「喘息」の症状・原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!
ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音を立てながら咳を繰り返したり、2周間以上咳が止まらなくなったりしたことはありませんか?
「ただの咳だろう」と、そのままにして市販薬などで対処することは大変危険です。咳の症状をそのまま放置しておくと、命に関わることがあります。
今回は、喘息の症状について紹介します。さらに、喘息の原因や治療方法についても詳しく解説していきます。
最近咳が止まらない、咳が長期間続いているという方は、ぜひ最後までご覧ください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
喘息の症状
喘息には、様々な症状があるといわれています。
- 喘鳴
- 呼吸困難
- 胸の痛み
- 激しい咳
症状によって診断も変わってくる場合がありますので、病院を受診するときは細かく症状を伝えることが大切です。ここでは、どのような症状があらわれるのか見ていきましょう。
喘鳴
喘鳴の症状は、息苦しさと息をするたびに「ヒューヒュー、ゼーゼー」という笛のような音が聞こえるのが特徴です。喘鳴の症状例は次の通りです。
- 呼吸をしているとき「ヒューヒュー、ゼーゼー」と音が出る
- 激しい運動をした後、咳き込んだり息苦しさを感じる
- 夜間・早朝に症状が出やすい
- 風邪を引いた後に咳だけが長く続く
- 天気が悪い日や台風など、気圧に変化があると咳き込んでしまう
- 疲れていると咳が止まらない
ヒューヒュー、ゼーゼーという音を医学的には「喘鳴(ぜんめい)」と呼んでいます。狭くなった気管や気管支に、無理やり空気が流れることで喉が笛のように鳴っている状態です。風邪を引いたり痰がらみでゼーゼーなることもありますが、これは喘息の症状とは異なる場合があるので注意が必要です。
呼吸困難
心臓の病気によって発作が起こり、呼吸困難になる場合があります。呼吸困難が引き起こされる喘息は、60歳以上の方に多いとされ夜間に起こりやすいのが特徴です。
ヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴を伴い気管支喘息に似た症状が現れ、息を吸い込むときより吐き出すときに苦しくなります。横になると呼吸困難になるため寝ていられなくなります。
胸の痛み
喘息が起こった場合、同時に胸の痛みや違和感を伴うことがあります。長期間咳が出続ける方に見られる症状で、喘鳴は伴わず乾いた咳が続き胸の痛みが出たり、気道が腫れぼったく痛む場合があります。
痛みが発症するタイミングや持続には個人差があり、重症発作の場合には身動きが取れない程の激痛が襲うことがあるようです。
激しい咳
息もできないほどの激しい咳が続く場合があります。これは、喘息の症状としてはよく知られている症状でアレルギー物質を吸い込んだり、急に冷たい空気を吸い込んだりすると激しい咳が起こります。
激しい咳が続くとあばら骨や腹筋などに痛みが伴ったり、息ができず呼吸困難に陥ったりする場合があるので注意しましょう。
喘息の原因
喘息はアレルギーが原因で起こる場合と、アレルギー以外が原因で起こる場合の2つのタイプがあります。
- アレルギー
- 風邪・感染症
- 喫煙
- 過労・ストレス
様々な刺激が原因となり、喘息が引き起こされます。そのため、これらの刺激を避けることで喘息を抑えることは可能です。ここでは、どのような原因で喘息が起こってしまうのかをみていきましょう。
アレルギー
人の身体には、細菌やウイルスなどの異物から自身を守るために免疫が備わっています。この免疫の働きに何かしらの異常が起こると、咳・くしゃみ・鼻水・発疹などの症状を起こす状態がアレルギーです。アレルギーが引き起こす病気の中に気管支喘息という病気が含まれています。
気管支喘息は、呼吸をする気管支が腫れることで咳や痰、呼吸困難を引き起こす病気です。アレルギーが起こる原因は大きく分けて3つあるといわれています。
- 室内アレルゲン(ダニやホコリ)
- 室外アレルゲン(カビや花粉)
- 食物アレルギー(卵や乳製品など)
アレルギーが原因で喘息になる方は、年々増加傾向にあります。喘息が出る原因のアレルギーはひとつだけとは限りません。アレルギーを予防するには、普段からこまめに掃除を行いダニやホコリなどが残らないお部屋環境を作りましょう。
さらに、たばこを吸っている方は禁煙に取り組みましょう。そうすることで、アレルギーを引き起こすリスクを低くすることができます。
風邪・感染症
風邪やインフルエンザ・百日咳・マイコプラズマなどの感染症が原因で、喘息の発作が起こる場合があります。ウィルスによって気道が炎症を起こし発作が起きている傾向が多いです。風邪が原因の咳であれは2〜3週間ほどで症状は落ち着きますが、感染症が原因の場合は2週間以上咳が続き、咳以外の症状も発症します。
風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症が流行る時期には、できるだけかからないように予防を徹底しましょう。予防方法は、ワクチン接種・マスク着用・人混みに出かけない・帰宅時の手洗いうがいなど基本的なことを行うよう心がけましょう。症状が激しい、または長引く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
喫煙
タバコの煙が喘息の発症・悪化に深く関与していることは、知られていますよね。タバコの煙には約4,000種類の有害物質が含まれているといわれています。タバコの煙と喘息の関係性は次の通りです。
- タバコの煙でアレルギー症状が出る
- タバコの煙に含まれる様々な化学物質の刺激で、過剰になった分泌物が原因で発作が起こる
- タバコの煙にある微細粒子が刺激となり、咳や痰が出て発作が起こる
タバコの煙など大気に含まれる有害物質を吸い込むことで、肺に炎症が起こり肺機能が低下します。さらに喫煙は、気道過敏性を増強させるため、喘息発作を起こしやすくするものです。喫煙歴が長く、1日に数本数が多い人ほど重症化しやすく命に関わる場合があります。
1日でも早く禁煙をスタートさせることで、喘息の症状が和らぎ1年後には咳や痰など発作につながる症状が落ち着いてきます。ご自身だけで禁煙をすることが難しい場合は、禁煙外来などを利用し確実に禁煙ができる方法で行っていきましょう。
過労・ストレス
過労や過度なストレスを感じると、喘息が起こりやすくなることがわかっています。ストレスには4つの要因があるといわれています。
- 環境的要因(大気汚染・天候など)
- 社会的要因(対人関係など)
- 身体的要因(疲労・病気など)
- 心理的要因(悩み・不安など)
気道の粘膜を刺激するタバコの煙や大気汚染、気温の変化をはじめ香水や芳香剤の香りなどもストレスの要因です。さらに、精神的なストレスも喘息を悪化させる要因のひとつとして考えられています。
家事・育児・職場での人間関係、お子様であれば学校生活など様々な要因が重なることで結果ストレスになり喘息を引き起こすことになります。ストレスが大きくなることにより、自律神経やホルモンバランスが乱れ気道が収縮して喘息が起こります。過労やストレスが原因で、大人になってはじめて喘息を発症する方も増えています。
過労やストレスは喘息の症状だけでなく、身体に様々な悪影響を及ぼします。そのため、しっかりと休息する日を確保して、ストレス発散を行うようにしましょう。
喘息の治療方法
喘息の治療方法は吸入ステロイドが基本です。喘息はアレルギーが原因で起こる場合が多いため、原因そのものを取るために吸入ステロイドで治療を行います。
症状によっては、気管支拡張薬を使用し空気の通り道を広げたり、咳や痰がひどく効果が不十分な場合は、抗コリン薬を併用する場合があります。喘息患者の気道は、症状がないときでも炎症は起きており少しづつ進行している状態です。そのため、発作が起きたときだけに対処するのではなく、起こる前の予防も必要不可欠です。
将来重症化することを防ぐために、継続的な治療を行っていきましょう。
すぐに病院に行った方が良い「喘息」症状は?
ゼーゼー、ヒューヒューなどの喘鳴(ぜんめい)に加え、苦しくて横になれないときは喘息発作が疑われます。喘息発作は夜中に悪化することが多く、医療機関へ受診することをためらう時間帯ですが、このような症状がある時は自宅近くの救急外来などにすぐに受診をしましょう。
行くならどの診療科が良い?
気管支喘息の診療は呼吸器内科がおすすめです。
検査としては胸部X線や呼吸機能検査、必要に応じて血液検査が行われます。
受診料の目安(自己負担金額:3割、薬代は含まない)
- 初診+胸部X線+呼吸機能検査+3,000~3,500円
- 初診+胸部X線+呼吸機能検査+アレルゲン検査 9,000円~10,000円
病院を受診する際の注意点は?
1週間以内に発熱があった場合は、受診される前に医療機関へ確認をしましょう(医療機関により受診方法が異なる場合があります)。
治療する場合の費用や注意事項は?
呼吸器内科では吸入薬が処方されることが多いと思います。吸入薬は使い方を正しく理解することが大切です。医療機関か調剤薬局で吸入指導を受けましょう。また、吸入薬を使用した後は副作用予防のためうがいを行ってください。
個人差がありますが、抗アレルギー薬で眠気やだるさが強く出ることがあります。特に車の運転をよくする方(ドライバー)や精密機器の取り扱いを行う仕事の方は、事前に医師へ相談しておきましょう。
まとめ
喘息の症状や原因、治療方法について紹介してきましたがいかがでしたか?
一言で喘息といっても、症状や原因は様々あり咳が続く期間も人によって違います。
「ただ咳が続いているだけ」と、軽く見てはいけません。咳が続くだけではなく最悪の場合、呼吸困難に陥り命に関わります。
咳が続く場合は、医療機関で検査を行い原因を特定してもらい治療を行うようにしましょう。