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「髪の毛が抜ける」原因はご存知ですか?医師が男女別について解説!

髪の毛がよく抜ける時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が抜け毛で考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

後藤 和哉 医師

監修医師
後藤 和哉 医師(京都大学医学部附属病院)

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大分大学医学部卒業後、関西電力病院、京都大学医学部附属病院、研修医を経て
京都大学医学部附属病院、天理よろづ相談所、皮膚科医。

「髪の毛が抜ける」症状で考えられる病気と対処法

朝起きた時やシャンプーした際に髪の毛が抜けたことに驚いたことはありませんか?
約10万本あるといわれる人間の髪の毛は、毎日50-100本程度は自然に髪が抜けますが、同じ程度の毛髪が生まれることで、毛量は維持されるといわれています。しかし、何らかの原因で抜ける毛髪が多くなってしまう状態や、弱く細い未熟な髪の毛が抜けることもあります。本記事で対処法を確認していきましょう。

髪の毛がよく抜ける・抜け毛が多い症状で考えられる原因と治し方

髪の毛が抜ける状態(脱毛症)になる原因として頻度が高いのが、円形脱毛症やAGA(男性型脱毛症)です。
円形脱毛症は、丸いコインのような境界がはっきりとした脱毛が突然発症するのが特徴です。精神的ストレスが主な原因といわれていますので、ストレス軽減に努めましょう。また、一か所の脱毛から広範囲の脱毛まで認められるので、まずは皮膚科を受診しましょう。
AGA(男性型脱毛症)は、額の生え際や頭頂部の髪が徐々に薄くなる脱毛症をさします。男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン」が原因で、太く長い毛になれず、細い短い毛が早々に脱毛することで毛量が減ってしまいます。AGA治療を専門とする病院も最近増加し、外用薬と内服薬を併用して治療することが多いです。

男性で髪の毛がよく抜ける・抜け毛が多い症状で考えられる原因と治し方

男性の抜け毛が増える原因として頻度が高いのが、AGAや粃糠(ひこう)性脱毛症です。
粃糠性脱毛症は、頭部粃糠疹(いわゆるフケ)と脱毛が合併したもので、フケが大量に発生することで毛穴をふさぎ、毛穴に存在する菌が増殖して髪の発育ができなくなり脱毛を来す疾患です。髪の洗いすぎや洗い残しや頭皮に合わない整髪料の使用が原因でフケが大量発生するので、洗髪の改善やそれでも改善のない場合は皮膚科を受診しましょう。

女性で髪の毛がよく抜ける・抜け毛が多い症状で考えられる原因と治し方

女性の抜け毛が増える原因として頻度が高いのが、FAGA(女性型脱毛症)や膠原病による脱毛症、内分泌疾患や妊娠出産による脱毛です。
FAGAは、Female Androgenetic Alopeciaの略で AGA(男性型脱毛症)の女性版という意味でFAGAと名付けられました。頭頂部を中心に広い範囲で毛の密度が下がり、髪が細くなる、髪のボリュームがなくなるといった症状が認められます。原因は、遺伝的素因、環境的要因、さらに他のまだ解明されていない要因の組合せで発症するといわれています。外用薬と内服薬で加療することもあります。
膠原病による脱毛症は、膠原病の基礎疾患があり、前頭部~側頭部を中心に全体的に毛が抜けるのが特徴です。多くの場合、基礎疾患の改善により脱毛も改善を認めます。
内分泌疾患や妊娠による脱毛は、内分泌機能の障害(甲状腺疾患など)、妊娠出産による女性ホルモンバランスの変化で起こるといわれています。内分泌疾患があればそちらの治療を行うことで脱毛は改善でき、妊娠出産にともなう脱毛はこれらが終了した後に女性ホルモンバランスが整うと発毛してくることがほとんどです。
いずれも抜け毛が気になる場合には、皮膚科を受診することが良いでしょう。

ストレスで髪の毛がよく抜ける・抜け毛が多い症状で考えられる原因と治し方

ストレスによって抜け毛が増える疾患には、円形脱毛症や抜毛症(トリコチロマニア)などが挙げられます。
抜毛症(トリコチロマニア)は、自身で自分の毛を抜くことを繰り返し、それにより髪が失われることで脱毛が起こる疾患です。こどもに多く、自身で頭髪を抜く癖に気づいていない場合や癖を認めない場合も少なくありません。ストレスだけではなく、自閉症や不安神経症、うつ病などの関与も考えられています。
まずは皮膚科を受診してみましょう。場合によっては、精神科への受診も勧められるかもしれません。

すぐに病院へ行くべき「髪の毛が抜ける」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

大量のフケがある、または、まだら状・点状の脱毛症状の場合は、皮膚科へ

細菌やウイルスなどによる感染による脱毛症の場合には、フケが大量に出現したり、まだら状・虫食い状の脱毛が見られたりします。白癬菌に感染して白癬性脱毛症・頭部白癬を発症したり、梅毒トレポネーマに感染して梅毒性脱毛症を発症することがあります。これらは自力で治すことはできないので、早めに皮膚科での治療を開始する必要があります。自己判断で対応する時間を長くしないことも重要です。

受診・予防の目安となる「髪の毛が抜ける」症状のセルフチェック法

人間は1日に数十本は自然に抜けるといわれているので、毎日ある程度の脱毛はありますが、いつもより抜け毛の量が増えた、部分的に脱毛が進んでいる、かゆみやフケを多く伴っているなどの症状がありましたら、皮膚科に受診をお願いします。

「髪の毛が抜ける」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「髪の毛が抜ける」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

AGA

AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で、男性型脱毛症といわれています。
成人男性におこりやすい額の生え際や頭頂部の髪が徐々に薄くなる脱毛のことをいいます。
AGA発症の原因物質は、男性ホルモンのひとつであるジヒドロテストステロンです。
テストステロンという男性ホルモンが体内で作られ頭皮に運ばれると、より強い男性ホルモン作用を持つジヒドロテストステロンに変化します。すると太く長い毛になれず、細い短い毛が早々に脱毛してしまうようになり毛髪量が少なくなると言われています。
AGAに対しては、ジヒドロテストステロンの働きを抑える薬を内服したり外用薬を併用したりすることで治療することが多いです。
額の生え際や頭頂部の髪が徐々に薄くなってきたり、脱毛量が増えてきたりすることを意識した場合、まずは皮膚科を受診してみましょう。AGA治療を専門とした自費診療を行っているクリニックもあるので、こちらの受診でもいいかもしれません。

円形脱毛症

円形脱毛症とは、丸いコインのような脱毛が何の前触れもなく突然発症することが特徴の脱毛症です。脱毛が1ヵ所おきるタイプ、複数か所に認められるタイプ、頭部全体の脱毛があるタイプ、頭部のみならず全身に脱毛が認められるタイプなど重症度はさまざまです。
精神的ストレスを含めたさまざまな原因によって、毛包(髪を作る根元の部分)をターゲットとした自己免疫がおこり、毛包が炎症細胞の攻撃を受けて破壊されるため脱毛がおこります。また、円型脱毛症は家族内発生が認められることもあり、遺伝の要素も関与すると言われています。
脱毛量が少ない場合は、自然治癒することが多いと言われています。
脱毛量が多いと薬を使った治療が必要になります。また、脱毛の範囲が広いと治療が長引くこともあります。ステロイドの塗布・局所免疫療法・紫外線療法を行うことが多いですが、重度の場合はステロイドや免疫抑制剤の内服をすることもあります。部分的な脱毛が1ヵ所でもみとめれば皮膚科を受診を検討しましょう。

膠原病

皮膚科で脱毛症の原因が膠原病であることを疑われて、膠原病内科を紹介されることがあります。例えば、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎などの膠原病・自己免疫疾患では、その治療中に頭部全体の毛が抜けることがあります。
一般的には、自己免疫疾患の病状の改善に応じて脱毛も徐々に改善することが多いと言われています。おおもとの自己免疫疾患の治療は、膠原病内科にてステロイドや免疫抑制剤を使用することが多いです。抜け毛が多くなったと感じた場合には、まずは皮膚科への受診を検討するのが良いでしょう。

梅毒

梅毒による脱毛の場合、後頭部~側頭部にかけて虫食い状・まだら状に脱毛が起きることが特徴的です。原因は梅毒の原因菌となるTreponema pallidumという細菌の感染です。
治療には抗生物質の投与が必要です。脱毛症状が見られる前に、性器や肛門などにしこりやイボが見られることがあります。このような症状があったら早めに泌尿器科や皮膚科で治療を受けることが重要です。

異常に「髪の毛が抜ける」ときの正しい対処法は?

手ぐしでたくさんの毛が抜けたり、細く短い毛が抜けるようになったり、抜けた毛が枕やお風呂の排水溝に以前より多くある時には、異常な抜け毛であるということが多いです。
髪のセルフケア方法としては、髪の洗いすぎや洗い残しや頭皮に合わない整髪料の使用が原因で頭皮の環境が悪化するので、洗髪は1日1回で洗い残しのないようにすることが大事です。
睡眠不足や喫煙は良質な髪の発育を抑制してしまうため、1日に7~8時間以上の睡眠をとり、禁煙に努めましょう。また、髪の主成分はタンパク質であり、髪の生成には亜鉛やビタミンB群が重要な働きをしているため、これらの栄養を十分摂取するために、バランスの良い食事を心がけましょう。
AGAによる脱毛と診断されていれば医師と相談して育毛剤や発毛剤を使用してもいいかもしれませんが、他の原因の脱毛症である場合もあるので、自己判断はしない方が無難です。早く治したい時や頭皮のトラブルがあるときにも、皮膚科を受診するようにしましょう。

「髪の毛が抜ける」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「髪の毛が抜ける」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

髪の毛が抜ける量が増えたようです。何科の病院で治療できますか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

多くの場合、脱毛の原因はAGAですが、円形脱毛症をはじめとした病的な脱毛症が隠れていることもあるので、皮膚科への受診をお勧めします。

抜け毛が多くAGA治療を検討中です。受診の判断基準はありますか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

AGA治療は自費診療の分野であるので、ご自身が脱毛のことを気にされた時が治療のはじめ時、という認識でもいいかもしれません。実際にAGA外来をしていると20-30代の未婚男性、外見に気を使われている方の受診が多い印象です。

髪の毛が抜けやすいのはストレスと関係がありますか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

ストレスと関係があるといわれています。頻度の多い円形脱毛症やAGAも精神的ストレスや身体的ストレスが引き金になることがあります。脱毛症を発症・増悪させないためにもストレス軽減できるように心がけましょう。

産後に自分でできる抜け毛対策は何かありますか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

ホルモンバランスの著しい変化、睡眠不足、授乳による栄養不足などが原因で、産後2,3か月から脱毛が起こることが見られます。もし可能であれば、睡眠を少しでも多くとることや、髪の生成で必要なタンパク質やビタミンB群などの栄養を摂取することで軽減する可能性があります。

まとめ

毛髪は人の第一印象を決定するうえで大きな要素を占めるといわれています。少しでも
脱毛に悩まれている方や不安に思う方は、病気が隠れていることもあるので、早い段階での専門科の受診をお勧めします。

「髪の毛が抜ける」で考えられる病気と特徴

「髪の毛が抜ける」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

  • AGA(男性型脱毛症)
  • FAGA(女性型脱毛症、女性男性型脱毛症)
  • 先天性脱毛症
  • 粃糠性脱毛症
  • 抜毛症(トリコチロマニア)
  • 瘢痕性脱毛症
  • 妊娠出産に伴う脱毛症
  • 膠原病による脱毛症(全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎)
  • 薬剤性脱毛症
  • 感染性脱毛症(梅毒、白癬)

脱毛に対する対策は早めから行うことが重要ですので、気になった際には早めに受診することを検討しましょう。

「髪の毛が抜ける」と関連のある症状

「髪の毛が抜ける」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「髪の毛が抜ける」他に、これらの症状がある際は、「AGA(男性型脱毛症)」「FAGA(女性男性型脱毛症)」「円形脱毛症」「感染性脱毛症」「抜毛症」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか治らない場合は早めの医療機関への受診を検討しましょう。

この記事の監修医師

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