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IKKO「パニック障害の発作が地獄だった」涙ながらに語る苦悩 IKKO「パニック障害の発作が地獄だった」涙ながらに語る苦悩

タレントが活動休止を相次いで公表したことにより「パニック障害」の認知度は高まりつつあります。先進国の“現代病”とも言われており、一生のうち20人に1人が発病すると言われるほど身近な病気ですが、その詳しい原因は分かっていません。そこで今回は、実際にパニック障害を経験し苦しんだIKKOさんと精神科専門医である岩谷泰志先生にパニック障害との向き合い方について対談していただきます。 ※本記事は2024年7月に取材したものです。

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IKKO
インタビューIKKO(美容家・タレント)
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美容師、ヘアメイクアーティストを経て30歳でアトリエIKKOを設立。女性誌等で【女優メイクIKKO】を確立。40歳で表舞台へ転身し、美容家、タレントとして活躍。特に「おネエ☆MANS」出演をきっかけに、美容家としての地位を不動のものに。以後美容業界だけにとどまらず、唯一無二の存在として各方面に与える影響は計り知れない。年齢を重ねるたびに、その時代の流れを取り入れた生き方が、年齢・性別を問わず支持され続け、独自の美学・センスは世代を超え多くの方から常に注目されている。2024年『国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2024 for SDGs』 にて「個人部門」で受賞。
岩谷泰志先生
監修医師: 岩谷泰志(精神科専門医)
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筑波大学医学専門学群(現・筑波大学医学群)卒業後、京都大学医学部附属病院麻酔科で研修を2年間行う。その後、東京慈恵会医科大学精神医学講座に入局し、東京慈恵会医科大学附属病院の平川病院を含む関連病院にて精神科医として勤務。2003年に「いわたにクリニック」を開業。2022年には「ペディ汐留こころとからだクリニック」院長に就任。
chapter01 オカマという心無い言葉に傷ついたトラウマと「パニック障害」に悩んだ過去 chapter01 オカマという心無い言葉に傷ついたトラウマと「パニック障害」に悩んだ過去

岩谷先生岩谷泰志先生

パニック障害を発症して時間も経っていると思いますが、今でも症状が出ることはありますか?

IKKOさんIKKOさん

そうですね。完璧に治ってはいなくて、発作まではいかないのですが、疲れていると症状が出そうになることもあります。

岩谷先生岩谷泰志先生

最初に症状が現れたのはいつ頃ですか?

IKKOさんIKKOさん

経営者になった30代の10年間で少しずつ苦しさや喉にしまりを感じるようになりました。

岩谷先生岩谷泰志先生

最初にパニック発作が起きた日のことは覚えていますか?

IKKOさんIKKOさん

はい。鮮明に覚えています。

岩谷先生岩谷泰志先生

どのような状況でしたか?

IKKOさんIKKOさん

39歳の11月20日に初めて発作が起きました。その日は雨が降っていたのでタクシーで病院まで移動したのですが、渋滞に巻き込まれて、外にも出られず不安になったことを覚えています。病院に着いたときには脈拍数が上がって血圧も200以上になり、当時は過換気障害と診断されました。

岩谷先生岩谷泰志先生

初めて発作が起きるとびっくりしますよね。

IKKOさんIKKOさん

そうですね。パニック障害とは何なのでしょうか?

岩谷先生岩谷泰志先生

パニック障害は突然、動悸や呼吸困難、めまい、口の渇き、しびれなどの発作(パニック発作)が起こる病気です。目の前が暗くなり、死んでしまうのではないかと思うくらいの恐怖を感じることもあります。

IKKOさんIKKOさん

パニック発作はなぜ起きるのですか?

岩谷先生岩谷泰志先生

現在も原因は不明ですが、交感神経の緊張や不安障害が深く関係していると考えられています。重要なのは、その緊張や不安が何で起こっているかを知ることです。

IKKOさんIKKOさん

根本の問題について知ることが大切だということですね。

岩谷先生岩谷泰志先生

はい。目標に向かう自分の思いが強ければ強いほど、成功や失敗に対する緊張が高まります。IKKOさんの場合は自分の目標が高く、責任のある立場にプレッシャーを感じていたのかもしれません。

IKKOさんIKKOさん

そうかもしれません。経営者だった30代はたくさんの弟子がいたので、その弟子たちを指導しながら経営していくことが自分のキャパを越えていたと感じます。

岩谷先生岩谷泰志先生

具体的に何があったのでしょうか?

IKKOさんIKKOさん

経営者になって最初の5年は、自分でアトリエを持ち自由に仕事ができることも悪くないと思っていました。ただ、35歳くらいから自分が一生懸命やっている割には、現場のリズムがうまくとれないことに疑問を感じ始めたのです。

岩谷先生岩谷泰志先生

もう少し詳しく教えてください。

IKKOさんIKKOさん

メイクの仕事はすごく集中力が必要な仕事で、現場のリズム感がすごく大切です。ただ、経営者として育てた弟子はほかの現場にも出さなければいけません。その分、自分の現場には一から仕事を教える弟子が来ることになるので、現場のリズムがうまくとれず周囲からの評価が落ちているのではないかと感じていました。

岩谷先生岩谷泰志先生

自分の理想としている仕事のリズムと、周囲からの評価にギャップがあると感じていたのですね。パニック障害を起こす人は、神経質で理想像も高く自分ができていないと感じる傾向があります。周りから見てダメな人間だと思われているのではないかと気にしている人も多いようです。

IKKOさんIKKOさん

分かります。

岩谷先生岩谷泰志先生

その根底にあるのは自分を愛する自己愛です。特に自分の目標が高い人は自分に対する合格や不合格を極端につけてしまう傾向があり、自己愛が強いことで成功する人もいますが、自分はダメだと自己嫌悪に陥っていく場合もあります。

IKKOさんIKKOさん

私の場合は幼少期のトラウマも関係していると思います。オカマという心無い言葉を受けた時の感情が私の胸をえぐるように残っていて、幼少期はずっと自分の殻に閉じこもっていました。 19歳で上京した後は自分を全否定されているように感じていました。「私ってそんなにダメなのかな?」と感じた昔の自分には、二度と戻りたくないという思いも関係しているのでしょうか?

岩谷先生岩谷泰志先生

そうですね。もし自分の理想通りに仕事を追い求められなければ、また自己肯定できない当時の自分に戻ってしまうのではないかという不安が高まってくるのだと思います。

IKKOさんIKKOさん

今だったら分かるのですが、当時はストイックにやることが正しいと思っていました。なるべく昔の感覚には戻りたくないという気持ちがストイックさにつながっていたのかもしれませんね。

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