お腹は空くのに食べると気持ち悪いのは病気?医師が考えられる原因や対処法を解説!
お腹が空くのに、食べると気持ち悪くなる症状があると不安になりますよね。ここでは、健康な食生活のために知っておきたいすぐに病院に行くべき症状や食べると気持ち悪くなる症状の特徴と原因についてMedicalDoc監修医が紹介します。
監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状で考えられる病気と対処法
お腹がすくのに食べると気持ち悪くなる原因の多くは、胃や腸の調子によるものです。病気とまではいかないものも、原因がはっきりとしないものも、早めに治療した方が良いものまでさまざまあります。食べると気持ち悪くなる症状でお悩みの方は、ぜひご自身の症状と照らし合わせてみてください。
お腹が空くのに食べると気持ち悪くなる症状の特徴と原因・治し方
お腹がすくので、お腹いっぱい食事をすると食後に気持ち悪くなるような症状を指します。このような場合、胃食道逆流症が疑われます。胃食道逆流症は、食後の胸やけなどを主症状として、胃のむかむか感、胃が重い感じと表現されるような不快感を自覚する病気です。
すぐに症状を改善させることは難しいですが、肥満の解消(体重減少)と上半身をやや起き上がらせて寝る姿勢(頭側挙上)は症状改善効果が高いことが知られています。予防としては、食べ過ぎや寝る前3時間の食事を避ける、などの生活習慣の改善が効果的と言われていす。主な診療科は、消化器内科です。緊急性はないため日中の受診が望ましいです。胃潰瘍などがないことを確認する意味でも上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を施行する場合が多いです。
お腹が空いても気持ち悪くて食べたくない症状の特徴と原因・治し方
お腹がすいても胃のむかつき感、鈍痛などがあり気持ち悪くて食欲がでない症状を指します。
このような場合、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍が疑われます。食前から食後にかけて上腹部痛を感じることが多いのですが、そのほか吐き気や胸やけ感など気持ち悪さを自覚することも多い病気です。
原因にピロリ菌感染、痛み止め(ロキソニンⓇなど)の飲みすぎによる薬剤性のもの、ストレス、喫煙など挙げられます。
市販の痛み止め(カロナールⓇなど)で一時的な鎮痛効果は得られますが、胃潰瘍の治療にはならないため注意が必要です。
主な診療科は消化器内科です。診断に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を使用します。緊急性はありませんが症状が良くならない場合は、早めに病院受診をしましょう。特に、食事がとれない場合にはすぐに受診してください。
食後に胃が気持ち悪くて吐き気がする・腹痛が起こる症状の特徴と原因・治し方
食後に胃もたれや気持ち悪さ、吐き気、腹痛などが出現する症状をさします。
このような場合、機能性ディスペプシアや胆のう結石症などが疑われます。
機能性ディスペプシアは、血液検査や内視鏡検査、CT検査などでも明らかな原因がわからないのに、上腹部の症状に悩まされる病気です。
慢性的な症状なので簡単に改善できませんが、自宅でできる対処方法はストレスを可能な限り少なくすることです。ピロリ菌感染などの容易に治療可能な原因が隠れている可能性もあるため詳しく検査をしておくことが望まれます。社会生活を満足におくれる程度に症状をコントロールすることが一つの治療目標になります。
胆のう結石症は、特に脂肪分の多い食事をした後に強い腹痛を引き起こすことがあります。多くの場合、痛みは右上腹部に感じられます。緊急性のない胆石仙痛発作であれば鎮痛薬の服用や食事管理で改善することもあります。しかし、炎症が激しく、急性胆のう炎などの緊急疾患の場合には、胆嚢摘出術や胆嚢ドレナージの外科治療などが必要になることもあります。
どちらの病気も主な診療科は消化器内科です。
お腹が空くのに食べると気持ち悪く下痢を伴う症状の特徴と原因・治し方
お腹がすいてついつい食べ過ぎてしまい下痢になる、食べるといつも便意を催し下痢になるなどの症状が当てはまります。
このような場合、胃―大腸(結腸)反射(Gastro-colic reflex)や過敏性腸症候群が疑われます。
胃―大腸(結腸)反射は、食物が胃に入ると大腸が動いて便が直腸に運ばれて便意を感じる反射です。食後に便意を催すのは正常で、これは生理的な神経反射によるものです。中にはこの反射によって大腸が強く蠕動し、下痢になることがあります。これは正常な神経反射のため治療が難しい状態です。
過敏性腸症候群は、ストレスなどが原因で自律神経のバランスが乱れることが原因で過度な便秘や頻回の下痢など排便の異常を起こす病気です。排便で悩む場合はこの病気の可能性があります。
主な診療科は消化器内科です。どちらの疾患も、急性胃腸炎などの疾患を除外することが必要です。
ストレスがかかっていてお腹が空くのに食べると気持ち悪い症状の特徴と対処法
精神的あるいは身体面のストレスが多く、お腹が空くのに食べると気持ち悪い症状を指します。このような場合、自律神経失調症が疑われます。ストレスが過剰にかかると、過敏性症候群や食欲不振、胃腸運動異常などを引き起こします。精神的な要因が消化器系に影響を与えることが原因と考えられています。対策はストレスの管理、食事の工夫、水分補給、運動などです。根本的には日常のストレスが原因しているため、環境を変えることが肝要です。
主な診療科は消化器内科です。ご自身でのストレス管理は難しい場合もあるので、症状がすぐれない期間が続く場合には受診して相談してください。
つわりでお腹が空くのに食べると気持ち悪い症状の特徴と対処法
つわりの代表的な症状に、お腹がすいているのに食べると気持ち悪くなってしまうことがあります。
すぐにできる対処法は、心身の安静のために休養をとることです。食べられなくても少量ずつでも食事や水分をとることも大切です。
主な診療科は、産婦人科です。緊急性の有無や妊娠中の脱水症の診断は難しいため、食事がとれないつわりの場合は我慢せずにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。病院で点滴治療が必要になるのは、5%以上の体重減少があった場合などです。症状が強い場合は、夜間などでも救急外来受診も検討してください。
夏バテでお腹が空くのに食べると気持ち悪い症状の特徴と対処法
夏の暑さでバテてしまいお腹が空くのに食べると気持ち悪くなることがあります。暑さにより体温調節や消化機能が乱れることや、脱水、あるいは疲労が重なることで食事をとる意欲が低下したり、吐き気や胃重感を自覚したりすることがあります。
まずはこまめな水分補給や適度な休息と睡眠、室温管理など環境の整備が大切です。日頃からバランスのとれた食事を心がけましょう。熱中症に至ると緊急で入院が必要なこともあるため、ぐったりしてしまう前に内科を受診してください。
インフルエンザ中にお腹が空くのに食べると気持ち悪い症状の特徴と対処法
インフルエンザなどの感染症にかかった際に、お腹が空くのに食べると気持ち悪くなることがあります。インフルエンザにはA型とB型とC型のタイプがありますが、季節性インフルエンザとして流行するのはA型とB型です。そのうち、B型の場合には、下痢や腹痛などの消化器症状が多いという特徴があります。ウイルス感染によって胃腸の状態が弱っているため、食事を消化するエネルギーが不足してしまい不快感を感じてしまう可能性があるのです。このような場合には、こまめに水分補給、消化に良い食べ物を選ぶ、少量ずつ食べるなどの対策が有効です。主な診療科は内科です。食事が十分に摂れない場合には早めに内科を受診することをお勧めします。
コロナウイルス(Covid-19)中にお腹が空くのに食べると気持ち悪い症状の特徴と対処法
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でよくみられる症状は発熱・咳・鼻汁・咽頭痛などの感冒症状であり、味覚・嗅覚障害も現れることがあります。重症化すると肺炎や呼吸不全を発症し命に関わる状態になることが知られています。その他にもお腹の症状もみられることが知られており、下痢、腹痛、嘔気・嘔吐、食欲低下などの消化器症状は15~50%と高い頻度で認められるといわれています。
こちらの対策もインフルエンザと同じように、こまめに水分補給、消化に良い食べ物を選ぶ、少量ずつ食べるなどの対策をとるのが良いでしょう。主な診療科は内科です。食事が十分に摂れない場合には早めに内科を受診することをお勧めします。
すぐに病院へ行くべき「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
空腹でも食事が全く取れない場合は、内科へ
空腹であるにもかかわらず、食欲がわかない、気持ち悪いなどの症状が続く期間が長い場合があります。このような場合には、ストレスが原因で交感神経が過剰に刺激されることで、消化吸収を促す副交感神経の働きが抑えられてしまい、食欲が低下してしまっている可能性があります。水分が十分量取れていれば良いのですが、食事が全く取れない場合は、脱水症などの危険もありますので、まずは内科を受診するのが良いでしょう。隠れた悪性疾患の影響もないか原因検索も必要です。
根本的な解決としては、ストレスを取り除くことなどが必要です。すぐには難しいこともあると思いますので、休息をとることや気分転換を図ることなどを試すと良いでしょう。それでも良くならない場合には、心療内科・精神科の受診を検討するのが良いと思います。
「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
胃潰瘍(いかいよう)
胃潰瘍とは、胃の粘膜が何らかの原因でダメージを受けて、胃粘膜の下にある粘膜下層や筋層といった深部にまで傷が達する病変を言います。空腹感はありますが、食事中から食後にみぞおちや胃の付近に痛みが起こりやすくなります。他にも胸やけ、胃もたれ、吐き気、食欲不振を伴うこともあります。重症では胃壁全層にダメージが及び、出血や穿孔(穴があくこと)もあります。
原因は、ピロリ菌感染や、非ステロイド性抗炎症剤(ロキソニンⓇなど)の過度な服用が挙げられます。
診断は胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で行います。血液検査やレントゲンなどの検査では確定診断には至りません。治療は内服薬(プロトンポンプ阻害薬など)が一般的ですが、重症の場合は入院加療が必要になります。
お腹はすくのに食べると気持ちわるい、腹痛がある、腹部膨満感がとれないなどの症状があれば早めに受診しましょう。吐血、タール便(黒色便)などが見られた際には緊急性がありますので、すぐに病院受診をしてください。
「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」ときに飲んでも良い市販薬・胃腸薬は?
市販の胃薬は服用が効果的な場合もありますが、あくまでも一時しのぎであると考えた方が良いでしょう。ファモチジン錠、H2ブロッカー(ガスター10Ⓡなど)がそれらにあたります。
治療の原則は原因精査とその除去です。内服薬は、症状緩和に働きますが、根本解決にはいたりません。原因がわからないままでは治りません。市販薬を内服しても症状が取れない、食事が全くとれない、腹痛の程度がつよいなどの時は病院受診をお勧めします。
「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状で考えられる病気と特徴
「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
食道・胃・十二指腸の病気
- 胃食道逆流症
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 十二指腸がん
腸の病気
- 機能性ディスペプシア
- 過敏性腸症候群
生理的な症状
- 妊娠悪阻
精神的な病気
- うつ病
- ストレス
胃や十二指腸に関連する病気が多くあります。病気の原因として、不規則な食生活、喫煙、飲酒などの生活習慣が関わっている可能性もあります
まとめ
お腹はすくのに食べると気持ち悪い症状は、普段の生活のなかでも比較的遭遇することの多い症状だと思います。食事は健康に深くかかわる重要な要素です。自然に治る場合も多いですが、症状がつらいときは無理せず医師に相談してくださいね。