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「奥歯からこめかみが痛い」のは「肩こり」や「頭痛」が原因?医師が徹底解説!

「奥歯からこめかみが痛い」のは「肩こり」や「頭痛」が原因?医師が徹底解説!

奥歯からこめかみが痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「奥歯からこめかみが痛い」症状で考えられる病気と対処法

「奥歯からこめかみにかけての痛み」に悩まされたことがある人はいませんか?
歯から顔面にかけての痛みがあると、日常生活にも支障が出たり不安になったりとしてしまうでしょう。
奥歯からこめかみにかけての痛みの原因は、歯そのもののことや、原因となることが多いのですが、歯以外の原因があることもあります。
今回は、「奥歯からこめかみが痛い」症状がみられた際に考えられる病気とその対処法について解説します。

奥歯からこめかみが痛い症状で考えられる原因と対処法

奥歯からこめかみが痛い時に注意するポイントとしては、肩こりや頭痛もあるかということです。
奥歯からこめかみが痛いという時には、例えば、顎関節症や虫歯、親知らずなどが考えられます。
さらに、歯そのものに炎症が生じ、その後顔面にも炎症が及ぶような歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)や、虫歯などが原因となり顔面の感覚を司る三叉神経が刺激され、痛みが生じる三叉神経痛もあります。
また、歯そのものに原因はないものの、筋肉や筋膜の痛みが歯の痛みとして感じられるような筋・筋膜痛による歯痛(しつう)があります。
この筋・筋膜痛による歯痛(しつう)では、こめかみの筋肉が疲れた際に奥歯の痛みが引き起こされることが多いとされています。
さらに、頻度としては低いのですが、心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患でも奥歯やこめかみに痛みがでる場合もあります。
根本的には原因を取り除かない限り痛みは改善しないため、歯の痛みがある際には、歯科・口腔外科を受診し、診断を受けるようにしましょう。
さらに、激しい頭痛も伴うような場合や、胸の痛みや不快感を伴うような場合には、早めに受診することが大切です。

奥歯からこめかみが痛く肩こりもある症状で考えられる原因と対処法

奥歯からこめかみまで痛く、また肩こりもある場合には、顎関節症が原因の一つとして考えられます。
顎関節症は、噛み合わせの異常などで、咬むための筋肉、つまり顎やこめかみの筋肉の痛みが起こることがあります。
顎関節症の原因は不明ですが、噛み合わせの異常が姿勢の悪さ(首が正常な状態よりも前に出るような姿勢など)である場合には、肩こりが出現することもありえるでしょう。
顎関節症のために痛みが生じている場合には、まずは歯科・口腔外科を受診し診察を受けるようにしましょう。

奥歯からこめかみが痛く頭痛がする症状で考えられる原因と対処法

奥歯からこめかみが痛く、頭痛も伴う症状として考えで考えられる原因としては、歯の炎症が原因となり、その痛みがこめかみにまで及び、頭痛も引き起こしていることが考えられます。
具体的には、虫歯や親知らずの影響があげられます。
また、片頭痛でも奥歯からこめかみの痛みが出ることがありますが、この場合顔の両方に痛みが出ることが多いです。

いずれにしても、まずは歯に問題がないかどうかをチェックしてもらうことが大切なので、歯科・口腔外科を受診するようにしましょう。
また、虫歯が原因で、そのすぐ上にある上顎洞という空洞にも炎症が起こっている可能性もあります。
その場合は、顔面部のCTを撮影し、炎症が起こっているかどうかを調べる必要がありますので、歯科の他に、耳鼻咽喉科を受診する必要が出てくる場合もあります。

すぐに病院へ行くべき「奥歯からこめかみが痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

奥歯からこめかみが痛く頭痛もある症状の場合は、歯科・口腔外科へ

奥歯からこめかみが痛く、頭痛がある場合には、虫歯や親知らずが原因となる痛みや、歯性上顎洞炎などが考えられます。
早めに歯のチェックと治療、場合によっては抗生物質の投与が必要となりますので、早めに歯科・口腔外科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「奥歯からこめかみが痛い」ときのセルフチェック法

  • 奥歯からこめかみが痛い以外に肩こりの症状がある場合
  • 奥歯からこめかみが痛い以外に頭が痛い症状がある場合
  • 奥歯からこめかみが痛い以外に胸が痛い症状がある場合

「奥歯からこめかみが痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「奥歯からこめかみが痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

顎関節症

顎関節症は、以下の3つを代表的な症状とする障害のことです。

  • あごが痛む(顎関節痛・咀嚼筋痛)
  • 口が開かない(開口障害)
  • あごを動かすと音がする(顎関節雑音)

そのため、硬い食べ物が噛めない、大きな食べ物が食べにくい、また、あごの音が気になるなどの症状が現れることがあります。
顎関節症は 20代で増え始め、40代まで比較的高い有病率ですが、その後減少していきます。また、女性は男性の約1.5倍から2倍の有病率です。
さらに、顎関節症は自然に治っていくことが多いとされています。
顎関節症の発症メカニズムは不明なことが多いのですが、いろいろな原因が積み重なり、ある日突然発症するとされています。
例えば、緊張や多忙によるストレス、またかみ合わせの問題や、顎関節の形態そのものに原因がある場合などがあります。
かみ合わせが悪く、かみしめ癖がある方は、歯や歯茎にも負担をかけてしまっていることがあり、その結果奥歯にも痛みを生じるということにつながるのです。
顎関節症という診断がついたら、日常生活に困らないほどに顎関節痛や咀嚼筋痛、開口障害などの症状を回復させることを目標にして、治療を行っていきます。
日常生活での食いしばりを減らすようにしていくことや、あごの運動等が基本的な治療となります。また、痛みに対しては鎮痛薬を内服することもあります。
そうした治療でもなかなか症状が治らない場合は、手術が行われることもあります。
早めに、歯科・口腔外科医の診察を受けるようにしましょう。

虫歯

虫歯は、正式には「う歯」と呼ばれます。
歯の表面には歯の表面のプラーク(歯垢:しこう)の中には細菌が存在します。
細菌は食べ物や飲み物の中の糖分を摂取・分解して酸を出します。
この酸により歯は溶かされます(脱灰)。
糖分の摂取が頻繁で、酸の緩衝や再石灰化が間に合わずに脱灰された状態が続くと、その部分はそのうち崩壊することとなります。これがむし歯です。
虫歯が進行すると、炎症が広がります。
上顎や下顎の知覚を、三叉神経という神経がつかさどっているのですが、この神経が痛みを感じると、咀嚼筋、つまりこめかみのあたりにも痛みが出ることがあります。
これが、虫歯になると奥歯の他にもこめかみも痛くなるメカニズムです。
基本的には、痛みが出た虫歯は自然には治りませんので、歯科を受診し、虫歯の治療をすることが必要です。
痛みに対しては、冷やすことで多少は和らぐこともありますが、根本的な治療とはなりません。

親知らず

親知らずは、歯の一番奥に生える永久歯で、智歯(ちし)や第三大臼歯とも呼ばれます。
親知らずは、生えない人もいますが、生える際に歯茎に炎症がおきて腫れることがあります。
また、生えた後も歯みがきで磨きにくいため、プラーク(歯垢)などがたまって、虫歯になりやすく、親知らずのまわりの歯茎に炎症(智歯周囲炎)を引き起こしたりします。
また隣の歯を押し出すので歯並びや、かみ合わせが変わるという報告もあります。すると、かみ合わせの異常につながることもあります。
親知らずが虫歯になると、前述の虫歯の項目で説明したように、痛みが奥歯だけでなくこめかみにも広がってしまいます。
また、かみ合わせが変わったことで、頬の筋肉やこめかみ部分が緊張して頭痛につながることもあります。
親知らずによる痛みに対しては、冷やすと和らぐこともありますが、根本的な解決にはならないため、歯科への受診をおすすめします。
トラブルがある場合には、智歯を抜歯することが一般的となります。

「奥歯からこめかみが痛い」の正しい対処法は?

奥歯からこめかみが痛い場合には、歯そのものによるものと、歯以外の原因がある場合があります。
虫歯や親知らず、顎関節症が原因となり奥歯からこめかみが痛い場合には、対症療法として市販の鎮痛薬を飲むことはある程度は効果があるでしょう。
しかし、根本的な解決にはならないので、歯科を受診するようにしましょう。

また、心臓の病気で奥歯からこめかみが痛い場合もあります。この際は、胸の痛みや不快感がある場合もあるのですが、症状がないということもまれではありません。
高血圧や糖尿病、高脂血症などの基礎疾患がある場合に、奥歯からこめかみが痛い場合には、まず主治医に相談しましょう。

「奥歯からこめかみが痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「奥歯からこめかみが痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

奥歯からこめかみが痛いのはストレスが原因でしょうか。

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

ストレスによって、顎関節症が悪化することがあります。
ですので、ストレスが原因となり奥歯からこめかみが痛くなっていることも当然あります。
一方、ストレス以外にも、歯が原因となり奥歯からこめかみが痛くなっているケースもあるため、まずは歯科を受診することをおすすめします。

奥歯からこめかみが痛いときの対処法を教えてください。

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

奥歯からこめかみが痛い場合には、アレルギーなどには注意していただき、鎮痛薬の内服で痛みを抑えていただいても良いでしょう。
しかし、あくまでこれは対症療法なので、早めに歯科・口腔外科を受診するようにしてください。

奥歯からこめかみが痛いときは何科に行けばいいですか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

虫歯や親知らず、また顎関節症が原因となり奥歯からこめかみが痛い際には、歯科・歯科口腔外科を受診しましょう。
一方、上顎洞炎という病気の場合は、顔面の痛みが強くでることがありますので、歯科口腔外科のみならず、耳鼻咽喉科への受診が必要となる場合もあります。鼻水がたくさんでるなど風邪のような症状があるのであれば、早めの受診を検討しましょう。

まとめ 奥歯からこめかみが痛いときは虫歯や親知らず、顎関節症の可能性あり

この記事では、奥歯からこめかみが痛い症状をきたす病気について解説しました。
基本的には、歯科・口腔外科を受診し、原因を明らかにして治療を行うことで、症状は改善するでしょう。
一方、中には心臓疾患などの命に関わる疾患もあるので、持病をお持ちの方は、早めに主治医または受診中の病院・クリニックに相談するほうが良いでしょう。

「奥歯からこめかみが痛い」症状で考えられる病気

「奥歯からこめかみが痛い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

歯科口腔外科系の病気

耳鼻科系の病気

脳神経系の病気

奥歯からこめかみが痛い症状があるときには、歯そのものに原因がある場合と、歯以外の原因がある場合があります。

「奥歯からこめかみが痛い」に似ている症状・関連する症状

「奥歯からこめかみが痛い」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 奥歯から耳が痛い
  • 奥歯から頭が痛い
  • 奥歯から顔が痛い

「奥歯からこめかみが痛い」という症状に加えて、耳や頭、顔にも痛みがでることがあります。特に、頭が痛い場合は片頭痛などの頭痛、顔が痛い場合には歯性上顎洞炎の可能性が考えられます。激しい痛みがあったり、発熱も伴ったりする場合には、早めに医療機関を受診しましょう。