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「落ち着かない」症状で考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

「落ち着かない」症状で考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

特に心配事があるわけでもないのに漠然とした不安を感じる、じっとしていられない…そんな感覚に襲われることはないでしょうか?

そう感じた場合、大抵は気のせいだとして片付けてしまいがちですが、それで落ち着かない気持ちが収まるわけではありません。もしかしたら落ち着かないのは病気の可能性もあるのです。

この記事では「落ち着かない」ことに焦点を当て、その対処法や病気の可能性について考えていきます。もし落ち着かないことについて気になるのなら改善のために参考にしてみてください。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

落ち着かない原因・対処法

落ち着かないという感覚には人それぞれの原因があるはずですが、自ら原因を特定し対処することは難しいものです。特に現代社会では思い当たる原因がいくつもあるのではないでしょうか。ここでは落ち着かない感覚とその原因について主な2つを例として紹介します。原因と対処法が分かればそれだけでも落ち着くことに繋がっていくでしょう。

そわそわと気持ちが落ち着かない原因と対処法

気持ちがそわそわして落ち着かない・焦燥感や不安感がある・胃や胸のあたりがざわざわするという感覚の原因の1つとして、自律神経の乱れが考えられるでしょう。自律神経は体の機能を調節する働きがありますが、不規則な生活やストレスによって乱されます。そこで十分な睡眠時間を取るなどして規則正しい生活を心掛け、ストレスを溜め込まないように趣味の時間や親しい人との交流の時間を持って自律神経の乱れを改善させましょう。

じっとしていられない原因と対処法

アクティブで活動的な意味の“じっとしていられない”とは別に、じっとしていることができない方の感覚は不安感や焦りなどで感じる場合があります。その場の状況で、一時的にそうなるだけならあまり問題ではないかもしれません。しかし注意が必要な場合もあります。強いストレスによって体が勝手に動いてしまう、無意識のうちに体が動いてしまうこともあるでしょう。原因としては精神的なもの・神経の異常によるものなどが考えられます。自分でコントロールできないようであれば医師による診察をお勧めします。

落ち着かない症状で考えられる病気

そわそわと気持ちが落ち着かない、じっとしていられないという感覚があり対処法を試しても効果が表れない場合、それは病気の症状である可能性があります。 以下に述べる病気とその症状について自分に該当するものがあった場合は、専門の医師に相談または診察してもらうことを考えてみてはいかがでしょうか。早期の診察、治療によって精神的にも早く楽になれることでしょう。

全般性不安障害

毎日の日常生活を送る中で、漠然とした不安や心配を持つ状態が慢性的に続くのが「全般性不安障害」という病気です。常に不安と心配を抱えた状態が続くと、徐々に身体的・精神的に症状が表れるようになります。不安や心配が頭の中を占めるため、物事に集中することができなくなるでしょう。さらに症状が進むようになると、不安や心配によって睡眠や日常生活への支障が出てくるようになります。パニック障害や社交性不安障害などとは違い、日常生活のあらゆる事柄が不安や心配の対象となりえるのですが、それゆえにパニック障害や社交性不安障害を併発する可能性もある病気です。神経質な性格・遺伝的なもの・ストレス・自律神経の障害などが発症する原因とも思われていますが、はっきりとした原因はわかっていない病気でもあります。

ADHD

ADHDとは注意欠如・多動症障害ともいう障害です。集中できない(不注意)・じっとしていられない(多動性)・思いつくと行動してしまう(衝動性)といった発達水準からみて不相応な特徴があることが知られています。このような特性があるので、学校では授業に集中できなかったり忘れ物が多くなったりして叱られることが多くなるでしょう。叱られることが多くなると自信を失って精神的に追い詰められることになりかねません。ADHDは3つの種類「不注意優勢に存在」・「多動・衝動優勢に存在」・「混合して存在」に分類されています。

  • 不注意優勢に存在:授業に集中できない・忘れ物が多い・外からの刺激で気がそれるなどの特徴があります。ただし自分の好きなものへの集中で周囲の声が聞こえなくなることがあるので、無視されたと誤解を受けることも。
  • 多動・衝動優勢に存在:何かをしていないと落ち着かず、また無意識のうちに体が動きます。また感情や欲求のコントロールが苦手です。授業中に立ち歩く、指名されないのに答えてしまうなどの行動があるので、落ち着きがないように見られてしまいます。
  • 混合して存在:不注意優勢に存在と多動・衝動優勢に存在のどちらの特徴も持ち合わせたタイプです。

強迫性障害

特に重要でもないつまらないことについて、いつまでも頭から離れない強迫観念、わかっているのに同じことを何度も確認してしまう強迫行為などの特徴が表れるものを強迫性障害といいます。強迫観念と強迫行為の具体的な例は以下の通りです。

  • 不潔恐怖と洗浄:汚れや細菌に対して恐怖を感じ、手洗い・入浴・洗濯を過剰に繰り返します。また手すりやドアノブなどが怖くて触れません。
  • 加害恐怖:実際にはそうした事実はないのに誰かに危害を加えたと思い込んで不安になる、事故や事件として報道されていないか、新聞・テレビ・警察や周囲の人に確認してしまいます。
  • 確認行為:戸締り・ガス栓・家電のスイッチなどを過剰なまでに何度も確認してしまうような行為です。
  • 儀式行為:自ら決めた順番に沿って物事を進めようとする行為です。手順通りに進めないと恐ろしいことが起こるという不安があるので、いかなる時でも自分のルール通りに物事を行ってしまうでしょう。
  • 数字へのこだわり:不吉な数字または幸運の数字について縁起を担ぐレベルを超えたこだわりを持ってしまいます。
  • 物の配置、対称性などへのこだわり:物の配置について一定のルールを作り、その通りになっていないと不安になるこだわりです。

心配性と病気を見分ける方法とは?

落ち着かない感覚が単なる心配性によるものなのか、それとも病気によるものなのかは気になってしまうことでしょう。内科や外科などと違い、精神科で診察する症状はレントゲン・CTスキャン・血液検査などを行って診察することはありません。病気かどうかを診断するには診察に来た患者さんの体験に基づいた言葉による問診で行います。これは精神科的診断面接と呼ばれ、本人だけでなく近親者などからの話を伺って判断する場合もあるでしょう。結論として、自分自身で病気かそうでないのかを見分けるのではなく、専門の医師に診察してもらうことが見分けるための適切な方法といえます。

落ち着かない症状の治療法

落ち着かない症状の出る病気はいくつかありますが、具体的な治療法とはどういったものがあるでしょう?ここからは落ち着かない症状の病気の治療法について見ていくことにしましょう。治療は大きく分けて非薬物療法という薬物を使用しない治療法と、薬物療法の2つがあります。

非薬物療法

非薬物療法では患者の特徴的な症状を医師が見て、適切な治療を施します。不安障害やパニック障害に対する非薬物療法は、あえて意図的に苦手(不安)な環境に身をおいてもらって不安に挑戦することで、不安への耐性を高める方法を取ります。一時的に不安は高まりますが、不安の治療に不可欠なことであることを患者に理解してもらうことが必要です。また、身体の些細な変化が重大な異変として捉えてしまう認知の歪みを是正する認知行動療法という方法を取ることもあるでしょう。強迫性障害の非薬物療法では、回避の対象物を徐々に暴露させていき、生じた不安を克服していくという行動療法を行います。

薬物療法

不安障害で行う薬物療法では、第一選択としてSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬を用います。SSRIは即効性のある薬ではないので効果が出るまで最短で2〜3週間、最長で8週間かかります。即効性はありませんが効果が持続し、依存性も低いので第一選択として推奨されることが多い薬です。SSRIを用いた薬物療法は少なくとも1年、またはそれ以上の期間継続されるべきだとされています。また副作用として吐き気や下痢といった症状が表れることが多いようです。なおSSRIのような薬に抵抗がある方には漢方薬から治療を開始することもあるでしょう。抗うつ薬を用いる症状には不安障害やパニック障害、強迫性障害などがあります。

まとめ

落ち着かない感覚や症状について、その見分け方や治療法について見てきましたがいかがだったでしょうか?

落ち着かないことは老若男女どんな人にも起こりうることで、その状態には個人差もあります。落ち着かない時、不安が消えない時は1人で悩まず医師に相談することを考えてみてください。

適切な指導や治療を施してもらうことによりスッキリした毎日を送ることができるようになるでしょう。

この記事の監修医師