「花粉で喉が痛くなる」原因はご存知ですか?対処法も耳鼻咽喉科の医師が解説!

花粉で喉が痛くなる原因とは?Medical DOC監修医が原因・対処法・予防法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)
目次 -INDEX-
「花粉で喉が痛くなる」原因
春先や秋の花粉シーズンになると、喉がイガイガする、乾燥して痛い、といった症状に悩まされる方もいるのではないでしょうか。花粉症は、花粉によって生じるアレルギー疾患の総称であり、主にアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が生じます。症状として、くしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状が知られています。しかし、実は花粉の影響で喉の痛みを生じることがあります。ここでは、花粉症による喉の痛みに対する薬などの治し方や対処法について解説しましょう。
花粉によるアレルギー反応
花粉症はアレルギー反応の一種であり、免疫システムが過剰に反応してしまうことが原因となります。よく知られている症状としては、くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみといったものがあります。原因となる花粉としては、スギやヒノキなどがあります。花粉の刺激によって喉頭アレルギーが起こることもわかっています。これは、しつこい咳と喉の違和感が主な症状となるものです。
ヒノキ科花粉症やシラカンバ花粉症の患者の中には、喉の違和感や咳といった喉の症状が現れることも報告されています。
喉の乾燥
花粉が飛散する時期は、空気が乾燥していることが多く、喉の粘膜バリア機能が低下しやすくなると考えられます。そのため、少しの刺激でも喉の痛みを感じやすくなる可能性があります。
口呼吸による影響
花粉症の時期には、鼻詰まりなどの影響で無意識に口呼吸になりがちになってしまうことがあります。口呼吸は喉の乾燥を悪化させ、粘膜を傷つけやすくするため、痛みを伴うことがあります。
二次感染による症状
花粉症の症状が続くと、喉の粘膜が炎症を起こし、細菌やウイルスが繁殖しやすい環境になってしまうことがあります。その結果、風邪や咽頭炎が引き起こされ、さらに喉の痛みが悪化することもあります。発熱や倦怠感、強い喉の痛みがある場合には、風邪や感染症の可能性もありますので、内科もしくは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
後鼻漏
花粉症によるアレルギー性鼻炎などが起こると、後鼻漏といって鼻水が喉の方に落ち込む症状が現れることがあります。後鼻漏によって、喉の違和感や乾燥感、声のかすれといった症状を伴う場合もみられます。
「花粉で喉が痛い」時の対処法
ここでは、花粉症の時期に喉が痛い際の対処方法についてご紹介しましょう。
市販薬や漢方薬の活用
抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン(アレグラ)・ロラタジン(クラリチン)など)によって、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が軽くなることが期待できます。また、喉のスプレー(アズレンスプレーなど)も喉の痛みや違和感を鎮めるために有効なことがあります。漢方薬として、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や麦門冬湯(ばくもんどうとう)も鼻水や咳の緩和に役立つことがあります。
こうした市販薬を使っても症状が治らない場合には、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
生活習慣の改善
喉の痛みを悪化させないために、正常な免疫機能を保つことも重要です。
一般的には、睡眠をよく摂ることや、規則正しい生活習慣を身につけることあります。また、風邪をひかないこと、飲酒・喫煙を控えることも大切です。
喉の乾燥を避ける
喉の乾燥を避けることで、症状が和らぐ効果が期待できます。
花粉が喉の粘膜に付着すると炎症が起こりやすくなるので、こまめにうがいをし、喉の花粉を洗い流しましょう。また、のど飴を舐めることや、加湿を心がけることも良いでしょう。
室内に花粉を持ち込ませない
喉の症状を含む花粉症の症状が出ている場合にも、花粉をより多く取り込まないようにすることで症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
例えば、以下のような工夫があります。
・帰宅時に玄関で服を払って花粉を落とす
・洗濯物は部屋干しまたは花粉が少ない時間帯に外干しする
・空気清浄機の利用こまめに掃除機をかける
このような工夫で、室内に花粉を持ち込ませないようにすると良いでしょう。
医療機関の受診
鼻水・くしゃみと喉の症状がある場合、風邪との区別がつきにくいことがあります。自分で対処をしても症状が改善しない場合や、発熱や倦怠感がある、喉の痛みがますますひどくなってくる場合には風邪を疑い、医療機関の受診を検討しましょう。もしも水分や食事が取れない、あるいは咳が続いて夜も眠れないという場合には、早めに内科や耳鼻咽喉科の受診が必要です。
「花粉」による「喉の痛み」を予防する方法
花粉症のシーズンには、喉の痛みを事前に防ぐことが大切です。日常生活でできる対策や食事面での工夫を取り入れることで、症状の悪化を防ぐことが可能になります。ここでは、花粉による喉の痛みを予防する5つの方法を紹介します。
外出時の花粉対策を徹底する
花粉を体内に取り込まないことが、喉の痛みを防ぐ第一歩です。
まずはマスク(不織布マスクが効果的)の着用を徹底しましょう。そして、メガネやサングラスを活用して目からの花粉侵入を防ぎましょう。髪をまとめる・帽子をかぶることで、髪に付着する花粉を減らしましょう。さらには帰宅時に玄関で服を払い、衣服に付いた花粉を落とすことも良いでしょう。
外出時は、できるだけ花粉の付着を防ぎ、帰宅後すぐに対策をとることで、喉の負担を減らすことにつながると考えられます。
室内環境を整える
家の中に花粉を持ち込まない工夫をすることで、喉への刺激を減らすことができます。
例えば、空気清浄機を活用すると良いでしょう。花粉対応フィルター付きのものが理想です。また、換気は花粉が少ない時間帯に行いましょう。朝や雨上がりは、花粉の飛散量が比較的少ないです。また、可能であれば洗濯物は部屋干しし、外干しする場合は花粉が少ない時間を選びましょう。さらに、こまめに掃除をし、特に床やカーテンに付着した花粉を除去しましょう。
こまめなうがい・水分補給を習慣
喉の粘膜を保護することで、花粉によるダメージを防ぎます。
帰宅後や外出前後のうがいや、こまめに水分補給をすることが大切です。
喉を清潔に保ち、粘膜を潤すことで、花粉による刺激を和らげられます。
質の良い睡眠をとる
睡眠不足は免疫力を低下させ、アレルギー症状を悪化させる要因となります。
就寝前にリラックスする習慣を作るとよいでしょう。また、寝室の環境を整えることも大切です。例えば、布団をこまめに掃除し、ダニや花粉の付着を防ぎましょう。そして、加湿器を使用し喉の乾燥を防ぐことも大切です。
アレルゲン免疫療法を検討する
アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法と皮下免疫療法)は、花粉症の根本治療の一つとして知られています。効果としては、以下のようなものがあります。
・アレルギー症状(鼻水・くしゃみ・喉の痛みなど)を軽減する
・体を花粉に慣れさせ、長期的にアレルギー反応を抑えること
・花粉症の発症リスクを減らし、喉の痛みの予防につながる
ただし、即効性はなく、数ヶ月〜数年かけて効果が現れる治療法となります。「すぐに喉の痛みを治す」ものではないことや、毎日継続する必要があり、治療には最低2〜3年かかることには注意が必要です。
喉の痛みを含めた花粉症の症状を根本的に予防したい場合、アレルゲン免疫療法を検討するのも有効な選択肢です。気になる方は耳鼻咽喉科やアレルギー科で相談してみると良いでしょう。
「花粉で喉が痛い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「花粉で喉が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
花粉による喉の痛みをすぐに治す方法はありますか?
小島 敬史(医師)
花粉症による喉の痛みの治し方は、なぜ喉の痛みが出ているのかによっても異なります。
アレルギー反応が原因の場合には、抗アレルギー薬などの内服によって症状が改善する場合があります。しかし、風邪または細菌感染などの二次的な原因が理由となっている場合には、抗生剤の内服などが必要となることもあります。花粉の時期の喉の痛みを早く治したい場合には、耳鼻咽喉科や内科、アレルギー科の受診をおすすめします。
まとめ
花粉による喉の痛みは、アレルギー反応や乾燥、口呼吸などが主な原因です。日頃からマスクや加湿、食生活に気をつけることで症状を軽減できる可能性があります。症状が長引く場合は、アレルギー科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
花粉シーズンを快適に過ごすために、適切な対策を取り入れてみてください。
「花粉で喉が痛い」で考えられる病気
「花粉で喉が痛い」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
耳鼻咽喉科の病気
- アレルギー性咽頭炎
- 咽喉頭アレルギー
- 風邪
- ウイルス性咽頭炎
花粉が原因となって喉の痛みや違和感がある場合、こうした病気が考えられます。症状が長引く際には、耳鼻咽喉科や内科、アレルギー科を受診しましょう。
「花粉で喉が痛い」に似ている症状・関連する症状
「花粉で喉が痛い」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
花粉による喉の痛みがある場合、これらのような症状も伴うことがあります。花粉によるアレルギー反応や、風邪などの感染症を併発していることもあります。




