目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. こころ
  4. 「外に出るのが怖い」と感じるのは「うつ病」が原因?医師が徹底解説!

「外に出るのが怖い」と感じるのは「うつ病」が原因?医師が徹底解説!

「外に出るのが怖い」と感じるのは「うつ病」が原因?医師が徹底解説!

外に出るのが怖い症状を治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

船井 政希

監修医師
船井 政希(医師)

プロフィールをもっと見る
精神科医
2019年 和歌山県立医科大学医学部卒業
2020年 安城更生病院 勤務
2021年 名古屋市立大学病院 勤務
2023年3月 名古屋市立大学病院 退職
現在精神科単科病院で勤務中
所属:日本精神神経学会

「外に出るのが怖い」症状で考えられる病気と対処法

こんにちは。皆さんは外に出るのが怖い時はありますでしょうか?休みの日に外に出たくないなって思うことは誰でも一度は経験があると思います。ただそれが長く続く場合は病気が隠れている可能性があります。今回は外に出るのが怖い症状に関連する病気に関して解説をしていきます。

うつ病で外に出るのが怖い症状で考えられる原因と対処法

うつ病は抑うつ症状、興味の減退、食欲低下、思考抑制、不眠などが生じる病気です。軽度のうつ症状の場合は薬剤を使用しなくても治療が可能ですが、中等度以上のうつ症状の場合は基本的に抗うつ薬による薬物治療が必要となってきます。うつ病の症状が悪化すると、何もやる気が起きないために、外に出るのが怖いとか外に出たくないなどの症状が出てくることがあります。
うつ病の場合はまずは休養が必要です。しっかりと休んでください。睡眠と栄養をしっかりと摂り、規則正しい生活を送ることが大切です。
うつ病がなぜ生じるかははっきりとは分かっていません。ただうつ病のきっかけとなる要因がはっきりしている人は中にはいます。例えば会社での人間関係や残業などによるもので症状を引き起こしている可能性もあります。
対処法についてですが、まずはしっかりと休養や睡眠をしっかりと取ってみてください。それでも2週間程度症状が続く場合にはメンタルクリニックに受診してください。死にたい気持ちが強かったり、夜も眠れない状態が続く、ご飯が全く食べられない、落ち着かない症状が続くなどの状態であった場合はすぐに受診してください。場合によっては、入院が必要な状態である可能性があります。

人が怖くて外に出るのが怖い症状で考えられる原因と対処法

人と接すると緊張してしまう、怖くて人に会えないような症状がある方がいます。また人前で発表する際に顔が真っ赤になってしまってうまく発表できない方がいます。こういった症状の方は社交不安症の可能性があります。多くは子供のころからあって、小学校の発表の際に緊張して発表できなかったり、人より明らかに緊張してしまうなどの症状があります。人に緊張していることや、不安に思っていることを知られて否定されるのを恐れるようになり、次第に社交の場にでるのが怖くなり、そういった場を回避するようになります。
普通の人は人前にでると緊張してしまうのは当たり前のことです。まずは深呼吸して、リラックスをしましょう。うまくいくイメージを持つことも大切です。あまり人の評価を気にしすぎることをやめることも大切です。意外と自分が思っているより、他の人は気にしていません。悪い方向や他人のことを考えてしまうと余計に緊張してしまうので、まずはそういったことを考えることをやめましょう。カフェインを摂取するとリラックス効果があるので、コーヒーなどを飲むのは効果的です。ただ利尿効果があるので、飲みすぎには注意しましょう。
上にあげたようなことを試しても人より明らかに緊張してしまったり、症状が長く続く、あるいは悪くなっていく場合は社交不安症の可能性があります。その場合は薬物治療と精神療法での治療が必要になってきます。また似たような症状でも社交不安症ではなく、うつ病やパニック障害などの他の不安障害の可能性があります。鑑別は症状の経過、他症状の合併などによって異なってきます。また社交不安症で二次性のうつ病を合併する場合もあるので、人によって同じ症状でも診断が異なる場合があります。
もしも人と会ったり、人前で発表するのが怖くて、その症状が長く続いて改善しない場合は一度受診が必要です。特にそういった場を回避するようになった場合は精神疾患を罹患している可能性が高いです。先ほどもお伝えしましたが中にはうつ病を合併している場合もあります。死にたい気持ちがでてきたり、落ち着かない感じが出ている場合ははやめに受診をしてください。

容姿が気になり外に出るのが怖い症状で考えられる原因と対処法

こういった症状の方はコロナ渦以降多くなりました。特に女性の方は要注意です。マスクを外せない方に多い疾患です。自分の容姿への評価がゆがんでしまうのが特徴です。他者からの外見の評価と自分の外見の評価が大きく乖離してしまいます。よくSNSで美容整形に何千万もお金を使って、原形をとどめていない人や明らかに美容整形のやりすぎだなと思う方を目にしたことはあると思います。そういった方に多い疾患です。
まずは自分の容姿の評価と他者からの評価が大きく乖離していないか友人に聞いてみましょう。もちろん美の基準は人によって異なって良いのですが、明らかに乖離している場合は自分の容姿に対する評価が間違っているのかもしれません。そして自分の容姿に対する評価の低さはおそらく自己肯定感の低さから来ています。自己肯定感が低くなってしまっている原因を見つめなおしていく必要があります。
容姿が気になり外に出るのが怖い症状のある場合は醜形恐怖症という病気が一番考えられます。原因は分かっていませんが、女性に多い病気です。思春期に発症が多く、未治療のまま成人になっているケースもあります。自分に対する容姿への評価が歪んでしまって、美容整形に多額のお金をかけてしまったり、マスクを人前で外せなくなったりします。
醜形恐怖症は精神科を受診して治療をします。治療は薬物治療と認知行動療法などが一般的です。醜形恐怖症の場合はほかの不安障害やうつ病との合併も多いです。二次性のうつ病にかかって、死にたい気持ちが強く出てきてしまった場合は緊急で受診をして入院となることがあります。

仕事に行くと思うと外に出るのが怖くなる症状で考えられる原因と対処法

仕事にいけなくなって、人と会うのがおっくうになって、外へでるのが怖くなる方が一定数います。このケースだと仕事がない日だと外に買い物にいったり、遊びにいったりすることができますが仕事の日だけは外に出るのが怖くなったり、人と会うのが怖くなって家からでられないような症状がでてきます。
まずは仕事にいくのが怖くなった原因について考えてみましょう。おそらくはなにか原因やきっかけがある場合があります。一人では解決できない場合である場合が多いので、まずは友人や家族などの周りの人に相談をしてみましょう。そして休養をとることを勧めます。まずは有給がある方は有給を使って休んでいただいて症状の経過をみてみましょう。
仕事に行くと思うと外に出るのが怖くなる症状の場合に考えやすいのは適応障害です。会社や人間関係などにうまく適応できなくなったなどはっきりとした原因があって発症します。その原因が取り除かれれば症状は治ります。治療は適応障害となった原因を取り除くことです。会社の場合は休養や休職を行いながら原因を解決していくことが多いです。不眠や不安などの症状が出てくることもあり一時的にお薬で治療をすることがあります。
まずは精神科を受診してください。医師によって休職が必要と判断されれば診断書が発行されます。適応障害もうつ病との鑑別が難しい場合があり、中等度以上のうつ病の場合は抗うつ薬での治療が必要となってきます。死にたい気持ちが強いなどの場合は入院となることもあります。

中高生で外に出るのが怖い症状で考えられる原因と対処法

外に出ることが怖い症状は中高生でも生じる場合があります。その場合は学校に行くことができず不登校になる場合が多いです。中高生の場合は先ほどあげた社交不安症なども生じやすいので注意が必要です。ここではうつや不安障害以外で外に出るのが怖い症状を説明していきます。子供のころから人とコミュニケーションが得意でなかったり、表情や身振りから相手の考えていることを読み取るのが苦手であったりします。また特定のことに強い興味をもっていたり、こだわりが強いのが特徴です。
まずは自分で思っていること考えていることを整理してみましょう。それを文字などにして他人に相談をしてみるといいです。こういった症状の方は言葉で言語化をしたり、整理するのが苦手なので紙などにしっかりと自分の考えていること、いま抱えている問題を整理するとよいでしょう。
自閉症スペクトラム障害という発達障害の症状が考えられます。
原因は分かっていません。症状が強く出ている方は幼少期に診断されていますが、いままで症状が強くでておらず、中高生で症状が強くでて診断される場合もあります。
まずは精神科で検査をする必要があります。心理検査、診察などで総合的に診断されます。
受診時には幼少期のことがわかる資料を持参してください。両親が同席のほうが幼少期のことを聴取できますので可能な限りご両親も同席されるといいです。

主婦で外に出るのが怖い症状で考えられる原因と対処法

中年以降の女性になりやすいです。原因はエストロゲンの血中濃度が低下しホルモンバランスが乱れることが原因です。症状としては顔のほてり、いらいら、落ち込み、動悸、疲労感などが挙げられます。
ホルモンバランスが低下をしていることが原因であるために、日によって変動が大きいのが特徴です。まずは休養をして、数日様子をみてもらうことで症状が改善してくる場合があります。
主婦の方で外に出るのが怖い症状がある場合には更年期障害が疑われます。エストロゲンの血中濃度が低下することが原因です。
まずは産婦人科に受診をしてください。ホルモン補充療法が適応となります。うつ病や不安障害などの精神科疾患の可能性もありますので、産婦人科で原因がはっきりしなかった場合は精神科も併せて受診してください。

すぐに病院へ行くべき「外に出るのが怖い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

死にたい気持ちが強い症状の場合は、精神科へ

気持ちが落ち込んで死にたい気持ちが強くてなにか死ぬための行動や計画をしてしまうような場合は要注意です。さらに落ち着かない症状も併せてある場合は特に要注意です。
すぐに精神科に受診をしましょう。
一番疑わしいのはうつ病に罹患した場合で死にたい気持ちが強くなった場合です。社交不安症などの不安障害も、二次的にうつ病を罹患する場合もあるので注意が必要です。
死にたい気持ちが強い場合は一般的なメンタルクリニックでは扱えない場合があるので、入院病床がある精神科病院に受診をしましょう。

受診・予防の目安となる「外に出るのが怖い」ときのセルフチェック法

  • ・外に出るのが怖い以外に死にたい気持ちがある場合
  • ・外に出るのが怖い以外に食欲低下の症状がある場合
  • ・外に出るのが怖い以外に動けない症状がある場合

「外に出るのが怖い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「外に出るのが怖い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

社交不安症

社交不安症の発症の原因は不明ですが、思春期以降に発症することが多いです。人と接すると緊張してしまう、怖くて人に会えないような症状がある方がいます。また人前で発表する際に顔が真っ赤になってしまってうまく発表できない方がいます。
主な治療法は、薬物治療と精神療法です。薬物治療に関しては、SSRIという薬剤を使用して治療を行います。
多少緊張してしまうことは誰でもありますが、人と比べて明らかに度を越していたり、仕事や日常生活に支障がでてきたら受診の目安です。精神科を受診してください。

パニック障害

パニック障害とは、動悸や手の震えなど一般的に過呼吸と呼ばれるような症状が生じる病気です。パニック症状自体はほかの病気でもみられますが、パニック障害は症状が起きるかもしれないことに強い不安を覚えて、日常の行動に支障がでてきてしまうのが特徴です。
基本的には薬物治療が必要な場合が多いです。薬物治療で不安を下げながら、少しずつ不安が生じるようなことに暴露をしてもらいながら治療をしていきます。
過呼吸のような症状が何回もみられたり、そのせいで日常生活に支障をきたしているような場合は治療の対象となりますので精神科を受診してください。

うつ病

うつ病の場合には、気持ちの落ち込み、興味のあったことに興味がなくなるといった症状がでてきます。他には不眠や食欲低下、集中力低下、死にたい気持ちがでてくるなど様々な症状がでてきます。原因ははっきりとはわかっていません。
中等度以上のうつ症状の場合は抗うつ薬での治療と休養が必要となってきます。
治療は数か月程度かかることがあり、仕事をされている方は休職が必要となってくる場合があります。死にたい気持ちが強い場合や食事がとれないなどの場合は入院が必要となってくる場合があります。
中等度以上のうつの症状の人は抗うつ薬の治療の対象となるために受診が必要です。とはいえ中等度以上のうつ症状は自分ではわからないので、気持ちが落ち込んで、普段興味があったものに興味がなくなってきたらはやめに精神科に受診をしてください。

広場恐怖症

飛行機やバスなどの公共交通機関やお店の中などで一人でいるときに強い不安を覚えてしまうような症状がでてきます。
一人でいるときに症状が強くでることが多いので症状が改善する場合は外に出る際にはだれか一緒にいることで不安をさげることはできると思います。ただし根本的な治療は薬物治療と精神療法の治療をしなければ治ってはきません。しっかりと治療をしていく必要があります。
つねにこういった公共の場や外に一人でいるときに不安を強く感じてしまって、こういった場を避けてしまうような場合は病気である可能性が高いので精神科を受診してください。

「外に出るのが怖い」の正しい対処法は?

まずは数日経過をみてみましょう。しっかりと規則正しい生活を送っていれば病気でない場合は改善してくると思います。
怖い感情が出ている場合は全身が緊張している状態です。少し休んだり、コーヒーや趣味などリラックスできることをやってみましょう。お風呂につかってリラックスするのもいいと思います。
ストレスの緩和やリラックスするためには、規則正しい生活をこころがけましょう。3食しっかりととって、夜更かしはせずにしっかりと睡眠をとりましょう。日中はしっかりと日光を浴びて生活をしましょう。睡眠を悪化させるので飲酒も飲みすぎず控えめにしましょう。
早く治したい場合には早めに受診をしましょう。こういった症状の場合は、迷ったら精神科に相談をしにいきましょう。
不安障害やうつ病の場合は放置していると悪化したり、改善をしない場合がありますので注意しましょう。

「外に出るのが怖い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「外に出るのが怖い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

外に出るのが怖いと思うのは病気ですか?

船井 政希医師船井 政希(医師)

外に出るのが怖い病気には様々な原因があります。中には病気の場合もあります。病気でない場合は数日で改善する場合がありますが、症状が長く続く場合は病気の可能性があります。

外に出るのが怖いと思う原因は何ですか?

船井 政希医師船井 政希(医師)

原因は様々です。何が怖くて外に出られないかによって病気も異なってきます。人に対する怖さ、仕事に対する怖さ、人がいっぱいいるところが怖いなど原因は様々あります。

まとめ 外に出るのが怖い症状が続く場合は精神科で相談

いかがだったでしょうか?外に出るのが怖い症状でもたくさんの病気があります。
どの疾患かによって治療法は異なってきます。もちろん病気でない場合もありますが、症状が長く続いている場合は病気の可能性が高いです。外にでるのが怖いといった症状はここに挙げた以外にもさまざまな原因で生じる可能性があります。
しばらく経っても症状が改善しない場合は必ず病院に受診しましょう。
決して自己判断で放置するのはやめましょう。医師の判断のもと治療をしっかりと行いましょう。

「外に出るのが怖い」で考えられる病気と特徴

「外に出るのが怖い」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

多くの場合、精神科・心療内科で対応する病気が原因になっていることが考えられます。

「外に出るのが怖い」と関連のある症状

「外に出るのが怖い」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 人と会うのが怖い
  • 閉鎖的な空間が怖い
  • 人がたくさんいるところが怖い
  • 気分が落ち込む
  • すべてが不安で怖い
  • 会社にいきたくない

症状が長く続いたり、上記のような症状も見られる場合には、早めに医療機関への受診をお勧めします。

【参考文献】
・今日の精神科治療ハンドブック2021年版
・現代臨床精神医学 改訂12版