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「口の中がザラザラ」するのは「口腔がん」が原因?医師が徹底解説!

口の中がザラザラするとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

D0997

監修歯科医師
D0997(歯科医師)

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「口の中がザラザラする」症状で考えられる病気と対処法

歯磨きや食事以外、普段何もしていない時にふと舌で口の中を触るとザラザラしていると感じることがあります。一時的な症状で消えることもあれば、長く同じ場所がザラザラしていることもあります。口の中がザラザラしている時に考えられる病気や対処法などを説明します。

口の中がザラザラする・痛くない症状で考えられる原因と治し方

舌でさわると、口の中がザラザラした感じをみつけ、でもそれそのものは痛くない、という場合には、次のものが考えられます。

【1】もともとあるもの(正常解剖)
上あごの前歯の裏側において、その歯肉にはもともとシワが入ったようになっています。これを口蓋皺襞(こうがいすうへき)と言います。正常な解剖ですので、治療する対象ではありません。
【2】被せ物や金属の詰め物を入れた直後で、セメント(接着剤)が一部残っている。
【3】虫歯で白い詰め物をしたり、入れ歯を修理した直後で、その素材が残っている。
これは歯科治療の直後に感じることがあります。レジンという素材で詰めたり、入れ歯の修理をします。この時に一部に残っていることがあります。専用の器具で表面を研磨してもらうことで解決できるかと思いますので、歯科医院で相談してみましょう。
【4】白板症
白板症は、舌や歯肉、頰粘膜に拭って取れない白いものを白板症と言います。これ自体は良性のものですが、中には癌化するものもあります。経過観察することもありますし、白板症のうちに切除してしまうこともあります。

口の中がザラザラして痛い症状で考えられる原因と治し方

舌でさわると、口の中がザラザラした感じがあり、しかも酸味などの刺激物がしみたり、痛みがある、という場合には、口腔がんが考えられます。
表面がザラザラしているだけでなく、痛みがある、というのはやや注意が必要な所見です。痛みがあるということは、神経に刺激が加わっていることですので、早めに歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科での精査が必要です。まず口内炎として治療して経過を見ますが、症状の改善がなければ、一部組織を取ってきて病理検査に提出して診断をつけることも考えます。

口の中がザラザラして白い症状で考えられる原因と治し方

舌でさわると、口の中がザラザラした感じがあり、その部位を鏡で確認すると白い場合には、次のものが考えられます。

【1】歯石
下の前歯の裏側や、上の大臼歯の外側は唾液の出口があり、かつ磨き残しが多いため、プラークが歯石として付きやすくなります。
特に下の前歯の裏側は直接見えないため歯石がつきやすく、舌で触るとザラザラしています。見えにくい所にあり、かつ硬さもあります。そして大まかに除去ができても、最後には歯の表面の研磨が必要です。このことから、自分で除去することはほぼ不可能ですので、歯科医院で除去してもらいましょう。
【2】乳頭腫
いわゆるイボです。ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染症です。最初は小さいのですが、徐々に大きくなります。表面がツルツルのものもあれば、ザラザラしていることもありますが、痛みはありません。切除するか、ヨクイニンという漢方薬を長期間内服する方法があります。
【3】白板症
白板症は、舌や歯肉、頰粘膜に拭って取れない白いものを白板症と言います。これ自体は良性のものですが、中には癌化するものもあります。経過観察することもありますし、白板症のうちに切除してしまうこともあります。

口の中がザラザラ・ヒリヒリする症状で考えられる原因と治し方

舌でさわると、口の中がザラザラする感じやヒリヒリする感じがある場合には、口腔乾燥症が考えられます。
長時間の緊張、内服薬の副作用、ホルモンバランスなど、様々な理由でお口の中がカラカラになることがあります。その時、頰の粘膜などは滑りがわるくなるため、舌で触るとザラザラ、そしてヒリヒリすることがあります。まずはこまめな水分摂取と、口腔用の保湿剤を使ってみましょう。そして内科に相談してみましょう。

すぐに病院へ行くべき「口の中がザラザラする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

特定の場所がザラつく場合は、歯科へ

先ほど述べた、歯石、セメント(接着剤)やレジンという素材が残っている可能性があります。自分では見えなかったり、専用の器具での治療が必要ですので、歯科医院を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「口の中がザラザラする」ときのセルフチェック法

・口の中がザラザラする以外に白っぽいものがある場合
ガーゼやティッシュで拭ってみて、除去できなければ、白板症の可能性があります。
・口の中がザラザラする以外に痛み・しみる症状がある場合
いわゆる口内炎が多いかと思いますが、口腔がんの可能性も考える必要があります。

「口の中がザラザラする」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「口の中がザラザラする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

口腔異常感症

口腔異常感症とは、お口の中の異常感を訴えるにもかかわらず、見た目や画像検査ではその症状に見合った病変が認められないものです。口腔内の異常な感じを奇妙な表現で訴える場合,口腔内セネストパチー(体感異常症、体感幻覚症)やその他の神経科疾患によって発症したものと診断される場合があります。まずは歯科医院で何か病変がないか診てもらうこと、そして病変がなければ、(心療)内科を受診して相談することもあります。

口腔乾燥症

口腔乾燥症とは、唾液分泌量が低下したり、お口が乾いたと感じる状態のことを指します。よくみられるのはお口の中がザラザラ・ネバネバ・ヒリヒリする感じという訴え、そしてう蝕やプラーク(歯垢)が増加し、口臭も強くなります。舌表面にひび割れができるようになり、その痛みで食べにくさを感じたり、会話がしづらい感じなども出ることがあります。
原因には加齢やストレス、口呼吸によるもののほか、内服薬の副作用によるもの、糖尿病によるもの、自己免疫疾患によるもの(シェーグレン症候群、ミクリッツ病)などがあります。こまめに水分補給すること、市販の口腔粘膜の保湿剤を使うことなどを行います。

ドライマウス

先ほどの口腔乾燥症のうち、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群が原因のドライマウスについては、またさらなる検査・治療が必要になります。
シェーグレン症候群は指定難病ですので、診断されると医療費補助を受けることができます。涙腺と唾液腺を標的とする自己免疫疾患で、主に中年女性に多くみられます。
内科での血液検査(抗SS-A・SS-B抗体陽性の確認など)、眼科での涙の分泌量の測定(シルマー試験)、歯科での唾液量の検査(ガムテスト、サクソンテスト)など複数の検査を行い、その結果を総合的に判定します。治療の基本は唾液分泌を促すような内服薬と唾液の補充に用いる人工唾液を使用します。またこの他には口腔用の湿潤剤(オーラルバランス®など)などがドラッグストアなどで市販されています。

口腔扁平苔癬

扁平苔癬とは、歯肉や頰粘膜にレース模様の白斑を示す疾患です。前がん状態(口腔がんになる可能性がある粘膜疾患)であり、例えば同じ扁平苔癬の方が100名おられたら、数名から十数名程度は口腔がんに移行すると言われています。このように癌になりやすい疾患をまとめて最近では「口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)」と呼ばれています。
扁平苔癬の原因としては、金属・薬剤アレルギー、口の中の汚れ、喫煙、ガルバニ電流(お口の中の金属間に生じる微小な電流)、ストレス、C型肝炎ウイルス感染、ビタミンA欠乏などが原因として考えられています。
小さい病変のうちは経過観察をしますが、拡大傾向にあると、ステロイド軟膏を塗布します。そして痛みを感じるようになると、口腔がんの可能性を確認する必要があります。

口腔がん

口腔がんは、舌、歯肉に多く発生しますが、頰粘膜、骨の中からでもできます。最初は口内炎のような見た目をしていますが、徐々に大きくなり、痛みとしこりをともなってきます。もちろん口内炎の薬をつけても治ることはありません。
原因は様々です。被せ物や入れ歯の一部分が尖って常に当たりやすくなっていたり、やけどをしたりなどがあります。明らかなのは、喫煙と飲酒はガンのリスクを増悪させる因子としてはっきりわかっています。加熱タバコでも紙巻きたばこでも同じです。
治療は手術療法、化学療法、放射線療法の3つの組み合わせです。手術が一番がんを取り除ける可能性が高い治療法で、必要に応じて術後に化学療法と放射線療法を併用して行います。
まず、口内炎のような病変に気付いたら、2週間までは口内炎の塗り薬で経過観察できます。しかしそれ以上治るような気配がなければ、癌の可能性を確認しておく必要があります。すぐに近くの歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。早期発見・早期治療により、早期の社会復帰も可能になるかもしれません。

カタル性口内炎

カタル性口内炎とは、入れ歯や矯正装置が舌に接触したり、ほおの内側を誤って噛んでしまったり、やけどしたこと等がきっかけでの起こる口内炎です。 口の粘膜が赤く腫れたり水ぶくれができたりします。
原因が残っている場合はまずその除去が必要です。入れ歯の尖った部分は研磨・形態修正が必要ですし、矯正装置(ブラケット)はワックスで覆ってしまうことなどを行います。一方口内炎にはステロイド軟膏を塗布して経過観察をします。

口腔アレルギー症候群

口腔アレルギー症候群とは、花粉症の患者さんに多くみられます。花粉のアレルゲン(アレルギーの原因物質)と果物や野菜が持つアレルゲンには、それぞれに共通した分子構造が存在する場合に、アレルギー症状が引き起こされることがあるためです。
症状には口唇の腫れ、口の中や喉のイガイガ感だけでなく、喘息、鼻のアレルギー症状、目の充血、涙が出るなどの眼のアレルギー症状が現れることもあります。症状が重い方では皮膚のかゆみ、発赤、じんましんなどの皮膚科症状、腹痛や嘔吐・下痢などの消化器症状などの他、血圧低下、意識消失などが現れることもあり、生命の危険に至ることもあります。
前回まで問題なかったということもあります。これは以前食べたことで抗体が準備されやすくなってしまい、2回目以降にアレルギー反応がスピーディに出るようになったためということもあります。また生で食べると発症するけれども、加熱調理後だとアレルギー反応が出ないという場合もあります。
診断をつけるには、何を食べたかを思い出していくことから始まります。アレルギーの有無を調べるプリックテストを行ったり、血液検査で調べる際は、ある程度アレルゲンを絞り込んでから行うことになります。
対応としては、原因と考えられる食材を避けることから始まります。ただし別の食べ物です。

「口の中がザラザラする」ときの正しい対処法は?

まずはアレルギー症状である可能性を考えます。お口の中がザラザラしてきたを感じたら、まずお水を飲んで乾いたお口を潤します。そうしながら、この15分で何を食べたり飲んだりしたのか、しっかりと思い出してみます。紙に書き出すとより整理しやすいでしょう。その中で、今まででアレルギーのような症状:皮膚のかゆみ、発赤、息苦しさなどが出たような食材が入っていないかを確認します。もし市販の抗アレルギー薬があれば、早めに飲んでみましょう。そして、症状が悪化、拡大しそうであれば、早めに医療機関を受診しましょう。喘息のような呼吸困難感を感じ始めたら、無理に移動せずに救急車も検討してください。

次に、アレルギーの可能性が少ない場合、ホルモンバランスや緊張、ストレスによる唾液分泌低下、飲酒による脱水、その結果としての口腔乾燥症、お口の乾きの可能性を考えます。女性ではホルモンバランスの変化が大きく、特に閉経後では女性ホルモンが減少するため、唾液の量が減ります。リラックスする時間を確保することなどでストレスをマネジメントすること、風呂上がりに耳の前の頰のあたり、そしてあごの下などを軽くマッサージする唾液腺マッサージなどもいいでしょう。飲酒した後は脱水予防にアルコールと同じくらいの量の水分を摂取しておきましょう。

最後に、粘膜の疾患の可能性を考えます。粘膜が荒れているのをザラザラとして感じている場合です。これは歯科医師の判断が必要になってきます。お口の中に入っている金属によるアレルギーの可能性(扁平苔癬)、乳頭腫、口腔がんなども考える候補に入ってきます。経過観察する理由がありませんので、予定を調整してでも早めに歯科医院を受診しましょう。
そしていかなる場合でも喫煙は悪化させるだけですので、本数を減らしていきましょう。加熱タバコでも紙巻きたばこでもお口の中のザラザラ感を悪化させるリスクは同じです。同様に、香辛料など刺激物も控えておきましょう。

「口の中がザラザラする」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「口の中がザラザラする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

口の中がザラザラするのですがストレスが原因ですか?

歯科医師(歯科医師)

その可能性は考えられます。ストレスや緊張状態により、唾液に分泌が減ります。その結果、お口の中が乾燥してきて、舌で上あご・頰などの粘膜をさわるとざらつきを感じるようになります。こまめに水分補給をすること、ストレスマネジメントなどが必要でしょう。

口の中がザラザラする時は何科に行けばいいですか?

歯科医師(歯科医師)

まず、歯科もしくは口腔外科を受診し、お口の中全体に異常がないかチェックしてもらいましょう。そしてザラザラする正体は何か、診断をしてもらいましょう。

桃や柿を食べた後に口の中がザラザラするのはなぜですか?

歯科医師(歯科医師)

野菜や果物を食べた直後(およそ15分以内といわれています)に口唇が腫れぼったくなったり、口の中や喉のあたりがイガイガするように感じた場合、それは口腔アレルギー症候群かもしれません。

アレルギーの症状で口の中がザラザラすることはありますか?

歯科医師(歯科医師)

あります。先ほど述べた柿や果物を食べた後の口腔アレルギー症候群、またラテックスゴムにアレルギーを持つ方は、アレルゲンが似ているナッツ類でアレルギー症状を示すことがあります。

まとめ

今回は、お口の中のザラザラした感じについて、よく見られるものから取りあげて説明しました。考えられる原因は内服薬の副作用から、自己免疫疾患、口腔がんまで幅広くあります。自分だけでは判断しにくいものもありますので、長い期間放置せず、歯科医院や内科、耳鼻咽喉科など、医療機関で相談してください。

「口の中がザラザラする」症状で考えられる病気

「口の中がザラザラする」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科系の病気

歯科の病気

一時的な症状で消えることもあれば、長く同じ場所がザラザラしていることもあります。

「口の中がザラザラする」に似ている症状・関連する症状

「口の中がザラザラする」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「口の中がザラザラする」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「シェーグレン症候群」「ミクリッツ病」「白板症」「口腔がん」「口腔乾燥症」「口腔異常感症」「口腔扁平苔癬」「口腔アレルギー症候群」などの疾患の可能性が考えられます。症状が長引く場合には、早めに医療機関を受診しましょう。