「胃の違和感が続く」原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!
胃の違和感が続くとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
丸山 潤(医師)
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター
「胃の違和感が続く」症状で考えられる病気と対処法
胃の違和感を感じた場合、どのような病気が考えられるでしょうか?食べすぎや、飲みすぎなどで一時的に症状が現れ、翌日には改善する程度であれば問題がないことが多いです。しかし、数日にわたって持続したり、何度も症状が繰り返されたりする場合には注意が必要です。
胃の違和感が続く症状で考えられる原因と治し方
みぞおちのあたりの痛みや、重い感じ、胸やけや吐き気が続いたり、食欲がなかったりする場合、胃の病気が考えられます。胃の違和感がある場合には、無理に食事を食べずに胃を休めた方が良いでしょう。スポーツ飲料などで水分を補給し、症状が良くなったらお粥など消化のよいものから食べ始めましょう。症状が良くなっても、アルコールやコーヒー、辛い物や脂っこい物はしばらく避けることをお勧めします。
胃の違和感がある時には、胃炎などの病気が考えられます。胃炎はストレスやウイルスの感染により一時的に起こるものから、慢性的に症状が続くものまでさまざまです。消化器内科が専門であり、症状が続く場合には胃カメラなどの検査をすることもあります。
胃のムカムカ感が続く症状で考えられる原因と対処法
胃のムカムカする感じが続く場合、胃の不調が考えられます。原因には、胃炎や胃潰瘍、機能性ディスペプシア、胃がんなどさまざまな病気が挙げられます。急激な胃のむかつき、吐き気、嘔吐や下痢などを認めた場合、急性胃腸炎が考えられます。多くはウイルス性の胃腸炎ですが、食中毒による胃腸炎もみられます。急激で強い嘔吐や下痢の症状がある場合には、無理に食事をとらずに、少しずつ水分を摂取しながら様子を見ましょう。水分が取れず、嘔吐や下痢が続き脱水が疑われる場合には、早めに病院を受診しましょう。特に高齢者では注意が必要です。
胃の違和感が続いてげっぷがでる症状で考えられる原因と対処法
胃の違和感とげっぷが出る場合には、胃の運動機能が低下している可能性があります。胃炎、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、便秘などさまざまな消化器系の病気は、時にげっぷの症状を伴います。早食いの方は、食べるときに空気を一緒に飲みこみやすく、げっぷが出やすいといわれています。消化を助けるためにも、よく噛んでゆっくり食べることで症状が改善することもあります。それでも症状が続き、げっぷ以外にも胃もたれや胸やけ、胃痛などの症状が伴う場合には消化器内科の受診をお勧めします。
食後に胃の違和感が続く症状で考えられる原因と対処法
食後のむかつき、すぐに腹満感で食べられなくなってしまう場合には、胃炎が疑われます。機能性ディスペプシアという検査で異常がないにもかかわらず、症状がつづく病気もあります。自宅での対処法は、消化の良い物を食べること、一度に多く食べ過ぎないことです。また、市販の胃薬を試してみても良いでしょう。症状が持続する場合には、原因を調べるために消化器内科を受診してください。
すぐに病院へ行くべき「胃の違和感が続く」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
便が黒っぽい症状の場合は、消化器内科へ
みぞおちの痛み、不快感とともに便が赤い、もしくは海苔の佃煮のように黒く生臭い便が出る場合には、胃の出血の可能性があります。胃潰瘍や胃がんなどの可能性が考えられ、早めに消化器内科を受診しましょう。特に、立ちくらみやふらつきなどを伴う時には、出血量が多く危険なこともあります。早急な受診が勧められます。
受診・予防の目安となる「胃の違和感が続く」ときのセルフチェック法
- 胃の違和感が続く以外に便が黒い症状がある場合
- 胃の違和感が続く以外に食欲がない症状がある場合
- 胃の違和感が続く以外に体重減少がある場合
- 胃の違和感が続く以外にみぞおちの痛みがある場合
「胃の違和感が続く」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「胃の違和感が続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
胃もたれ
胃もたれが続く場合、慢性胃炎の症状かもしれません。胃炎とは、胃の粘膜が炎症を起こした状態です。慢性胃炎の原因の多くは、ヘリコバクターピロリ菌であるとされています。ピロリ菌感染による慢性胃炎が元にあり、胃がんを発症することが知られており、注意が必要です。症状が続き、ピロリ菌が原因である場合、内服薬による除菌を行います。胃もたれの症状がある場合には、慢性胃炎の可能性があり、消化器内科を受診し、相談しましょう。
ストレス性胃炎
ストレスがかかると、胃炎や消化性潰瘍を起こしやすくなります。これは、ストレスが体にかかることにより、迷走神経、内臓神経、自律神経が刺激され胃酸の分泌や消化管運動のバランスが崩れるためです。ストレスがかかることにより、上腹部の痛みや不快感、吐き気、食欲不振などが起こるようであれば、ストレス性胃炎の可能性があります。アルコール、コーヒー、香辛料などを避け、消化の良い物を摂取して様子を見ましょう。また、休息をとり、体をリラックスさせることも大切です。それでも症状が持続する場合には、消化器内科をまず受診しましょう。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアとは、症状の原因となる明らかな異常はないが、慢性的にみぞおちの痛みや胃もたれなどの症状が続く病気をさします。胃の消化作用や運動機能が悪くなったために症状が出ていると考えられています。胃・十二指腸の運動障害や知覚過敏、心理的要因や胃酸の影響など原因は複雑です。胃カメラ検査などで異常がないか調べたうえで診断されます。病院を受診し、診断されると胃酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬などで治療することが多いです。また、睡眠不足や不規則な食生活が原因となるため、食事・生活のリズムを整えることも重要です。胃の症状が長く続く場合には、消化器内科を受診しましょう。
胃潰瘍
胃潰瘍は胃酸が胃の壁を障害することにより起こります。胃の粘膜がヘリコバクターピロリ菌に感染することにより起こることが多いです。そのほかに、痛み止めの内服により起こる薬剤性潰瘍も増えています。潰瘍ができると空腹時に胃痛が強くなることが多いです。潰瘍から出血すると、便に血が混ざり、黒っぽい便が出ることもあります。このような血便が出る場合には早急に病院へ行きましょう。消化器内科が専門です。
胃がん
胃がんは胃壁の粘膜細胞が何らかの原因でがん細胞となり、増えることにより発生します。胃がんは喫煙、アルコール、塩分の取りすぎ、ヘリコバクターピロリ菌の感染に影響していると言われ、これらを注意することで予防をすることができます。胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しないとわからないこともあります。日本人ではがんの死亡数の中で胃がんは三位と多く、注意が必要です。このため、定期的な胃の健康診断が勧められます。胃の不快感などの症状が出たり、食事がつかえる、体重減少などの症状が出た場合には一度消化器内科を受診しましょう。
「胃の違和感が続く」の正しい対処法は?
胃の違和感が続く場合、多くは胃の不調が考えられます。違和感が続く場合には、無理に食事をとらず、水分摂取を十分に行うことを心がけて症状が落ち着くまで待ちましょう。症状が改善したら、徐々に消化の良い食事を少しずつ始めていきます。アルコール、コーヒー、刺激物の摂取は当分ひかえましょう。
市販の胃薬を飲むことも良いでしょう。また、ストレスは胃の不調につながりやすいため、睡眠を良く取り、体を休め、リラックスをして過ごすこともおすすめです。
それでも症状が改善しない場合には、病院を受診しましょう。
「胃の違和感が続く」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃の違和感が続く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃の違和感が続いて吐き気があるときは、自律神経が関係しているのですか?
丸山 潤(医師)
ストレスがかかることにより自律神経が刺激され胃酸の分泌や消化管運動のバランスが崩れ、胃炎や胃潰瘍となることもあります。胃炎や胃潰瘍となると胃の違和感や吐き気が出ることもあります。
胃の違和感が続いているのは胃がんの前兆ですか?
丸山 潤(医師)
胃の違和感が胃がんの兆候の可能性もあります。日本人において、胃がんの死亡数は第三位と多く、注意が必要です。気になるようであれば、胃カメラなどで検査をしましょう。
ストレスが原因で胃の違和感が続くことはありますか?
丸山 潤(医師)
ストレスが原因となり胃炎、胃潰瘍をきたすことはあります。症状が続く時には治療が必要です。病院で相談してみましょう。
まとめ 胃の違和感が続いて気になるときは消化器内科を受診
胃の違和感が持続しているときには、胃の不調が考えられます。胃炎、機能性ディスペプシア、胃潰瘍、胃がんなどの病気が挙げられます。一般的には、胃の不調が現れたときには、消化の良いものを摂取し、ストレスをかけないようによく休息をとり、生活リズムを整えることが対処法です。このような対応でも、症状が持続する場合には、消化器内科を受診しましょう。
また、胃がんは初期症状が分かりづらいことがあります。胃がんは日本人のがんの死因で第三位となっており、注意が必要です。初期のがんであれば、治療で完治ができます。定期的な胃がん検診も受けましょう。
「胃の違和感が続く」症状で考えられる病気
「胃の違和感が続く」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
- 胃がん
- 胃炎
- 胃潰瘍
- 機能性ディスペプシア
- 逆流性食道炎
- 胆のう炎
- 胆石
みぞおちのあたりの違和感の場合、胃、胆道系の病気、心筋梗塞や狭心症などの病気の可能性が考えられます。食事に関連して違和感が出る場合には胃や胆道系の病気の可能性が高いでしょう。また、運動後に胸や胃のあたりの違和感であれば心臓の病気の可能性もあり注意が必要です。
「胃の違和感が続く」に似ている症状・関連する症状
「胃の違和感が続く」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- ムカムカする背中がつる
- みぞおちのあたりが痛い肩が痛い
- 吐き気がある
- 食欲がない
- 体重が減っている
- げっぷが出る
- 便に血が混ざる
- 便が黒い
「胃の違和感が続く」という症状の他に、これらの症状がある場合には、「胃がん」「胃炎」「胃潰瘍」「機能性ディスペプシア」「逆流性食道炎」「胆のう炎」「胆石」「狭心症」「心筋梗塞」などの疾患が考えられます。特に、便に血が混ざる、黒っぽい便が出る場合や、胃の違和感が続き、食欲が低下し体重が減っている場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。