生理前 熱っぽい原因は何?病気の可能性は?医師が徹底解説!
生理前に熱っぽい症状が続くと、だるさや体の辛さを感じて心配になりますよね。ここでは、すぐに病院に行くべき症状の特徴や生理前に熱っぽいときにすぐにできる対処法や知っておきたい市販薬についてMedicalDoc監修医が紹介します。
「生理前に熱っぽい」症状で考えられる病気と対処法
人間の体は、生理前になると、ホルモンバランスの変化によって、黄体ホルモンの量が増えます。黄体ホルモンが増えると、体温が上昇するため、生理前は微熱となりやすいのですが、ホルモン変化以外の原因で発熱する場合もあります。
生理前に熱っぽくてだるさや頭痛がある症状の原因と治し方
生理前に、熱がこもったり、熱っぽさを自覚したりすることに加えて、イライラやだるさを自覚したり、頭痛や腹痛などを自覚したりする状態のことを指します。そしてこれらの症状が、生理開始とともに改善することがあります。
生理開始とともに症状が改善する場合、月経前症候群(PMS)が疑われます。
月経前症候群(PMS)
PMSの原因には、ホルモンや自律神経、ミネラルの異常のほか、喫煙、アルコール摂取、社会的な不安など多くの要素が考えられています。熱っぽくてだるい症状は、体温の上昇そのものが、体の恒常性を保とうとする生体反応として起きるので、そのサインとしてだるさが出現します。そのため、生理前にだるさを感じる人の割合は比較的多くみられます。
自分でできる対応策としては、不規則な生活習慣であればそれを見直すことや運動習慣をつけることなどです。それでも改善傾向にない場合には、医療機関を受診し相談しましょう。
主な診療科は、内科、産婦人科、心療内科、精神科で、症状に応じて薬物治療も行います。だるさの他にみられる症状があれば、内科や産婦人科を、心理的な要素の関与の有無などがあれば心療内科や精神科での治療が優先される可能性があります。症状が改善せず生活に支障をきたすような場合には、早めに受診されることをお勧めいたします。
生理前に37度が続く高熱が出る原因と治し方
生理前に体温が37度近くまで上がることは、通常の生理周期でよく見られる現象です。この時期に体温が高くなる主な理由は、黄体期におけるホルモンの変化です。排卵後に黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されることで基礎体温が上昇し37度前後への体温上昇は一般的で、異常ではありません。他の原因としては月経前症候群(PMS)の一症状として、体温の上昇とともに頭痛、倦怠感、気分の変動などの症状が現れることもあります。あるいは、精神的・肉体的なストレスが加わると、体温調節に影響が出ることも考えられます。対応策としては、生活習慣の改善やホルモンバランスの調整を行うことなどです。ストレスを減らし、十分な睡眠をとることが体温調節やホルモンバランスに良い影響を与えます。適度な運動も血行を改善し、体調を整えるのに役立ちます。また、低用量ピルなど、ホルモンバランスを安定させるための治療法が有効な場合もあります。
37度を超える高熱が生理期間外でも続く場合、もしくは発熱に加えて強い痛みや異常な症状が見られる場合は、感染症や婦人科疾患などの別の疾患を発症している可能性もあるため、早めに産婦人科を受診することをお勧めします。
生理前に38度以上の高熱が出る症状の原因と治し方
生理前は、ホルモンバランスの変化によって37度台の微熱が出ることはよくありますが、38度以上の高熱が出ることは多くはありません。人によって個人差はありますが、38度以上の高熱が出る場合は、ホルモンバランス以外の原因での発熱の可能性もあるため、より注意が必要となります。
風邪や胃腸炎を代表とした感染症のほかに、神経の調節異常が原因と考えられる報告もあります。授乳中のときは、乳腺炎の可能性もあります。また、PMSを抑えるための内服薬の副作用で高熱が出る場合もあります。生理周期と比較的一致して発熱する病気として、家族性地中海熱や周期性発熱症候群などのまれな病気も考えられます。
生理前に38度以上の高熱を伴う場合は、内科や婦人科の医療機関を受診し、症状や経過などによって正確な診断と対応をしてもらいましょう。
生理前に熱はないが熱っぽい・生理が来そうでこない症状の原因と治し方
熱がないのに熱っぽいなと感じており、生理予定日が近づいてもなかなか生理が来ないこともあります。腹痛や頭痛、眠気、吐き気などが現れることもあります。
このような場合には、生理不順の可能性もありますが、妊娠によるつわり症状であることも疑われます。
自分でできる対処としては、妊娠検査薬で妊娠反応の有無を確認することです。妊娠検査薬は、ドラッグストアなどで購入できますが、生理予定日の1週間後から使用できます。それより前の時期であると、妊娠していても陰性になることもあるため注意しましょう。妊娠検査薬で陽性が出た場合には、すぐに産婦人科を受診しましょう。
妊娠が疑われない場合には、生活習慣が不規則になっていないか、ストレスや疲れを抱えていないか見直してみましょう。それでも症状が改善しない場合には、甲状腺疾患などの他の病気が隠れている場合もあります。産婦人科への受診を検討しましょう。
すぐに病院へ行くべき「生理前に熱っぽい」症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
高熱が出て咳や鼻汁などがある場合は、内科へ
38度以上の発熱があり寒気を感じることのほか、咳や鼻汁などの風邪症状がみられることがあります。
このような場合、細菌あるいはウイルスなどによる感染症などが疑われます。
ウイルスが原因である風邪症候群であれば対症療法となりますが、感染拡大の防止の観点からも適切な行動様式の選択につながりますので、内科への受診が望ましいでしょう。
高熱が出て、性器出血や胸の痛みがある場合は、産婦人科へ
熱っぽい症状が持続し、体温が高い状態が生理予定日以後も続く場合は、妊娠の可能性もあります。妊娠すると寒気を感じることがあります。また、生理予定日の性器出血があった場合でも、生理による出血ではなく不正性器出血である場合もあり、注意が必要です。
授乳中であれば、高熱のほかに胸の痛みや発赤などが見られる場合には、乳腺炎が疑われ、抗生剤治療が必要となることもあります。
熱っぽい症状が続く場合は、早期に産婦人科を受診することを検討すべきでしょう。
「生理前に熱っぽい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「生理前の熱っぽさ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
月経前症候群(PMS)
生理前に精神的あるいは身体的な症状を自覚し、生理開始とともに改善するというのが、月経前症候群(PMS)の特徴です。精神的な症状としては、イライラやだるさ、気分の落ち込みなどがあります。身体的症状としては、頭痛や腹痛、嘔気などがあります。
PMSの出現する期間は、生理前の約1週間から始まることが多いと言われています。日本では、子供を産むことができる年齢の女性の70-80%がPMSを経験していると言われます。生理前のホルモンバランスの変化が原因と考えられています。PMSの原因としては、ホルモンや自律神経、ミネラルの異常のほか、不規則な生活習慣や食習慣、心理的な要素など多くの要因が考えられています。生理前は、プロゲステロンの増加と同時に、エストロゲンの減少も起こるのですが、その時にセロトニンという物質の減少も起こります。セロトニンは、脳の血管を収縮させる作用を持つため、セロトニンの減少は、脳の血管を拡張させ、頭痛の原因になります。
主な診療科は内科、産婦人科、心療内科、精神科です。PMSの治療には、生活習慣や運動習慣の見直しを行います。特に身体症状に対しては鎮痛薬を、精神症状に対しては、カウンセリング、抗不安薬などが挙げられます。症状に応じてビタミン剤、漢方薬、低用量ピルなどのホルモン療法、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、認知行動療法などの治療も組み合わせることもあります。症状が改善せず生活に支障をきたすような場合には、早めに受診されることをお勧めいたします。
「生理前に熱っぽい」ときに飲んでも良い市販薬・解熱剤は?
生理前に熱っぽいと感じたら、まず、本当に体温が上昇しているかを確認しましょう。高熱の場合は、先程のようにホルモンバランスの変化による発熱の他に、原因があるかもしれません。高熱ではない場合、解熱剤を使うと熱は下がる場合もありますが、他に症状がなければ、必ずしも熱を下げる必要はありません。もし解熱剤を使用する場合は、市販薬では、タイレノールなどの比較的安全に使える薬もありますので、使用を検討するのもよいでしょう。
「生理前熱っぽい」症状で医師が考えられる病気
「生理前に熱っぽい」症状から、医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
- 月経困難症
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 原発性月経困難症
- 更年期障害
- 妊娠
生理開始後にも生理前と同じような症状が続く場合があります。
中年期以降で月経周期の乱れや月経間隔が長くなります。
病気ではありませんが、生理開始予定日を過ぎても生理が来ない場合は、妊娠の可能性もあります。
まとめ
生理前熱っぽい症状は、月経前症候群の一つとして現れることが多く、他の症状や日常生活への影響などで、治療すべきかどうか変わってきます。症状が軽ければ、市販の解熱薬の他にも、薬を使わない治療法でも対応可能です。ただし、症状が重くて日常生活に影響が出る場合は、症状に応じて内科、婦人科、心療内科、精神科といった医療機関を受診することを検討しましょう。