『ふくらはぎを伸ばすと痛い』原因・何科を受診するべきかご存知ですか？

ふくらはぎを伸ばすと痛いとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
伊藤 陽子（医師）

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」症状で考えられる病気と対処法

ふくらはぎを伸ばすと痛い場合、大きく分けて二つの可能性が疑われます。筋肉の痛み、もしくは血管系の病気による痛みが考えられます。それぞれの症状について詳しく説明をしましょう。

運動などに伴うふくらはぎを伸ばすと痛い症状で考えられる原因と対処法

まず、運動に伴いふくらはぎの痛みが出たときには筋肉痛や肉離れが考えられます。
筋肉痛は運動によって筋肉が損傷され、これを修復する過程で炎症がおこり、痛みが出ると言われています。筋肉痛が起こった時には、入浴やストレッチで筋肉をほぐし、血行を促進させましょう。
肉離れも下腿の筋肉の痛みが起こります。応急処置として、安静、冷却、包帯やテーピングでの圧迫、足の挙上が有効です。その後、早めの整形外科受診が望ましいです。
また、走ることが多い方に起こりやすい「シンスプリント」も下腿の内側に痛みを起こす病気です。過労性骨膜炎とも呼ばれ、脛骨の骨膜が炎症を起こしたことにより痛みが起こります。この場合、運動量を減らしたり、運動靴の見直したりすることがも有効とされています。アイスマッサージやストレッチも効果的です。しかし、疲労骨折など他の疾患との鑑別もつきづらいこともあり、痛みが続く場合には整形外科での診察をお勧めします。

ふくらはぎを伸ばすと痛くてむくんでいる症状で考えられる原因と対処法

ふくらはぎがむくんで動かすと痛みを伴う場合の原因として、下肢静脈瘤に伴う血栓性静脈炎や深部静脈血栓症、リンパ性浮腫の悪化時、蜂窩織炎などがあげられます。
下肢静脈瘤は静脈の弁の働きが悪くなり、逆流が起こると下腿の下方に血液がうっ滞します。このうっ滞により皮下の静脈がこぶ状に盛り上がったり、網目状に浮き出ている状態を指します。下肢静脈瘤のみでは痛みは起こりませんが、進行すると血栓が形成され、炎症が起こり、血栓性静脈炎が発症して痛みを伴います。血栓性静脈炎は自然治癒が多いですが、深部につながる大きな血栓が起こった場合には肺塞栓症が起こることもあるため、循環器内科を受診しましょう。
深部静脈血栓症は深部静脈に血栓ができ、片足が急に腫れ上がり、痛みを伴います。ホルモン剤内服、寝たきり、肥満に合併しやすいです。「エコノミークラス症候群」と呼ばれ、長時間同じ姿勢を保っていることでも起こります。深部静脈でできた血の塊が流され、肺の血管に詰まり肺塞栓症を起こすため、非常に危険な病気です。エコーやCT検査で診断ができます。肺塞栓症が発症すると、胸痛や呼吸困難が起こり、時に心停止をきたすこともあります。非常に危険な病気であり、疑った場合には早急に循環器内科もしくは心臓血管外科を受診しましょう。

ふくらはぎを伸ばすと片方・片足だけ痛い症状で考えられる原因と対処法

今までに挙げた疾患は、筋肉痛を除き基本は片側で起こります。両側で起こる場合には膠原病など特殊な疾患の可能性があるため、病院を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「ふくらはぎを伸ばすと痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

急な片側のむくみを伴う症状の場合は、循環器内科へ

急激に出現した片側で、痛みを伴うむくみの場合には深部静脈血栓症が疑われます。肺塞栓症への進展も考えられるため、胸痛や呼吸困難を伴う場合には早急に受診をしましょう。症状が強ければ、CT検査が施行できる総合病院の循環器内科が良いでしょう。

受診・予防の目安となる「ふくらはぎを伸ばすと痛い」ときのセルフチェック法

• ふくらはぎを伸ばすと痛い以外に熱感や赤みがある場合
• ふくらはぎを伸ばすと痛い以外に急激なむくみがある場合
• ふくらはぎを伸ばすと痛い以外に痛みを伴う片側のむくみがある場合
• ふくらはぎを伸ばすと痛い以外に胸痛や呼吸困難がある場合
• ふくらはぎを伸ばすと痛い以外に強い痛みがある場合

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「ふくらはぎを伸ばすと痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肉離れ

肉離れは、ふくらはぎの内側の中央上部によく発症します。筋肉が伸ばされながら収縮する時に起こる筋肉の部分断裂です。急な方向転換など、瞬発的な動作が原因となることが多いと言われています。「バチン」などという断裂音を感じた時やふくらはぎを伸ばすと痛い場合には肉離れを疑いましょう。この場合、安静にして氷やアイスパックで冷却、内出血や腫脹を防ぐために包帯やテーピングでの圧迫、足を挙上して腫れの軽減を図るようにしてまず応急処置をしましょう。その後、早めの整形外科受診が望ましいです。

むくみ

両側のむくみは痛みを伴わないことが多いですが、腎不全、ネフローゼ症候群、肝不全、低栄養状態など全身の病気を反映するものが多いため、まず内科を受診し原因を調べましょう。むくみを放置すると、うっ滞性皮膚炎を起こして赤みや熱感が出たり、下腿潰瘍の原因となったりします。また、感染を合併すると蜂窩織炎が起こって強い痛みが出ます。むくみが出ている段階で早めに受診し、悪化しないように予防しましょう。まず、原因を治療することが先ですが、むくみはマッサージをしたり、弾性ストッキングや弾性包帯を使用して圧迫することで改善することもできます。
片側のむくみの場合、深部静脈血栓症など緊急性のある疾患もあり注意が必要です。深部静脈血栓症が疑われる場合には、早急な循環器内科受診をお勧めします。

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」ときの正しい対処法は？

原因により対処法は異なります。運動が原因となり筋肉の痛みが疑われる場合には臨時の対処療法（RICE処置）を行いましょう。

• Rest（安静）：痛みがある足を使わないようにしましょう
• Ice（冷却）：患部を冷やします
• Compression（圧迫）：弾性包帯やテーピングで圧迫し腫脹を防ぎます
• Elevation（挙上）：足を挙上し、腫脹を防ぎます

以上をまず行いましょう。市販の湿布や冷却スプレーを使用し、痛みが強い時には鎮痛剤の内服をしても良いです。急性期にすぐマッサージはせず、整形外科を受診しましょう。

片側にむくみと痛みがある場合、深部静脈血栓症が疑われるため、マッサージをしてはいけません。血栓が血流にのり肺へ飛んでしまうかもしれないからです。
むくみは自己判断せずに、まず内科受診で原因を確かめてから、マッサージをしても良いか、圧迫や弾性ストッキングが有効か医師に確認をしましょう。

まとめ ふくらはぎを伸ばすと痛いのはストレッチや弾性ストッキングで予防

ふくらはぎの痛みで考えられる疾患は、筋骨格系と心血管系の2通りに分けられます。筋骨格系の痛みはマッサージやストレッチ、テーピングなどが治療にも予防にも有効です。心血管系の痛みの代表である深部静脈血栓症は、同じ姿勢を保ち続けないようにすること、水分摂取を心がけ脱水を予防し血管内に血栓がつくられないようにすることが大切です。また、そのほかの血管の病気は、原因にむくみや静脈の弁不全による血管内のうっ滞が原因となっていることが多く、弾性ストッキングや弾性包帯で圧迫することで予防ができます。
いずれの病気も放置することで症状が悪化したり、重大な病気につながることもあるため、必ず一度は原因を調べ、今後の対応を確認するために病院を受診しましょう。

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」症状で考えられる病気

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

ふくらはぎを伸ばすと痛い時の原因として多いのは筋肉のトラブルですが、心臓や血管の病気が隠れていることもあります。

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」に似ている症状・関連する症状

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「ふくらはぎを伸ばすと痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「血栓性静脈炎」「深部静脈血栓症」「リンパ浮腫」「肉離れ」「筋肉痛」「シンスプリント（過労性脛骨骨膜炎）」「蜂窩織炎」などの疾患の可能性が考えられます。熱感と赤みがある場合や呼吸困難を伴うような場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。