「喉の痛みから咳に変わる」のはどうして？原因や対処法も医師が徹底解説！

喉の痛みから咳に変わるとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
伊藤 陽子（医師）

「喉の痛みから咳に変わる」症状で考えられる病気と対処法

なんとなく喉が痛いな、と思っていたら咳が出るようになってきた、というような経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、喉の痛みから咳に変わるという症状から考えられる病気や対処方法について解説していきます。

喉の痛みから咳に変わる症状で考えられる原因と対処法

喉の痛みから咳に変わるという症状は、通常、感染症によるものが多いです。最初に喉の痛みが現れ、その後、咳に変わることがあります。咳は乾いた咳から始まり、徐々に痰を伴う咳に変わることもあります。

考えられる原因には、以下のようなものがあります。

• 上気道感染症（いわゆる風邪）：ウイルスによる感染が原因で、喉の痛みから始まり、咳や鼻水、発熱などの症状が出ます。熱なしのこともあります。
• 急性気管支炎：ウイルスまたは細菌による感染が原因で、喉の痛みに続いて咳が出ます。咳は数週間続くことがあります。
• インフルエンザ：インフルエンザウイルスによる感染症で、高熱、喉の痛み、咳などの症状が急激に現れます。
• 新型コロナウイルス感染症：SARS-CoV-2による感染症です。従来は流行初期にはインフルエンザや普通感冒と比較して、鼻汁・鼻閉は少なく、嗅覚・味覚障害の多いことが COVID-19 の特徴と考えられていました。しかしながら、比較的新しい流行株であるオミクロンの感染では、ウイルスが上気道で増殖しやすいことから、鼻汁・鼻詰まり、喉の痛みなどの感冒様症状が増えたとされています。

喉の痛みや咳がある場合は、まずは内科や子供の場合は小児科を受診しましょう。
発熱がある場合や、感染症が疑われる場合は、事前に病院に電話をして受診の手順を確認すると良いでしょう。受診時にはマスクの着用や手洗いなど、周囲への感染予防対策を行いましょう。
高熱が続く、呼吸困難がある、咳がひどくて眠れないなどの症状がある場合は、すぐに受診する必要があります。
自宅でできる対処法は、十分な休息をとることです。また、のどの渇きを防ぐために、水分をこまめに摂取しましょう。症状に応じて、市販薬の咳止めや解熱剤を使用することも可能と思われますが、使用前に医師や薬剤師に相談することが大切です。

喉の痛みから咳に変わり鼻水が出る症状で考えられる原因と対処法

喉の痛みから始まり、その後咳が出て、最終的に鼻水が出るという症状は、風邪の一般的な経過としてよく見られます。その他、ウイルス感染症や、副鼻腔炎という鼻の奥の副鼻腔に感染が広がる病気でも、鼻水や頭痛、咳などの症状が現れることがあります。
受診すべき科は、内科や小児科が適切です。副鼻腔炎が疑われる場合は耳鼻咽喉科の受診も勧められます。
風邪の症状は感染性があるため、病院に行く際はマスクを着用し、手洗いや咳エチケットを心がけましょう。また、インフルエンザなどの疑いがある場合は、事前に電話で病院に相談すると良いでしょう。高熱が続く、呼吸困難がある、咳がひどいなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

喉の痛みの治りかけに咳に変わる症状で考えられる原因と対処法

喉の痛みが治りかける段階で咳に変わる場合、これは感染症が上気道（鼻から喉までの範囲）から下気道（気管、気管支、肺）まで波及し進行した可能性があります。
風邪の際には最初に喉の痛みが現れ、次第に咳へと移行することが一般的です。
なお、咳は当初は乾いた咳であることが多く、徐々に痰を伴う咳に変わることもあります。
原因としては、風邪や急性気管支炎がまず考えられます。その他にも、アレルギー性鼻炎や花粉症などでも、アレルギー反応が原因で喉の痛みが生じ、その後咳に変わることがあります。
対処法は安静と十分な水分補給です。症状に応じて、市販薬を使用することも可能と考えられます。
喉の痛みや咳が続く場合は、まずは内科や小児科（子供の場合）を受診します。アレルギーが疑われる場合は、アレルギー科や耳鼻咽喉科を受診することも検討しましょう。感染症が疑われる場合は、他の人への感染予防のためにマスクを着用し、手洗いを徹底します。もちろん、高熱が続く、呼吸困難がある、咳がひどいなどの症状がある場合は、すぐに受診する必要があります。

喉の痛みから咳に変わったが熱はない症状で考えられる原因と対処法

風邪の初期段階やアレルギー反応、乾燥した空気にさらされた場合などでみられると考えられます。
対処法は、風邪の引きはじめの場合には体を休める事、水分補給です。アレルギーが原因であれば、アレルギーの原因物質を避け、医師の指示に従って、あるいはアレルギー用の薬を使用します。乾燥を防ぐために、加湿器使用で室内の湿度を保つことも有効である可能性があります。
喉の痛みや咳が続く場合は、内科や子供の場合には小児科を受診しましょう。アレルギーが疑われる場合は、アレルギー科や耳鼻咽喉科の受診が勧められます。症状が長引く、呼吸困難がある、咳がひどいなどの症状がある場合は、すぐに受診をしましょう。

すぐに病院へ行くべき「喉の痛みから咳に変わる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

高熱が続いたり呼吸困難があったりする場合は、内科へ

38度以上の高熱が3日以上続く場合には、インフルエンザ、肺炎、急性気管支炎などの可能性があります。こうした場合には、内科を受診しましょう。病院に行く前に電話で症状を伝え、受診の手順を確認してください。受診時にはマスクの着用や手洗いを徹底し、周囲への感染予防を行いましょう。
また、呼吸困難がある場合は、内科または救急外来を受診しましょう。急性気管支炎、肺炎、喘息の悪化などの可能性もあります。動かなくとも息苦しさが強いなどの重篤な状態であれば、早急に救急外来を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。息苦しさが軽度であれば、まずは内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「喉の痛みから咳に変わる」ときのセルフチェック法

• 喉の痛みから咳に変わる以外に高熱症状がある場合
• 喉の痛みから咳に変わる以外に呼吸が苦しい症状がある場合
• 喉の痛みから咳に変わる以外に咳がひどくて夜に眠れない症状がある場合

「喉の痛みから咳に変わる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「喉の痛みから咳に変わる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

扁桃腺炎

扁桃腺炎は、喉の奥にある扁桃腺というリンパ組織が細菌やウイルスに感染して炎症を起こす病気です。発症の原因としては、主にA群β溶血性連鎖球菌による細菌感染や、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルス感染が挙げられます。
細菌感染が原因の場合には、抗生物質を使用して治療します。適切な抗生物質を処方されるためには、医師の診察が必要です。ウイルス感染が原因の場合には特定の治療薬はありませんが、症状を和らげるために解熱剤や喉の痛みを和らげる薬が処方されることがあります。
自分でできる対処法としては、十分な休息をとり、水分をこまめに摂取することが重要です。また、のどの痛みを和らげるために、うがいやのど飴を使用することも効果的です。
扁桃腺炎の症状がある場合は、内科、あるいは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
一方で、以下のような症状がある場合は、早めに病院を受診してください。

• 喉の痛みが激しく、飲み込みにくい
• 高熱が続く
• 扁桃腺が腫れて白い膿が見える
• 首のリンパ節が腫れて痛む

気管支炎

気管支炎は、気管支の粘膜が炎症を起こす病気です。症状としては、5日間以上続く咳が特徴とされています。主にウイルス感染が原因で発症しますが、細菌感染やアレルギー反応、大気汚染なども原因となることがあります。
ウイルス感染が原因の場合は、特に抗ウイルス薬の投与は行われず、症状を和らげるための対症療法（解熱剤、咳止め、気管支拡張剤など）が中心となります。細菌感染が原因の場合は、抗生物質が処方されることもあります。
急性気管支炎の多くは1〜3週間持続しますが、通常は自然に良くなります。しかし、以下のような症状がある場合は、病院を受診することをお勧めします。

• 咳が2週間以上続く
• 咳に血が混じる
• 高熱が続く
• 息切れや呼吸困難がある

こうした気管支炎の症状がある場合は、内科または呼吸器内科を受診しましょう。

風邪

風邪は、主にウイルスによって引き起こされる急性の上気道感染症です。一般的にはライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなどが挙げられます。風邪は、感染者の咳やくしゃみによる飛沫、手などを介した接触によって広がります。
風邪に特効薬はなく、治療は主に症状を和らげるための対症療法が中心となります。解熱鎮痛剤や咳止め・去痰薬が処方されることもあります。また、充分な休息や水分補給も大切です。
一方、以下のような症状がある場合は、病院を受診することをお勧めします。

• 高熱が3日以上続く
• 呼吸困難がある
• 激しい頭痛や吐き気がある
• 咳やのどの痛みがひどく、改善の兆しが見られない

風邪の症状がある場合は、内科や小児科を受診することをお勧めします。

咽頭喉頭炎

咽頭喉頭炎は、咽頭（いんとう：のどの奥）と喉頭（こうとう：声帯がある部分）の粘膜が炎症を起こす病気です。主にウイルス感染が原因で起こりますが、細菌感染やアレルギー反応、タバコの煙や大気汚染などの刺激物による影響もあります。症状としては、喉の痛み、声がかすれる、咳、発熱などが挙げられます。
治療法としては、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬が使用されます。ウイルス感染の場合には、対症療法が中心となります。例えば、解熱鎮痛剤を使用して発熱やのどの痛みを和らげます。必要に応じて咳止めや去痰薬も使用されます。いずれにしても、充分な休息や水分補給をするようにします。
一方、以下のような症状がある場合は、病院を受診することをお勧めします。

• のどの痛みが激しく、飲み込みにくい
• 発熱が高く、3日以上続く
• 声がかすれたり、咳がひどくなったりする
• 呼吸困難がある

咽頭喉頭炎の症状がある場合は、耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。耳鼻咽喉科では、喉の状態を詳しく診察することが可能です。症状が軽い場合は、内科でも診察を受けることができます。

「喉の痛みから咳に変わる」時の正しい対処法は？

喉の痛みから咳に変わる時の症状の落ち着かせ方としては、まずは安静にして体力を回復させるために十分な休息をとりましょう。また、水分補給や加湿器の使用によってのどの乾燥を防ぎます。
喉の痛みに対しては、軽いものであれば市販ののど飴やトローチ、うがい薬で症状を和らげます。激しい痛みがある場合は、医師に相談してください。咳に関しては、市販薬の咳止めや去痰薬もありますが、咳の原因によって適切な薬が異なるため、医師や薬剤師に相談することが大切です。症状が軽い場合は、市販薬を使用しても問題ありませんが、症状が重い場合や長引く場合は、医師の診察を受けることが重要です。
軽い喉の痛み、一時的な咳であれば市販薬を使用しても良いと考えられます。一方、市販薬を使用せずに早急な病院受診を考える目安は、高熱や呼吸困難があることなどです。
市販薬を使用する場合は、用法用量を守り、指定された時間ごとに服用しましょう。一方、持病があり薬を処方されている場合には、飲み合わせに注意が必要です。また、アルコールとの併用は避けましょう。副作用や相互作用に注意してください。
喉の痛みや咳の症状は、ウイルスなどへの感染が原因であることが大半と考えられます。そのため、普段からバランスの良い食事をこころがけ、感染に対する抵抗力を高めることが大切です。栄養素としては、例えばビタミンCには風邪の症状を軽くし、早く改善させる効果がある可能性があると言われています。
風邪を早く治したい時は、まずは十分な休息をとりましょう。その上で、症状が重い場合や長引く場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。

まとめ　咳が出て長引く時には内科を受診！

今回の記事では、喉の痛みから咳に変わるという症状がある場合に考えられる病気やその対処法、治療法について詳しく解説しました。
喉の痛みが咳に変わる場合、ウイルス感染などによるものが大半と考えられます。しかし、咳が長引いたり症状が重かったりする場合には早めに医療機関を受診するようにしましょう。

「喉の痛みから咳に変わる」症状で考えられる病気

「喉の痛みから咳に変わる」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

喉の痛みから咳に変わる症状の場合には、多くは呼吸器系の病気が考えられます。しかし、中には耳鼻科系や消化器系の病気もありますので、長引く場合には医療機関を受診しましょう。

「喉の痛みから咳に変わる」に似ている症状・関連する症状

「喉の痛みから咳に変わる」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

喉の痛みから咳に変わる場合、風邪などのウイルス感染症の可能性が考えられます。しかし、息苦しいなどの症状がある場合には早めに医療機関を受診してください。