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「嚙み合わせ」が悪いとどんな状態になるかご存知ですか?医師が監修!

「嚙み合わせ」が悪いとどんな状態になるかご存知ですか?医師が監修!

噛み合わせの悪さは、上手くものを噛み切れないことから食事をしづらいと感じる要因の1つです。

また、口を開けたときに歯が見えてしまうため、見た目が気になる方も多いのではないでしょうか。

実は噛み合わせの原因は先天的な原因だけではなく、普段の癖などから引き起こされる可能性があります。噛み合わせによっても症状はさまざまです。

そこで本記事では、噛み合わせの種類や症状について解説します。噛み合わせが悪くなる原因・治療方法・矯正の目安も詳しくご紹介するので、参考にして下さい。

酒向 誠

監修歯科医師
酒向 誠(酒向歯科口腔外科クリニック)

噛み合わせとは

歯を見る女性
噛み合わせとは、上の歯と下の歯の接触状態を表します。歯を閉じた時の噛み合う力をバランスよく支えている場合は、噛み合わせが良い状態となります。
噛み合わせが良い状態であれば、顎関節・筋肉・歯・骨にダメージが及びにくいです。しかし、噛み合わせが悪いとバランス良く噛み合う力を支えられていないために、顎関節などの部位にダメージが及び弱くなっています。
噛み合わせが悪いと必ず症状が出るわけではありませんが、さまざまな症状が現れる可能性がある点には注意が必要です。

噛み合わせの種類と症状

反対咬合
噛み合わせが悪いといっても、さまざまな種類があります。ご自身がどのような歯並びにあたり、どのような症状が現れる可能性があるかを理解するためにも、種類と症状などの特徴を把握することは大切です。
ここでは、噛み合わせの種類と症状について解説します。

叢生(そうせい)

叢生とは、乱ぐい歯とも呼ばれる噛み合わせです。歯が生えている方向が一定ではなく、一部分に凹凸が見られたり重なり合ったりしてバラバラな状態となっています。この歯並びになる原因としては、顎の大きさと歯の大きさのバランスがとれていないことで起こるといわれてます。
顎が小さいために歯が生える十分なスペースがなく、その結果凹凸や重なるような状態となってしまうのです。日本人の不正咬合の中でも最も多く、八重歯なども叢生に含まれます。
叢生の場合、前後している歯や重なっている歯があるために、綺麗に磨くのが難しくなり歯垢が溜まりやすくなります。

空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列とは、いわゆるすきっ歯のことであり、歯と歯の間に隙間ができる噛み合わせです。
顎の大きさに比べて歯のサイズが小さい場合や、歯の本数が不足しているなどが原因で起こります。症状の度合いによって異なりますが、叢生同様に虫歯や歯周病のリスクが高まり、発音が不明瞭となることもあります。

開咬(かいこう)

開咬とは、常に前歯の部分が開いてしまっている噛み合わせです。オープンバイトとも呼ばれる噛み合わせであり、奥歯しか噛み合っていない点が特徴です。前歯が噛み合っていないため、前歯でものを噛み切ることができません。
そのため、奥歯への負担が大きいです。さらに、前歯部分が空いてしまっているために口が乾燥しやすく、滑舌にも影響するなどの特徴があります。

過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上下の歯の噛み合わせが深くなっている状態のことで、ディープバイトとも呼ばれます。下の歯を覆い隠すように上の歯が重なっている状態であり、噛み合わせた時には下の歯がほとんど見えないケースもあるため、前歯で噛み切れません。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突とは、上の前歯あるいは上顎全体が前方に突き出ている状態の噛み合わせです。出っ歯とも呼ばれており、この噛み合わせになると口を閉じにくくなります。
その結果、口呼吸やドライマウスを引き起こし、口臭や歯周病の発生リスクを高める恐れがあります。また、前歯が前方に突出していることで口が盛り上がったような形になることもあり、見た目を気にする方も多いです。

下顎前突(ががくぜんとつ)

下顎前突は、受け口反対咬合などと呼ばれる噛み合わせです。下の前歯や下顎全体が前方に突出している状態となっています。
この状態になると、咀嚼機能の低下を引き起こす可能性や、発音が不明瞭になるなどの悪影響が考えられます。さらに、この状態を放置すると顎が正常に育たない可能性が高いです。症状もさらに悪化する可能性があるでしょう。

噛み合わせが悪くなる原因

白衣を着た男性
多数の噛み合わせが存在しますが、このような悪い噛み合わせになる原因にもさまざまなものが考えられます。代表的な原因としては、次の通りです。

  • 遺伝
  • 虫歯
  • 口呼吸
  • 外傷

噛み合わせが悪化する原因の1つが遺伝です。両親の顎の骨がずれているケースや、出っ歯である場合は、子供も生まれつき骨の形が悪い可能性があります。顎の骨だけでなく唇や舌の異常が遺伝することも少なくありません。両親が不正咬合で悩んでいる場合は、子供も噛み合わせの悪化が考えられるため、早期発見できるように注意が必要です。
も噛み合わせを悪くする原因となります。例えば、幼少期のおしゃぶりや指しゃぶりなどが代表的です。おしゃぶりや指しゃぶりを長期にわたって行っていると、出っ歯になりやすいといわれています。これは、下顎が後ろに下がってしまうためです。
頬杖も噛み合わせ悪化を招く癖の1つです。歯に横からの力が加わってしまい、横に顎がずれてしまうなどの変形を引き起こす可能性があります。
舌で歯を押してしまう舌癖なども、噛み合わせの悪化を引き起こすでしょう。このように、癖などの後天的な理由でも噛み合わせが悪くなるケースは多いです。
虫歯も噛み合わせの悪化に深く関係します。通常は歯がしっかりと並ぶことでバランスがとれている状態です。しかし、虫歯などで歯が抜けてしまうと、抜けたスペースに歯が倒れてしまいます。噛み合わせで力がかかり続けると、次第に他の歯の歪みにつながってしまうのです。
噛み合わせの悪化の原因としては、口呼吸も挙げられます。通常の鼻呼吸の場合には、舌が上の前歯についています。しかし、口呼吸となると、舌が舌の前歯にずれてしまうのです。舌の位置がずれると、口にかかる力のバランスが崩れます。頬を押し込む力や舌が歯を押す力が強くなってしまうため、次第に歯も歪んでしまうのです。
外傷も噛み合わせ悪化の原因の1つです。事故などで顔に大きな力が加わると、不正咬合になる可能性があります。永久歯が生えなかったり曲がって生えたりすることがあり、噛み合わせが悪くなります。

噛み合わせが悪いとどうなる?

医者
噛み合わせが悪いと、次のような状態を引き起こす可能性があり注意が必要です。

  • 虫歯や歯周病になりやすくなる
  • 食べものが上手く噛めない
  • 発音に支障が出る
  • 頭痛や肩こりが起こる

噛み合わせが悪いと、虫歯や歯周病になりやすくなります。例えば叢生や空隙歯列の場合は、歯の重なっている部分や隙間に汚れがたまりやすいため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、上顎前突のような状態では口呼吸になりやすいため、唾液の浄化作用を低下させてしまって虫歯などを引き起こすケースもあるのです。
食べものが上手く噛めない点も、引き起こされる問題の1つです。噛み合わせが悪いと、うまくかみ合わないため噛み切れなくなります。すると、上手く噛める一部分の歯で噛む状態が続いてしまい、片側の筋肉だけ発達するような事態を招きます。この状態になると、さらに噛み合わせの悪化を引き起こし、顎関節症になるなどのトラブルを招くケースもあるでしょう。
また、同じ歯で噛み続けると、歯や骨を痛めて、歯が欠けてしまうこともあります。このような状態になると、さらなる噛み合わせの悪化を引き起こす可能性も高いです。
発音にも支障が出るケースがあります。空隙歯列や下顎前突で起こりやすい状態で、歯と歯の間に隙間ができて空気が漏れてしまうために、明瞭な発音がしにくくなります。
噛み合わせが悪い状態が続くと、頭痛や肩こりになりやすいため注意が必要です。噛み合わせが悪いと、顎関節などに負担がかかり、首回りの筋肉が緊張してしまいます。その結果、肩こりや頭痛などを引き起こすケースがあるのです。

噛み合わせの治療方法

マウスピース
噛み合わせが悪い場合の治療方法としては、永久歯が生えそろう前と後で異なります。永久歯が生えそろう前であれば、矯正治療を行うケースが多いです。矯正方法は次のものが挙げられます。

  • ワイヤー矯正
  • マウスピース矯正
  • ヘッドギア

ワイヤー矯正とは、歯の表面にブラケットを装着してワイヤーを通して力を加える方法です。マウスピース矯正は、透明なマウスピースのような機器を装着することで、徐々に歯を動かします。ヘッドギアは、頭頂部や後頭部にベルトを固定して、骨格から噛み合わせを改善する方法です。
一方、永久歯が生えそろった後であれば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などで治療を行います。しかし、歪みが大きい場合には、下顎を切断して後に下げるなどの外科手術を行うケースもあります。
どの治療方法が良いかは、噛み合わせの種類や症状の度合いによっても異なるため、治療方法について気になる場合には専門の医療機関に相談しましょう。

矯正したほうが良い噛み合わせの目安は?

女性の口元
矯正した方が良い噛み合わせの目安は、次の通りです。

  • 歯並びが乱れている
  • 噛み合わせが合わない
  • 顎の形や位置が異なる

程度にもよりますが、歯が前に出ている場合や重なっているなどの歯並びが乱れている場合は、噛み合わせが悪いことで消化不良を引き起こす可能性があるため矯正をした方が良いでしょう。
噛み合わせが合わない場合も同様の理由です。横にずれていたり覆いかぶさったりするような顎の形の場合、上手く噛めないことで肩こりや頭痛などを引き起こすこともあるため、矯正をした方が良いでしょう。
顎の形や位置が異なる場合も目安の1つです。上顎前突や下顎前突のような、顎の骨格が変形している場合なども、矯正を行った方が良いです。

まとめ

歯と医療器具
噛み合わせにはさまざまな種類があります。軽度なものであれば問題ないと考える方も多いかもしれませんが、見た目の悪さや食べものが正常に噛めないなどと影響は大きいです。

また、噛み合わせが悪い状態を放置しておくと、虫歯・歯周病・肩こり・頭痛など他の症状を招く可能性があります。

さらに、上手く噛めない状態が続くことで、さらなる噛み合わせの悪化を招くケースも考えられます。

健康な身体と食事を実現するためにも、噛み合わせが少しでも悪いと感じたら、医師に相談してみましょう。そして、必要があれば矯正を行い、健康な歯を手に入れましょう。

この記事の監修歯科医師

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