「デリケートゾーンのかゆみ」の原因はご存知ですか?使用できる塗り薬も医師が解説!

デリケートゾーンのかゆみで身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
阿部 一也(医師)
目次 -INDEX-
「デリケートゾーンのかゆみ」の原因と対処法
デリケートゾーンとは、一般的には陰部などを指す表現として広く用いられています。具体的には、ショーツなどの下着で隠れる場所が当てはまります。女性の場合は大陰唇や小陰唇、クリトリス、腟口や尿道口・肛門の周囲など、男性では陰茎や陰嚢、肛門周囲などがあります。デリケートゾーンのかゆみは、外的な要因や病気など、多岐にわたります。
今回の記事では、デリケートゾーンのかゆみの原因と対処法について詳しく解説していきます。
デリケートゾーンのかゆみの原因と対処法
デリケートゾーンは、日常生活のデリケートゾーンのかゆみは、日常生活の中で誰もが経験する可能性のある症状です。
外的な要因としては、下着の素材やサイズが合わないこと、締め付けが強い衣類を長時間着用することが挙げられます。また、ストレスやホルモンバランスの変化が影響することも少なくありません。特に、生理前や妊娠中、更年期などのホルモン変動がある時期は、デリケートゾーンの環境が変わりやすくなります。これにより、かゆみや違和感が生じやすくなるのです。また、カンジダ腟炎や細菌性腟炎、トリコモナス腟炎などの病気が潜んでいる可能性があります。
かゆみが現れた際には、まずはデリケートゾーン専用の低刺激ソープを使い、優しく洗浄しましょう。また、締め付けの少ない綿素材の下着を着用することで、通気性を確保し、症状を和らげることができます。かゆみが強い場合には、冷たいタオルを軽く当てると一時的に症状が落ちつくこともあります。しかし、かゆみが続く場合や他の症状が併発している場合には、婦人科を受診することが重要です。
デリケートゾーンがかゆく、ブツブツがある原因と対処法
かゆみと共にデリケートゾーンにブツブツが現れる場合は、ヘルペスや陰部湿疹、毛嚢炎などの皮膚炎や感染症が疑われます。特に性病が原因となることもあるため、初期の段階でしっかりと観察し、必要に応じて受診することが求められます。
症状の特徴としては、小さな赤いブツブツが現れ、かゆみが増すことが多いです。場合によっては、水ぶくれのような状態になり、排尿時に痛みを伴うこともあります。これらの症状が見られた場合は、患部を冷やしたり、市販の抗炎症薬を塗布したりすることで、かゆみを軽減できます。ただし、これらは応急処置に過ぎませんので、症状が長引く場合は早めに専門医を訪れることをおすすめします。
デリケートゾーンがかゆく、血が出る原因と対処法
かゆみに加えて血が出る症状が見られる場合は、炎症が進行している可能性があります。
かきすぎによる出血が最も一般的ですが、おりものに血が混じることや、痛みが増している場合もあります。出血が見られた際には、まず患部を刺激しないように注意し、ナプキンやタンポンの使用を避けることが大切です。摩擦が症状を悪化させることがあるため、ゆったりとした下着を選ぶのがよいでしょう。
このような症状が見られる場合、カンジダ腟炎の悪化や外陰炎、性器ヘルペスなどが疑われます。かゆみが強く、出血を伴う場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
生理前になるとデリケートゾーンがかゆくなる原因と対処法
生理前になるとホルモンバランスが崩れ、デリケートゾーンにかゆみが生じることがあります。これは多くの女性が経験する自然な現象であり、過度に心配する必要はありませんが、適切なケアを怠ると症状が悪化することがあります。
かゆみは生理前に強くなり、生理が始まると自然に治まることが多いです。また、乾燥感を伴うこともあります。このような場合は、保湿剤を使用したり、ストレスを軽減するためにリラックスしたりする時間を持つことが効果的です。規則正しい生活を送り、ホルモンバランスを整えることも、かゆみの予防につながります。
すぐに病院へ行くべき「デリケートゾーンのかゆみ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
強い痛みや腫れが伴う場合は、婦人科へ
デリケートゾーンのかゆみが強い痛みや腫れを伴う場合は、早急に婦人科を受診することが必要です。これらの症状は、細菌やウイルス感染、炎症の悪化が原因であることが多く、早めの診断と治療が求められます。特に膿が出ている、あるいは腫れが悪化している場合は、即座に医師の診察を受けるべきです。婦人科では症状に応じた内診や検査を行い、必要に応じて抗生剤や抗ウイルス薬が処方されます。受診時には、症状がいつから始まったのか、どのような経過をたどっているのかを詳しく伝えることが重要です。
受診・予防の目安となる「デリケートゾーンのかゆみ」のセルフチェック法
・かゆみだけでなく赤みや腫れが見られる場合
・下着に付着する異常なおりものが確認できた場合
・かゆみが長期間続いている場合
「デリケートゾーンのかゆみ」が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「デリケートゾーンのかゆみ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
カンジダ膣炎
カンジダ腟炎は、カンジダ菌という真菌が異常に増殖することで発症する病気です。
主な原因として、抗生物質の服用、ストレス、免疫力の低下、ホルモンバランスの変化などが挙げられます。特徴的な症状は、強いかゆみと白くぽろぽろとしたカッテージチーズ状のおりものです。腟内などが赤く腫れ、灼熱感を伴うこともあります。
治療には抗真菌薬が使用され、腟座薬やクリームタイプの外用薬が一般的です。婦人科での診察が必要であり、症状が繰り返す場合には生活習慣の見直しも求められます。
膣トリコモナス症
腟トリコモナス症は、トリコモナスという寄生虫が膣内で増殖することによって引き起こされる感染症です。主に性交渉によって感染するため、性行為の経験がある女性に多く見られます。症状として、黄緑色で泡状のおりもの、悪臭、かゆみなどが挙げられます。治療には抗原虫薬であるメトロニダゾールが使用され、内服薬または腟座薬が処方されます。早期の治療が重要で、パートナーも同時に治療を受けることが推奨されます。放置すると子宮頸管炎や膀胱炎を併発することがありますので、早めの婦人科受診を心がけましょう。
萎縮性膣炎
萎縮性腟炎は、更年期や高齢の女性にみられる腟炎のことです。女性ホルモンの分泌量が低下し、腟粘膜が萎縮することで腟内の常在菌のバランスが崩れ、さまざまな細菌が増殖すると起こります。黄色がかったおりものが特徴で、特に生理後や性交後に臭いが強くなることがあります。抗生物質の内服や腟剤による治療が行われます。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)が原因となる性感染症です。感染後2〜21 日内にデリケートゾーンに小さな水ぶくれや潰瘍が現れ、激しいかゆみや痛みを伴い、重症化すると歩行時や排尿時にも痛みが出るようになり、入院して治療が必要な場合もあります。初感染の際には、発熱やリンパ節の腫れが見られることもあります。
ヘルペスは完治が難しく、症状が再発しやすいのが特徴です。抗ウイルス薬を用いて治療しますが、完全にウイルスを排除することはできません。症状が出た際には、速やかに婦人科や皮膚科を受診し、適切な処置を受けることが重要です。
性器クラミジア
性器クラミジアは、クラミジア・トラコマティスという細菌が原因で発症する性感染症です。女性の場合は無症状のことが多いですが、かゆみや異常なおりもの、不正出血が現れることもあります。放置すると骨盤内炎症性疾患(PID)、不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因となるため、早期の発見と治療が必要です。クラミジア感染が疑われる場合には、婦人科での検査を受け、抗生物質を内服することで治療します。パートナーとともに治療を行うことで再感染を防ぐことができます。
「デリケートゾーンのかゆみ」の正しい対処法は?
デリケートゾーンのかゆみは、原因に応じて適切に対処することが大切です。軽いかゆみなら市販の軟膏や腟錠で対応できますが、症状が強い場合や長引く場合は早めに医師に相談しましょう。おりものに異常がなければ「フェミニーナ軟膏」などが使えますが、痛みや腫れ、悪臭がある場合は自己判断せず婦人科を受診するのが安全です。
ストレスや不規則な生活もかゆみの原因になるため、通気性の良い下着を選び、清潔を保つことが予防につながります。数日経っても改善しない場合や悪化する場合、おりものが黄色や緑色で悪臭がする、痛みや発熱があるといった症状が見られる場合は、市販薬では対応できません。速やかに婦人科で診察を受けましょう。
「デリケートゾーンのかゆみ」に塗り薬を塗っても良い?
デリケートゾーンのかゆみに対して、市販の塗り薬は一時的な緩和に役立ちます。フェミニーナ軟膏などが代表的です。ただし、強い刺激を感じる場合や症状が改善しない場合は使用を中止し、婦人科で適切な診断を受けることが重要です。
「デリケートゾーンのかゆみ」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「デリケートゾーンのかゆみ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
デリケートゾーンがかゆくボコボコするのですが、どんな原因が考えられますか?
阿部 一也医師
デリケートゾーンにかゆみとともにボコボコした湿疹や腫れが現れる場合、いくつかの原因が考えられます。最も一般的なものは「カンジダ腟炎」や「ヘルペス感染」です。カンジダ腟炎の場合は、白いおりものが増え、強いかゆみが特徴です。一方で、ヘルペスは水ぶくれや潰瘍を伴うことが多く、触れると痛みを感じます。その他にも、毛嚢炎(もうのうえん)や陰部湿疹が原因である場合もあります。いずれにしても、症状が続く場合は婦人科や皮膚科を受診し、正確な診断を受けることが大切です。
まとめ
デリケートゾーンのかゆみは、さまざまな原因によって引き起こされる可能性があります。軽度の症状であれば、自宅でのケアで改善することもありますが、症状が長引いたり悪化したりする場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。自分の身体の変化に敏感になり、適切なケアを行うことで、デリケートゾーンの健康を守ることができます。
「デリケートゾーンのかゆみ」で考えられる病気
「デリケートゾーンのかゆみ」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
- 疥癬
- 毛ジラミ症
- 接触性皮膚炎
デリケートゾーンのかゆみは、感染症だけでなくホルモンバランスや摩擦などが原因になることもあります。気になる症状が続く場合は婦人科での診察をおすすめします。
「デリケートゾーンのかゆみ」に似ている症状・関連する症状
「デリケートゾーンのかゆみ」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 水ぶくれ
- 出血
- 湿疹
デリケートゾーンのかゆみには、これらの症状が伴う場合があります。放置せずに、適切なケアを行うことが大切です。




