「寒気と頭痛」の症状は”くも膜下出血”の可能性も?症状別に医師が解説!

寒気と頭痛が起こる原因は?メディカルドック監修医が考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
寒気と頭痛の症状で考えられる病気と対処法
寒気と頭痛がある場合、症状ごとにさまざまな原因が考えられます。症状ごとに考えられる原因や対処法を説明します。
寒気と頭痛の症状で考えられる原因と治し方
「熱はないけれど、寒気がして頭が痛い」という場合、風邪の引き始めかもしれません。
ウイルスが体内に侵入すると、体はウイルスと戦う環境を作るために体温を上げようとします。このとき、筋肉を小刻みに震わせて熱を作り出すため、寒気(悪寒)を感じると考えられています。また、風邪の引き始めから頭の重さやだるさを感じることもあります。
まずは体を温め、十分な水分を摂りましょう。温かい飲み物を飲む、洋服を1枚多く着る、布団に入るなどがおすすめです。また、免疫力を助けるために十分な睡眠を摂りましょう。
しかし、数日経っても症状が改善しない場合や、その後38度以上の高熱が出てきた場合は、内科を受診してください。
寒気があり鼻水と頭痛の症状で考えられる原因と対処法
寒気と頭痛に加えて鼻汁が出てつらい場合は、副鼻腔(ふくびくう)という鼻の穴の奥にある部分が炎症を起こす「副鼻腔炎」の可能性が考えられます。
鼻づまりや、匂いのあるドロッとした鼻水、頬や鼻、おでこの奥の痛みなどがあらわれ、熱が出るケースもあります。
副鼻腔炎の場合、鼻水をしっかりと出すことが大切です。鼻水はすすらずに、こまめにしっかりとかみましょう。入浴や鼻の上を蒸しタオルで温めるなどは、蒸気によって鼻水を出しやすくなったり、粘膜の炎症が軽くなったりすることもあります。
頭痛や頬骨のあたりが痛む、耳の痛みが出てきた、症状が良くならずに続いているなどの場合は、副鼻腔炎の悪化や中耳炎の併発などの可能性があるため、耳鼻咽喉科を早めに受診しましょう。
寒気と頭痛や吐き気、めまいがある症状で考えられる原因と対処法
寒気と頭痛に加えて吐き気やめまいがある場合、脳の血管の拡張や、体温調節機能の異常が疑われます。考えられる原因と特徴、それぞれの対処法を以下に紹介します。
| 原因 | 特徴 | 応急処置 |
|---|---|---|
| 片頭痛 | ズキズキと脈打つような痛みがある | 暗い部屋で安静にする |
| 熱中症 | 高温の環境で長く過ごしていた | 水分・塩分を摂り、涼しい場所へ移動する |
| くも膜下出血 | 突然の激しい頭痛があらわれる | すぐに救急車を呼ぶ |
応急処置をしても症状が治まらない場合、片頭痛の場合は脳神経内科、熱中症の場合は内科を受診します。ただし、強い頭痛が突然あらわれるくも膜下出血の場合、一刻も早い治療が必要です。すぐに救急車を呼び、専門的な治療が受けられる医療機関を受診しましょう。
39度の熱があり、寒気と頭痛の症状で考えられる原因と対処法
39度を超える高熱で、咳などの症状がないのに寒気と頭痛がする場合、ウイルスや細菌による感染症の可能性が考えられます。
とくに頻尿や排尿時の痛み、背中や腰の痛みなどがあるなら腎臓に細菌が感染して起こる腎盂腎炎(じんうじんえん) 、寒気や頭痛、発熱がいきなり起こった場合はインフルエンザの可能性があるでしょう。
寒気で震えている間は、体が熱を上げようとしている時期なので、1枚多く着る、毛布をかけるなどをして十分に温めてください。熱が上がりきって暑くなったら、服や毛布を減らしても大丈夫です。
尿の異常がある場合は腎盂腎炎を疑って泌尿器科、急な発熱と頭痛の場合はインフルエンザを疑って内科を受診しましょう。
高熱があり、寒気と咳の症状で考えられる原因と対処法
高熱に加えて激しい咳が出る場合、ウイルスや細菌が気管支の奥や肺まで入り込んでいる可能性があります。考えられる病気は、肺炎や急性気管支炎(きゅうせいきかんしえん)、あるいは新型コロナウイルス感染症などです。炎症によって酸素の取り込みが悪くなると、息苦しさを感じることがあります。
部屋を加湿し、マスクをして喉の乾燥を防ぎましょう。熱による脱水が起こりやすいため、水分摂取も欠かせません。
また、衣服をゆるめ、上体を少し起こした姿勢をとると呼吸が楽になることがあります。どの原因による症状であっても、一度受診して適切な薬を処方してもらいましょう。とくに咳が強くてつらい、水分がとれない、酸素が不足して顔や唇の色が悪いなどの場合はできるだけ早く受診してください。
【女性】寒気と頭痛の症状で考えられる病気と対処法
女性の場合、特有のライフステージやホルモンバランスの変化によって症状が現れることがあります。ここでは授乳期と妊娠中に分けて解説します。
乳腺炎で寒気と頭痛がある症状で考えられる原因と対処法
授乳中の方で、胸が赤く腫れて熱く、寒気と頭痛もある場合、乳腺炎を起こしている可能性が高いでしょう。
乳腺とは、母乳を作る部分と乳頭(乳首)まで運ぶ通り道を合わせた組織です。乳腺に母乳が溜まると炎症が起こり、胸の張りや熱っぽい感じ、場合によっては熱が出ることがあります。そこに細菌が入ると炎症が悪化し、悪寒や38.5度以上の高熱、頭痛もあらわれます。
母乳の詰まりが原因の場合、授乳をして出し切ると症状が軽くなることがあります。胸が熱をもっているなら、冷たいタオルなどで軽く冷やして痛みを和らげましょう。
高熱や激しい痛みが続く場合、抗生物質による治療が必要なケースも少なくありません。産婦人科や乳腺外科を早めに受診してください。受診先に困った場合、分娩をした産院へ連絡して受診先を相談するのもひとつの方法です。
妊娠中の寒気・頭痛・つわりの症状で考えられる原因と対処法
妊娠中、風邪をひいていないのに寒気や頭痛を感じることがあります。これは、ホルモンバランスの変化やつわりによる脱水症状によるものかもしれません。
妊娠初期はホルモンの影響で基礎体温が高くなり、熱っぽさやだるさを感じやすい時期といわれています。また、つわりで食事が摂れず脱水気味になると、頭痛が悪化することもあります。
つわりがつらい時期は、無理に食事をしようとせず、水分補給を優先してください。一度に飲まず、少量の水や経口補水液をこまめに摂取しましょう。
水分も吐いてしまうほど症状が重い、めまいがひどいなどの場合は、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。
すぐに病院へ行くべき「寒気と頭痛」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
寒気と頭痛で高熱・息苦しさなどがある場合は、呼吸器内科へ
寒気と頭痛、高熱があり、息苦しさや胸の痛みがある場合は、ウイルスや細菌が気管支の奥にある肺まで入り込み、肺炎を起こしているかもしれません。
ひどい咳がでるケースもありますが、高齢者は咳や息苦しさがあまりあらわれず、食欲が落ちる、元気がないなどの症状のみの場合もあります。
感染症の症状が長く続く、症状が悪化したなどの場合は、早めに呼吸器内科を受診しましょう。
「寒気と頭痛」の症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「寒気と頭痛」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
風邪
風邪は、主にウイルスが鼻や喉の粘膜に感染して起こる急性の炎症です。
原因は、ライノウイルスやコロナウイルスなどで、風邪の80~90%は細菌ではなくウイルスが原因といわれています。代表的な症状は、以下のとおりです。
- くしゃみ
- 鼻水・鼻づまり
- のどの痛み
- 咳
- 頭痛
- 発熱
ウイルスが原因であるため、細菌に対する抗菌薬は効果がありません。解熱鎮痛薬や咳止めなどでつらい症状を和らげながら、自身の免疫力で治すのが基本です。消化の良い食事と十分な水分、睡眠を心がけましょう。
38度以上の熱が3日以上続く、水分が摂れない、呼吸が苦しいなどの場合は、重症化の恐れがあります。早めに内科、または耳鼻咽喉科を受診してください。
インフルエンザ
インフルエンザは毎年秋~冬にかけて大きく流行する、ウイルス性の感染症です。一般的な風邪と比べて症状が重く、38度以上の高熱や強い寒気、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなどが急激にあらわれます。
発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を使用すると、ウイルスの増殖を抑えて発熱期間を短縮する効果が期待できます。それ以降は、対症療法で回復を待つのが一般的です。
高齢者や基礎疾患がある方は重症化しやすいため、とくに注意が必要です。急激な発熱や関節痛など、インフルエンザを疑う症状がある場合は、内科を受診して検査を受けましょう。
新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2というウイルスによる感染症です。おもな症状は、発熱や喉の痛み、咳に加え、寒気や頭痛、味覚・嗅覚の異常などです。無症状のまま経過することもあれば重い肺炎を起こすこともあり、症状の個人差が大きい傾向があります。
軽症の場合は、風邪と同様に解熱鎮痛剤や咳止めなど、症状に合わせた薬で様子を見ますが、重症化リスクが高い方には抗ウイルス薬が処方されることもあります。
息苦しさがある、高熱が続く、食事がとれないなどの症状がある場合は、内科を受診しましょう。
副鼻腔炎
副鼻腔炎は、鼻の奥にある空洞に細菌やウイルスが感染し、炎症が起こる病気です。風邪のあとにかかることが多く、鼻づまりや鼻水、鼻や頬の奥の痛み、発熱、頭痛などがあらわれます。
治療に使われるのは、膿を含む鼻水の排出を促す薬や抗菌薬などです。水分をよく摂り、鼻水をしっかりとかむようにしましょう。
症状が長く続くケースもあるため、黄色や緑色のドロッとした鼻水が続く、頬や目の奥が痛い、頭痛が長引くなどの場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。症状が軽く、鼻水、鼻づまり程度であれば内科でも対応可能です。
「寒気と頭痛」の正しい対処法は?
寒気が強いときは、1枚多く着る、毛布を増やすなどで体をしっかりと温めましょう。逆に、寒気が治まり体が熱くなったら、服や毛布を減らして対応します。風邪による頭痛は、冷やしたタオルや氷のう、タオルに包んだ保冷剤などで冷やすと、楽になることもあります。
寒気や頭痛に効果がある市販薬には、胃に優しく幅広い年代の方に使いやすいアセトアミノフェンや、痛みを抑える作用が強いイブプロフェンなどがあります。体質や持病に合わせて適切なものを選んでください。
ただし、薬はあくまで症状を和らげるものです。ウイルスを退治して早く治すには、睡眠と水分を十分にとり、自身の免疫力を高めることが大切です。水分をこまめに摂り、体をゆっくり休めましょう。
また、症状が強くなってきた場合は、セルフケアだけでは対処できないケースも少なくありません。また、頭痛が非常に強い
「寒気と頭痛」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「寒気と頭痛」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
寒気と頭痛があるのは風邪の前兆でしょうか
伊藤 陽子(医師)
寒気と頭痛は、風邪の前兆の可能性があります。体内にウイルスが侵入すると、私たちの体は体温を上げてウイルスと戦おうとします。このとき、筋肉を震わせて熱を作り出すために寒気(悪寒)を感じるのです。つまり、寒気と頭痛がある場合、これから熱が上がる可能性が高いと考えられます。経口補水液やゼリー飲料、レトルトのおかゆなどの備えがあるか確認しましょう。
寒気を感じると頭痛が起こることもありますか?
伊藤 陽子(医師)
寒気のあとに頭痛が起こることもあります。よく見られるのは、発熱の前兆で寒気が起こり、その後体調が悪化して頭痛がするケースです。水分を摂ってゆっくりと休みましょう。市販の解熱鎮痛剤を服用すると楽になることがあります。市販薬で体調が改善しない場合は、内科の受診を検討しましょう。また、ストレスから自律神経のバランスが乱れ、寒気や頭痛が起こる場合もあります。ゆっくりとリラックスし、深呼吸をしてみましょう。頻繁に起こる場合は、心療内科やかかりつけの内科で相談してみてください。
悪寒がして頭が痛いけれど熱はない場合何科を受診すべきですか?
伊藤 陽子(医師)
悪寒と頭痛があっても熱は無い場合、まずは内科を受診するのが一般的です。熱がなくても、感染症の初期や自律神経の問題など、内科的な要因が考えられるためです。ただし、頭痛が非常に激しい、言葉が出ない、手足の痺れといった症状がある場合は、脳神経外科や神経内科をすぐに受診してください。
熱が出て寒気と頭痛がするときは風邪薬を飲んだほうが良いですか?
伊藤 陽子(医師)
風邪薬を飲んだ方がよいかどうかは、そのときの症状の強さや発熱の原因によって異なります。一般的な風邪の場合、基本的には解熱鎮痛剤を含む風邪薬を飲むと症状は楽になると考えられます。熱や頭痛で眠れない、水分や食事が十分に摂れないなどの場合は、薬を飲んでゆっくり休むのがよいでしょう。
ただし、インフルエンザによる熱や寒気、頭痛の場合、解熱鎮痛剤は「アセトアミノフェン」という成分を選ぶ必要があります。市販の風邪薬には、アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤が含まれる商品もあるため、インフルエンザを疑うような高熱や強いだるさ、頭痛などがある場合は受診を検討しましょう。
まとめ 寒気と頭痛のときは保温と安静を心がけよう
寒気と頭痛は、体調不良のサインです。多くは風邪やインフルエンザなどの感染症が原因ですが、中には髄膜炎やくも膜下出血といった命に関わる病気が潜んでいることもあります。
感染症が原因の場合、寒気があるうちは体を温め、熱が上がりきって熱くなったら体を冷やしましょう。ただし、今までに経験したことのないような強い頭痛や手足の麻痺、首の硬直などがある場合はすぐに受診してください。感染症であっても、症状が長引く場合や不安な場合は、早めに内科を受診して医師による治療を受けましょう。
「寒気と頭痛」に関連する病気や症状
「寒気と頭痛」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内科・感染症
- インフルエンザ
- 風邪(感冒)
- 腎盂腎炎
- 新型コロナウイルス感染症
寒気と頭痛の多くは感染症が原因ですが、一刻も早い治療が必要な脳の病気の可能性もあります。強い頭痛や手足の麻痺などがあらわれた場合はすぐに受診しましょう。
「寒気と頭痛」に似ている症状・関連する症状
「寒気と頭痛」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- のどが痛い
- 熱が出る
- 関節が痛い
- だるさ
- 背中が痛い
- 肩がこる
インフルエンザをはじめとする感染症では、寒気や頭痛の他に全身の痛みやだるさなどがあらわれることがあります。症状がつらい場合ははやめに受診しましょう。



