「朝気持ち悪い」のは「逆流性食道炎」が原因?医師が徹底解説!
朝気持ち悪いのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
久高 将太 医師
「朝気持ち悪い」症状で考えられる病気と対処法
朝になると気持ち悪い症状がでる場合、考えられる原因がいくつかあります。詳しく解説していきましょう。
朝気持ち悪く吐き気がする症状で考えられる原因と対処法
朝になると気持ち悪く胃もたれがする場合、胃腸の不調があるかもしれません。寝ている時には胃は空っぽになり濃い胃酸が胃の中に残っています。
前日に食べ過ぎたり、脂っこいものを食べすぎたりすると胃腸の機能が低下して胃もたれの原因になることもあります。また、胃炎や胃潰瘍があると、気持ち悪いだけではなく胃の痛みがでることもあります。
まずは食事のバランスや量を調節してみましょう。それでも改善しない、胃もたれがある場合には、市販の胃薬(ガスター10®など)を使ってみて改善すれば経過をみてもよいでしょう。市販の胃薬などで改善しない場合には、強い胃炎や胃潰瘍など胃腸の病変があるかもしれません。すでに潰瘍がある場合にはなかなかセルフケアだけで治らないので、消化器内科に相談しましょう。診断のためには内視鏡検査(胃カメラ)が必要になることもあります。
低血圧で朝気持ち悪い症状が起こりやすい主な原因と対処法
血圧は1日の中である程度の幅で変動しており、一定のリズムがあります。朝には血圧を調節している自立神経やホルモンのバランスなどのさまざまな因子により、比較的低い血圧から日中の活動に合わせて血圧が上昇していきます。
この血圧の変動がうまくいかない場合や自律神経の乱れで、気持ち悪さや頭痛、だるさがでる方がいます。また、起きて急に体を動かすと起立性低血圧で症状がでる場合があります。その場合にはゆっくりした動作を心がけましょう。
血圧の変動自体は異常ではありませんが、低血圧で症状がある場合、起立性低血圧で強い症状がある場合には血圧を調節する薬剤などが効果的な場合もあります。病院で相談してみましょう。
夏の朝気持ち悪い症状で考えられる原因と対処法
夏の朝に気持ち悪くなる場合には、夜間の暑さで脱水になっていたり、自立神経の乱れによる症状が疑われます。自立神経はさまざまな調節を受けていますが、寒暖差が激しかったり、気圧が大きく変動したりすることで調節性が乱れることがあります。
まずは水分をしっかり取って、適温の環境(夏場は室温28℃前後)で過ごしましょう。暑いのに汗が出ない、尿が少ない場合には熱中症の可能性もありますので、その場合には病院を受診しましょう。
中学生や高校生で朝気持ち悪い症状で考えられる主な原因と対処法
中学生、高校生の思春期に朝気持ち悪い、起きられない、たちくらみがするなどの場合、自律神経機能不全の症状かもしれません。軽症を含めると中学生の10%ほどが自立神経機能不全の症状があると言われています。症状が強い場合、不登校やひきこもりの原因になることもあり、思春期の朝の不調は放置せずに小児科で相談しましょう。
生理前・妊娠中に朝気持ち悪い症状で考えられる原因と対処法
生理前の不調は女性ホルモンの変動による症状である可能性が高いです。その他、胸の張りや痛み、腹痛、気持ち悪さ、イライラするなどの症状が出る場合があります。
妊娠中の朝の気持ち悪さは、時期によってはつわり症状が影響している可能性があります。つわりは多くの方で妊娠5週くらいから10週ほどでピークを超えて徐々に改善しますが、中には妊娠期ずっと不調の方もいらっしゃり、個人差が大きいものです。
症状がある時にはゆっくり休み、改善しない場合には産婦人科で相談してみましょう。
すぐに病院へ行くべき「朝気持ち悪い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
毎日同じ症状が続く場合は、内科へ
天気が悪い日や食べ過ぎ、飲み過ぎで症状がある場合には、通常は1日で症状は消失しますし、長くても数日で改善します。毎日朝気持ち悪く、仕事や学業に影響している場合や、気持ち悪い以外にも腹痛や嘔吐などの症状がある時には内科(お腹の痛みがある場合には消化器内科でもOK)を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「朝気持ち悪い」ときのセルフチェック法
- ・朝気持ち悪い以外に痛み、嘔気などの消化器症状がある場合
- ・朝気持ち悪く、仕事ができない、学校にいけないような症状がある場合
- ・妊娠中で朝気持ち悪く食事・水分摂取ができないことが続く場合
「朝気持ち悪い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「朝気持ち悪い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
起立性調節障害
規律性調節障害は自立神経の機能不全の一つで、朝の不調、立ちくらみ、湿疹、だるさ、動悸、頭痛などの症状が起こります。10-16歳くらいの思春期に起こりやすく、学業に影響がでることもあります。治療は非薬物療法として、動作をゆっくりする、水分を1.5-2L程度、塩分を多めにとる、運動週間などを行います。家族や学校など周囲の人の理解も大切で、個人の怠けではなく病気であることをしっかり認識することが大切です。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃液や胃の中のものが食道に逆流することで、食道粘膜がただれたり潰瘍ができたりする病気です。就寝中の臥位で胃から逆流しやすいため、起床時には胸焼けや気持ち悪さ、げっぷなどの症状が出やすい状態です。診断には問診と内視鏡検査などを行う場合もあります。疑わしい症状がある場合には、消化器内科を受診しましょう。
逆流性食道炎は肥満で起こりやすいため、食事や運動療法で肥満を改善することが重要です。薬物治療では胃酸分泌を抑える治療などを行います。
自律神経失調症
自立神経は交感神経と副交感神経という逆の働きをする2つがバランスを取って、体のさまざまな機能を調節しています。ストレスや更年期によるホルモンバランスの乱れ、病気などが原因で自立神経の働きがうまくいかず症状がでるものを自立神経失調症といいます。
胃もたれ
胃もたれは胃の機能不全や胃炎・胃潰瘍などが原因となって起こる胃の不快感の総称で、病名ではありません。食べ過ぎなどが原因であれば1日程度で改善しますが、症状が続く場合には何かしらの胃の病気が隠れている可能性もあります。一度消化器内科を受診して相談してみましょう。
「朝気持ち悪い」症状の正しい対処法は?
落ち着かせ方は原因によります。起立性調節障害が自律神経失調症による場合には、急に動くと症状が悪化するためゆっくり休んでリラックスするようにしましょう。
逆流性食道炎の場合には、寝る時に頭を少し高くして寝るように姿勢を整えると症状が改善することもありますし、肥満などが原因の場合には食事や運動で適正体重を目指しましょう。
胃もたれや胃炎の症状の場合には市販の胃酸抑制薬で症状が改善することもありますので、試してみても良いかもしれません。すでに何かの病気があり薬を飲んでいる場合などには、飲み合わせの問題もありますので、市販薬を使い始める前に主治医の先生に相談してみましょう。
強い症状や、症状が持続する場合、朝気持ち悪いために仕事や学校に行けないなど生活に支障が出ている場合には、セルフケアではなく病院で相談しましょう。
「朝気持ち悪い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「朝気持ち悪い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
朝気持ち悪く食欲もない時は何か食べた方がいいですか?
久高 将太 医師
無理をして食べる必要はありませんが、例えば牛乳やスープなど、取れそうなものは取っていただいた方が症状は良くなることもあります。自律神経失調症などでは、食事のバランス、特に3食の中でも朝ごはんを取ることが体のリズムを整えるのに大切といわれています。
毎朝気持ちが悪い・吐き気がするのは病院で治療できますか?
久高 将太 医師
病院で治療可能です。まずは原因を検索することが重要ですので、症状があってご不安な時には病院を受診しましょう。
ストレスが原因で朝気持ち悪いことはありますか?
久高 将太 医師
ストレスで自律神経のバランスが乱れたり胃が荒れたりすると(ストレス性の胃炎や胃潰瘍)、朝気持ち悪くなる症状がでる場合があります。
つわりで朝気持ち悪いのですが対処法はありますか?
久高 将太 医師
寝ている間に空腹になるとつわり症状がでるタイプの方がいます。その場合にはすぐに口に入れられる飴やガムを枕元に常備しておいて使うと良いかもしれませんね。
ピルが原因で朝気持ち悪いことはありますか?
久高 将太 医師
低用量ピルを初めて特に3ヶ月以内では、吐き気やめまい、だるさの症状がでる場合があります。通常はそのまま飲み続けると徐々に女性ホルモンのバランスも安定して症状は自然に改善していきます。症状が持続する場合や強い症状の場合には、ピルを変更すると良くなる場合もありますので、相談してみましょう。
まとめ
朝気持ちが悪い症状にはいくつか原因があります。数日で改善してしまうものから、強い症状が持続し生活に支障をきたす場合もあります。特に思春期の朝の不調は「個人のなまけ癖」で片づけられてしまうことがありますが、病気が隠れていることもあります。記事を読んで当てはまる点などがある場合には、病院を受診して相談してみましょう。
「朝気持ち悪い」症状で考えられる病気
「朝気持ち悪い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 自立神経失調症
小児科の病気
- 自立神経機能不全
婦人科の病気
- 月経前症候群
- 妊娠悪阻
数日で改善してしまうものから、症状が持続して生活に支障をきたす病気もあります。
「朝気持ち悪い」に似ている症状・関連する症状
「朝気持ち悪い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 朝にふらつく
- 朝に吐き気がする
- 目覚めが悪い
- 朝の吐き気
- 胃もたれ
- 空腹時に気持ち悪いが食べると治る
- 血圧が低い
「朝気持ち悪い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「起立性低血圧」「低血圧症」「胃炎」「胃潰瘍」「逆流性食道炎」「自立神経失調症」「自立神経機能不全」「月経前症候群」「妊娠悪阻」などの疾患の可能性が考えられます。
生活習慣の改善などを図っても症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。