「鼻からゼリー状の塊」がでるのは「蓄膿症」が原因？医師が徹底解説！

鼻からゼリー状の塊が出るとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
マイマイテイリ イマム（新宿アイランド内科クリニック 院長）

「鼻からゼリー状の塊が出る」症状で考えられる病気と対処法

鼻から普通の鼻水ではないどろっとしたものが出た時、どのような病気が考えられるのでしょうか。詳しく解説していきましょう。

鼻から透明のゼリー状の塊が出る症状で考えられる原因と対処法

鼻から透明のゼリー状の塊がでる場合は、鼻腔内に溜まっていた鼻水が一気に出てきている可能性があります。アレルギー性鼻炎や風邪の引き始めなどの症状であることがあります。花粉によるアレルギー性鼻炎の場合は季節性があり、鼻水以外にもくしゃみ、鼻詰まりが3大症状になります。その他、目のかゆみ、充血、喉のかゆみ、皮膚の痒みなどの症状が出る場合もあります。

鼻からゼリー状の血の塊が出る症状で考えられる原因と対処法

​​鼻血の勢いが強いとサラサラの出血がそのまま鼻から出たり、喉の方に流れ込んだりしますが、少量ずつ鼻血がでると鼻腔内で溜まって塊になり、ゼリー状の鼻血がでることがあります。鼻血が出た場合には、まずは椅子などに座って頭を高くし、前屈みになりましょう。喉に流れ込んだ血は飲まずに、口からベーっと吐き出すようにします。ガーゼなどで小鼻に当てて、親指と人差し指で両方の小鼻を強く摘んで圧迫しましょう。3セットほど止血処置をしても止まらない場合や、喉への流れ込みが強い場合などの出血量が多い場合、血液をさらさらにする薬（抗血小板薬、抗凝固薬など）を飲んでいる場合には自然止血は難しいため、すぐに総合病院の救急外来を受診しましょう。

鼻から緑のゼリー状の塊が出る症状で考えられる原因と対処法

​​鼻水に緑色が混ざってどろっとしたゼリー状になる場合、アレルギー性鼻炎、風邪、急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎の可能性があります。特にウイルスや細菌の感染で鼻水に炎症反応の証として白血球の残骸が緑色に見えることがあります。細菌が関与している場合には、抗菌薬が必要になることもあります。また、急性副鼻腔炎の場合には頬の痛みや頭痛などの症状を伴うこともあります。強い症状がある場合には、内科や耳鼻科を受診して診察を受けましょう。

鼻から茶色やオレンジのゼリー状の塊が出る症状で考えられる原因と対処法

古い血が混ざると茶色やオレンジ色に見えることがあります。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻腔がんや副鼻腔がんなどの悪性腫瘍が関与していることもあります。がんの場合には、両方ではなく「片側だけ」の症状が続くことが特徴的です。その他、鼻詰まり、頬のしびれ、片側だけ涙がでるなどの症状がでることがあります。痛みがでることは少ないため見逃されがちですが、不安な症状がある場合には耳鼻科を受診して診察を受けましょう。

すぐに病院へ行くべき「鼻からゼリー状の塊が出る」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

大量の鼻血が出る場合は、救急科へ

鼻水に血が混ざったものやサラサラした血が大量に出る場合には、まずは頭を高くした姿勢をとり、前屈みにして血を飲まないような体勢にして、小鼻を抑えましょう。止血が難しい場合や血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、大量の鼻血がでて押さえられない場合にはすぐに救急病院を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「鼻からゼリー状の塊が出るい」ときのセルフチェック法

• ・鼻からゼリー状の塊が出る以外に大量の出血症状がある場合
• ・鼻からゼリー状の塊が出る以外に顔の痛みの症状がある場合
• ・鼻からゼリー状の塊が出る以外に慢性的な出血症状がある場合

「鼻からゼリー状の塊が出る」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「鼻からゼリー状の塊が出る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

蓄膿症

蓄膿症は顔の副鼻腔炎という骨でできた部屋に炎症による膿や肥厚した粘膜が溜まって症状がでる病気である副鼻腔炎の別名です。副鼻腔炎には急性と慢性があり、急性副鼻腔炎が慢性化して症状が長引くと慢性副鼻腔炎になり、どろっとした膿が副鼻腔から鼻をつたって出てきてしまいます。

急性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎は副鼻腔炎のうち、発症から4週間以内の鼻詰まり、鼻水、後鼻漏（鼻水が喉に流れる症状）、咳などの症状に頭痛、頬の痛み、顔面の圧迫感などを伴う病気です。細菌が関与することも多く、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などが原因になります。菌が関与している場合には抗菌薬を用いないと慢性化することもあり、適切な診断と治療が必要になります。症状を疑う場合には耳鼻科を受診しましょう。

鼻血

鼻血は鼻中隔の粘膜からでる血のことですが、特に小鼻から1cmほどのキーゼルバッハ部位というところから出血しやすいため、鼻出血が出た場合には小鼻を強く圧迫すると止血することがあります。鼻血は子ども、特に幼児期から小学校低学年にかけて出やすく、上気道炎や鼻炎、アレルギー性鼻炎、鼻をいじることでの外傷性などが原因になります。激しい出血や慢性的な大人の鼻出血（特に片側のみ）ではがんによる出血の可能性もあります。ひどい出血や繰り返す鼻出血がある場合には、耳鼻科を受診しましょう。

鼻茸

鼻茸は鼻粘膜にできるポリープで、慢性副鼻腔炎（蓄膿症）、好酸球性副鼻腔炎などに合併することが多い病気です。鼻詰まりや臭いを感じにくい、臭い臭いを感じるなどの嗅覚障害を起こすこともあります。鼻茸が多発したり、閉塞の症状が強かったりする場合には内視鏡手術の適応になることもありますので、症状がある場合には耳鼻科を受診しましょう。

「鼻からゼリー状の塊が出る」ときの正しい対処法は？

量が多くなく、塊がでる頻度が少ないのであれば問題ありません。鼻水以外にも、咳、喉の痛みなどの風邪症状がある場合には、よく休みましょう。季節性があり、目の症状などがある場合には花粉症（季節性アレルギー性鼻炎）を疑います。市販の抗アレルギー薬や点鼻薬で症状を改善させることができます。
病院を受診してスギとダニによる花粉症と診断されると、保険診療で根本的な治療として減感作療法（シダキュア®、ミテイキュア®）を行うことができます。数年（3年以上）治療することでスギ花粉とダニに対するアレルギー症状を改善、長期的に消失させることが可能です。
また、副鼻腔炎を疑う症状がある場合には、耳鼻科を受診しましょう。抗菌薬治療を適切に用いることで、慢性化を防ぐことができます。
軽いアレルギー性鼻炎でも鼻出血を起こすことがありますが、激しい出血や自分での圧迫止血でも止血できない場合などには、すぐに病院を受診しましょう。特に心臓や脳の病気で血液をさらさらにする薬を飲んでいる場合には、鼻血も止まりにくく大量出血の原因になることもあります。その場合にはすぐに病院を受診しましょう。

まとめ

鼻からゼリー状の塊がでる時に考えられる病気について解説しました。記事を読んで該当する症状がある場合や不安がある場合には、病院で相談してみましょう。

「鼻からゼリー状の塊が出る」症状で考えられる病気

「鼻からゼリー状の塊が出る」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

鼻汁の量が少なかったり、塊がでる頻度が少ない場合にはそれほど心配しなくても大丈夫です。

「鼻からゼリー状の塊が出る」に似ている症状・関連する症状

「鼻からゼリー状の塊が出る」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「はなからゼリー状の塊が出る」症状の他にこれらの症状がある場合でも「急性副鼻腔炎」「副鼻腔がん」「鼻腔がん」「鼻出血」「鼻茸」「慢性副鼻腔炎（蓄膿症）」「風邪症候群」などの疾患の可能性が考えられます。
大量の塊が出た場合や圧迫をしても止血しない場合には、早めに医療機関を受診しましょう。