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「左肋骨の下が痛い」のは脾臓が原因?考えられる病気を医師が徹底解説!

「左肋骨の下が痛い」のは脾臓が原因?考えられる病気を医師が徹底解説!

左肋骨の下が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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「左肋骨の下が痛い」原因と対処法

左肋骨下には脾臓、腎臓、肺や心臓、胃の一部(上部)、大腸などの臓器があります。これらの臓器に症状が出ると、左肋骨下の痛みとして感じることがあります。 肋骨骨折からすい臓がんなど命に関わる病気まで、多種多様な病気が隠れています。肋間神経痛のように長引く病気もあります。病気の種類が多く、自己判断は危険です。痛みが弱くても数日以上続く、痛みに発熱や血尿などが伴うときは、すぐに医療機関を受診しましょう。

左肋骨の下が痛い原因と対処法

左肋骨の下が痛い場合、痛みの原因が内臓、神経、肋骨どれかの可能性があります。急性膵炎、胃炎や胃潰瘍などの内臓の病気、肋間神経痛など肋骨の神経を圧迫される痛みなど、多くの病気が疑われます。肋骨骨折が原因のこともあります。しばらく安静にしても痛みが治まらないときは、消化器内科(骨折を疑う場合は整形外科)を受診して原因を調べましょう。放置すると危険な病気もあります。すい臓がんや大腸がんは、左肋骨下の痛みが出ることがあります。
特に血便が出た、便秘や下痢が続く場合は、大腸がんの可能性があります。すい臓がんは自覚症状が少ないですが、体重減少や黄疸、血糖値が急激に上昇するなどの症状が出ることがあります。
これらの症状が出たら、早急に消化器内科を受診しましょう。左の肋骨の下あたりが突然痛みが出る場合、脾梗塞や腎梗塞の可能性もあります。心房細動などの血栓症が梗塞の原因かもしれません。この場合、血栓を溶かす薬物療法が必要なこともあるため、医療機関の受診が必要です。

時々、左肋骨の下がチクチク痛む原因と対処法

ふだんは問題なくても時々、特定の動作や期間だけ左肋骨の下がチクチク痛むことがあります。これらは肋間神経痛や子宮内膜症の可能性があります。子宮内膜症は下腹部に重い痛みを感じることが多いですが、左脇腹の組織に子宮内膜が増殖すると、月経期に左肋骨の下が痛むことがあります。日常生活が送れないほど月経痛が強い方は、婦人科の受診を検討しましょう。 猫背などで胸を圧迫するときだけ痛む場合は、肋間神経痛の可能性があります。痛む場合には市販の痛み止めを内服しても良いですが、痛みが強い場合には整形外科やペインクリニックで相談をしてみましょう。

食後に左肋骨の下が痛い原因と対処法

食後に痛む場合は胃潰瘍[え大1] や胃炎の可能性があります。みぞおちが痛むことが多いですが、胃の上部は左肋骨の下にあるため、胃の上部に患部があれば食後に左肋骨の下が痛むことがあります。黒っぽい便が出ることもあります。胃に寄生するピロリ菌や飲酒、喫煙、鎮痛剤(アスピリンなど非ステロイド性抗炎症薬)の常用などで発症します。ピロリ菌を除菌しなければ症状の再発、悪化は防げません。これらの症状があれば、できるだけ早く消化器内科を受診して下さい。

空腹時に左肋骨の下が痛い原因と対処法

空腹時だけ痛む場合は、十二指腸潰瘍の可能性があります。胃潰瘍は食後少ししてから痛むことが多いですが、十二指腸潰瘍は空腹時に痛むことが多いです。みぞおちが痛むことが多いですが、放散痛で背中、左肋骨の下など痛むことがあります。原因や治療法は胃潰瘍と同様です。放置すると悪化するため、できるだけ早く消化器内科を受診して下さい。

咳をすると左肋骨の下が痛い原因と対処法

肋骨は意外と脆く、激しい咳をするだけでも骨折することがあります。特に骨粗しょう症の方は肋骨が折れやすいので、注意が必要です。咳や、胸にものが強く当たった後に痛む場合は、整形外科を受診して経緯を説明して下さい。肋間神経痛も、咳で痛みが強くなることがあります。

左肋骨の下がズキズキ痛む原因と対処法

左肋骨下が耐えられないほどズキズキ痛むのは、急性膵炎かもしれません。大量の飲酒をした後に痛みが出た場合は、その可能性が上がります。放置すると意識障害など重症化することもあるので、早急に消化器内科を受診して下さい。

呼吸をすると左肋骨の下が痛い原因と対処法

肋軟骨炎(ろくなんこつえん)は、肋骨と胸骨をつなぐ肋軟骨が炎症を起こす病気です。胸の痛みが主な症状で、左肋骨の下や肩、背中まで痛みが広がることがあります。心臓や肺の病気とは異なり、生命の危険はありません。過度の運動や姿勢の悪さ、連続した咳、ケガなどが引き金になることがありますが、原因不明のこともあります。まず安静を心掛け、痛みが強い場合は市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)を使用します。炎症がある場合は抗炎症薬も処方されます。アイスパックで患部を冷やすと痛みが和らぎます。痛みが数日以上続く、呼吸困難を伴う場合は、すぐに内科や整形外科を受診しましょう。 肋間神経痛も深呼吸で痛みが増すことがあります。

すぐに病院へ行くべき「左肋骨の下が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

痛みが強い、または長引く場合は、消化器内科へ

痛みが強い、弱くても何日も続く場合は何らかの病気がある可能性があります。できるだけ早く消化器内科(または内科)を受診して下さい。
特に、痛みに加え血糖値が急激に上がった場合は、すい臓がんのおそれがあります。もし健康検診などで血糖値の異常を指摘されたら、早急に糖尿病内科(または内科)を受診して下さい。

受診・予防の目安となる「左肋骨の下が痛い」のセルフチェック法

  • 深呼吸する、身体を動かすと痛む場合→肋軟骨炎など
  • 空腹時/食中・食後のみ痛む場合→慢性膵炎/胃潰瘍、胃炎など
  • 激しい咳の後や、肋骨に強い衝撃が加わった後に症状がある場合→肋骨骨折、軟骨炎など
  • 発熱を伴う場合→腎盂腎炎など
  • 突然の激痛がある場合→腎梗塞や脾梗塞など

「左肋骨の下が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「左肋骨の下が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肋間神経痛

肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)は、肋骨に沿って走る肋間神経が刺激されて起こります。左右どちらかの肋骨が痛くなる症状です。片側の胸、脇腹、背中に鋭い痛みが走り、呼吸や猫背、身体をひねると痛みが増すことがあります。ピリピリした鋭い痛みが出ることもあります。 手術や事故など胸部の外傷、猫背など姿勢が悪く神経を圧迫する、帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルス)などが原因です。
痛みが強い場合はブロック注射を行います。補助治療で鎮痛剤や抗うつ薬、ビタミンB12剤、漢方薬などを処方することもあります。 放置しても改善しないので、早めに整形外科や神経内科を受診してください。 帯状疱疹に関しては、帯状疱疹ワクチンを接種することで、発症を予防することができます。

急性膵炎

急性膵炎(きゅうせいすいえん)は膵臓が急激に炎症を起こす病気で、激しい腹痛を引き起こします。痛みは主にみぞおちから左肋骨下にかけて現れ、背中まで広がることもあります。胆石やアルコールの過剰摂取などが原因で、消化酵素の膵液が膵臓の中から出られなくなり、自ら消化してしまうことで炎症が生じます。 絶食と点滴で膵臓を休ませ、回復を待ちます。痛みが強い場合は鎮痛剤や、感染対策の抗生物質を処方します。重症の場合、ICUで管理が必要になることもあります。 激しい腹痛、嘔吐、発熱、黄疸を伴う場合は、すぐに消化器内科を受診して下さい。放置すると意識障害など命に関わるほど重症化するため、早急な対応が必要です。これらの症状が出たら、できるだけ早く消化器内科を受診して下さい。症状が激しい場合は救急車を呼んで下さい。

脾腫

脾腫(ひしゅ)は、何らかの原因で脾臓が腫れる症状で、他の病気が原因で発症します。脾臓は古い赤血球を壊し、免疫機能を担う臓器です。ウイルス性肝炎、マラリアなど感染症や、白血病、リンパ腫、肝硬変などが原因で腫れることがあります。左肋骨下の鈍い痛みや圧迫感、貧血、疲労感が現れます。免疫低下でウイルスや細菌に感染しやすくなります。改善するには原因の病気の治療が必要です。感染症なら抗生物質、血液病気なら化学療法や免疫抑制剤などを行います。左肋骨下の痛みや腫れ、疲労感が続く、風邪や感染症にかかりやすくなる方は内科を受診しましょう。白血病の治療中なら、治療中の医療機関に相談しましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の外(卵巣、腹膜など)に発生する病気です。月経のたびに女性ホルモンに反応して増殖し、剥がれ落ちますが、体外に排出されないため炎症や癒着を引き起こします。主な症状は月経痛の悪化、骨盤痛、不妊症などで、慢性的な痛みや月経時以外の痛みも現れることがあります。原因は月経血の逆流や遺伝的要因、ホルモンの影響などと考えられていますが、不明な点が多い病気です。治療法は、症状を緩和するためのホルモン療法(低用量ピル、黄体ホルモン剤)や鎮痛薬の使用、また進行した場合は手術(腹腔鏡手術など)があります。左脇腹の痛みに加え、月経痛が日常生活に支障をきたすほど強い場合や、不妊、慢性的な下腹部痛がある場合は婦人科を受診しましょう。

骨粗しょう症による肋骨骨折

女性は閉経後、ホルモンバランスの変化で骨密度が急激に下がります。骨粗しょう症は過度なダイエットによる痩せすぎ、閉経によるホルモンバランスの変化で、女性の発症リスクが高い症状です。喫煙や大量の飲酒でも発症しやすいため、不摂生な男性もリスクはあります。骨粗しょう症は骨密度が低下して、骨がスポンジのようにスカスカになります。ちょっとした衝撃や咳などの動作でも肋骨にヒビが入り、折れることがあります。肋骨骨折を起こすと胸部やわき腹に痛む、呼吸する時に痛みや違和感を覚えます。骨折した肋骨は自然治癒するまでは鎮痛薬を服用し、安静にします。同時に骨粗しょう症の進行を防ぐため、カルシウムやビタミンDの補充、骨密度を高める薬が処方されます。左肋骨など胸部に強い痛みがあり、呼吸や体を動かすと痛みが強くなるときは、整形外科を受診しましょう。

急性腎盂腎炎

急性腎盂腎炎は、膀胱から腎臓へ細菌が逆流し、腎臓と尿管の境目にある腎盂(じんう)が感染、炎症を起こす尿路感染症の一種です。腰や背中の強い痛みに加え、発熱や悪寒、頻尿、排尿痛などが起こります。重症化すると高熱や激痛、血尿、意識障害を伴い、腎不全や敗血症を併発します。男性も発症しますが、若い女性が罹りやすい病気です。治療法は、抗生物質の投与を行い、腎盂の細菌を排除します。発熱や痛みを抑える薬も併用します。十分な水分摂取も必要で、重症の場合は入院して点滴や経過観察を行います。 泌尿器科か内科を受診して下さい。症状が重い場合は、救急外来か救急車を呼んで下さい。

「左肋骨の下が痛い」症状の正しい対処法は?

激痛や発熱、吐き気、血尿、黒っぽい便(血便)を伴う場合は市販薬を避け、すぐに内科か消化器内科を受診しましょう。症状が一時的に良くなっても、すぐに再発する場合も同様です。事故や転倒、激しい咳などで強い衝撃を受けた後に痛むときは、整形外科を受診しましょう。強い月経痛を伴うときは、婦人科の受診も検討します。弱い痛みなら数日ほど様子見しても良いですが、市販薬だけで痛みをごまかすのは止めましょう。特に、非ステロイド系抗炎症薬は胃潰瘍を悪化させます。症状が落ち着き、体力が回復するまでは喫煙や飲酒を避け、十分な休息を心がけましょう。

「左肋骨の下が痛い」ときに飲んでも良い市販薬は?

痛みを止めるためには鎮痛剤が効果的ですが、自己判断で服用するならアセトアミノフェンは比較的安全に使用できます。アスピリンなど非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は胃潰瘍のリスクを上げるなど様々な副作用があります。自己判断で飲むのは止めましょう。

「左肋骨の下が痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「左肋骨の下が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

左肋骨の下にある臓器を教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

脾臓です。肺、心臓、腎臓、胃の上部、膵臓の一部も左肋骨下にあります。

左肋骨の下が痛い時、何科を受診すればいいのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

痛みのタイプで担当する科が変わります。体の奥(内臓)が痛む場合は消化器内科や内科、筋肉や骨が痛い場合は整形外科を受診しましょう。しかし、どこが痛いか判断がつかない時はよくあります。その際は内科を受診しましょう。内科医が症状を診て、他科へ繋げます。

まとめ 左肋骨の下が痛むときに、がんの可能性もあり。放置せずに受診しよう!

左肋骨の下が痛い症状は、骨折から悪性腫瘍(がん)まで多様な病気が考えられます。たとえ痛みが軽くても、痛みが長引くときは早めに消化器内科を受診しましょう。膵臓がんなど、命に関わる重病の可能性もあるからです。たとえ軽症でも放置すると、時間をかけて悪化することがあります。原因を診断して、適切な対策を取ることが完治に繋がります。

「左肋骨の下が痛い」で考えられる病気

「左肋骨の下が痛い」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • 脾腫

消化器内科の病気

整形外科の病気

婦人科の病気

泌尿器科の病気

左肋骨の下が痛むときにはさまざまな病気が考えられます。中には放置することで命にかかわるものもあります。痛みが持続する場合や、痛みが強い時には早めに医療機関を受診しましょう。

「左肋骨の下が痛い」に似ている症状・関連する症状

関連する症状

左肋骨の下に痛みがある以外にこれらの症状がみられる場合には、何かしら病気が隠れている場合があります。早めに医療機関を受診しましょう。

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