「腕にぶつぶつ」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

目次 -INDEX-

監修医師:
五藤 良将(医師)
プロフィールをもっと見る
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
腕のぶつぶつの症状の特徴

白・茶色の小さなぶつぶつが出る
腕のぶつぶつは原因となる皮膚疾患によって、色にも違いが出ます。例えば、アトピー性皮膚炎やニキビの場合は、赤みを伴う症状が出現しやすくなるのが特徴の1つです。 一方毛孔性苔癬の場合は、白や茶色の目立たない色をしているケースが目立ちます。 少しだけ赤くなっていることもありますが、アトピー性皮膚炎やニキビの赤みに比べると色は濃くありません。 多くの場合は健康な皮膚と同じ色をしていることが多いので、近くに寄ってはじめて症状に気づくことが多いでしょう。かゆみ・痛みの有無
同じ腕のぶつぶつでも、かゆみや痛みの有無は皮膚疾患によって異なります。 もしアトピー性皮膚炎による湿疹が腕に出ている場合は、かゆみを伴うことが大半です。症状が悪化すると、皮膚をかき壊してしまうほど強烈なかゆみを伴うことも珍しくない皮膚疾患です。 また、患部は腕に限らず顔など全身に及ぶのが一般的なパターンになります。 子どもの頃に発症して、成人になってから自然に症状が落ち着くこともあります。ただ、多くの場合、かゆみを伴う湿疹など辛い症状が長年に渡り出現する慢性疾患です。 しかし毛孔性苔癬の場合、激しいかゆみを伴うことはほとんどありません。 なかにはかゆみを訴える患者さんもいらっしゃいますが、かゆみの度合いは軽いことが大半です。腕のぶつぶつが出やすい皮膚疾患

毛孔性苔癬
毛孔性苔癬は、腕にぶつぶつが出る代表的な皮膚疾患です。とても身近な症状で、健康な方でもちょっとしたぶつぶつが出ることがあります。 皮膚の毛穴に角栓が詰まってしまい、角化性の病変が出現すると毛孔性苔癬と診断されることが多いでしょう。 ちょうど毛穴のところにぶつぶつができることが特徴的で、触るとザラザラしていることがわかります。 また、ぶつぶつは左右対称に出現するのも特徴の1つで、どちらか片側だけに症状が出ることはありません。特に病変が出やすいのは二の腕ですが、患者さんによっては太ももの外側や臀部に出ることもあります。 顔に出現するケースも報告されていますが、ごく稀です。アトピー性皮膚炎のように全身にぶつぶつが出ることはなく、腕や太ももなど部分的に症状が現れます。 ほとんどの患者さんは、症状が出始めるのが子どもの頃です。思春期を迎える年代でぶつぶつがよく目立つようになります。 年齢が若い頃は見た目も気になるので、毛孔性苔癬の症状がひどくなるとコンプレックスになってしまう可能性もあるかも知れません。 ただし症状のピークを迎えた後は、年齢を重ねるにつれてぶつぶつは徐々に目立たなくなります。成人してもぶつぶつが残るケースはありますが、少しずつ消滅するパターンを辿ることが少なくありません。アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎も腕にぶつぶつが出る皮膚疾患ですが、症状は腕に限定されず顔など全身に及ぶケースが大半です。 子どもの頃から発症しやすいところと症状が左右対称に出るところは毛孔性苔癬と似ていますが、アトピー性皮膚炎のぶつぶつはかゆみを伴うのが特徴です。 また、大人になって自然に治ることもありますが、専門の治療を受けない限りひどくなるケースも少なくありません。 その他、腕の外側にぶつぶつが出る毛孔性苔癬とは異なり、アトピー性皮膚炎の湿疹は肘の内側に出やすい特徴もあります。 年齢によって湿疹が出やすい部位が変わるところなど、毛孔性苔癬とは異なる特徴は他にも色々あり、違いは歴然です。皮膚科を受診すれば、どちらの皮膚疾患なのか診断してもらえるでしょう。毛嚢炎
毛嚢炎は、毛穴が細菌に感染することで発症する感染症の1つです。抗生物質の内服剤を服用して治療することになるでしょう。 毛を剃ったときにばい菌が入り込み、炎症を起こすケースもよくありますが、糖尿病などの合併症として発症するケースも報告されています。 何らかの理由で免疫機能が落ちているときに、発症率が高くなる傾向があるので要注意です。もし発症してしまった場合も、免疫力の低下の影響で重症化しやすくなることが指摘されています。毛孔性苔癬による腕のぶつぶつの対策方法

保湿
毛孔性苔癬による腕のぶつぶつが気になる場合は、保湿対策に励むと効果的です。病院を受診した患者さんにも、角質が水分を保持できるよう促すための成分を配合した外用薬を処方します。 ヘパリン類似物質などの成分の働きの1つは、角質が水分不足に陥らないよう手助けする役割です。 多くの皮膚疾患にとって乾燥は大敵ですが、毛孔性苔癬も例外ではありません。 保湿成分を配合した外用薬を塗り続けると、次第に患部のザラザラした感触が落ち着いていく可能性があります。市販されているクリームのなかには、ヘパリン類似成分が入ったクリームなどもあります。 特に秋や冬は空気が乾燥しやすく、毛孔性苔癬の症状がひどくなりやすいシーズンです。ぶつぶつが気になる方は、まず保湿対策を取り入れてみて下さい。ピーリング
毛孔性苔癬による腕のぶつぶつは、角栓のトラブルによって出現しています。従って、サリチル酸や尿素などピーリング作用のあるクリームでケアすることも、おすすめです。 尿素やサリチル酸などの成分には、増えすぎた角質を柔らかくして溶かす作用が期待できます。 同時に、角質が水分をたっぷり保持できるよう促す役割も担っているので、毛孔性苔癬の症状の緩和に役立つと考えられます。 セルフケアの方法では、お風呂に入ったときに専用のスポンジなどで優しく患部を擦って角質を取り除いてみて下さい。症状が良くなる可能性があります。日焼け対策
毛孔性苔癬は乾燥によって症状がひどくなる傾向があるため、日焼け対策も欠かせません。暑い季節は、乾燥しやすい上に紫外線の被害が心配です。 ぶつぶつがある部分に紫外線が直接当たらないよう、長袖の衣類や上着などでカバーすると症状の悪化を予防しやすくなります。 半袖やノースリーブを着るときは、日焼け止めを塗って紫外線の影響をダイレクトに受けないよう注意しましょう。 もし日焼けしてしまったときは肌が普段より乾燥し、毛孔性苔癬の症状も悪化することが予想できます。いつも以上に、保湿クリームなどで水分を補う対策に励んで下さい。毛孔性苔癬による腕のぶつぶつは自然に治るのか

まとめ
