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「頭を振ると痛い」ときの原因は?対処法や考えられる病気を医師が解説!

「頭を振ると痛い」ときの原因は?対処法や考えられる病気を医師が解説!
頭を振ると痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が原因・考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

「頭を振ると痛い」原因と対処法

日常生活の中で、ふとした瞬間に「頭を振ると痛い」と感じることはありませんか? 何か特別なことをしたわけでもないのに、急に頭痛が走ると不安になりますよね。この症状は、一時的なものから、時には見過ごせない病気が隠れているサインである可能性まで、様々なケースが考えられます。 頭痛が起こる場所や、他にどのような症状があるかによって、原因を特定する手がかりになることがありますので、ご自身の症状と照らし合わせながら読んでみてください。

頭を振ると痛い原因と対処法

「頭を振ると痛い」という症状は、その痛みの感じ方や、頭のどのあたりが痛むかによって、ある程度原因を推測することができます。例えば、心臓の拍動に合わせてズキンズキンと痛む、頭全体が締め付けられるように重苦しい、瞬間的に鋭い痛みが走るなど、痛みの性質は様々です。また、頭全体が痛むのか、特定の場所(後頭部、こめかみなど)が痛むのかも、重要な情報となります。 頭を振るという動作は、頭の中の血管や神経、頭の周りの筋肉や組織に、ほんのわずかな振動や負荷を与えます。健康な状態であれば、これらの刺激で痛みを感じることはありません。しかし、何らかの原因によってこれらの組織が敏感になっている場合や、炎症(腫れて熱を持っている状態)、圧迫などが生じている場合には、普段は何ともないようなわずかな動きでも痛みとして感じることがあります。 頭を振ると痛い場合に考えられる代表的な病気や原因には、感冒(いわゆる風邪)や風邪症候群、脱水状態、副鼻腔炎(鼻の奥の空洞の炎症)、緊張型頭痛、片頭痛、運動時頭痛、髄膜炎(脳や脊髄を覆う膜の炎症)などが挙げられます。もし頭を振ると痛みを感じた場合は、まず無理に動かさないことが大切です。可能であれば、静かな場所で横になって、安静にしましょう。痛む部分やその周りを冷やしたり、温めたりすることで、症状が楽になることがあります。一般的に、急に起こった痛みには冷やすことが、慢性的に続く痛みには温めることが効果的と言われています。また、市販の鎮痛薬を試してみるのも良いでしょう。しかし、症状が良くならない場合には、脳神経内科や脳神経外科を受診することをおすすめします。

頭を振る後頭部が痛い原因と対処法

頭を振ると後頭部が痛む場合には、後頭神経痛(後頭部から首の後ろにかけての神経の痛み)や緊張型頭痛、椎骨動脈解離(首の骨の中を通る血管の内壁が剥がれる病気)、運動時頭痛などが考えられます。対処法は前述と同様で、安静にすること、痛む部分を冷やしたり温めたりすること、市販の鎮痛薬を服用することです。 後頭神経痛とは、後頭部から首の後ろにかけて走っている神経が、何らかの原因で刺激されたり、圧迫されたりすることで起こる痛みです。ズキッとしたり、ピリッとしたりする鋭い痛みが数秒から数分続くことが特徴で、頭を振るなどの動作がきっかけで痛むことがあります。緊張型頭痛は、最もよく見られる頭痛の一つで、精神的なストレスや疲労、長時間同じ姿勢でいることなどが原因で起こります。頭全体や後頭部、首筋にかけて、締め付けられるような、または重苦しい鈍い痛みが特徴で、頭を振ることで痛みが悪化することがあります。椎骨動脈解離とは、首の骨の中を通っている椎骨動脈という重要な血管の内側の壁が、何らかの原因で剥がれてしまう病気です。後頭部から首にかけて、突然激しい痛みが起こり、めまいやふらつき、物が二重に見える(複視)などの症状を伴うことがあります。頭を振ることで、血管への刺激が加わり、症状が悪化することがあります。 後頭部の痛みが続く場合や、上記のような他の症状を伴う場合は、自己判断せずに脳神経内科や脳神経外科を受診してください。特に、突然の激しい痛みや神経症状がある場合は、すぐに受診が必要です。

風邪やコロナ発症中に頭を振ると痛い原因と対処法

「頭を振ると痛い」と感じる場合には、ウイルス感染による炎症が、脳や髄膜(脳や脊髄を覆う膜)に及んでいる可能性、ウイルスが血管の内側の細胞(血管内皮細胞)に影響を与え、血管の収縮や拡張を引き起こしている可能性、発熱や全身のだるさ(倦怠感)によって首や肩周りの筋肉が緊張し、緊張型頭痛を引き起こしている可能性、そして脱水症状になっている可能性などが考えられます。 風邪やコロナ発症中の頭痛に対する基本的な対処法は、安静にすること、こまめな水分補給、解熱鎮痛薬(熱を下げる痛み止め)の服用です。

頭を振るとこめかみが痛い原因と対処法

頭を振るとこめかみが痛い場合には、片頭痛、緊張型頭痛、顎関節症などが考えられます。顎関節症は顎の関節(顎関節)やその周囲の筋肉に異常が生じる病気の総称です。口を開け閉めする際の痛みや異音、顎の動きの制限などが主な症状ですが、頭痛や顔面痛、肩こりなどを伴うこともあります。頭を振ることで顎関節が動き、周囲の筋肉が刺激され、関連痛として頭痛を感じることがあります。治療には、マッサージやストレッチ、マウスピースの使用、薬物療法などが行われます。重症な場合は手術が必要となることもあります。口を開け閉めする際に痛みがある、顎から音がする、口が大きく開かないなどの症状がある場合は、歯科・口腔外科を受診してください。

頭を振ると歯が痛い原因と対処法

頭を振るという動作で歯が痛む場合、直接的な頭の病気というよりは歯科や口腔内の問題が関連している可能性が高いです。虫歯・歯周病、顎関節症、歯ぎしりや食いしばりに伴う関連痛、副鼻腔炎、三叉神経痛などが考えられます。 このような場合には、まず歯科・口腔外科を受診し、口腔内の状態を詳しく診てもらうことが重要です。

風邪を発症中に頭を振ると痛い原因と対処法

すぐに病院へ行くべき「頭を振ると痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

高熱と首の硬直を伴う頭痛の場合は、脳神経内科へ

高熱があり、首が硬くて動かしにくい(項部硬直)症状を伴う場合には、髄膜炎という病気を考えなければいけません。髄膜炎の主な症状としては、発熱と頭痛、吐き気がよく知られていますが、意識が朦朧とする(意識障害)、けいれんが見られることもあります。頭を振ると頭痛が悪化するという特徴的な症状が現れることがあります。髄膜炎は、髄膜という脳や脊髄を覆っている膜に、細菌やウイルスなどが感染して炎症を起こす病気です。髄膜炎は進行が早く、適切な治療が遅れると、重い後遺症が残ったり、命に関わることもある危険な病気です。 発熱、頭痛、吐き気などの症状が重なる場合や、首が硬くて動かしづらい、意識がぼんやりする、けいれんなどの症状が現れた場合には、ためらわずに脳神経内科や救急科を受診してください。

「頭を振ると痛い」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「頭を振ると痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

運動時頭痛

運動時頭痛とは、運動中または運動直後に起こる頭痛です。ジョギング、水泳、テニスなど、様々な運動で起こることがあります。頭を激しく振るような運動がきっかけになることもあります。原因がはっきりしない一次性のものと、他の病気が原因で起こる二次性のものがあります。二次性の場合は、まれに脳腫瘍やくも膜下出血などが原因となっていることがあるため注意が必要です。 一次性の運動時頭痛では、運動前にNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という種類の痛み止めを服用することで予防できることがあります。運動の種類や強度を調整することも有効です。二次性の場合は、原因となっている病気の治療が不可欠です。 初めて運動時に頭痛が起こった場合や、痛みが非常に強い、手足の麻痺やしびれなどの他の神経症状を伴う場合は、脳神経内科や脳神経外科を受診するようにしてください。

寒冷刺激による頭痛

寒冷刺激による頭痛とは、文字通り、冷たいものを急に食べたり飲んだりした時や、冷たい風に急にさらされた時に起こる頭痛です。「アイスクリーム頭痛」とも呼ばれることがあります。こめかみや額(前頭部)に、ズキンとした痛みが短時間で現れます。冷たい刺激によって、口の中や鼻の奥の血管が一時的に収縮し、その後急に拡張する際に、周りの神経が刺激されると考えられています。頭を振ることで、冷たい刺激がより広がり、痛みを感じやすくなることがあります。通常は数分で自然に治まるため、特別な治療は必要ありません。冷たいものをゆっくりと摂取したり、冷たい風に直接当たらないようにすることで予防できます。痛みが長く続く場合や、他の症状(吐き気など)を伴う場合は、念のため脳神経内科や脳神経外科を受診することをおすすめします。

副鼻腔炎

副鼻腔炎とは、鼻の奥にある副鼻腔という空洞に、細菌やウイルスが感染して炎症が起こる病気です。鼻詰まり、鼻水、顔の痛みなどが主な症状ですが、頭痛を伴うこともあります。特に、頭を動かしたり、振ったりすることで、炎症を起こしている副鼻腔の中の圧力が変化し、痛みが頭に響くことがあります。 鼻うがいや加湿、市販の点鼻薬などで症状が楽になることがありますが、細菌感染が疑われる場合は、抗菌薬(抗生物質)による治療が必要となることがあります。 鼻水や鼻詰まりがひどい、顔の痛みがある、発熱があるなどの症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

髄膜炎

髄膜炎は、脳や脊髄を覆う髄膜という組織に炎症が起こる病気です。主な症状は、激しい頭痛、発熱(高熱)、吐き気・嘔吐、項部硬直(首が硬くて動かしづらい)、意識障害(ぼんやりしている)、けいれんなどです。髄膜に炎症が起こると、脳や脊髄の周りの組織が非常に過敏な状態になります。頭を振るという動作は、脳や脳の周りの液体(脳脊髄液)にわずかな振動や動きを与えるため、炎症を起こした髄膜が刺激され、痛みとして感じられると考えられます。そのため、髄膜炎では頭を振ると痛みが悪化する症状が見られます。 炎症が起こる原因は、細菌、ウイルス、真菌(カビ)などの病原体が感染することですが、特に細菌性髄膜炎の場合には重症になりやすいことが知られています。ウイルス性髄膜炎は通常1週間程度で治り、後遺症はほとんどありません。一方で細菌性髄膜炎は、適切な治療を行っても死亡率は10%前後であり、後遺症も20~30%程度の患者さんにみられます。 髄膜炎が疑われる場合は、髄液検査などを行い、原因を特定して適切な治療を開始する必要があります。疑われる症状がある場合には、ためらわずに脳神経内科や救急外来を受診してください。

「頭を振ると痛い」時の正しい対処法は?

一時的な軽い頭痛であれば、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDs(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど))を服用しても良いでしょう。ただし、効果がない場合や症状が悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。 以下のような場合は、市販薬で様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。
  • 突然の激しい頭痛
  • 意識がぼんやりする
  • 手足の麻痺やしびれ
  • 言葉が出にくい、ろれつが回らない
  • 高熱
  • 何度も吐く
  • 首が硬くて動かしにくい
  • 目が見えにくい、物が二重に見える
  • 体がけいれんする
  • 今まで経験したことのないような頭痛
また、頭痛を予防するためには、規則正しい生活を送ることが重要です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、ストレスを溜め込まない工夫、正しい姿勢を保つ、首や肩周りのストレッチなどを心がけてください。 応急処置をしても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、自己判断せずに脳神経内科や脳神経外科を受診してください。

「足の裏が熱い」症状のよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「足の裏が熱い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

頭を振ると痛いのは髄膜炎ですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

頭を振ると痛むという症状だけで、髄膜炎と断定することはできません。髄膜炎の主な症状は、高熱、激しい頭痛、首の後ろが硬くなる(項部硬直)、吐き気や嘔吐、意識がぼんやりするなどです。頭を動かすことで頭痛が悪化することがありますが、「頭を振ると痛い」という症状だけで判断せず、他の症状の有無を確認することが非常に重要です。もし、これらの症状が複数当てはまる場合は、すぐに医療機関を受診してください。

まとめ

「頭を振ると痛い」という症状は、日常的によく起こる頭痛から、時には注意が必要な病気のサインである可能性まで、様々な原因が考えられます。大切なのは、ご自身の症状を注意深く観察し、痛みの性質や起こるタイミング、他にどのような症状があるかなどを把握することです。多くの場合、安静にしたり、市販の鎮痛薬を服用したりすることで症状が和らぎますが、痛みが続く場合や悪化する場合、あるいは他の気になる症状を伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが最も重要です。

「頭を振ると痛い」で考えられる病気

「頭を振ると痛い」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • 風邪症候群

耳鼻咽喉科の病気

歯科・口腔外科の病気

一時的な頭痛であることが頻度として多いと思いますが、中には何らかの病気が潜んでいるサインである可能性もあります。

「頭を振ると痛い」に似ている症状・関連する症状

「頭を振ると痛い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 激しい頭痛
  • 吐き気・嘔吐
  • 首が硬くて動かしづらい
  • ぼんやりしている
よくある風邪症状であれば経過を見ても良いですが、上記のような症状がある場合には、早めに医療機関を受診するようにしてください。