目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 皮膚・爪・髪
  4. 「採血後に筋肉痛のような痛みがある」原因はご存じですか?対処法も医師が解説!

「採血後に筋肉痛のような痛みがある」原因はご存じですか?対処法も医師が解説!

「採血後に筋肉痛のような痛みがある」原因はご存じですか?対処法も医師が解説!
採血後に筋肉痛のような痛みがあるときの治し方は?メディカルドック監修医が対処法や考えられる原因や病気、何科へ受診すべきかなどを解説します。
木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

プロフィールをもっと見る
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

目次 -INDEX-

採血後に筋肉痛のような痛みがある症状で考えられる病気と対処法

血液を採取する検査、つまり採血は、さまざまな情報を得ることができる有用なものです。健康診断や、何らかの症状がある場合に医療機関で行われます。 静脈からの採血が一般的であり、行われる回数も多いです。そのため、きわめて発生する確率は低いものの、一定の頻度で合併症が生じます。 今回の記事では、採血の後に筋肉痛のような痛みがある場合に考えられる原因について解説します。

採血後に筋肉痛のような痛みがある症状で考えられる原因と治し方

採血を行った際、その部位に一致した強い痛みが起こる場合があります。これは、穿刺部痛(せんしぶつう)と呼ばれています。針を刺した部位の炎症や、その傷が治った後に瘢痕(はんこん)によって周辺の組織にひきつりが生じることで起こります。 また、針を刺した部位に電気が走るような痛みや痺れが生じることもあり、神経損傷の可能性があります。細い神経である皮神経損傷の場合、2〜4週間ほどで症状は改善しますが、まれに回復までに2ヶ月程度要することもあります。 採血後に筋肉痛のような痛みなどがある場合は、医療機関のスタッフにすぐに報告しましょう。神経損傷の場合でも、安静にしておくことが対応法となりますが、しびれや感覚異常が続く場合、腫れや赤み、熱感などが強まる場合には、採血を行った医療機関に相談しましょう。その後必要であれば整形外科や神経内科、ペインクリニックなど適切な科を紹介されると考えられます。

採血後に筋肉痛のような痛みがあって治らない症状で考えられる原因と対処法

採血を行ってからしばらくたっても痛みが続く場合は、神経損傷や神経障害、感染症などの可能性があります。 神経障害は、針を刺した部位が治る過程でできた組織の瘢痕や、皮下出血後の血腫による神経の圧迫が原因となります。腕を伸ばした際などにしびれや痛みが生じ、まれに運動障害や知覚障害もきたすことがあります。 また、針を刺した部位から皮膚の常在菌などが侵入し、感染症を引き起こすこともあります。 痛みが長引く場合や、皮膚の赤みや熱感を伴う場合には、整形外科や神経内科などの受診が必要となります。こちらも、可能であれば一度採血を行った医療機関などに、対応について問い合わせるとよいでしょう。

採血後に内出血・青あざと筋肉痛のような痛みがある症状で考えられる原因と治し方

採血後に内出血や青あざがあるような場合は、皮下出血の可能性があります。 多くの場合は特に何もしなくても改善します。しかし、大きな皮下出血ができてしまう場合には筋肉や神経を圧迫してしまうコンパートメント症候群にまで至ることもまれにあります。 青あざが広がる、痛みが増す、熱感があるような場合には、一度医療機関での診察を要します。また、高度な場合には、血腫の除去が必要となるケースもあります。

採血後の痛みや合併症を予防することはできる?

採血をされる側の方ができる採血後の合併症の予防法としては、採血後5分間は確実に止血する、つまり適度な圧で圧迫することがあります。 また、採血による迷走神経反射が起こりやすい方は、事前に水分を適切に摂っておくことも大切です。また、リラックスし、仰向けで採血をしてもらうことも対応方法としてあげられます。 神経損傷や神経障害に関しては、受診者側で予防することは難しいと考えられます。もし痺れや麻痺などの症状があれば、医療機関のスタッフにすぐに報告するようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「採血後の筋肉痛のような痛み」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

採血後に筋肉痛のような痛みがあって手の感覚異常がある症状の場合は、採血をした病院に報告後、整形外科や神経内科へ

次のような症状がある場合は、我慢せず早めに採血をした医療機関に相談しましょう。その上、以下のような診療科を受診しましょう。痛みと同時に手の感覚異常やしびれがある場合は、整形外科や神経内科の受診が適切と考えられます。ペインクリニックや手の外科などを紹介されることもあるでしょう。発赤・熱感・膿がある場合、 皮膚科または内科で感染症の有無をチェックする必要があります。青あざが広がり続ける場合、血液内科での血液凝固系の検査も検討されるケースがあります。

「採血後に筋肉痛のような痛みがある」症状が特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「採血後に筋肉痛のような痛みがある」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

皮下出血 (内出血)

皮下出血は、止血が不十分だった場合などに生じることがあります。抗血小板薬や、抗凝固薬を内服している方に多くみられます。腕の運動などによって拡大し、大きな出血斑や血腫になることもあります。様子をみて自然に改善することもありますが、大きな血腫ができた際には血腫を取り除くことが必要となるケースもあります。予防法としては、5分間は確実に圧迫止血することと、抗血小板薬や、抗凝固薬を飲んでいる方は特に長く止血することがあります。

神経損傷

神経損傷は、約1万〜10万回に一回ほどの割合で起こるとされています。針を刺したときに、電気が走るような痛みや痺れが生じます。予防法としては、手首の親指側の静脈からの採血を避けること、深い位置に針を刺さないことなどがあります。対応としては、腕の安静などがあり、自然に改善するケースもあります。症状によっては、薬物療法やリドカインの点滴、星状神経節ブロックなどが行われるケースもあります。

迷走神経反射・血管迷走神経反応

血管迷走神経反射は、採血前に緊張することで、迷走神経が過剰に興奮することで起こります。血圧が低下し、脈がゆっくりになることで脳への酸素不足が起こり、気分が悪くなる、冷や汗が出る、意識が遠のく、などの症状が現れます。けいれんを起こす方もいます。対応方法としては、仰向けにして、足を上げることがあります。予防策には、事前に適量の水を飲んでおくこと、楽な服装にしてリラックスすること、仰向けで採血することなどがあります。

感染症

消毒が不十分な場合、皮膚に常在している菌に感染してしまう場合があります。感染した菌によって症状や対応法はさまざまですが、予防法としては皮膚の十分な消毒などがあります。頻度は不明ですが、もしも針を刺した場所に赤みや痛み、熱感がある際には、放置せず一度採血した医療機関に問い合わせてみると良いでしょう。

「採血後に筋肉痛のような痛みがある」ときの正しい対処法は?

採血後に、その部位に痛みがある場合、穿刺した場所には小さな傷がついていることになります。その部位に炎症が起こっている際には、冷やすことで症状が改善することもあります。また、無理に動かさず、安静にすることも大切です。採血をした日は、その側の腕で重い荷物を持つことは避けましょう。また、軽い痛みであれば市販の鎮痛薬を使用することも可能と考えられますが、長引く場合には医療機関に相談しましょう。

「採血後に筋肉痛のような痛みがある」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「採血後に筋肉痛のような痛みがある」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

病院の採血で手にしびれが起きたらすぐに伝えるべきでしょうか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

はい。しびれは神経への影響が疑われるため、採血後すぐにスタッフへ伝えましょう。

血液検査の後に筋肉痛のような痛みがある場合冷やした方が良いですか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

はい。冷やすことで、痛みがやわらぐことがあります。

採血をしてから筋肉痛のような痛みが続くときは何科を受診すべきでしょうか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

整形外科や神経内科が適しています。手の外科やペインクリニックなども、採血後の痛みの診察に対応しているでしょう。症状に応じて皮膚科や内科も選択肢に入ります。

採血後に筋肉痛のような痛みがあるのは神経が痛んだのでしょうか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

採血後に筋肉痛のような痛みがある場合、神経の損傷の可能性もあります。

まとめ 採血後に筋肉痛のような痛みがあるときは安静・冷却を基本として改善しない場合は医療機関へ相談を

採血後の筋肉痛のような痛みは多くの場合、数日で自然に改善します。まずは冷やす・安静にすることが大切です。ただし、しびれ・腫れ・持続する痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。神経損傷や内出血などが原因のこともあるため、無理をしないことも大切です。

「採血後に筋肉痛のような痛みがある」症状で考えられる病気

「採血後に筋肉痛のような痛みがある」症状から医師が考えられる病気は6個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

神経内科・整形外科系の病気

皮膚科系の病気

  • 皮下血腫

内科系の病気

  • 血管迷走神経反応
  • 感染症
採血に伴う合併症としては、さまざまなものがあります。

「採血後の筋肉痛のような痛み」に似ている症状・関連する症状

「採血後の筋肉痛のような痛み」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 皮膚の赤み
  • しびれ
  • 感覚低下
  • 麻痺
採血後の痛みに、上記のような症状がある場合、採血を行ってもらった医療機関に相談しましょう。

この記事の監修医師