右肩が痛いのは病気の可能性あり?病気の原因や種類についても紹介します
肩の痛みを経験したことがある人は多いのではないでしょうか。多くの人は肩が凝っているのかなと思ったり、寝違えて首筋が痛いのかなとあまり深刻に考えたりしないかと思います。
ですが、実は肩の痛みが病気のサインである可能性も少なくないです。そこで、本記事では右肩の痛みがでる病気の原因や種類について詳しく紹介します。
監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
右肩が痛い時は病気の可能性も疑おう
右肩の痛みで病気を疑う人はどのくらいいるでしょう。きっと多くの方が、肩が凝っているのかな、と気にされないのではないでしょうか。それは肩の痛みは筋肉が原因だと考えており、温めたり、マッサージをしたりすることでよくなることがあるからだと思います。ですが、実際には肩の痛みは筋肉が原因となる場合だけではなく心臓や内臓の病気の可能性もあります。肩の痛みを単なる肩こりと捉えてしまうのは危険です。肩の痛みがでる原因や病気の種類について解説していきます。
右肩に痛みがでる時の原因とは
右肩に痛みが出る原因は様々です。肩の炎症で痛みが出たり、ストレスで痛みが出たりすることもあります。また高さが合っていない枕場合には、朝起きた時に肩に痛みがでることがあります。肩の痛みの原因によって対応方法が異なるため、痛みが長引く場合には整形外科を受診するとよいでしょう。
ズキズキと痛む場合
右肩がズキズキと痛む場合には、肩関節周囲炎、いわゆる五十肩が疑われます。肩関節周囲炎は五十肩といわれるだけあって、50歳代によくみられます。老化によって肩関節周囲の組織が炎症を起こすことが原因です。
ストレスで痛む場合
精神的なストレスが原因で肩の痛みが出現することがあります。この場合、マッサージなどによって一時的に痛みが軽減することはありますが、それだけでは完治しません。ストレスが原因と思われる場合には、ストレスの原因を見つけ、対処していく必要があります。
朝起きたら痛む場合
朝起きたら肩が痛い場合には、枕の高さが合っていないこと、寝相が悪いことが原因として考えられます。人は立っている時、軽く顎が引いた状態です。ですが、枕が高すぎると顎を引きすぎた姿勢になり、低すぎると顎が過剰に上がった姿勢になります。このような状態で寝ることは、肩や首への負担になるため、朝起きた時に肩に痛みがでます。考えられる対処法として、朝起きた時に肩が痛い場合は、枕の高さを見直してみましょう。自分に合った高さの枕を使用することで肩の痛みが改善されることがあります。横を向いて寝る癖がある方は、仰向けで寝る癖をつけましょう。最初は中々慣れないかもしれませんが、仰向けが一番肩への負担が少ないため、肩の痛みの改善には効果が期待できます。
右肩に痛みがでる病気の種類
病気を原因に右肩に痛みが出る場合があります。肩が痛むからといって原因が肩関節にあるとは限りません。肺・胆嚢疾患・心臓が原因となることもあり、場合によっては命に関わることもあります。身体に異変を感じたら、早期に専門医の治療を受けることが重要です。
気肺
気肺は気胸とも呼ばれており、同じ病気を意味します。気肺とは、肺に穴が空いてしまい、肺から空気が漏れてしまう病気です。人は息を吸う時に、肺が大きく膨らみます。ですが、気肺になると空気が漏れてしまうため、肺が膨らむことができません。そのため、うまく呼吸ができなくなくなり、息苦しさがあらわれます。一般的には、空気の漏れはある程度で止まることがほとんどであり、自然気胸と呼ばれています。ですが、時に空気が漏れ続けてしまうことがあり、この場合は注意が必要です。空気が漏れ続けてしまう気肺は緊張性気肺と呼ばれており、肺の近くにある心臓を圧迫し死亡する危険性もあります。いずれの気肺でも、適切な治療が必要になるため右肩の痛みに加え、息苦しさや胸の痛みも感じる場合には呼吸器内科や呼吸器外科を受診しましょう。
胆嚢疾患
右肩の痛みだけでなく背中の痛みや吐き気、食欲不振などがでる場合は胆石症や胆のう炎が疑われます。胆石症は、胆のうにたまった胆汁と呼ばれる脂肪の消化に関わるものが石のように固まってしまう病気です。胆石症になると、右上の腹部に痛みがでます。この痛みは食後にでることが多いので、右肩の痛みだけではなく食後に右上の腹部に痛みがでる場合は胆石症を疑いましょう。胆のう炎も基本的には胆石症と症状は同じで、胆石症の症状に加え、発熱を伴う場合に胆のう炎と呼ばれます。胆のう疾患は、消化器内科を受診しましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞とは、心臓を動かす筋肉が壊死してしまう病気です。動脈硬化といって血管が固くもろくなってしまうことが原因で生じます。心臓に血液を送る冠動脈という大事な血管が動脈硬化によりつまり、心臓に血液がいかなくなることで心筋梗塞を発症してしまうのです。動脈硬化は加齢や高血圧、糖尿病などがリスクとなるといわれています。心筋梗塞の特徴的な症状は、突然の胸の痛みと胸の締め付け感です。このような症状が30分以上、長い時には数時間続きます。心筋梗塞は治療技術の進歩もあり、死亡率は低下してきていますが、まだまだ死亡率の高い恐ろしい病気です。心筋梗塞を疑う症状があらわれた場合には、循環器内科を受診しましょう。
肩関節周囲炎
肩関節周囲炎とは、肩関節が炎症を起こし、強い肩の痛みや肩の動きの制限を起こす病気です。肩関節周囲炎は初めに肩に強い痛みがあらわれます。その後、肩の動きが悪くなり、徐々に痛みが軽減してくることで肩の動きも改善していくという経過をたどります。時間とともに症状が改善してくるのが特徴です。症状があらわれてから完治するまでには、12か月から24か月程かかるといわれています。肩関節周囲炎を疑う症状があらわれた場合には、整形外科を受診しましょう。
普通の肩こりと病気の見分け方
普通の肩こりと病気は以下のような違いがあります。
- 安静にしていても痛みがある
- 痛みが長引く
- 大きく息を吸うと痛む
このような肩の痛みがある場合には、病気の可能性があります。早期に病院を受診し、適切な治療を受けましょう。
安静にしていても痛みがある
ただの肩こりは肩や首の筋肉が緊張しすぎていることが原因なので、安静にしてリラックスすることで痛みが改善します。ですが、肺や内臓、肩関節の組織自体に問題がある場合には安静にしているだけでは痛みがとれません。危険な右肩の痛みかどうかは一度安静にしてみることで症状が改善するかどうかで簡単に見分けることができます。右肩の痛みは病気のサインである可能性もあります。場合によっては、早く治療を行わないと命を落とすこともあるほど危険です。右肩の痛み以外の症状がなかったり、右肩の痛みだけで病院へ行くことに抵抗があったりする場合、まずは安静にリラックスすることで痛みが軽減するか様子をみてみましょう。安静にして症状が改善する場合には、ただの肩こりの可能性もありますが、改善しない場合は病気が隠れている可能性もあります。肩の痛みで病院を受診してもしっかり見てもらえるので、安心して受診しましょう。
痛みが2週間以上続く
右肩に痛みがでる病気の種類で紹介したように、例えば肩関節周囲炎の場合には完治するまでに12か月から24か月と長い年月がかかります。気肺や心筋梗塞、胆のう疾患でも適切な治療をしなければ痛みは続きます。長引く痛みは病気の可能性があると覚えておくとよいでしょう。
大きく息を吸った時に痛みがある
気肺の場合、肺に穴が開いている状態なので息を吸う時に痛みが生じます。息を吸った時に痛みがでるというのは気肺の特徴でもあるので、ただの肩こりだと甘くみず、すぐに病院を受診しましょう。
すぐに病院に行ったほうが良い「右肩が痛い」症状は?
- ぶつかったなど、きっかけが明らかで痛みが激しい場合
- 発熱がある、激しい腹痛などがある場合
これらの場合には、すぐに病院受診しましょう。
行くならどの診療科が良い?
主な受診科目は、整形外科、内科です。
問診、診察、血液検査、画像検査(レントゲン、CT、MRI)などを実施する可能性があります。
病院を受診する際の注意点は?
持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
いつから症状があるのか、きっかけになる思い当たるエピソードはあるか、他にも気になる症状があるのかなどを医師に伝えましょう。
治療する場合の費用や注意事項は?
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。
まとめ
右肩の痛みに潜む病気のリスクについて解説しました。ただの肩こりと甘くみがちな肩こりですが、病気の可能性のあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
今回紹介した肩関節周囲炎、心筋梗塞、胆のう疾患は糖尿病や高血圧などのいわゆる生活習慣病がリスクファクターです。
病気になってしまってからでは、自分で出来ることは限られてしまいますが、病気にならないよう予防することで発症リスクを下げることはできます。
生活習慣病は食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関わってきます。自分の生活習慣を見直し、健康を意識した生活を送るようにしましょう。
痛みが中々引かない場合や、肩の痛み以外の症状もある場合にはすぐに病院を受診して、病気の早期発見に努めましょう。