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「昼間の耐えられない眠気」の原因とは?対処法や考えられる病気も医師が解説!

「昼間の耐えられない眠気」の原因とは?対処法や考えられる病気も医師が解説!

昼間の耐えられない眠気を治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「昼間の耐えられない眠気」症状で考えられる病気と対処法

睡眠は心身の疲労を回復するために、欠かせない休養活動です。昼間の耐えられない眠気は、睡眠が不足しているサインです。睡眠不足は、睡眠時間を確保できないことや、眠りたくても寝付けないなど、さまざまな原因で起こります。また、長時間睡眠をとっていても、昼間に耐えられない眠気が起こる場合は、睡眠時無呼吸症候群やうつ病などの病気を発症している可能性があります。令和元年に行われた、国民健康・栄養調査の結果では、「最近の1ヶ月間で、週3回以上、日中の眠気を感じた」人が34.8%いました 。不眠は誰でも経験する可能性がありますが、睡眠不足が続くと、昼間の耐えられない眠気だけでなく、集中力の低下や倦怠感などの症状も現れ、日常生活に支障をきたす場合があります。また、服薬している薬の影響や、更年期障害などホルモンバランスの乱れも、昼間の耐えられない眠気が起こる原因の一つです。

昼間の耐えられない眠気で考えられる原因と治し方

昼間の耐えられない眠気が起こる原因の一つは、不眠症です。不眠症は、寝付きが悪い「入眠障害」、途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目覚めてしまう「早朝覚醒」などの睡眠障害が起こり、睡眠不足になります。不眠症の原因は、ストレス・うつ病や睡眠時無呼吸症候群などの病気・生活習慣・睡眠環境などさまざまです。不眠症で現れる症状は、昼間の耐えられない眠気の他に、意欲の低下・集中力の低下・食欲の低下などです。不眠症を改善するには、睡眠不足を招く病気があればその治療を行います。睡眠不足の原因となる病気を自覚しない場合は、生活習慣や睡眠環境を整えましょう。

生活習慣や睡眠環境のポイント

  • 就寝と起床の時間を一定にするなど規則正しい生活習慣を送る
  • 適度な運動をする
  • ストレスをためない
  • 寝具や寝室の温度などを整え、眠りやすい環境にする

などが睡眠の質を高める効果があります。睡眠に影響するコーヒー・紅茶・チョコレートなどに含まれるカフェインには覚醒作用があり、アルコールは中途覚醒する作用があります。カフェインやアルコールの摂取を控えましょう。
昼間の耐えられない眠気が慢性的に継続する、意欲や集中力の低下によって日常生活に支障をきたしている場合は不眠症の可能性があります。精神科や心療内科を受診しましょう。

薬による昼間の耐えられない眠気で考えられる原因と治し方

昼間の耐えられない眠気で考えられる原因の一つに薬の影響があります。花粉症や風邪薬など、症状を緩和するために使用する薬の副作用で眠気が起こる場合があります。

眠気を起こす作用がある薬は、

  • 風邪薬などに含まれる解熱・鎮痛薬
  • 咳止め薬
  • 花粉症やアレルギーで使用されることが多い抗ヒスタミン剤
  • 睡眠改善薬
  • 向精神薬

などです。病院で処方してもらっている薬の場合、自己判断で中止せず、主治医に相談しましょう。

女性で昼間の耐えられない眠気で考えられる原因と対処法

女性で昼間の耐えられない眠気の原因の一つに、女性ホルモンの影響が考えられます。生理(月経)前は、女性ホルモンのプロゲステロンが増え、基礎体温が高くなる「高温期」と呼ばれる期間です。プロゲステロンは眠気が強くなる作用があります。また、基礎体温が高くなることで睡眠のリズムが乱れやすくなるため睡眠不足となり、昼間の耐えられない眠気が起こる原因です。生理痛や経血が漏れることが心配で眠れないことも睡眠不足の原因になります。ゆっくり休む・適度な運動をする・趣味で気分転換をしたり、生活習慣や睡眠環境を整えるなどで質の良い睡眠をとれるようにすることがおすすめです。昼間の耐えられない眠気と、生理前後の体調不良で、日常生活に支障をきたしている場合は月経前症候群の可能性があります。早めに婦人科を受診しましょう。更年期は閉経の前後5年間の時期です。更年期では女性ホルモンが減少する影響で、不眠や睡眠時無呼吸症候群が起こりやすく、睡眠不足の原因の一つです。また、更年期に現れる症状の、ほてりやホットフラッシュなどの血管運動神経の症状が重いと、睡眠の障害になるため睡眠不足になると考えられています。更年期に生じる不眠の症状は、更年期症状の治療によって症状が軽減したり、改善する可能性があります。昼間の耐えられない眠気と、更年期の症状によって、日常生活に支障をきたしている場合は婦人科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「昼間の耐えられない眠気」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

睡眠中のいびきや呼吸停止がある症状の場合は、耳鼻科や呼吸器内科へ

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が停止するため、睡眠が分断されます。そのため、眠っていても十分な睡眠が得られない状態です。睡眠時無呼吸症候群では、昼間の耐えられない眠気や、寝ているときのいびき・呼吸の停止・起床時の頭痛などが症状として現れます。睡眠時無呼吸症候群は肥満の方に多いですが、下顎が小さい・首が短いなどの身体的特徴も発症の原因です。睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や心血管疾患などのリスクになります。昼間の耐えられない眠気の他に、寝ているときのいびきや呼吸停止の症状があれば、早めに耳鼻科や呼吸器内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「昼間の耐えられない眠気」ときのセルフチェック法

  • 昼間の耐えられない眠気以外に睡眠中のいびきの症状がある場合
  • 昼間の耐えられない眠気以外に寝ているのに疲れがとれない症状がある場合
  • 昼間の耐えられない眠気以外に集中力が低下する症状がある場合

「昼間の耐えられない眠気」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「昼間の耐えられない眠気」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは身体疾患・神経疾患・精神障害など、睡眠障害となる原因がなく、昼間に耐えられない眠気や居眠りが3ヶ月以上継続する病気です。日中の耐えられない眠気の他に情動脱力発作といって、大笑いや怒りなどの強い感情が起こると、筋肉の緊張が緩み、脱力発作が起こる場合があります。ナルコレプシーが発症する原因は解明されていませんが、オレキシンという、覚醒した状態を保つ物質の濃度が低いことが関係していると考えられています。根治的な治療はまだなく、対症療法となります。眠気による生活への悪影響を起こさない、最小限の薬剤での治療を行います。昼間の耐えられない眠気や、強い感情に伴って起こる脱力発作の症状がある場合は精神科や神経内科を受診しましょう。

レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)

レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の症状は、安静時に主に下肢がむずむずするなどの不快な感覚です。特徴的な自覚症状は夕方から夜間に症状が強く現れ、下肢を動かしたり刺激を与えると症状が軽減しますが、やめると症状が現れることなどです。レストレスレッグス症候群の症状が現れると、入眠困難や中途覚醒が多くなり、睡眠不足の原因になります。レストレスレッグス症候群の発症の原因は遺伝・環境・腎臓病や鉄欠乏などの併存疾患が関連していると考えられています。軽症の場合では、生活習慣の改善で症状が軽減する可能性があります。鉄分の補給やカフェイン・アルコール・タバコなどの症状を悪化させる可能性があるものの摂取を控えるなど生活習慣を改善しましょう。重症の場合は薬物療法を行います。下肢がむずむずして眠れない症状や、昼間の耐えられない眠気がある場合は精神科や脳神経内科を受診しましょう。

うつ病

うつ病を発症する原因は解明されていませんが、精神的・身体的ストレスなどの影響で、脳の働きがうまくいかなくなった状態です。意欲の低下や不安・焦燥感など「こころ」と不眠や過眠・食欲不振など「身体」の両方に症状が現れる場合が多いです。うつ病は初期状態から睡眠障害が現れることが多く、不眠や過眠はうつ病の診断基準の一つになります。治療法は心身の休養をとること、カウンセリングなどの精神療法と薬物療法です。場合によっては入院して治療を行う必要があります。昼間の耐えられない眠気や、意欲の低下・不眠・過眠などうつ病を疑う症状がある場合は、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。

「昼間の耐えられない眠気」の正しい対処法は?

生活習慣や睡眠の環境が原因で睡眠不足になっている場合は、十分な睡眠時間と質の良い睡眠がとれるような環境を整えましょう。睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、睡眠不足の原因となる病気や症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。カフェインを含む市販薬は一時的に覚醒する作用があります。摂りすぎるとカフェインの過剰摂取によって、身体へ悪影響を与えるおそれがあります。用量を守り、常用しないようにしましょう。冷たい水で顔や手首を洗ったり、首元を冷やすと覚醒効果が期待できます。コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインは一時的に覚醒する働きがありますが、過剰に摂取すると身体に悪影響が現れる場合があります。摂り過ぎには注意が必要です。入浴はリラックスする効果や、身体が温まることで眠りやすくなります。就寝の1〜2時間前にゆっくりとお湯につかることがおすすめです。早く治したい時は、十分な睡眠時間と質の良い睡眠を確保して、睡眠不足にならないようにしましょう。

「昼間の耐えられない眠気」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「昼間の耐えられない眠気」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

運転中や仕事中、授業中に強い眠気を感じたらどうしたら良いですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

運転中に眠気を感じたら、交通事故を起こす危険があります。すぐに安全な場所に車を停車して、10〜15分仮眠をとりましょう。仕事中や授業中など、仮眠をとれない状況での対策はカフェインの摂取やガムを噛む・ミントなどの清涼感のある香りをかぐなどで一時的に目が覚める場合があります。

症状が改善するツボ、マッサージなどありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

山根(さんこん)というツボは、覚醒効果があるといわれています。山根(さんこん)というツボのある場所は、左右の目頭の中間にあります。指でゆっくり優しく押してみてください。

まとめ 昼間の耐えられない眠気は睡眠不足が原因

昼間の耐えられない眠気は睡眠不足が主な原因である事が多いです。不規則な生活習慣・カフェインやアルコールの過剰摂取・睡眠環境が整っていないことなどが睡眠不足の原因になります。他にも睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、病気が原因で睡眠不足を招く場合もあります。昼間の耐えられない眠気があり、生活習慣の改善を行っても症状が緩和しない・睡眠不足を招く病気の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

「昼間の耐えられない眠気」症状で考えられる病気

「昼間の耐えられない眠気」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器系の病気

婦人科の病気

神経内科の病気

  • パーキンソン病

内分泌内科の病気

脳神経内科の病気

  • レストレスレッグス症候群

入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒など、睡眠不足の原因となる病気はさまざまあります。病気を治療することで睡眠障害の改善も期待できるため、疑わしい症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

「昼間の耐えられない眠気」に似ている症状・関連する症状

「昼間の耐えられない眠気」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 睡眠不足
  • 過眠
  • 食後の強い眠気
  • 集中力の低下
  • 気分の落ち込み

昼間の耐えられない眠気は睡眠不足が主な原因で起こりますが、慢性的に睡眠不足の原因となる病気を発症している可能性があります。昼間の耐えられない眠気が、繰り返し継続して起こる場合は医療機関の受診をおすすめします。

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