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「視界が波打つ(うねうねする)」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「視界が波打つ(うねうねする)」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

視界が波打つ(うねうねする)とき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 裕紀

監修医師
伊藤 裕紀(医師)

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名古屋大学医学部卒業、名古屋大学医学部附属病院、江南厚生病院などで眼科医として勤務経験を持つ。患者の笑顔を見ることを何よりの喜びと思っている。日本眼科学会所属。現在は医学の発展に貢献できるよう、また目の前の患者にひたむきに向き合うため日々邁進中。

「視界が波打つ(うねうねする)」症状で考えられる病気と対処法

視界が波打つ症状で考えられる病気には、老化に伴って起きる眼の病気、糖尿病が原因のもの、脳の血管が原因のものなどさまざま挙げられます。なかには、急に視力低下を起こす病気もあり注意が必要です。症状から考えられる病気とその対処法についてお伝えします。

視界が波打つ(うねうねする)症状で考えられる原因と対処法

視界が波打つ症状で考えられる原因には、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などの病気の可能性があります。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性とは、加齢により目の中の網膜という組織に出血やむくみが起こり視力が低下する病気です。網膜はカメラのフィルムにあたる組織で、目に入った光を信号として脳に送る重要な部分です。網膜のさらに中心部を黄斑部といい、細かいものを識別したり色を見分ける働きを持っています。加齢黄斑変性の原因は、老化により網膜の黄斑部に老廃物などが沈着し細胞や組織に変性が起こるからだと考えられています。また紫外線による暴露や喫煙なども要因となり得ると考えられています。目の奥の網膜が原因の病気なので、発症したら自分でできる対処法は少ないですが、禁煙を心がけ、サングラスなどを使用し紫外線から目を保護し、抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンC、黄斑を保護する作用のあるルテインを含む食品を積極的に摂ることで加齢黄斑変性の発症を予防することを心がけましょう。加齢黄斑変性が疑わしい場合は早めに眼科を受診しましょう。

糖尿病網膜症

また、糖尿病網膜症とは、糖尿病になった時に目に現れる合併症のことです。網膜には細かい血管が張り巡らされており、光や色を感じる神経細胞が敷き詰められていますが、糖尿病になると血管が傷つき神経が破壊され視力が低下してしまいます。糖尿病の患者さんの約3分の1に網膜症が起きると言われています。糖尿病網膜症は、日本における中途失明の上位に位置する注意の必要な病気です。糖尿病網膜症になると、初期は自覚症状がない場合が多いですが、放置すると視界がかすむなどの症状が現れ、末期になると視力が低下し失明することもあります。初期であれば血糖コントロールを行うことで改善する場合もありますが、初期は自覚症状がない場合が極めて多いので、定期検診や糖尿病にかかったことにより発覚することが多いです。
糖尿病網膜症は少しでも早い段階で治療を開始した方がいい病気です。自覚症状が出た頃にはかなり進行している場合が多い病気です。自覚症状がなくても定期的に眼底検査を行うことをお勧めします。
少しでも症状があり、疑わしい場合は早めに病院を受診しましょう。診療科は眼科、内科です。

一時的に視界が波打つ(うねうねする)症状で考えられる原因と対処法

一時的に視界が波打つ症状の場合は、閃輝暗点(せんきあんてん)の可能性が考えられます。閃輝暗点とは、脳の血管が収縮することにより視野にギザギザとした光が見える病気です。視野に光の波が広がっていき、次第に見えなくなり、その後片頭痛が起きたり吐き気がある場合もあります。ストレスや飲酒、チョコレートやチーズの摂取が閃輝暗点を引き起こす要因となりえます。対処法としてはこれらを避けるようにし、それでも閃輝暗点が起きたら安静にしましょう。閃輝暗点が起こる場合、脳梗塞など脳の重大な病気が隠れている可能性もあるので、医療機関で検査を受けた方がいいでしょう。主な診療科は脳神経内科、脳神経外科です。

視界が波打って(うねうねする)頭痛がする症状で考えられる原因と対処法

視界が波打って頭痛がする症状の場合は閃輝暗点の可能性が考えられます。閃輝暗点は脳の血管が収縮することにより視野にギザギザとした光が見える病気です。視野に光の波が広がっていき、次第に見えなくなり、その後片頭痛が起きるなどが症状の特徴です。対処法として光が見えたり視界に異変が現れたタイミングで鎮痛剤を飲むと、その後の頭痛の症状が軽くなる可能性があります。閃輝暗点が頻繁に起こる場合は、脳の重大な病気が隠れている可能性もあるので脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。MRIなどの検査をする可能性があります。

すぐに病院へ行くべき「視界が波打つ(うねうねする)」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

視野が欠ける症状の場合は、眼科へ

視野が欠ける症状がある場合は、網膜剥離の可能性があります。網膜剥離とは、網膜という眼球の奥を覆う膜が何らかの原因で剥がれてしまう病気です。ものが歪んで見える、視野が欠ける、全体がススがかかったように見える、小さなゴミのようなものが見える、実際にはない光を感じる、視力低下などの症状が現れます。加齢やスポーツなどの怪我が原因となります。
網膜剥離の治療法は、手術療法です。網膜は剥がれて時間が経つとその部分の視力が回復しないため早急な治療が必要です。疑わしい場合はできるだけ早く病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

受診・予防の目安となる「視界が波打つ(うねうねする)」ときのセルフチェック法

  • ・視界が波打つ(うねうねする)以外に視界が欠ける症状がある場合
  • ・視界が波打つ(うねうねする)以外に視力が低下する症状がある場合
  • ・急激に視界が波打つ(うねうねする)症状がある場合

「視界が波打つ(うねうねする)」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「視界が波打つ(うねうねする)」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性とは、加齢により網膜の中心部である黄斑が変性し、見ようとする部分が見えにくくなる病気です。50歳以上の人の約1%に見られ、高齢になる程多く見られます。網膜は眼球内をおおう薄い膜で、目に入った光を脳に伝える役割を果たしていますが、その中でも黄斑と呼ばれる中心部は視野の中心にあたり、視力において非常に重要な部分です。加齢に伴い目の中に老廃物がたまりそれが原因で黄斑部に影響を与えます。
症状の特徴は、視界の中心がゆがむ、視界の中心が見えない、視力が低下する、色覚異常などです。発症してしまうと自分で対処することは難しいですが、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、亜鉛などの栄養素の摂取は加齢黄斑変性の予防に役立つと言われています。また片目が発症した場合、もう片方の目の発症を予防するためにもそれらの栄養素をしっかり摂取することは重要です。また、禁煙することも大切です。症状が現れた場合は早めに医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

閃輝暗点

閃輝暗点とは、視界にチカチカとした光が見えたり、稲光のような光がジグザグに横切って走るなどの視覚症状が20~30分続き、その後徐々に消えていき、その後にドクドクと脈打つような片頭痛が起きるなどの症状が現れます。発症の原因は、脳の血流低下と考えられています。ストレスや寝不足、喫煙やコーヒー、アルコールなどが誘因となります。対処法としては、誘因となるものを避けること、また光が見えた段階で鎮痛薬を飲むとその後に起こる頭痛の症状を和らげる可能性があります。
閃輝暗点は脳卒中のリスクもあるため早めに病院を受診しましょう。主な診療科は脳神経内科、脳神経外科です。

網膜剝離

​​網膜剥離とは、網膜という眼球の奥を覆う膜が何らかの原因で剥がれてしまう病気です。小さなゴミや蚊のようなものが見える、実際にはない光を感じる、視野が欠ける、視力が低下する、ものが歪んで見えるなどの症状が現れます。原因には加齢、ケガなどが挙げられます。20代と50代の人に多く見られると言われています。
網膜剥離の治療法は、主に手術となります。放置すると失明につながる病気ですので、疑わしい場合は自分で対処せずできるだけ早く医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

「視界が波打つ(うねうねする)」ときの正しい対処法は?

視界が波打つ場合、閃輝暗点や加齢黄斑変性の可能性があります。
閃輝暗点の症状の特徴は視野に突然ギザギザした光の波が広がっていき、次第に見えなくなります。その後片頭痛が起きることが多く、嘔吐や吐き気を引き起こすこともあります。チョコレートやピーナッツ、チーズなどを食べた後やストレスが溜まった後にホッとした時などに起こりやすいと言われています。片頭痛が起こる場合は早めに鎮痛薬を飲むことで頭痛の症状が軽く済む可能性があります。閃輝暗点そのものに治療法はありませんが、脳の病気が原因で起きている可能性があるので、神経内科、脳神経外科を受診した方がいいでしょう。
加齢黄斑変性は老化に伴い目の中の網膜の中心に出血やむくみが起こり、視力が低下してしまう病気です。ものが歪んで見える、中心が見づらい、視界の真ん中がグレーになり霞むなどの症状が現れます。加齢黄斑変性の治療は医療機関で眼の中に直接注射をして新たな出血を防ぎます。自分で対処することは難しい病気ですので疑わしい場合は早めに眼科を受診しましょう。一方加齢黄斑変性の予防には禁煙や紫外線予防が重要です。また、みかんや大豆、玄米、人参など抗酸化ビタミンを含む食品や牡蠣や海藻などミネラルを含む食品を積極的にとりましょう。
症状が治まらない場合や早く対処したい場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

「視界が波打つ(うねうねする)」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「視界が波打つ(うねうねする)」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

視界が歪んでうねうね波打って見えるのは閃輝暗点でしょうか?

伊藤 裕紀医師伊藤 裕紀(医師)

閃輝暗点の可能性はあります。脳に病気がある可能性もあるので、早めに脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。

視界が波打つのですが何科に行けばいいですか?

伊藤 裕紀医師伊藤 裕紀(医師)

視界が波打つ場合はまず眼科を受診しましょう。加齢黄斑変性や糖尿病網膜症の可能性があります。目に病気がない場合は脳神経内科や脳神経外科を受診するように勧められる可能性もあります。

視界が波打っているときはどうすればいいですか?

伊藤 裕紀医師伊藤 裕紀(医師)

視界が波打っているときはできるだけ安静にしましょう。改善しない場合は眼科を受診しましょう。

まとめ

視界が波打つ場合は眼の内側の網膜に問題がある場合や、脳の血管に原因がある可能性があります。特に糖尿病網膜症や網膜剥離は視力に大きな影響のある病気ですので早期の対処が必要である可能性があります。疑わしい場合は早めに医療機関を受診しましょう。

「視界が波打つ(うねうねする)」症状で考えられる病気

「視界が波打つ(うねうねする)」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

眼科の病気

脳神経内科・脳神経外科の病気

内科系の病気

症状が現れる原因はさまざまで、老化や糖尿病などの全身疾患、脳の血管異常などが挙げられます。

「視界が波打つ(うねうねする)」に似ている症状・関連する症状

「視界が波打つ(うねうねする))」と関連している、似ている症状は22個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「視界が波打つ(うねうねする)」症状の他にこれらの症状がある場合でも「加齢黄斑変性」「網膜剥離」「糖尿病網膜症」「黄斑前膜」「硝子体黄斑牽引症候群」「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」「糖尿病」「閃輝暗点」などの疾患の可能性が考えられます。視界が欠けたり、視力が低下したり、急激に症状が現れたりする場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

【参考文献】
網膜剥離(日本眼科学会)