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「腕のしびれ」の原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が監修!

「腕のしびれ」の原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が監修!

腕のしびれは一過性の場合もありますが、長引くと生活する上で支障をきたすこともあり何か病気の前兆ではと不安にもなります。

そこで今回は腕のしびれの原因について解説していきましょう。原因となる代表的な病気や、腕のしびれを緩和させる対処法も紹介しています。

市販薬で治療が可能かどうかも解説しているので、腕のしびれに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

腕のしびれの症状と原因

腕のしびれとひと口にいっても症状はさまざまです。またその症状によって原因も違ってきます。どのような症状があり、それはどういったことが原因なのかを症状別に解説します。

片方の腕がしびれる症状があるときの原因

片方の腕がしびれる原因の1つに、同じ姿勢を続けていて片腕が圧迫され血流が極端に悪くなりしびれが起こることがあります。また腕を酷使してしまった場合や、高い所に腕を伸ばして作業をし続けた場合にも片方の腕が痛んだりしびれたりすることもあるでしょう。ただこの場合はほとんど時間や日にちが経てば症状が薄れていき回復します。一時的なしびれでなく長く続く場合や、腕だけでなく片方のみ指が動かしにくい下半身がうまく動かせないなどの症状がある場合は要注意です。片方の腕のしびれや指がうまく動かないというときは、脳梗塞や脳血栓など脳の病気の可能性が考えられます。このような場合はできるだけ早く受診してください。また血管の圧迫だけでなく、神経の圧迫によっても同様に片方の腕にしびれが出る場合があり、橈骨(とうこつ)神経麻痺の可能性も考えられます。

腕を上げるとしびれる症状があるときの原因

腕を上げることでしびれが出るのは、何かの作業で腕を上げた状態を長く続けたことが原因の場合もあります。ただその場合は日にちが経てば痛みやしびれは治まります。長くしびれが続く場合には胸郭出口症候群が原因である場合もあるので注意が必要です。胸郭出口症候群とは、「中斜角筋」「前斜角筋」「小胸筋」の緊張により鎖骨下動脈や鎖骨下静脈などが圧迫されたり引っ張られたりすることで起こる症状の総称です。胸郭出口症候群の内小胸筋の緊張で腕神経叢や鎖骨下の血管を圧迫する過外転症候群の場合に、腕を上げたときにしびれを感じるという症状が出ます。過外転症候群のその他の症状には握力の低下やボタンが止めにくいなど指先の冷えやしびれなどがあるので該当する場合には受診をおすすめします。

肩から腕にかけてしびれる症状があるときの原因

肩の痛みをともなって肩から腕にかけてしびれの症状がある場合には、肩関節周囲炎の可能性があります。よくいわれるところの四十肩五十肩ですが、腕を動かすときに強い痛みを感じ、同時にしびれを感じることもあるでしょう。肩関節周囲炎の場合、痛いからと動かさないでいると肩が動かしにくくなってしまいます。その他肩から腕にかけてのしびれの症状が特徴の病気には前出の胸郭出口症候群の他、頸椎症性神経根症、椎間板ヘルニアなどが考えられます。

腕のしびれが現れる代表的な病気

症状に腕のしびれがある病気についてしびれの原因の項目でもお伝えしましたが、その他にも症状として現れる病気があります。代表的な病気について詳しく解説しましょう。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは椎間板の一部が突出して起こる病気ですが、最も多いのは腰椎椎間板ヘルニアで下肢の痛みやしびれが特徴です。腕のしびれが症状として出るのは頸椎椎間板ヘルニアの場合が多く、頸椎部分の椎間板が突出して脊椎を圧迫することで起こります。腕のしびれや痛みに加えて歩きにくくなるなど下肢の痛みをともなうこともある病気です。スポーツなどで無理な姿勢を続けることや日常の姿勢の悪さなどが原因で発症することが多く、特に男性に多いといわれています。自然に治癒することも多い病気ですが、痛みやしびれがひどくなる場合は整形外科へ受診してください。

変形性頚椎症

変形性頚椎症は頸椎が変形したことで、頸椎と頸椎をつなぐクッション代わりの椎間板がすり減り脊椎神経を圧迫し、症状を引き起こす病気です。変形性頚椎症は症状や状態によって次の3つに分類されます。

  • 頚椎症
  • 頚椎症性脊髄症
  • 頚椎症性神経根症

症状としてはいずれも手・腕の痛みやしびれ・ボタンが止めにくい・腕が動かしにくいなどがあります。また共通した特徴に、安静にしていると症状が軽減する、長時間の同じ姿勢で作業を続けると症状が悪化するなどがみられます。

ストレートネック

正常な頚椎はほど良い形にカーブしており頭を支えるのに適した形になっていますが、姿勢の悪い人の頚椎はカーブが消え真っ直ぐになっています。これがストレートネックです。ストレートネックになると頭の重さを支えきれなくなり、次のようなさまざまな症状に悩まされることになるのです。

  • 首のこり肩のこり
  • 手や腕のしびれ
  • 頭痛めまい
  • 腰痛
  • 鬱状態

ストレートネックの症状の1つに腕のしびれが含まれます。これは頚椎の下の方が圧迫されることによって起こる症状です。頚椎の上の方が圧迫されると頭痛やめまいという症状が現れます。ストレートネックはスマホ首ともいわれるように、スマートフォンを見るときの姿勢の悪さが原因で発症することが多いのです。ストレートネックが原因で腕のしびれやその他の症状が現れている場合には、まずストレートネックを改善することが必要になります。また日頃からスマートフォンの持ち方に注意を払う、高い枕を使用しないなど日常生活で良くない姿勢を続けないよう工夫することが大切です。

糖尿病

腕のしびれと糖尿病というと一見関係のない症状のように思えますが、糖尿病の合併症のうち糖尿病性神経障害は手足のしびれが症状として現れます。高血糖のため血流が悪くなり、過剰な糖分の代謝産物が神経細胞に蓄積して神経障害を起こすことがしびれの原因です。糖尿病によるしびれの場合はしびれと同時に感覚の麻痺が起こることもあり、悪化すると手や足が壊疽(えそ)を起こしてしまう危険性もあります。糖尿病が原因でしびれを感じる場合には、食生活や生活習慣を見直すことももちろんですが、しびれが糖尿病の初期段階の症状の場合もあるので受診して検査を行うようにしてください。

腕がしびれるときの対処法・ストレッチ法

腕がしびれたときには、その原因となる病気がないかをチェックした上で自分でできる対処法やストレッチ法を試してみると良いでしょう。腕のしびれ対処法やストレッチ法には次のようなものがあります。

  • 小胸筋のストレッチ
  • 斜角筋のストレッチ
  • あご押し体操
  • さかさま首伸ばし運動

腕のしびれは姿勢の悪さからくることが多く、姿勢を良くし血流を良くするためのストレッチや体操が効果的です。小胸筋のストレッチは腕を上げてゆっくりと体幹をひねる、腕を後ろで組みゆっくりと胸の前面を伸ばすというものです。しっかりと深く息をしながらストレッチしていきます。斜角筋のストレッチは肩に手を置き、首を斜め後ろに引き上げ倒すようにストレッチします。また、あご押し体操は頭だけを前に出し、あごを指で押し元の位置に戻すという簡単な体操です。そして、さかさま首伸ばし運動は後ろに回した手の親指を持ち、胸を開くように腕を少し持ち上げそのままキープする簡単な運動になります。ストレッチを行うことは姿勢を良くするだけでなく、リラックス効果により血流をスムーズに促してくれる効果も期待できるのです。また寝るときの姿勢・高い枕を使用しないこと・バッグの持ち方・スマホやパソコン使用時の姿勢など日頃の生活を見直すことも大切な対処法となります。

腕のしびれは市販薬で治療できる?

腕のしびれに良く効くという市販薬を見かけることがあります。腕のしびれは市販薬で治療することができるのでしょうか。市販薬でしびれに対応できるものもたくさんあります。ただそれはしびれの原因が明確な場合に限ります。市販薬でも治療が可能なしびれの原因を挙げてみましょう。

  • 末梢神経障害
  • 肩こり筋肉のこり
  • 更年期障害

この場合でも改善がみられない場合や、しびれがより強くなる場合、同時に頭痛やめまいがあり言葉が話しにくいなどの症状がある場合は受診が必要です。また市販薬での治療については薬剤師に充分相談することが大切です。

まとめ

腕のしびれは言葉で表しにくい症状で、特に長引くと不安になり辛いものです。

しびれの原因の多くは姿勢の悪さといわれ、姿勢を良くするためのストレッチや運動で症状が軽減されることも多いです。

またストレスをためない規則正しい生活を送ることも、手足のしびれを改善することにつながります。

もちろん重大な病気が潜んでいる可能性も考えて、しびれが長く続きひどくなっている場合や、頭痛などをともなう場合は速やかな受診が必要です。

この記事の監修医師