爪ボコボコ
爪の表面が縦や横にボコボコとしているのは、日々のケアだけのせいではありません!水分不足や栄養バランスの偏りなど、身体のなかから爪トラブルは始まっているんです。Medical DOC監修医がぼこぼこ爪の要因と改善法を徹底紹介します。
つめがボコボコになる原因と対処
思い当たるきっかけなどがないのに、爪がボコボコになっていると不安になりますよね。
自分でケアできるものから、皮膚科を受診した方が良いものまで、さまざまな原因が考えられます。症状別の対処法や改善法をご紹介させていただきます。
爪に縦線が現れるのは乾燥が原因
爪の表面に縦スジや縦線が現れ、表面がデコボコになったり、爪が縦に割れたりすることがあります(爪甲縦条)。
原因としては、乾燥が考えられます。
爪の表面には、もともと縦方向の線維が走っていますが、乾燥によって水分や脂分が失われるとその線維が目立って見えるようになります。加齢によっても体の水分が失われていくので、特に30代以上の人には、誰でもこのような症状が現れる可能性があるのです。
対応策としては、まずは爪を保湿することが大切です。保湿剤や保湿成分の高いクリームを使うのが良いでしょう。手洗いやアルコール消毒の後や、皿洗いやお風呂などお湯を触った後などは特に乾燥するので、保湿をしましょう。
爪に縦スジが現れるだけなら、様子をみておいて問題ありません。ただ、爪に黒い縦筋や黒い縦線が現れたら、悪性黒色腫のような皮膚がんである可能性もありますので、早めに皮膚科を受診してください。
爪に横線が現れるのはストレスが原因
爪の表面に横線、横スジが現れ、横方向に溝ができたり、段のようにデコボコになることがあります。これらの症状の原因にはストレスの影響が考えられます。
ストレスにさらされると、一時的に血流が悪くなり、爪の発育がスムーズにいかなくなり、数ヶ月後にその部分が凹みとして現れ、横スジになります。爪は1ヶ月に約3mm伸びるので、横線の位置が根元から3mmの位置にあれば、だいたい1ヶ月前に何らかのストレスを受けた可能性があると思われます。
睡眠をしっかりとり、規則正しい食生活や生活リズムを心がけましょう。ストレスが一時的なものであれば、爪は根元の部分から正常に戻っていくので、自然に治るのを待ちましょう。爪に横スジが連続してできる、治らない場合は別の病気の可能性もありますので、皮膚科を受診しましょう。
爪がもろくなったり、白い斑点が現れたりするのは栄養不足が原因
爪に横スジが現れる、爪がもろくなる、などの症状が現れることがあります。原因としては、栄養不足に陥っていることが考えられます。タンパク質不足だと、二枚爪になることがあり、鉄分不足だと爪がスプーンのように反り返るスプーンネイルになることがあります。亜鉛不足だと、爪の表面に白い斑点が現れます。
爪は健康のバロメーターといわれるほど、爪は体の栄養状態を反映しているといえます。栄養バランスが偏ったり、無理なダイエットをしたりすることで栄養不足になると爪の発育が妨げられ、症状が現れます。
対応策としては、バランスの良い食事を心がけることや、睡眠をしっかりとることや、血行を良くするため体を冷やさないことが重要です。爪の変色や反り返りなどの症状が続く場合は、皮膚科を受診しましょう。
爪がデコボコしていたり、剥がれたりする状態はアトピーが原因
爪がデコボコになる、爪が変形する、爪が剥がれる、爪の周りの皮膚も荒れることがあります。原因としては、アトピー性皮膚炎による爪の症状である可能性があります。
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質の人にできる治りにくい湿疹で、爪に症状が現れることがあります。遺伝的な体質や、発汗、日常生活のさまざまな刺激やストレス、乾燥、食べ物、ダニやホコリ、花粉などが原因となりえます。
皮膚が乾燥し、バリア機能が低下することを防ぐため、水分と油分を補給して、保湿をすることが大切です。
アトピー性皮膚炎は、軽快と悪化を繰り返す慢性疾患です。根気よく治療する必要があり、皮膚科を受診した方が良いでしょう。抗炎症薬、免疫抑制薬、ステロイド剤の外用療法が効果的です。
爪が緑色や黒く変色している状態はネイルが原因
ネイルをしている人によく見られますが、爪が緑色や黒ずんだ色、褐色調になることがあります。
原因としては、緑膿菌という菌の感染が原因です。緑膿菌は腸内細菌の一つで、湿った環境を好みます。付け爪やスカルプチュアネイル、ジェルネイルをしている場合、付け爪と自然の爪の間に隙間ができ、そこに湿潤した環境ができる緑膿菌感染を生じます。
対応策としては、しばらくネイルをやめて、患部を乾燥させ、清潔な状態を保つように心がけることです。浮き上がっている爪を爪きりで取り除き、爪の表面が変色していればヤスリで色を削りましょう。薬を用いなくても大抵は自然に治りますが、皮膚科を受診して診断してもらい、緑膿菌の外用薬を処方してもらう方が望ましいでしょう。
親指の爪1本だけがボコボコしているのは触りすぎが原因
親指の爪だけが、表面に波を打つように次々に横方向の溝ができたり、ボコボコになったりすることがあります。原因としては、親指の爪の根元を触りすぎることによるものが考えられます。
他の爪などで親指の爪の根元を押すように触ることで、爪を作る爪の根元が圧迫され、新しく生えてくる爪がデコボコになってしまいます。親指の爪の根元を他の指や鉛筆などで押さえたり触ったりする癖がある人や、職業上道具がよく親指の爪の根元に触れる人に多く見られます。
対応策としては、親指の爪の根元を触る癖がある人は、できるだけ触らないようにすることが最も大切です。親指の爪を触ることをやめれば爪の生え変わりとともに正常な爪に回復しますが、それが難しい場合や、なかなか治らない場合は、皮膚科で相談してください。
すぐに病院へ行ったほうが良い「爪がボコボコ」の症状
爪の症状は痛みの強いものが少ないため、放置してしまいがちです。しかし、中には見逃してはいけない体のSOSサインがあります。ここでは、すぐに病院へいくべき爪の異変などを紹介します。
爪が白く濁る、ボロボロになる症状の場合は、皮膚科へ。
爪が白や黄色に濁る、ボロボロになる、厚くなりボコボコになる場合は、爪の水虫(爪白癬)である可能性があります。
これは、白癬菌というカビの一種が原因で起こる病気です。爪白癬は感染するので、自の体の他の部位に感染したり、他の人に感染させたりする可能性があります。
主な診療科は皮膚科です。爪白癬は放っておいても治る病気ではないので、早めに皮膚科を受診してください。爪水虫の治療はお薬で白癬菌を殺菌し、新しい綺麗な爪に生え変わるのを待つので、約6ヶ月から1年以上の治療期間となります。根気よく取り組むことが重要です。
爪の根元が赤く腫れている場合は、皮膚科へ。
指の爪の根元が赤く腫れ、爪がデコボコになっている場合は、カビの一種であるカンジダに感染した可能性があります。
カンジダ感染は、爪の表面と爪の生え際の隙間にカンジダやその他の細菌が入り込んで起きる病気です。水仕事の多い人によく見られます。カンジダは人に常在する菌ですが、体の抵抗力が弱ったり、水仕事による湿潤により菌が増えたりすると発症します。
主な診療科は、皮膚科です。カンジダの感染には手荒れの薬は効かず、ステロイド外用剤では逆に悪化します。カンジダ症かどうか確かめるには、菌がいるかどうか顕微鏡で検査する必要があるため、疑わしい症状がある場合は早く皮膚科を受診してください。
爪がボコボコしているときに使っても良い市販薬・塗り薬
乾燥が原因の場合、保湿が重要です。
<使用しても良い市販薬>
- ヘパリン類似物質
- 尿素
これらには水分を保持する保湿効果があります。これらを含む市販薬を使用することは良いでしょう。
油分が多い順に、軟膏、クリーム、ローション、フォームなど様々な形態があります。油分が多い軟膏は効果が高いですがベタつきやすいです。油分が少ないローション・フォームは、保湿効果は低くなりますが、広げやすく広範囲に塗りやすいのが特徴です。
これらでしっかり保湿をした後、皮膚から水分を蒸発させない油性の成分を含むワセリンなどを塗るといいでしょう。
<市販薬を使用する際の注意>
ステロイド剤を自己判断で使うことは避けましょう。ステロイド剤は、炎症を抑える効果があり、病院で処方されることもよくありますが、一般的に、効果の高さと副作用の起こりやすさは比例します。ステロイド剤による副作用で代表的なものはニキビや皮膚の紅潮などです。
ステロイド剤は効果を元に5段階に分類されており、症状の重症度に応じて処方されていますので、皮膚科で処方されたものを使用するようにしましょう。また、感染が原因の場合、ステロイド剤の使用は症状を悪化させますので使わないでください。
内服薬は飲み合わせがあるので、医療機関を受診のうえ服用しましょう。
ボコボコ爪を治す!医師が教えるケアの基本
爪は皮膚の下を流れている血液が透けて見えるため、健康な爪は薄いピンク色に見えます。また、健康な爪には10-20%の水分がありますが、水分が失われると表面に線ができたり、割れたりします。荒れた爪の治療には、原因の究明が不可欠です。
乾燥が原因なら保湿が必要ですし、湿った環境を好む細菌に感染しているのが原因なら乾燥させることが重要なように、原因によって対処法が真逆になります。原因がはっきりしない場合は、皮膚科を受診し治療を行うことをお勧めします。
<食生活>
栄養のバランスのとれた食事に気をつけ、爪の元となるタンパク質やビタミンA、ビタミンBの摂取を心がけましょう。
また、食事と合わせて、しっかり睡眠をとることや、ストレスの緩和、規則正しい生活リズムを心がけましょう。
<保湿>
乾燥が原因の場合は、保湿することが重要です。爪の表面に保湿剤を一日数回塗りましょう。また、透明なトップコートを塗るのも良いでしょう。
アルコール消毒は、感染対策に大変重要ですが、アルコールは皮膚の表面にある皮脂の膜を菌と一緒に溶かして除去してしまいます。肌表面の皮膚のバリア機能が低下し、水分と油分が失われると、爪が乾燥し爪がボコボコになる原因となります。
アルコールでの手指消毒の後は、保湿効果の高いクリームやワセリンでしっかり保湿をするといいでしょう。
「爪ボコボコ」で考えられる疾患と特徴
考えられる病気は10個ほどあります。各病気の詳細はリンクからご覧ください。
関連する病気
- スプーンネイル(匙状爪)
- 波板状爪(洗濯板状爪)
- 爪甲縦列症
- 爪白癬
- 爪甲層状分裂症(二枚爪)
- 陥入爪
- 爪甲剥離症
- カンジダ性慢性爪郭炎
- 爪甲鉤彎症
- 指粘液嚢腫
まとめ
爪がボコボコするのは比較的よく見られる症状ですが、原因はさまざまです。爪は視覚的に捉えやすい場所であるので、体の不調を発見しやすい場所ともいえます。普段から爪の様子を気にかけ、適切なケアと体調管理を心がけましょう。