不衛生になることはありません。治療の必要性はご自身の判断に任せられます。

カントン包茎

カントン包茎とは、包皮に覆われてはいるものの、非勃起時であれば簡単に包皮をむける状態のことを指します。仮性包茎とは逆で、勃起時には包皮をむくのが難しいのが特徴です。包皮をむくことはできても亀頭の根本が締め付けられるため、痛みやただれを伴うことがあります。
さらに、無理に亀頭を露出させようとすると、包皮が元に戻らなくなるので注意しなければなりません。包皮が元に戻らなくなった状態は亀頭を締め付け、血液の流れを悪くさせてしまいます。うっ血や浮腫を引き起こす原因にもなり、治療が必要です。

包茎のデメリット

ソファーに座る男性
包茎の状態は、包皮と亀頭の間に細菌が繁殖しやすく、不衛生になりやすい傾向にあります。尿を排出する場所でもあるため、どうしても仕方ない一面があるでしょう。
​​包茎のデメリットには以下の3つが挙げられます。

  • 炎症の原因となる
  • 悪臭の原因となる
  • 性感染症にかかりやすい

それぞれ詳しく解説します。

炎症の原因となる

包茎は細菌の温床になりやすいため、そのまま感染して炎症が起きることがあります。一般的に多いのは「亀頭包皮炎」と呼ばれる病気です。黄色ブドウ球菌・大腸菌・レンサ球菌などが原因となり、亀頭や包皮が赤く腫れ上がってしまいます。
腫れた部分は触れると痛みを伴い、排尿時にも痛みを感じやすいです。ときには陰茎から膿が出てしまうこともあり、放置していれば尿道炎・膀胱炎に発展する可能性もあるでしょう。
医療機関を受診し、抗生物質を服用すれば数日で症状は好転しますが、再発しやすいので注意しなければなりません。あまりに繰り返すのであれば、基本的に治療の必要はない仮性包茎の状態でも治療を検討することをおすすめします。

悪臭の原因となる

亀頭と包皮の間に恥垢が溜まりやすい包茎は、悪臭の原因となることが多くあります。恥垢は汗・尿・皮膚の垢などが混ざってできたものであり、汚れの素です。
包皮をむいて毎日洗えていれば問題ありませんが、包皮をむけない真性包茎の場合や、仮性包茎でも洗う習慣を怠ると恥垢が溜まりやすくなります。溜まった恥垢は悪臭の原因となり、恥垢が溜まった状態が続けば除去できても臭いが残ってしまうこともあるでしょう。

性感染症にかかりやすい

雑菌が繁殖しやすい包茎は、性感染症の原因になるリスクが高いとされています。恥垢が溜まりやすい包茎の環境は、病気やウイルスにとって非常に居心地の良い環境にあるためです。
ご自身が性感染症にかかりやすい他、パートナーの感染リスクも引き上げてしまうため、性行為の際には衛生的な状態を心がける必要があります。

包茎の治療方法

白衣を着た男性
今や包茎は、治療を受ければ改善が期待できるものとなりました。
基本的には包皮の余分な皮を切除することで、亀頭を露出させる手術を行います。亀頭の周囲を一周ぐるりと切除するようなイメージです。これは「環状切開法」と呼ばれ、包茎の治療方法としては基本となる切開法です。
その中でも根部形成法・亀頭直下法の2つの治療方法に分類されるため、ここではそれぞれの治療方法について詳細を確認していきましょう。

根部形成法

根部形成法とは、「環状切開法」を男性器の根元で行う治療方法です。根元の包皮を切除し、亀頭側の包皮を根元に引っ張ります。これにより自然と亀頭がむけた状態になり、包茎の改善ができるのが特徴です。
根部形成法の最大のメリットは、手術跡が根元になって傷が隠れやすいところだといえるでしょう。根部形成法には、他にも以下のようなメリットが挙げられます。

  • 亀頭部分には影響がないため、自然な仕上がりになる
  • 性感帯を温存できる

しかし、現在では根部形成法を行う医療機関は少なくなってきているようです。根部形成法は限られた症例にしか対応できないことが原因として挙げられます。
その他にも、根部形成法には以下のようなデメリットが挙げられます。

  • 根元の傷が逆に目立つことがある
  • 包皮の締め付けが強い場合には対応できない
  • 術後の浮腫が気になりやすい
  • 手術後も皮がかぶってしまう場合が比較的多い

根部形成法は、根元の傷跡が隠れていれば手術をしたとはわからないほど自然な仕上がりになるのが魅力です。しかし、全ての包茎に悩む男性にできる治療法ではなく、特に真性包茎やカントン包茎の場合には向きません
条件の合う方であれば検討してみるのもおすすめですが、デメリットやリスクについてはしっかり理解しておきましょう。

亀頭直下法

亀頭直下法とは、「環状切開法」を亀頭直下に行う治療方法です。亀頭の0.5〜1cmの部分の包皮を切除し、根元の包皮を引っ張って亀頭直下で縫合します。根部切開法とは異なり、どのような包茎の状態でも適応しやすい点が最大の特徴です。
亀頭の下の溝部分にあたるため、術後に傷が気になりにくい一面もあります。亀頭直下法には、他にも以下のようなメリットが挙げられます。

  • 包皮のグラデーションが崩されないため、自然な仕上がりになる
  • 術後が根部形成法よりも辛くない

根部形成法は、術後2週間が経過するまで抜糸できません。一方、亀頭直下法であれば10日前後で抜糸でき、性行為も早く再開できるようになります。
根部形成法では対応できない症例にも適用できることが多く、真性包茎やカントン包茎の場合は亀頭直下法が適している可能性が高いです。医療機関を受診し、まずはご自身の状態を診てもらうようにしましょう。

すぐに病院に行った方が良い「包茎」症状は?

カントン包茎の状態から元に戻せなくなり、腫脹や変色、激痛などを伴う場合には、すぐに病院受診しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、小児科、泌尿器科です。
問診と視診、触診を行ないます。亀頭包皮炎などの発症も疑われる際には、血液検査や尿検査が追加される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
インターネットなどで様々な情報が溢れていますが、個別症例での疑問点をもった際には、病院を受診し専門医に相談することも検討しましょう。

治療をする場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。
ただし、保険適応のない治療を希望される場合は自由診療となります。

まとめ

カップル
包茎は包皮と亀頭の間に恥垢が溜まりやすく、そのままにしていると不衛生な状態になってしまいます。

恥垢が溜まった状態は性感染症のリスクを高めたり、悪臭の原因になったり、炎症の原因になったりなど様々なトラブルを引き起こしてしまうでしょう。

特に性感染症については、パートナーにも影響が及ぶことが多いため、決して軽視できません。勃起時に包皮がむける仮性包茎以外は、治療を検討することをおすすめします。

治療を検討する場合は、まずはカウンセリングから受けるように注意してください。即日契約で手術を受けたことで、術後の経過に問題が生じる事例が多く起きています。

包茎を治療するには、医師の確かな技術と経験が必須です。信頼できるクリニックに依頼するためにも、すぐに手術にうつることは避けるようにしましょう。

この記事の監修医師