「手首を反らせると痛い」時の治し方は？主な原因や考えられる病気も医師が解説！

手首を反らせると痛いのを治すには？メディカルドック監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

「手首を反らせると痛い」症状で考えられる病気と対処法

あらゆる病気が原因で、手首の痛みがでます。どのような病気があり、どうやって対処ができるのか、またどんな場合に病院に行くべきかを解説していきます。

手首を反らせると急に痛いの症状で考えられる原因と治し方

手首を反らせると急に痛みが走る場合、何か特定の動作がきっかけとなっていることが多いです。例えば、重いものを持ち上げようとした瞬間、転んで手をついた時、あるいはスポーツ中に手首をひねった時などです。痛みの程度は軽度から激痛まで様々で、腫れや熱感を伴うこともあります。手首を反らせると急に痛みが走る場合、捻挫（ねんざ）や靭帯（じんたい）の損傷、骨折などが考えられます。特に、転んで手をついた際などは、手首の骨が折れている可能性もあります。また、スポーツによる急な負荷で腱や筋肉が部分的に損傷しているケースもあります。比較的珍しい病気として、キーンベック病という月状骨がつぶれる病気もあります。

腫れていないのに手首を反らせると痛いの症状で考えられる原因と対処法

手首を反らせると痛いのに、見た目では腫れてない。こんな症状の場合、慢性的な炎症や使いすぎが原因となっていることが多いです。痛みは、特定の動作をした時にだけ感じることもあれば、鈍い痛みが持続することもあります。 腫れがないのに手首を反らせると痛い場合、最も可能性が高いのは腱鞘炎（けんしょうえん）です。腱鞘炎は、指や手首を動かす腱と、それを包む腱鞘が摩擦によって炎症を起こす病気です。特に、親指側から手首にかけて痛みがある場合は、「ドケルバン病」と呼ばれる腱鞘炎の可能性があります。他にも、手首の使いすぎによる関節炎や、神経の圧迫による痛み（手根管症候群など）も考えられます。

手首を反らせると外側が痛いの症状で考えられる原因と対処法

手首を反らせると、特に外側（小指側）に痛みが走る場合、手首の構造の中でも複雑な部分に問題が生じている可能性があります。ドアノブを回す、タオルを絞る、キーボードを打つといった動作で痛みが強くなることが多いです。 手首の外側（小指側）の痛みで最もよく知られているのは、「TFCC損傷（三角線維軟骨複合体損傷）」です。TFCCは、手首の小指側にある軟骨や靭帯の集合体で、手首の安定性やスムーズな動きを支える重要な役割を担っています。転倒をして手をついた、手首をひねる動作の繰り返し、あるいは加齢などによって損傷することがあります。その他にも、尺骨突き上げ症候群（手首の小指側の骨が長いことによる痛み）や、腱鞘炎の一種である「尺側手根伸筋腱炎」なども考えられます。
（全てに対して）
手首を反らせて痛いという症状がある時は、基本的には「整形外科」を受診しましょう。手首の痛みやしびれのほとんどは、骨、関節、靭帯、腱、神経といった運動器のトラブルが原因です。病院では、いつから、どんな時に、どのように痛むのかを具体的に伝えましょう。例えば、「転んで手をついた瞬間から、じっとしていても痛い」「ドアノブを回すと激痛が走る」といったように、状況を詳しく説明すると診断の手がかりになります。痛む動作や、楽になる姿勢があればそれも医師に伝えましょう。また、過去に手首を痛めた経験や、糖尿病などの持病があれば忘れずに申告してください。

すぐに病院へ行くべき「手首を反らせると痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

骨折が疑われる場合は、緊急で救急外来科へ

激しい痛みで動かせない、見た目が明らかに変形している、強い腫れや内出血が急速に悪くなっている、などの症状がある場合は、骨折など重篤な状態の可能性があるため、ためらわずに救急外来を受診することも視野に入れましょう。夜間や休日など、通常の外来時間外であっても、緊急性が高ければためらわず救急病院へ連絡し、指示を仰ぎましょう。

神経症状がみられる場合は、できるだけ早く整形外科や脳神経内科へ

手首の痛みだけでなく、指や腕のしびれ、感覚の麻痺、指先の力の入りにくさといった神経症状が顕著な場合は、神経の圧迫や損傷が考えられます。なるべく早く受診しましょう。受診した時は、しびれや麻痺がどの範囲で出ているのかを詳しく伝えましょう。場合によっては、神経の伝達速度を測る電気生理学的検査などが必要になることがあります。

「手首を反らせると痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「手首を反らせると痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

腱鞘炎

腱鞘炎は、腱と腱鞘の摩擦によって炎症が起き、痛みが生じる病気です。腱は筋肉と骨をつなぐ組織で、腱鞘は腱を包み、滑りを良くするトンネルのような役割をしています。手首を繰り返し使う作業（パソコン作業、スマートフォンの操作、スポーツ、育児など）によって腱と腱鞘がこすれ合い、炎症が起こります。特に、手首を反らせる動作で痛みが出やすいのが特徴です。指を動かす腱にも起こることがあり、親指に多い「ドケルバン病」は、女性に多く見られます。 初期の腱鞘炎であれば、安静にすることが最も重要です。痛む動作を避け、サポーターなどで手首を固定するのも有効です。痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の内服や、湿布の使用、ステロイドの局所注射などが行われます。症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、手術が検討されることもあります。早めに受診して、治療を行うことが大切です。

捻挫

捻挫は、関節に無理な力が加わることで、関節を支える靭帯や関節包（かんせつほう）といった軟部組織が損傷する状態を指します。手首の捻挫は、転倒して手をついた際や、スポーツ中に手首をひねった時など、急激な外力が原因で起こることがほとんどです。靭帯が伸びる程度の軽度なものから、部分的に切れたり、完全に断裂したりする重度なものまであります。TFCC損傷も、この靭帯の損傷を含みます。 捻挫してすぐの基本的な対処法は、RICE処置と呼ばれるものです。
Rest（安静）: 痛む部分を動かさず、休ませます。
Ice（冷却）: 炎症を抑え、痛みを和らげるために冷やします。
Compression（圧迫）: 腫れを抑えるために、包帯などで軽く圧迫します。
Elevation（挙上）: 患部を心臓より高くすることで、腫れを軽減させます。 軽度な捻挫であれば、RICE処置とサポーターなどによる固定で改善することが多いです。重度な場合は、ギプス固定が必要になったり、手術が検討されたりすることもあります。
靭帯損傷の程度により、ギプス固定をする場合や、手術が必要な場合もあります。

骨折

骨折は、骨が外部からの強い力によって折れてしまう状態です。手首の骨折は、転倒して手をついた際に起こることが最も多く、特に「橈骨遠位端骨折（とうこつえんいたんこっせつ）」と呼ばれる、前腕の親指側の骨（橈骨）の先端部分の骨折が頻繁に発生します。高齢者や骨粗しょう症の方は、比較的軽い力でも骨折しやすい傾向があります。手首を反らせると激しい痛みが生じ、腫れや変形を伴うことがあります。 骨折してすぐは、応急処置として痛みのある場所を固定したり、三角巾で吊るすのも良いでしょう。すぐに病院を受診する必要があります。病院ではレントゲン検査などで診断し、ギプスによる固定や、手術による治療が行われます。

「手首を反らせると痛い」症状の正しい対処法は？

痛みが軽い場合は、まず安静にすることが基本です。手首を休ませ、痛みのでる動作を避けるようにしましょう。サポーターやテーピングで手首を固定し、負担を減らすのも効果的です。急な痛みや腫れ、熱感がある場合は、炎症を抑えるために冷却が有効です。氷嚢や冷湿布で痛む部分を冷やしましょう。腫れていない慢性的な痛みで、熱感がない場合は、血行促進のために温めることも有効な場合があります。蒸しタオルやホットパックなどで温めてみましょう。ただし、炎症が強い場合は逆効果になることもあります。なるべく整形外科を受診し、治療も含めてどのように痛みを落ち着けるべきかを相談しましょう。また、応急処置をしても痛みや腫れがひかない場合、腫れや痛みがひどい場合は、骨折の可能性があるためすぐに病院を受診してください。市販の湿布や塗り薬は、痛みや炎症を和らげる効果が期待できます。軽度な痛みであれば、これらの市販薬を使用しても問題ありません。軽度な痛みでも長く続く場合は、病院での治療を行うのが良いでしょう。
症状を緩和させる市販薬の例
湿布（貼り薬）：ロキソプロフェンやフェルビナクなどの消炎鎮痛成分が含まれたものが多く、貼るだけで手軽に痛みを和らげられます。
塗り薬（ゲル、クリーム）：サリチル酸メチルやインドメタシンなどが配合されたものがあり、患部に直接塗布して使います。
炎症が強い時期に無理なマッサージを行うと、かえって症状を悪化させる可能性があります。痛みが強い場合は避け、痛みが落ち着いてから、専門家の指導のもと行うようにしましょう。

まとめ

手首を反らせると痛いという症状は、日常生活に大きな影響を与えるつらいものです。原因は多岐にわたるため、痛みが強い場合や、軽い痛みでも改善が見られない場合は、迷わずに整形外科を受診してください。早期の診断と適切な治療が、症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復への第一歩となります。

「手首を反らせると痛い」症状で考えられる病気

「手首を反らせると痛い」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 手首の痛みやしびれの症状の多くは、骨、関節、靭帯、腱、神経といった運動器のトラブルが原因ですので、まずは整形外科で相談するのが良いでしょう。

「手首を反らせると痛い」に似ている症状・関連する症状

「手首を反らせると痛い」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 これらの症状は手首を反らせると痛い症状とともに出ることもあります。早めに医療機関を受診するようにしてください。