「目頭が切れる」のは何が原因かご存じですか?対処法や考えられる病気を医師が解説!


監修医師:
栗原 大智(医師)
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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。
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「目頭が切れる」症状で考えられる病気と対処法
目がかゆくなったり、目の周りの皮膚が乾燥したりすると、目頭が切れてしまうことはありませんか。この記事では、目頭が切れる原因とその対策、何科を受診すればよいかについて解説します。乾燥して目頭が切れる症状で考えられる原因と対処法
目の周りの皮膚が乾燥したり、冬のような皮膚が乾燥しやすい時期になったりすると、目頭が乾燥してしまうことがあります。また、そこに炎症が見られる場合は、赤みや軽い痛みを伴うことがあります。このような症状が出た場合、目元専用の保湿クリームやワセリンを薄く塗ると乾燥を和らげることができます。さらに、室内の湿度を保つために加湿器を使用し、乾燥を防ぐことも発症や再発を防ぐために役立ちます。この症状の背景にはドライアイやアトピー性皮膚炎が関係していることも多く、空気の乾燥や寒冷による血流の悪化も原因として挙げられます。この症状が長引く場合や改善しない場合は、眼科や皮膚科に相談するのが良いでしょう。急を要する状態ではありませんが、症状が長引いたり、悪化しないよう早めの対策が望ましいでしょう。目頭が切れて痛みがある症状で考えられる原因と対処法
目頭に切れ目ができ、痛みを伴う場合、そこに炎症が生じている可能性があります。このとき、目頭が腫れたり熱を持ったりすることもあります。痛みを和らげるためには、冷やしたガーゼや冷水で軽く目頭を冷やし、清潔な状態を保つことが重要です。痛みを伴う場合、細菌やウイルスが感染している場合もあります。特に細菌感染は重症になる場合がありますので、症状が悪化する前に眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。特に、痛みや腫れが急激に増す場合は、できるだけ早く医療機関に相談するよう心がけましょう。目頭が切れてかゆみがある症状で考えられる原因と対処法
かゆみとともに目頭が切れる場合、アレルギー性結膜炎などアレルギー反応の一部として症状が現れている可能性があります。この場合、目頭を冷やすことでかゆみを軽減し、さらに患部を掻かないように注意することが重要です。このような症状は、アレルギー性結膜炎や花粉症、アトピー性皮膚炎が原因であることが多いです。アレルギー反応が続く場合や症状が改善しない場合には、眼科での診察を受けると良いでしょう。緊急性は低いですが、掻きすぎると症状が悪化する可能性があります。症状が長引いたり、悪化しないよう早めの対策が望ましいでしょう。ビタミン不足で目頭が切れる症状で考えられる原因と対処法
ビタミン不足により目頭が切れる場合、治りにくいと感じることも多いでしょう。こうした場合には、食事からビタミンAやビタミンB群の接種を心がけ、必要に応じてサプリメントを用いて栄養バランスを見直すことが有効です。 ビタミン不足、特にビタミンAやビタミンB2の欠乏は、目や皮膚の健康に影響を及ぼすことがあり、極端に偏った食生活が原因となることが多いです。こうした症状が長引く場合、内科医や皮膚科医に相談し、栄養指導や適切なサプリメントについてアドバイスを受けると良いでしょう。慢性的な栄養不足を防ぐためにも、早めに栄養バランスを整えることが望ましいです。目頭が切れて治らない症状で考えられる原因と対処法
目頭が繰り返し切れ、治らない場合は、アトピー性皮膚炎などの疾患が背景にあったり、生活習慣が関わっていたりする可能性があります。顔を洗う際は、皮膚に刺激の少ない洗顔料を使うようにし、しっかりと保湿ケアを行いましょう。継続的な保湿が、症状の改善につながることがあります。慢性的なアレルギーやアトピー性皮膚炎、または皮膚疾患が原因として考えられるため、長引く場合は眼科や皮膚科で適切な診断を受けるのが良いでしょう。すぐに病院へ行くべき「目頭が切れる」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。目頭が切れて、目やにが多い症状の場合は、眼科へ
目頭が少しかゆくて、目頭が切れてしまった場合は、皮膚が乾燥していたり、軽い炎症であることがほとんどです。しかし、中には目頭が切れてしまった後に、目やにが増える場合があります。この他にもまぶたがどんどん腫れてしまうこともあります。これは眼瞼縁炎などが重症になっている恐れがあります。点眼薬や眼軟膏で治る場合が多いですが、中には飲み薬や点滴での治療がひつようになるため注意が必要です。このような症状が出る場合は眼科を受診するようにしましょう。受診・予防の目安となる「目頭が切れる」ときのセルフチェック法
・目やにの症状がある場合・目にかゆみの症状がある場合
・見えづらさの症状がある場合
「目頭が切れる」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「目頭が切れる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。眼瞼縁炎
眼瞼縁炎は、細菌感染などが原因となり、まつ毛の根元にある眼瞼縁が炎症を起こす病気です。この炎症によって、目頭が切れやすくなります。治療法としては、温罨法や、アイシャンプーを用いてまぶたを清潔に保つことが重要です。重症の場合は抗菌薬やステロイドを含む点眼薬が使用されます。目のかゆみや赤み、まぶたの腫れが続く場合は、早めに眼科を受診してください。アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダスト、動物の毛などのアレルゲン(アレルギーの原因物質)によって引き起こされる結膜の炎症です。目頭のかゆみや腫れ、さらには切れるような症状を伴うことがあります。治療はアレルゲンの除去が重要で、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の点眼で症状を和らげます。症状が強い場合はステロイド点眼薬が必要となることもあります。目のかゆみや赤みが強く、日常生活に支障をきたす場合は、眼科またはアレルギー科を受診してください。春季カタル
春季カタルは、アレルギー性結膜炎の重症型で、特に小学生から中学生の男児に多く見られる疾患です。原因はハウスダストやダニ、花粉などで、アトピー性疾患の家族歴がある場合にリスクが高まります。主な症状は強い目のかゆみ、目の充血、目やになどです。さらに、角膜が障害されると視力低下を引き起こすこともあります。治療は抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬、免疫抑制剤点眼薬が用いられ、重症の場合には外科的治療も検討されます。多くのケースでは思春期に自然に症状が軽減しますが、適切な治療を行わないと視力低下などの後遺症が残る可能性があります。かゆみの症状がいつもより強い、見づらさがあれば早めに眼科を受診しましょう。非感染性眼瞼皮膚炎
非感染性眼瞼皮膚炎は、まぶたの皮膚に炎症が生じる疾患で、主にアレルギー反応や乾燥、刺激物への接触が原因です。まぶたがかさつき、目頭が切れるような症状が現れることがあります。対処法としては、アレルゲンを避け、皮膚の保湿を行うことが重要です。重症の場合はステロイド軟膏などを用います。かゆみや赤みが長引いたり、皮膚がひび割れているなどの症状がある場合は、皮膚科または眼科を受診してください。角膜炎
角膜炎は、角膜に炎症が生じる疾患で、細菌やウイルス感染、外傷、コンタクトレンズの不適切な使用などが原因です。特に、コンタクトレンズの不適切な使用に伴う角膜炎が増えてきています。炎症が目頭に達したり、目やにが多くなったりすることで、目頭が切れるような症状を引き起こすことがあります。治療法は原因に応じて異なり、細菌性角膜炎には抗菌薬、ウイルス性角膜炎には抗ウイルス薬が用いられます。見えづらさや充血、強い痛みがある場合は、すぐに眼科を受診してください。「目頭が切れる」の正しい対処法は?
目頭が切れる症状を落ち着かせるためには、まず清潔な状態を保つことが重要です。手を洗った後に、患部を優しく洗浄してから保湿クリームやワセリンを塗布すると良いでしょう。 乾燥が原因の場合は保湿が最も重要です。一方、アレルギーが原因の場合は、アレルギーの原因物質を避けることが基本です。症状が軽度であれば、市販の抗アレルギー薬を使用するのも一つの方法です。ただし、感染症が原因で目頭が切れている場合は、早めに医師の診察を受ける必要があります。市販薬を使ってもどんどん悪化する場合は、速やかに眼科を受診しましょう。 市販薬を使用する際には、症状によってその適用が変わります。軽い乾燥や少しのかゆみであれば、市販の保湿クリームや抗アレルギー薬でも治る場合が多いです。一方、傷が広かったり、腫れや目やにが多く見られる場合は、市販薬ではなく医師の診察を受けましょう。他にも、目がかゆい、目が痛いなどの症状があれば冷やしたり、それらの症状がなかれば温めたりすることで症状を和らげることができます。「目頭が切れる」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「目頭が切れる」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
目頭が切れた時、何科へ行けばいいですか?
栗原 大智 医師
目頭が切れた時は眼科や皮膚科を受診してください。しかし、目やにが多い、目が充血するなど、目に関する症状があれば眼科を受診するのが望ましいでしょう。
目頭が切れる原因はなんですか?
栗原 大智 医師
目頭が切れる理由は、乾燥やアレルギー、まぶたの炎症が多くを占めています。しかし、これらの理由が重複している場合もあるため、速やかな治療のため、眼科を受診できると安心です。
目頭が目やにが溜まるのですが、対処法を教えてください。
栗原 大智 医師
目頭に目やにが溜まる場合は、小指などで取り除いても良いです。しかし、目やにがこびりついている場合は、その皮膚が切れてしまうことがあります。それを防ぐため、よく湿らせた清潔なガーゼを使って取り除き、そこに保湿剤を薄く塗ると良いです。ただし、注意点があります。この目やにが朝だけであれば問題ないですが、目やにが1日中出る場合は目に病気があることがあります。朝だけでなく、昼も夜も目やにが多い場合は眼科を受診するようにしましょう。
まとめ 目頭が切れる症状が気になるときは眼科を受診
多くの場合、目頭が切れる理由は乾燥です。しかし、中には目の病気や原因を取り除かないと治らない、あるいは重症になってしまう場合があります。目の周りを清潔に保ち、バランスのとれた食事をするようにしましょう。そして、治りが悪ければ必ず眼科や皮膚科を受診するようにしてください。「目頭が切れる」症状で考えられる病気
「目頭が切れる」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 目頭が切れるのは皮膚の乾燥なこともありますが、背景にはさまざまな病気が隠れている恐れがあります。症状が続いたり、治りが悪い場合は眼科を受診するようにしましょう。「目頭が切れる」に似ている症状・関連する症状
「目頭が切れる」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
【参考文献】
・アレルギー性結膜炎|日本眼科学会
・アレルギー性結膜炎|日本眼科学会