「ふわふわするめまい」の原因はご存知ですか?医師が監修!
「雲の上を歩いている感じ」「頭がぼーっとしてふわふわする」という経験ありませんか?
その症状、実は浮動性めまいかもしれません。
ふわふわしためまいは他人から見ると何も変化がないように捉えられやすいので、めまいの症状で日頃から悩んでいる人は理解を得られにくく辛い思いをしているでしょう。
めまいは一時的なものであれば大きな問題がないことが多いですが、場合によっては緊急性が高い病気が潜んでいる可能性もあり注意が必要です。
この記事では、ふわふわするめまいの症状・代表的な原因・対処法・治し方などを解説します。日頃からふわふわするめまいで悩んでいる人は、ぜひ記事の内容を参考にしてみて下さい。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
ふわふわするめまいの症状
ふわふわするめまいは「浮動性めまい」という言葉で表現されます。ここでは、浮動性めまいの具体的な症状について解説します。
身体が宙に浮いている感覚
ふわふわする浮動性めまいは回転性めまいとは違い、身体が宙に浮いているような感覚があります。浮動性めまいを感じる原因は様々ですが、脳に障害がある場合や自律神経の乱れ、心の問題や内服薬の影響などが主に挙げられます。寝不足など不規則な生活習慣の人、うつ病など持病に精神疾患があり抗精神薬を内服している人は特に浮動性めまいを感じやすいかもしれません。また高齢になるにつれて脳卒中、虚血性心疾患など脳や心臓が原因でめまいを発症しやすく、この場合には一刻も早い治療が必要になります。
まっすぐ立つ・歩くのが難しい
浮動性めまいは平衡感覚が鈍くなりやすく、歩行だけでなく真っ直ぐ立つことも難しい場合があります。貧血や低血圧、脳がめまいの原因となっていると考えられます。症状が強い場合日常生活に支障をきたすので、真っ直ぐ立つことも難しいようであれば横になって安静にして、必要時医療機関を受診しましょう。起床時にめまいを自覚することが多いですが、外出先でめまいが出現した場合は安静にできる場所を探し、目をつぶって少し様子をみるとめまいが多少緩和されることもあります。
ふわふわするめまいの代表的な原因と対処法
ふわふわするめまいが出現した際にはどのような原因かを探り、それぞれの疾患に合わせた適切な対処法を行うことが重要です。ここでは3つの代表的な疾患と、その対処法を紹介します。
脳卒中が原因の場合の対処法
脳卒中とは脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3つの疾患の総称です。これらの疾患は高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病や喫煙、飲酒などが関与しています。脳梗塞・脳出血・くも膜下出血でそれぞれ症状は多少異なりますが、意識障害・言語障害・半身麻痺など重篤な症状が出ることが多いです。そして脳卒中は時間との勝負なので、時間が経過するほど後遺症が残る確率や死亡率が高くなります。前駆症状として激しい頭痛・めまい・嘔気なども出現する場合もあるので、普段と何か違うと感じた場合はすぐ病院へ受診しましょう。治療はt-PA療法や手術など、外科的アプローチもありますが脳卒中となった原因によって対処法は異なります。また予防策として、生活習慣病予防や喫煙している人は禁煙するとより発症のリスクを下げられるので、定期的に健康診断を実施するなど日頃から自身の健康管理について意識すると良いでしょう。
自律神経失調症が原因の対処法
自律神経失調症はストレスが原因で自律神経のバランスが乱れ、体に様々な不調をきたす総称です。普段は交感神経と副交感神経のバランスを取りながら体の状態を調節しています。しかしこのバランスが乱れると、体の状態を上手く調節できません。その結果、体に様々な不調をきたしてしまいます。具体的な症状として、疲労感・下痢・便秘・頭痛・めまい・動悸・息切れなど様々です。治療法としてホルモン剤による対症療法や、睡眠の質を整える行動療法などがあります。しかし重要なのはストレスを溜めないようにすることなので、ストレスコントロールや規則正しい生活習慣を送ることが1番の解決策になります。
緊張型頭痛が原因の対処法
緊張型頭痛とはストレスや、筋緊張が原因で起こる両側性の頭痛です。頭痛の中では1番発症が多い頭痛で、筋力が低下した高齢者や女性に多くみられます。月に15日未満発症する反復発作性と、月に15日以上発症する慢性の2種類に分類されます。基本的に頭痛の程度は軽症〜中等症なので、日常生活に多少支障があっても寝込むことはありません。しかし頭痛の原因に気づかず放置していると嘔気・嘔吐・めまいなどの症状も引き起こし、寝込んでしまう可能性もあります。そのような症状が出る前にもしっかりと医師の診断を受け、適切な治療を受ける必要があります。日常生活でなるべくストレスを溜め込まないよう注意し、頭痛やほかに気になる症状があった場合は、医療機関へ受診しましょう。
ふわふわするめまいの治し方
ふわふわしためまいが出現した時に、どのように対処すれば良いのか事前に知っておくと安心ですよね。ここでは実際にめまいが起きた時の対処法を紹介します。
静かな場所で安静にする
めまいが出ている時に無理に動くのは危険です。めまいが出ている時は平衡感覚も鈍くなり、真っ直ぐに歩くことも難しいでしょう。場合によっては失神する可能性もあり、失神すると自身で受け身が取れないので頭を打って命に関わることもあるかもしれません。なるべく歩かないようにして、症状が落ち着くまでは横になって安静にして下さい。外出時にめまいが出た場合にもなるべく歩かないように、移動時は車やタクシーなどを利用しましょう。安静にしている時も静かな場所で暗い場所を選ぶと、より落ち着きやすくなります。
病院を受診する
安静にしてもめまいが緩和されない場合や、数日数ヶ月めまいが持続しているようであれば病院を受診しましょう。めまいには良性発作性頭位めまい症のように数日で症状が治まり比較的症状も軽いものもありますが、メニエール病・突発性難聴・聴神経腫瘍のように、放置すると危険な疾患も隠れている場合があります。受診する目安は、めまいが数日経過しても緩和されない・聞こえが悪くなった・耳鳴りが酷い・頭痛がするなどめまい以外の症状も伴う時には受診し治療を受けて下さい。めまいは平衡感覚も鈍くなるので、放置していると日常生活でも危険を伴う可能性があるので、めまい以外の症状がなくても不安な場合は医師に相談してみると良いでしょう。
原因として脳の異常が疑われる場合はすぐに病院へ
めまいを発症する原因の多くは耳が起因していますが、脳が原因でめまいを発症することもあります。脳卒中は脳の血管障害で低酸素・低血糖・低血圧などが要因となり、ふわふわした浮動性めまいを自覚することがあります。良性発作性頭位めまい症などとの違いは、めまい以外にも激しい頭痛・嘔気・呂律障害・意識障害を伴うことです。このような症状を自覚した場合は、早急に医療機関へ受診しましょう。脳卒中だった場合は1分1秒の時間が勝負です。治療開始が遅くなるにつれて後遺症が残ってしまい最悪の場合、命を落としてしまう可能性もある危険な病気です。何か異変を感じたら、躊躇せず救急車を呼びましょう。
まとめ
めまいは感じ方から程度まで個人差があるだけでなく、他人から見ても分かりづらく症状に関して理解を得にくいかもしれません。
めまいの症状が辛い場合には無理せず、横になって休んで下さい。そして自分がめまいで辛いということを家族などに相談し、生活に支障をきたしている場合はサポートしてもらいましょう。
またふわふわする浮動性めまいは、症状の感じ方も様々で原因となる疾患も軽症な場合と重篤な場合があるので1人で判断するのは危険です。
めまいが持続したり悪化したりする場合やめまい以外にも症状を自覚している場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
受診の際も1人で歩行するのは危険なので、タクシーなど公共交通機関を利用して下さい。