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「びまん性脱毛症」を発症する原因・セルフチェック法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/04/11
「びまん性脱毛症」を発症する原因・セルフチェック法はご存知ですか?医師が監修!

びまん性脱毛症とは、女性が発症しやすい脱毛症のことです。加齢とともに減少する女性ホルモンに主な原因があるとされています。

健康的で美しい髪の毛は、女性の魅力をより引き出してくれるものです。

「髪のボリュームが減ってきた」・「抜け毛が気になる」・「髪に艶やコシがなくなってきた」という方は、びまん性脱毛症を発症しているかもしれません。

脱毛のお悩みは、医療機関を受診することで治療できます。今回は、びまん性脱毛症の主な症状・原因・治療方法などをご紹介します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

びまん性脱毛症(女性型脱毛症)の主な症状と原因

綺麗な髪の女性

びまん性脱毛症の主な症状を教えてください。

びまん性脱毛症は部分的ではなく頭全体において脱毛が見られ、頭髪が薄くなってしまうのが主な症状です。
びまん性脱毛症と比較して男性型脱毛症(AGA)がありますが、こちらは部分的に脱毛してしまうのが主な症状です。びまん性脱毛症も男性型脱毛症も性別関係なく発症するため、女性でも男性型脱毛症を発症してしまうことはあり得ます。
ただ、発症数として見た際に女性ホルモンが影響するびまん性脱毛症は、やはり女性が発症しやすい傾向にあることを押さえておきましょう。

びまん性脱毛症が女性に多く発症する理由を教えてください。

そもそも女性は、脱毛しにくい身体のつくりになっています。というのも、脱毛の原因となる男性ホルモンが少ないからです。
男性ホルモンが原因で起こる男性型脱毛症(AGA)は、やはり男性ホルモンの多い男性の方が発症しやすい傾向にあります。反対に、女性ホルモンは髪の育成を促進するものです。そもそも髪の毛が抜けにくく、髪の毛が抜けてもすぐに生えてくるようになっています。
びまん性脱毛症は、女性ホルモンのバランスが崩れることで発症します。そのため、女性ホルモンの影響を受けやすい女性の方が多く発症しやすいです。

びまん性脱毛症の原因が知りたいです。

びまん性脱毛症の主な原因は、女性ホルモンのバランスが崩れていることにあります。女性ホルモンのバランスは様々な要因で崩れてしまいますが、基本的な原因は加齢と生活リズムの乱れと考えておくと良いでしょう。
まずは加齢についてです。主に更年期を迎えた50代の女性は、女性ホルモンが減少する傾向にあります。健康的な髪を育てる役割を担う女性ホルモンの分泌量が減ってしまうので、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりしてしまうのです。生活習慣に何も問題がなくても、女性ホルモンは加齢とともに減少してしまいます。
次に生活リズムの乱れについてです。これは当たり前ではありますが、生活リズムが乱れていると女性ホルモンの分泌量のバランスも崩れてしまいます。
例えば栄養バランスの偏った食事をしていたり、十分な睡眠を取っていなかったりしていませんか?正しい生活リズムは健康的な身体を作ります。このままではびまん性脱毛症に限らず、様々な疾患を引き起こしてしまいかねません。
もしも不安なことがあってストレスを抱えているのであれば、思い切って休息を取り、解消できるのであれば解消してしまいましょう。生活習慣を整え、健康的な生活を送ることが大切です。

びまん性脱毛症(女性型脱毛症)のセルフチェックと治療

髪の毛を気にする

びまん性脱毛症のセルフチェック方法を教えてください。

びまん性脱毛症は、徐々に進行します。もし急に抜け毛が気になるようになったという場合には、別の原因によって脱毛しているのかもしれません。
主に更年期を迎える40歳代から50歳代での発症が多いです。また、びまん性脱毛症の最大の特徴は、頭頂部の広い範囲に脱毛が見られることです。男性型脱毛症とは異なり、完全に抜け落ちることはありません。髪の分け目がよく分かるようになったり、全体的にボリュームが減っていたりしている場合にはびまん性脱毛症かもしれません。
その脱毛が見られる頭頂部周辺のみ柔らかい髪の毛になっていることもあります。自分で触ってみて、頭頂部だけ軟毛になっていないか確認してみてください。後頭部はあまり影響していないことが多いです。

加齢によるホルモン分泌の変化や生活習慣の乱れも原因となるのでしょうか。

びまん性脱毛症は、加齢によるホルモン分泌の変化や生活習慣の乱れも原因となります。前述のように、加齢とともに女性ホルモンの分泌量は減少してきてしまいます。
これは、更年期に入ると卵巣の機能が低下してしまうからです。女性ホルモンには髪の毛の育成を促す働きがあるため、髪の毛の成長サイクルが乱れ、びまん性脱毛症を発症してしまいます。
また、生活習慣の乱れによるびまん性脱毛症の原因としては、ストレス・睡眠不足・栄養不足などが挙げられます。特にストレスはびまん性脱毛症に大きな影響を受けやすく、女性ホルモンの分泌量が減少してきていない10代後半でも発症してしまうことがあるほどです。
心身ともに不安定な状態は様々な疾患を引き起こしてしまうため、適度にストレスを解消し、健康的な生活を送るように心がけてください。

びまん性脱毛症の治療方法について知りたいです。

びまん性脱毛症は、未だ病態が明らかになっていません。そのため、特効薬としての治療法は確立されておらず、それぞれの発症原因と考えられる事柄を解消することで治療を施しています。
男性型脱毛症には効果のあるフィナステリドと呼ばれる内服薬は、びまん性脱毛症には効果がありません。一般的には、ミノキシジルが配合された内服薬や外用剤を使った治療を施します。
ミノキシジルが配合された外用剤は市販でも入手できますが、効果は限定的であるとされています。パントガールと呼ばれる女性専用の抜け毛治療薬も開発されており、医療機関専用サプリメントとして提供されています。こちらはびまん性脱毛症にも一定の効果があるとされているため、医師と相談の上で決めるようにしてください。

びまん性脱毛症(女性型脱毛症)の対策方法

キッチンでくつろぐ女性

びまん性脱毛症は日常でも対策できるのでしょうか。

びまん性脱毛症は日常生活の中で対策が可能です。この病気はホルモンバランスの乱れが主な原因ですので、ホルモンバランスが乱れないよう健康的な生活を送ることが求められます。
例えばバランスの良い食事を1日3食きちんと取ったり、ストレスをためたりしないように定期的にリフレッシュしたりすることが有効です。加齢によるホルモン量の減少は避けられませんが、バランスが崩れることは避けられます。
今日からできることは多くありますので、ぜひ色々と試してみてください。

びまん性脱毛症は完治する病気なのでしょうか…。

びまん性脱毛症が完治するかは個人差があります。適切な治療を受けることで進行を止めることは可能ですが、それが完治するまで症状が回復するかは分かりません。
ただ、びまん性脱毛症は進行形の病気のため、放っておいても良くなることはありません。医療機関を受診して適切な利用を受け、少しでも症状を回復できるようにすることが大切です。

びまん性脱毛症は早期からの治療が重要だと聞いたのですが…

前述のようにびまん性脱毛症が進行形の病気であることから早期からの治療が重要だといわれています。早期から治療できるほど、治療期間も短くなりやすく、すぐに症状を回復できる可能性があります。
少しでも違和感があったら、すぐに医療機関を受診するようにしてみてください。もちろん、びまん性脱毛症が進行している状態でも治療することは可能ですのでご安心ください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

男性型脱毛症とは異なり、びまん性脱毛症は髪全体に症状が見られる特徴があります。びまん性脱毛症の原因はホルモンバランスの乱れによるところが大きく、生活習慣やストレスに起因していることも少なくありません。
症状が気になり出したらすぐに医療機関を受診し、ご自身の生活を振り返ってみてください。

編集部まとめ

女性実業家
びまん性脱毛症とは、女性に多く見られる頭頂部の脱毛や軟毛です。特効薬的な治療法は確立されていませんが、医療機関を受診することで治療できます。

早期からの治療の方が効果を実感しやすいため、違和感に気づき始めたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

健康的な髪の毛は女性にとっての美の象徴です。お一人で悩まず、気軽に相談するようにしてください。

この記事の監修医師